「貴方はどうするの? 」
ボロボロの布団で横たわった男に、そばに居るみすぼらしくも美しい女が問いかけた。男は答えない。答えたくとも答えられないのだろうか。女の声が聞こえなかったのかもしれない。なんせ、目を背けたくなるほど痛ましい刀傷を全身に負っているのだ。目は虚ろで右腕は切断され。加えて止血処置を施していないのか、絶え間なく流血し、容赦なく女の足を濡らしている。
──誰とも知らぬのに。漠然とした理由もなく俺はその光景を部屋の隅で傍観していた。明らかに俺が生きる時代ではなく。本能が逃げろと叫ぶのに、ただずっと。
「嘘つき。ボクより先に逝かないって言ったのに」
男はまた答えない。この出血量じゃもうすぐ死ぬ。意識も飛んでるかもしれない。しかし男は残った左手で女の手をずっと握りしめていた。
「ボクを恨む? ボクのせいでこんなになっちゃったんだ。嫌いになった? ボクのせいで死ぬんだ。ボクにまた会いたくないよね? こんな女はウンザリだよね」
男は答えない。が、僅かに・・・・・本当に少しだけ首を横にふった。女は目を見開き、それから「そっか」と小さく零したあと、
「次に会えたら、ボクが護るよ。必ずね。『──』はボクのこと、次会っても愛してくれるかな」
女は男の頬にかかる髪を撫でると、男は小さく頷いて、眠るように目を閉じた。次も逢えるって確信したからか。男の目に涙は浮かんでいない。女も同様だ。全てを受け入れる慈愛に溢れた表情を向けていた。
「ふふっ。ボクは泣かないよ。なんたってまた会えるって分かってるから」
女は滴る血を気にも止めずに立ち上がり──
「ほら、ボクが望んだ通り、君はもうソコにいる」
首を180度回転させ、獣の如き視線が俺の目を貫いた。蛇に睨まれた蛙といったところか。身動きひとつとれない。
「また会えて嬉しいよ。今度はボクがずっと護ってあげる」
目線の高さが同じだから分かるが──この女は俺のことしか見ていない。独占欲の究極、はたまた猟奇的な愛とでも表現しようか。とにかくこの手の瞳は吐き気がするほど苦手だが、気づいた時にはもう遅く、
「
細く華奢な両腕にがっちりと
☆☆☆
体育祭の翌日。理子は朝から図書館に行き、キンジは勉強すると励んでいた。チームの今後について話しておかないことがあったのだが、また後日ということに。俺自身もそれほど乗り気じゃなかったからいいかな。今日は睡眠時間はたっぷりとったはずだけど、変な夢を見たせいか──今はもう覚えてないが──異様なほど眠いし。理子を見送ったあと、まだ温もりが残るベッドに再びダイブし、二度寝をかますこと約3時間。
時間はとうに昼12時をまわり、窓から差し込む陽射しも寝起きの体を暖めてくれる。ボーッと外を眺め、頭が冴えない状態だが気分の切り替えにと寝巻きを着替えた。
昨日から飯は食べてないが──とある理由でバスカービルの打ち上げに行ってないので──お腹は減ってないので、腹ごしらえはせず銃と盾の点検をする。
休日にやることをほぼ全て終えてしまった。暇を持て余した一人だけの休日。前世ならアニメを見て過ごすのが当たり前だったのだが、重大な問題が間近に迫ってるんだ。
(ジーサードのことでも調べるか)
キンジの部屋から移動させたパソコンの電源をつける。
本当は瑠瑠色金を調べたいのだが、普通に検索してもまず出てこない。当然だ。一介の高校生が特定できるほど
分かるものから解決していこう、そんな魂胆だ。
アイツの言い放ったことの一言一句ただしく覚えてないが、要約すると俺に愛する人を殺されたらしい。理子に手を出そうとしたのが証左ともなる。
絶対ありえん。人殺しどころか犯罪に値するものはしてないぞ。そもそも高校生になるまで伊・ウーにいて、高校生になってからは外国への任務は受けたことがない。相部屋のキンジが当時Sランクってこともあって共に仕事をこなしてたんだ。そして瑠瑠神の能力を使ってもなく知られてもない時期。証人なら揃ってるんだ。
なれば、主犯は何らかの目的のためジーサードが愛した人を俺に変装して殺し、復讐に燃えるジーサードを使って俺を間接的に殺害しようとしてる。その"何らかの目的"がハッキリすれば絞られるものを。陰湿なやつだ。まあ真犯人は置いといて。
(極東戦線に出てるくらいだし、無理っぽいかな)
ダメもとで検索エンジンにジーサードと入力。が、やはりヒットなし。予想はしてた。派手な格好だから目立つんだけど──。
そういえばアイツ、俺と会った時に雰囲気がガラッと変わったな。変容の仕方がキンジの特異体質と同じヒステリアモードっぽかった。兄弟・・・・・はないかな。兄はカナさんしかいないって聞くし、他に聞いたこともない。似た体質なんだろうきっと。
とにかく今日も何の収穫もなし。武偵高の資料室行ったっておそらく無理だろうな。次会う時に期待しよう。出来れば会いたくないが。
・・・・・謎ばかり増えてウンザリだ。ジーサードを迎えに来た『武器商人』も、意味深なこと言って去るし。
「目の前にあるもの全てを疑え、か」
武器商人が言った、やけに脳裏に張り付いたアドバイス。俺のためを思ってくれるのは嬉しいが、加えてそれに繫がるヒントが、
でも──どうして肩の傷と限定したのか。それから辿れば解けるかもしれない。おそらく例えとして言ったんだろう。大きな怪我が治ったのが時期として一番近かったからと考えれば納得する。例として挙げるなら最適だからだ。要は武器商人は、傷が速く治るのが君には不自然に思わなかったのかと聞きたかったんだと思う。
──思ってるよ。
さすがに怪しい。自分の体の中で起きてることが怖くなってくる。
仮に回復能力を保有している場合。体内の璃璃色金はレキが撃ったライフル弾の弾丸サイズらしい。サイズと比例して回復量も同等と考えると・・・・・おお! 答え出たんじゃないか⁉ てかなぜ今までレキに直接聞かなかった。暇がなかったとはいえ自分の馬鹿さ加減を呪いたい。
早速ウキウキ気分で電話をすると、ニコール目で出てくれた。
「もしもし、レキか? 」
『はい』
「突然だけど璃璃色金に関して聞きたいことがある」
「わかりました・・・・・短めにお願いします」
『璃璃色金に回復能力を向上させる能力ってあるか? あるよな? 」
やっとスタートラインに立てた気持ちだ。ここから網目状に広がっていく謎を一つずつ解いて、順調に──
『ないです』
──はい? 聞き間違いかな、あはは。今なんて言ったんだろー。耳おかしくなったのかな。
「もっ、もう一度」
『ありませんよ、そんな能力。あるとしたら私はジーフォースさんとの戦闘でやられることはありませんでした』
璃璃神じゃない!? ありえないだろそんなの!
なら回復力をあげてるのは必然的にアイツしかいなくなるじゃないか!
『あと、私に
「は? なんでそんな唐突に・・・・・」
『詳しくは知りません。切羽詰まっている状況のようでした。私に命令することさえ辛そうでしたが、一言だけ。今の貴方は
天敵だと? あっちにも焦るほどのことが起きてるってわけか。いやそんなことはどうでもいい。後回しだ。
「ありがとう。また連絡する」
『はい。では失礼します』
ブツッ、と電話が切れ、頭の中でゴチャゴチャになった情報を整理し、携帯を閉じる。たった数秒で出来る動作が、今は難しく感じられた。それほど衝撃的で、支離滅裂で、放心せざるを得なかったからだ。
───瑠瑠神が回復させてる、のか?
否定しようにも厳しい現実は真実を突きつけてくる。意味がわからない。矛盾しすぎだ。瑠瑠神が俺を生かしておくメリットはないはず。完全に瑠瑠神になる時間が延びるほど、アイツが最も嫌う女という生物との関わりが多くなるからだ。俺を世界一不幸にしたのも、不慮の事故を起こしやすくし、いち早く死なせるためだと信じ込んでいたが。
(何が目的なんだよ、お前)
おかしいとは思ってた。既に右半身が瑠瑠神と化してるのだから、俺が寝てる間に拳銃で頭を撃ち抜くことなんて朝飯前。抵抗すらできない状態で瑠瑠神に魂を取り込まれてオワリとなるのに。なんで・・・・・殺さないんだよ。
そも回復能力があいつに備わっているのか? それとも時間遅延を応用して──くそっ。候補がありすぎて見当もつかん。大体あの狂人の思考を理解しようなんて無理な話だ。愛のため人を殺すことになんの
・・・・・このまま瑠瑠神になることに抗い続ければ、瑠瑠神が俺を乗っ取って仲間を傷つけるかもしれない。或いは、
厄介なのは後者の方だ。バスカービルの誰か、もしくは仲の良い友人に憑依してしまった場合。ジャンヌの時のようにキスだけで立ち去ってくれるとは思えない。
幸いなことにあの一件以来、誰かが憑依され俺に襲いかかってくることは無くなったが・・・・・ん、待て。
(ジャンヌはどういう経緯で乗っ取られたんだ? )
俺が地下倉庫に着いて目が合った瞬間にジャンヌは憑依された。けど人と目が合うことが憑依のトリガーじゃないことは確かだ。瑠瑠色金の力を乱用してる今なら表に出てきてもおかしくないのに。俺を監視してるって考えも多分間違いだ。監視目的ならヒルダとの闘い前に俺に憑依しかけた理由が説明出来ん。
「はあ・・・・・」
瑠瑠色金が埋め込まれた右腕──その上腕に触れる。すると服の上からでも熱を感じ、瑠璃色の光が僅かに漏れた。そばにいるよ、と呼応するように。
忌々しいこの腕を今すぐ切断したいが、色金は腕だけでなく全身を血に混じり駆け巡っているはず。絶対にあの女からは逃げられないのだ。
(ひとまず解決できるのは、ジーサードかな)
ジーサードの誤解をとけば、瑠瑠神打倒へのヒントに繋がる何かを得られるかも。前回はまともに話ができる状態だったのだが、俺が何かヘマしたせいで危なかったし、
といっても、アイツの意表を突く戦略じゃないと到底勝てない。ひとつふたつは考えつくものもすぐボツにした。なんせ強襲科の教科書に載っている単純なものしか思い浮かばないのだ。これは起きても一向に頭が冴えないせいもある。二度寝がいけないのか、昼過ぎの時間に起きるのが体に合ってないのか。それともケレンさんにカウンセリングを受けた以来消えない頭の靄が原因か。
──ひとりで決めることもないか。
作戦立案は理子の方が得意だし、今夜あたり相談してみよう。一旦休憩と、リビングに戻りふかふかのソファに腰を預け天井をじっと見つめ・・・・・いくらかの時間が経った頃。
暖かい陽気に誘われウトウトしていた脳を覚醒させたのは、携帯の着信であるアニメ調のメロディだった。幸いにも手元のすぐそばにあったので、ワンコールも終わらないうちに出る。
「はーい、もしも──」
『キョーくん! 今すぐ装備整えて女子寮の入り口に! 』
耳を貫く音量にはビックリしたが、今の声は理子だ。いつもの甘ったるい、しかしこれ以上ない緊迫感を帯びたソレに緊急事態だと察し、
「っ、分かった。すぐ向かう」
先ほど手入れした上下二連散弾銃と雪月花を腰に差して腕に盾を装備。臨戦態勢を整える。
教務科からの緊急任務なら俺の携帯にメールが届くが、来ないってことはバスカービルの誰かが危険にさらされている──もしくは極東戦線の相手陣営が攻めてきたか。忘れがちだが、今俺たちは超人戦争の真っ最中だ。逆に今日までジーサード以外の襲撃がなかったことに感謝すべき。
本当に──本当に間が悪い。どうして今日なんだよ。俺のキャパは限界なんだけどッ。
愚痴を零しつつを勢いよく部屋を出て、下へと続く階段を駆け下りる。女子寮の正面玄関を抜けると、1台の黒ワゴン車が入口前の道路へ飛び出してきた。
「乗って! 」
すぐさま乗り込むと、甲高い悲鳴のようなスキール音を撒き散らし発進した。車には俺と、ふざける様子が一切ない面持ちの理子のみ。
「ジーサードが品川火力発電所に現れたって玉藻から連絡きたよ」
ドッキリだよ、その言葉を期待したが、悲しきかな。本当に悪ふざけではないらしい。
ジーサードをいかにして戦闘へ持ち込ませず解決するか、対策もマトモに考えてないのに。間が悪いのはいつものことだけど。文字通り死活問題だ。
「よりによってみんながバラバラの時に来て最悪だよ。ゆっきーとジャンヌはもう着いたはず。あとはあたし達とキーくん、アリアだけ」
「アイツらいないのか⁉ マズイな、即戦闘になって前衛が俺だけって詰みだろ。アリアとは
予想外だ。ろくな作戦すらないのに主力二人がいないとは、ますます勝ち目が薄くなってきたぞ。アリアとキンジのコンビによる牽制と、どちらかが一時離脱する瞬間に俺が入って引き留める役割。たった今そのプランが砕け散った。
「てことは、だ。現場につけばジャンヌと白雪、お前しかいない状態であの化物と戦えと」
「・・・・・うん」
理子が噛みしめるように答えた。つまり前衛ひとり。前衛がする仕事を俺ひとりで全てこなさなきゃいけない、か。
(
理子筆頭に一撃離脱を繰り返して二人を待つ──ダメだ。理子が殺されたら元も子もないだろ。
他の武偵に応援、もダメだ。それは極東戦線の
なら、
「ジーサードは多分、俺狙いなんだろ? ならキンジとアリアが来るまで近くで待機ってのは」
これなら万全の体制で行けるが──
「ダメ。時間内に来ないとかなめちゃんが殺される。見せしめにゆっきーやジャンヌだって・・・・・」
ダメかッ。全部うまくいかないぞ。無理だ。無謀過ぎる。前回の戦いだってジーサードは本気じゃなかった。本気になる前に武器商人に止められたんだ。そんな相手に策もなく突っ込むとか・・・・・。
いや待て。それ以前に、部下にまで手をかけるのかあの野郎! そこまでして憎いのか、この俺が・・・・・!
逃げ場なし、八方塞がりとはこのこと。既に品川発電所まであと数キロというところだ。制限速度なぞ知らんとばかりにとばしてるから、あと10分とかからないはず。
どうするどうするどうする!
頭の
「キーくん、ひとまずゆっきーとジャンヌの
と、運転中にもかかわらず、理子は俺の顔を覗きこんだ。まるで別人を車に乗せてしまい、それを確認するような。ここまで気づかなかったとは、理子も集中して考えてたようだ。
「ちゃんと寝た!? 真っ黒の
対向車のクラクションで再び視線を道路へ戻す理子だが、心配そうに横目で俺をチラチラしてる。よほど俺の今の顔は酷いらしいな。
数日間続くこの頭の靄の正体が、ただ気分が悪いだけで片付けられるならいい。また誤魔化せば良いんだから。
「ああ。大丈夫」
ただ大丈夫と答えるだけで済む。
「せっ、説得力無いよそんな顔で言われても! 」
「
「・・・・・わ、わかったよ。うん、信じる」
しぶしぶ承知といった様子。けど良い、理子を心配させて、余計なことを考えさせたくないんだ。
「とりあえずかなめちゃん救出優先。ゆっきーとジャンヌでジーサードの視界を妨害してもらうよ。もちろん理子も自前の
「待て理子」
「なあに? 理子のこと、信用できない? 」
「違うさ。ただ、俺の前で確率の話はしないでくれ」
うん? と少し考えたあと、張り詰めた表情を崩して、
「キョーくん絶望的に運ないもんね。わかった、ここぞという時が来たら絶対成功させるから」
「頼む」
──もし。かなめがジーサード側についていて、俺たちをおびき出す為の罠だとしたら。
そんな可能性が頭に浮かぶ。
当然だ、初めはジーサード側の人間だったのだから。まず囮であることを疑う。こちらの仲間になったって、再び寝返らない確信などない。ジャンヌや白雪──理子やアリアだって思ったはずだ。しかしどうだ、今は危険だと承知してなお救出しに向かっている。先日のランバージャックの一件以来、仲良くなったからだろう。自分たちが仲間として認めたから、見捨てるという選択肢は存在しないと。むしろ裏切られること承知の上なわけだ。
(──心底くだらない)
黙れ。
(『──』とは違うたった数日だけの仲なのに)
黙れッ。
(行くだけ無駄。理子を無意味に死なせるだけだ)
──黙れッッ!
誰かの声が聞こえる。無謀にも挑み負けるくらいなら逃げろと。・・・・・それでも行かなければならない。かなめとは接点こそ少ないが、それでも
「もうすぐ。降りる準備しといて」
頭を横に振って気持ちを切り替える。この際だ、
決意が固まったところで、車は品川火力発電所の中に到着し、中のコンテナ群とは少し離れた場所で止まった。ここにはコンテナが密集する地帯と海へと続く開けた場所があり、ジーサードはおそらく後者の方を選択する。わざわざ敵を視認しにくい場所に陣取る真似はしないからだ。
念のため警戒しつつコンテナ群を抜け平地が一望できる場所まで進む。すると、傾いた日に照らされた4つの影を視認できた。
白雪とジャンヌは・・・・・良かった、まだ傷ついてる様子でもない。ただ警戒してるようで、それぞれ武器を構えたまま一点を睨みつけている。そして、2人の視線の先に──ヤツは居た。かなめを傍におき何もせず静かに佇んでいる。気づいているぞと、俺のほうを向きながら。
現代的デザインをした漆黒の
深呼吸して動悸を整え 。ヤケクソ気味に覚悟を決める。もしもの場合を念頭に入れて。
「かなめの救出最優先の立ち回りだ。ただ裏切っていた場合──」
「それでも助ける。キンジとアリアが来るまでなんとか持ち堪えないと。ほんっと、最高難度だね」
意地でも助けに行く気か。まあギリギリまでは粘るけど、本当に危なくなった場合・・・・・気絶させてでも離脱しよう。
「はぁ──死ぬなよ? 」
「もっちろん。まだキョーくんとデートしたりないし、返事もらってないし。だーから」
理子はおもむろに右手の赤白ミサンガをはずした。これは俺が夏休みの修学旅行中に神社で渡したものだ。とても喜んでくれてずっと右手首に着けてくれてたのだが、
「はずしてもいいのか? 」
「いいのいいの。着けてもらった時の願いは叶ったし。だから、次のお願いするためにもっかい着け直さなきゃ」
「それは、生きて帰ってもう一度お前に着けろと」
「あったりー! 」
不敵な笑みを零し理子は俺の右手首に、微かに震える手でミサンガを通した。
・・・・・そっか。理子も怖いよな。
前回圧倒された実力差は嫌というほど痛感した。今回は死ぬかもしれないと、不安がよぎるのも仕方ない。
だけど──だけど。絶対に死なせるもんか。
「行くぞ、理子」
「いくよ、キョーくん」
理子の手を強く握り、死地へと一歩踏み出した──。
───やっと会えるね♡
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