御神電子研究所
そこは街の外れの外れ。誰も立ち寄らないであろう森を越えた先にある研究所だ。周りには何も無く御神研究員以外だれも研究員はいなく、知る人も知らない謎めいた研究所。そこに、『黒羽快斗』は足を運んでいた。
そこには頭に機械のようなヘルメットを被らされ柱にロープで縛られて拘束されている人がいた。
「……待ってたぜ偽物よ」
黒羽快斗は『黒羽快斗』に話しかける。『黒羽快斗』は黒羽快斗の言葉を聞いて首を傾げた。
「どうして僕は君のマネをしなければならないんだ!?ボクは何物なんだ!?」
「お前はロボットだ」
『黒羽快斗』の問いに黒羽快斗はありのままの事実を率直に答える。
しかし、『黒羽快斗』はそれを否定した。
「違うボクは人間だ!」
「けっ……」
「皆そういう……博士も君も……どうして……?」
「そういやあのジジイはどうした?昨日から姿が見えないが」
と、黒羽快斗は『黒羽快斗』に問いかけた。今回の件の主犯にして黒羽快斗をここまで連れ去った人物。そいつが昨日の夜から姿が見えないのだ。
その問いに、『黒羽快斗』は感情のない瞳で答えた。
「コワシタ」
一切の、躊躇いもなく。
「……お前、まさか殺したのか!!?」
「……ダイジョウブ修理すれば治る」
感性がまるでずれていた。話しが通じないという次元ではない。
こいつは、危険だ。
「馬鹿野郎!!人間はロボットと違って死んだら治らねーんだよ!!!」
「……ワカラナイ。『死』とはなんだ?」
「……なに?」
「……君も博士もそう言って怒鳴りつける。……ワカラナイ。データ不足。……ソウダ、君の残りの記憶を全ていただくことにしよう……」
『黒羽快斗』はそう言うと自分の首を身体から引き離しそこから出たケーブルを備え付けてある機械に差し込んだ。『黒羽快斗』はそのままキーボードを叩く。どこから見ているのかは分からないが、黒羽快斗の頭の機械が作動し始めたところを見ると、適当に打っているわけではなく、本当に黒羽快斗の記憶をコピーしようとしているみたいだ。
「ッ!?やめろ!!」
「モウオソイ」
データの移行が完了したのか、ケーブルを首の中にしまい、首を元の長さに戻した。すると『黒羽快斗』はどういうわけか固定電話の方へ向かい、そのままどこかに電話をかけた。
「……まさか!?」
嫌な予感がした。自分は黒羽快斗であって怪盗キッドでもある。つまり……
「お前、まさか予告を……!?」
すると『黒羽快斗』は黒羽怪斗の方に振り返り、不適に笑ってみせた。
「ハハハ!その通り。俺は黒羽快斗だ!そして怪盗キッドとしてこの世に君臨する!」
その声は、先ほどまでの機械じみたものではなかった。
その顔は、先ほどまでの不安そうな様子は見られなかった。
その余裕さは、まるで自分そのものだった。
「……そして、君には消えてもらおう」
静かに告げて、机の下に置いてあった爆弾にタイマーをセットする。
「くっくっくっ……」
『黒羽快斗』は不適な笑みとともに御神研究所から出て行った。
そして。
御神研究所は爆発して跡形もなく消えてしまった。
――――
―――
――
―
『怪盗キッド』は予告時間にきちんと現れた。
手は機械で出来ているので最大10mまで伸ばすことができる。それを利用し、窓ガラスを割って宝石を華麗に持ち去っていった。
「まて!怪盗キッド!!」
「ハハハ!宝石は頂いていく!!」
『怪盗キッド』は隣のビルに乗り移り、スタッと降り立った。
「ハハハ!俺は怪盗キッドだ!!」
自分の存在を確かめるように高らかに叫ぶ。不適といえば不適だが、そこにはどこか幼さが混じっていた。『怪盗キッド』は警察が来る前に、さっさと退散しようとした。
「……それはどうかな」
背後から聞こえた声に、『怪盗キッド』は勢いよく振り返った。
一瞬、自分の耳を疑ったが、そこには奴がいた。
ホンモノの怪盗キッドが。
「キ、キサマどうして!?」
「忘れたのか?怪盗キッドは神出鬼没だ。それともインプットし忘れたのかな?ロボットさん?」
『怪盗キッド』は怪盗キッドの言葉に怒ったのか肘を折り曲げそこからミサイルを撃ち出した。だが怪盗キッドはそれをジャンプして避け、懐からトランプ銃を取り出す。それを『怪盗キッド』の顔めがけて撃った。
すると『怪盗キッド』の顔を覆っていた変装が引き裂かれ、中から機械化した人体模型のような顔が出てきた。
だが『怪盗キッド』――いや、ロボットはおかまいなしに腹の中からミサイルを発射させる。怪盗キッドはそれをトランプ銃でトランプで発射させてこちらに届く前に爆発させる。煙が晴れるとビルはもうボロボロだった。しかし、ロボットは自分の本性が現れたというのに未だに余裕の笑みを浮かべていた。
「無駄だよ怪盗キッド……君こそ忘れているんじゃないのか?君の行動は全てプログラムさせてある」
「……フン、それがどうした?」
「今、君の行動より0.4秒早く動けるようにプログラムした。つまり君が足を狙えば足を、手を狙えば手を自分が撃たれるわけだ。もう君に勝ち目はない」
このロボットは正確だ。ここまでダメージを負っても誤作動一つ起こすことなくキッドを殺すことは可能だろう。
「……ふっ」
「何だ?死を悟って頭がおかしくなったのか?」
「確かにこのままいったら俺は死んでお前が怪盗キッドとして飛び回ることは可能だろう……だが大事なことを忘れてるぜ」
「ふん、何も出来ない状態で今更何を……」
怪盗キッドが顔を上げ、ロボットと視線を合わせる。圧倒的不利なこの状況で、彼は笑っていた。
そしてロボットに告げる。
「俺の相棒のことをな」
それは、信頼から生まれる笑み。
刹那、ロボットの持っていた拳銃が横に飛んでいった。拳銃にはトランプが刺さっている。
「まさか……」
そこには、全身黒でコーディネートした服を着ていて、片手にはキッドと同じトランプ銃を持っている人がいた。
そう。
「夕中木葉!?」
その人物は彼の相棒――夕中木葉だった。
その姿を見て、キッドは不適に笑った。
「待ってたぜ、相棒」
「お、いい感じにやられてるねー。まさか危機一髪だった?」
「んなわけねーだろ。こんな奴俺一人でも倒せてたよ」
「キ、キサマ……ッ!」
と、ロボットが何か言おうとした。だがそれよりも早く木葉がロボットの首を撃ち抜いた。首はそのまま吹っ飛び、ロボットは完全に機能を停止させた。
「とりあえず退散しよっか。すぐ警察が来るだろうし」
「そうだな」
言いながらキッドはポケットから小型爆弾を取り出した。
「悪いが、俺の顔をかたどった顔や体型を残しておくわけにはいかないんでね」
タイマーを10秒に設定し、木葉をお姫様だっこをする。木葉は何も言わずに怪斗の首元に手を回した。そしてマントをハンググライダーへと換え、助走をつけて大空へ飛び出す。大空へと飛び出したと同時に、爆弾は爆発した。その爆発したビルから「キッドォ!!」という聞き慣れた叫び声が聞こえたがそれは華麗に無視することにした。
――――
―――
――
―
「で?」
「ん?」
ハンググライダーでいつも降り立っているビルへと向かっている途中、木葉が話しかけてきた。
「私に何か言うことは?」
「あぁ、今回はマジで助かったよ。サンキューな」
「よろしい。……でも結局アレはなんだったの?快斗君を怪盗キッドだって知っててロボットなんて作ったのかな?」
「おいおい、まだ仕事中だからその名前で呼ぶなよな」
「いいじゃない。どうせこのまま例のビルに向かうだけなんだから」
「……ったく。でも、あのロボットを作ったジジイは俺を怪盗キッドだとは知らなかったみたいだ。多分、無差別に選んだだけだと思うぜ?ま、ロボットを作ったその先の目的までは知らねーけどな」
「……本当、あのロボット姿の快斗君を尾行して正解だったよ。学校にいる時からおかしかったからね」
「あん?あいつ俺がいない間何してたんだ?」
「……聞きたい?」
「……なんかすんげー気になるんだけど」
「じゃあ耳貸して」
と木葉が言って怪斗は耳を木葉の口の方へと近づける。
そして。
「なにぃーー!!!??」
白い翼を携えた怪盗は、上空で怒号にも似た叫び声を響かせたのであった。
次の日、青子と快斗がクラス中からからかわれたのは言うまでも無い。
木葉はコナンでいう灰原ポジションです。人気投票一位の灰原さん。コナンとくっつくことを少なからず期待してたのですが……蘭に告白しちゃったかー。灰原エンドを期待してたんですよねー。
まぁ、ある程度は分かっていましたけど……やはり、僕は灰原の方が……!(無言の腹パン)
灰原もそうですが、こういう相棒ポジションってなんか……いいですよね(語彙力)