バカと凶刃と召喚獣   作:赤辻康太郎

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今回は野球大会のルール決め(に見せかけたいつもの屁理屈)回です。


第百十一問

第百十一問

 

明久が学園長のとりつく島もない態度に歯噛みしていると、思案顔でプログラムを見ていた雄二が口を開いた。

 

「確かに、今からまた変更ってわけにはいかないだろうが……だからと言って、これではあまりにも生徒チームと教師チームで戦力に差がありすぎないか?」

「戦力差ってことは召喚獣の強さのことかい? ハッ。何を今更言ってるんだか」

「でも、雄二の言う通りですよ学園長! 教師チームの点数はもの凄く高いじゃないですか! 点数が力に比例する召喚獣を使うっていうのに、そんなに差をつけられたら勝てるわけが」

「バカ言うんじゃないよ。いつもの戦闘じゃなくて、今回は野球じゃないか。力があるだけで勝てるってなら、プロ野球の選手は全員ボディビルダーで埋まっているだろうに」

「でも」

「それに、この文月学園は試験的かつ実践的な進学校だよ。点数の差が力の差になって何が悪いさね」

 

学園長の台詞に、明久は何も言い返せなくなる。確かに明久たちは入学する時にそういった学校だと知らされて入学した。しかしそれはあくまでも試験召喚戦争、生徒間の話であって、今回の様なケースは想像すらしていなかった。

西村教諭も明久の気持ちに同意する部分もあったのか、一瞬だけ気の毒そうな顔をするが、学園長の言うことも事実なので目を瞑った。それよりも、西村教諭には気がかりなことがあった。

 

「それでも、こんなに差があったら野球どろこじゃないし、僕らだってやる気がなくなっちゃいますよ!」

「今頃弱音かい? そんな事言うようじゃ、Aクラスに下剋上なんて」

「今回ばかりはちぃと違うんじゃねぇか?」

 

ほら来た、と西村教諭の眉がピクリと動く。薄めを開けると、いつもの人を食ったかのような秀隆の顔。西村教諭の嫌な予感は当たったようだ。

 

「なんだい? アンタも召喚獣を使うのに文句があるって言うのかい?」

「いんや。召喚獣を使うのはもう決定事項なんだから、その点について文句を言う気はねぇよ」

「秀隆、何を言ってんのさ! これじゃ」

「あー、待て明久。元のルールに戻せないってのはさっき俺も言っただろ」

「雄二まで」

「ま、黙って秀隆の話を聞いてろよ」

 

雄二に言われて、明久も渋々押し黙り耳を傾ける。

 

「文句がないなら、いったい何が言いたいさね」

「『召喚獣の強さの差が野球の結果に直結しない』。これには異を唱えさせてもらう」

「それこそ何を言ってんだい。それもさっき」

「プロ野球選手は皆ボディビルダーなのかって話だろ? そりゃぁ単純なパワーだけじゃプロでは通用しないだろうが、今回は召喚獣だ」

「それが何だってんだい」

「そのパワーの差が結果に繋がるつってんだよ」

 

学園長が明久に言った言葉を、秀隆はバッサリと否定した。

 

「何を言うかと思えば……。さっき吉井(そこのバカ)に説明した通りだよ」

「そりゃプロ野球選手に必要なのは単純な『力』以外にも『技術』や『センス』が必要さ。けどな、今回は野球の皮を被った試験召喚戦争だ。召喚獣の力量差がそのまま勝敗に直結する」

「いい加減にしな。さっきから堂々巡りじゃないか。早く結論を言いな」

「生徒側と教師側で、()()()()をするなら、力がある方が勝つに決まってんだろ」

「…………」

 

思い当たる節があるのか、学園長が秀隆から目を逸らす。

 

「やっぱりな」

「どういう事?」

「ババァは召喚獣を野球仕様にしたと言った。けどな、流石にそれも完璧とはいかねぇってことだ。どうせ動作も『投げる』、『打つ』、『走る』、『捕球』くらいしかできねぇんだろ?」

「…………」

 

学園長の顔が苦虫を噛み潰したように歪む。

 

「えーと……?」

「つまり、だ。召喚獣を使った野球は所詮『野球ごっこ』で、生身のスポーツみたいな複雑な動作はできねぇってことだ」

「ようはテレビゲームの野球ゲームと同等かそれ以下。ステータスの差が、そのままパフォーマンスに直結する」

 

同じストレートボールでも、生徒が投げればバッティングセンター並。教師が投げれば弾丸。生徒の凡フライは教師のホームラン。点数に比例して上がる召喚獣のステータス差を考えれば、結果は火を見るよりも明らかだ。

 

「それにテメェはさっき、野球大会は『あくまでも生徒教師間の交流の場』だとかほざきやがったよな。――そんな一方的な『蹂躙の場』で、いったいどうやれば心温まる交流ができるっつうんだ?」

 

立場の違う者たちが交流するには、両者が同じ立ち位置になれることが重要だ。そうでなくては、片方が一方的に気持ちよくなるだけで、もう片方には不快感や虚無感しか残らない。そんな状況を、『心温まる交流』というには片腹が痛い。

その上学園長は以前秀隆に『実力による制圧は認めるが、一方的な蹂躙は認めない』と言っていた。ここにきて、学園長は自らの言葉に首を絞められることになった。

 

「……アンタの言い分は分かったさね。けどね、何度と言うように、今更プログラムの変更はできないよ」

「それはこちらも承知している。だが、さっき明久が言ったように、このままだと生徒側のやる気が出てこないのも事実だ」

「だから――どうだろう学園長。俺たちのやる気を出させるように、何か賞品を用意してもらえないだろうか?」

 

秀隆と雄二はプログラムの変更の代わりに、野球大会に賞品を出すよう学園長に訴えた。

 

「――これはまた、随分とくだらない提案をしてきたもんなだね」

「神崎。坂本。お前たちの言い分や要求も分からんではない。しかしな、そんな急に賞品を用意などできるわけないだろう?」

「いや。用意する必要はないし、費用もかからない」

「なんなら、既に用意してもらっている」

 

2人は賞品の用意も費用も必要ないという。そんなものあるのかと明久は考えたが、ひとつだけ該当するものを思い出した。

 

「俺たちが教師チームに勝ったら、持ち物検査で没収された私物を返してもらう。それが賞品ということでどうだ?」

「……なるほどね。名より実を取ろうってわけかい」

「復讐できるならそれに越したことはないが、ルール変更が決定事項ならゴネるだけ無駄だからな。それなら実益を得られる可能性に賭けた方がいい」

 

そう言うと雄二は小さく笑みを浮かべた。

名より実を取る。一見、雄二らしい合理的な考え方だが、明久はしこりの様な違和感を覚え、少しモヤっとする。

 

「ババアも流石にあの問答無用な持ち物検査については、生徒に限らず教師陣にも色々と言われただろう?」

「……フン。没収されるのが嫌なら、不要品なんて持ってくるんじゃないよ。学校を何だと思ってるんだい」

「確かに教育方針って言われたらその通りだけどよ。通学中に音楽を聴いたり、休憩時間に小説を読むくらいの息抜きは別にいいだろ。ずっと勉強しっぱなしってのは、いくらなんでも苦痛過ぎる」

 

明久は肝試しの時に優子や久保が『勉強は苦ではないがやり続けてると息が詰まる』と言っていたのを思い出した。音楽を聴いたり読書をしたりと、適度な『ガス抜き』も必要だと秀隆は言う。

 

「というかよ、文月学園(ウチ)の持ち物検査は厳し過ぎるんだよ。他校(よそ)だと没収品は放課後には返却されるそうじゃないか。そんなんだから、良くない噂が立ったり、生徒や保護者から不満の声が上がったりするんだ」

「良くない噂?」

「教師が没収品を横領して私腹を肥やしてる、とかな」

 

流石に明久もそれは根も葉もない噂だということは分かる。おそらく生徒の誰かが校外で漏らした愚痴に、尾ひれ背びれがついて流れてしまったのだろう。明久とて教師に好意的ではないが、そこまで腐ってるとも思っていない。むしろ明久たちFクラスがやりそうなことである。実際に明久には前科もある。

 

「神崎。キサマまさか、そのようなくだらないデマを真に受けたんじゃないだろうな?」

「俺にだってこれが根拠のない与太話ってのは分かるっての。けどよ、そんなくだらない風評が飛び交うくらいに、ウチの持ち物検査は厳し過ぎるってことだろ?」

 

ううむ……。と西村教諭が唸る。もし文月学園の持ち物検査が他校と同じレベルだったらのなら、このような流言が広まることななかっただろう。こうなったのも、その厳し過ぎる校則により、生徒の不満を抑えきれなかった故だ。

 

「そんな批判や噂話が出ているからこその提案だ。これを呑んでくれるのなら、ルール変更の話に大人しく従うし、チャンスを与えることで没収に対する不満だって抑えられる。悪い話じゃないはずだが?」

「進むべき方向が分からないから不満が爆発するってことかい。『没収品を取り戻すチャンスがある』と提示してやることで、その結果取り戻せなかったとしても、その怒りの矛先をアタシら"教師陣"から"試合に負けた自分たち"に向けさせようと」

「ま、そういうことだ。何もせずに一方的に奪われるというのは、人間誰しも嫌なもんだからな。一度でもチャンスがあって、自分で行動した上での結果なら、案外すんなりと受け入れられるもんだ」

「何かを決めるってことは、その結果ごと受け止めるってことだ。それが、責任ってもんさ」

 

雄二と学園長、秀隆が小難しい話をしているので、明久はついて行くのに精一杯だ。取り敢えず、一度でもチャンスを貰えなかったら悔しい。例えダメでも自分で行動した結果なら受け入れられる。ということだと思っておく。

 

「ということだ。どうだババァ?」

「アンタらにもメリットはあると思うけどな? ババァ」

「お願いします、ババァ」

 

明久は2人に並ぶように一歩前に出て頭を下げる。

そんな3人の様子を眺めていた学園長は、勿体ぶるように顎を撫でた。

 

「そうさねぇ……。これに関しては取引きというよりはアンタたちのお願いだからね。そんな態度でこられても、快く首を縦には振れないさね」

「んだとクソババァ」

 

明久がグッと(こら)えた台詞を、秀隆はアッサリと口に出した。

 

「それだよ。目上の人間をババァ呼ばわりするようなガキどもの頼みは聞けないってことさ」

 

学園長は目上の人間にお願いするのなら、それ相応の態度を示せと言う。ならば、

 

「それは失礼しました。クソ」

「確かにクソの言う通りですね。以後気をつけます」

「この度はクソに対して非礼な態度をしたことをお詫びします」

「待ちなガキども。アタシはクソババァからババァの部分を外せと言ったんじゃないからね」

 

学園長が益々不機嫌に顔を歪ませる。これだから老人は扱いにくい。

 

「そんなことより、どうなんだ?」

「客観的にみて、そっちにも断る理由はないと思うが?」

「……まぁ、そうさね。体育祭には海外からの来賓もいるからねぇ。それでアンタたちが大人しくなるというのなら、悪くはないさね……。召喚獣の野球試合は2-Aと3-Aあたりの優秀な試合を見せておいて、あとはこのバカどもが野球ばかりに行ってくれたら、来賓の見ている体育祭の正式種目の方は安全だし……」

 

学園長は遠回しに明久たちFクラスが接待の邪魔だと言及いるようなものだが、明久もハプニングが起きない(起こさない)自信はないので目を瞑ることにした。

 

「仕方ないね。その提示、呑んでやろうじゃないか」

「そうか。そいつは助かる」

「話が早くてなによりだ」

 

どの口が、と西村教諭は胸中でボヤいた。学園長がプログラムの変更を認めないと言った瞬間から、2人は没収品の奪取に舵を切ったのだ。あとは学園長が承諾するように断れない方向に話を持っていくだけ。口車の上手い悪童だからこそできる芸当だ。

 

「んじゃ、俺からもひとつ提案」

「なんだい? 没収品の返却の話は呑んでやっただろ」

「それについては感謝する。けどそれは参加した生徒全員に関わる、優勝賞品だ。俺が提案するのは、Fクラス(ウチ)が優勝した時の話だ」

「Fクラスが? これ以上何を毟り取ろうって言うんだい?」

「神崎。キサマこれ以上何を要求するつもりだ?」

 

秀隆はFクラスが優勝した場合の追加の報酬をせがむ。これには西村教諭も眉を歪める。ことと次第によっては……。

 

「そうカリカリすんなって。俺の提案は物を強請(ゆす)ろうってわけでもねぇし、何なら断ってくれても構わない。取り敢えず、話だけでも聞いてれ」

「……一応聞いておこうか」

「感謝する。俺からの提案は――持ち物検査の緩和だ」

 

秀隆の提案に、一同は「どういうことだ?」と疑問符を浮かべる。

 

「持ち物検査の緩和? 持ち物検査をするなってことかい?」

「そこまでは言ってねえよ。俺が言いたいのは、『今後、没収品は条件を満たせば返却する』ってことを職員会議の議題に挙げてほしい」

 

秀隆が提案したのは『将来的に没収品は返却される』ことの確約だった。

 

「何だってそんな事を」

「さっきも言ったが、ウチの校則、特に持ち物検査は厳し過ぎる。生徒だけでなく保護者や教師陣、なんならスポンサーからもお小言(クレーム)が出てるんじゃないか?」

「それがどうしたってんだい」

「学校として生徒を厳しく躾けるのは大切だろうよ。けどよ、教育方針が厳し過ぎるせいで、かえって生徒が道を踏み外すことだってあるということは、学園長や西村教諭もニュースで見ていると思うが?」

 

昨今、通り魔事件などの凶悪犯罪の犯人が、学生時代は真面目な優等生でした、というケースが少なくない。その犯人の多くが、躾や教育が厳しい環境で育っていたということも。秀隆の言うスポンサーからの小言は、まさにその事を懸念してのことだった。自社が出資した学校から凶悪犯が出だとなれば、自社のコンプライアンス意識を問われる問題となる。……それこそ、今更な気もするが。

 

「だから、なんだってんだい? さっきも言ったが、ここは進学校だよ? 多少教育に厳しいのは当たり前さね」

「だが学校は教育の場であると同時に生徒間でコミュケーション能力を育む場でもある。よく"学校は小さな社会"とも例えられるように、勉強だけでなく、社会性を身につける場でもある。それに落伍した物の末路は、言わなくてもわかるよな?」

「神崎。くだらん脅しはよせ。俺たち相手にわざわざ屁理屈を捏ねる必要がないことくらいはお前にも分かっているだろう」

 

西村教諭は秀隆の言葉は本心ではないという。

 

「んじゃお言葉に甘えて単刀直入に……いくらなんでも、部活の道具まで没収したままってのは理不尽が過ぎるだろ」

 

秀隆は勉強には不要とはいえ、部活の道具まで没収することはないはずだと訴えた。

 

「それが本当に部活に使うという保証は?」

「俺たちみたいな帰宅部ならともかく、演劇部はちょいとした小道具なら私物を使うだろうし、合唱部や軽音部は参考音源としてCDを使ったり、録音機使ったりは想像できるだろ」

「それを授業中に使用しないと言い切れるのかい?」

「だったら顧問の先生に渡して預かってもらえばいいだけだ。少なくとも、それなら授業中に使う心配はないし、部活に使う分にも問題ない」

「部活の道具はそうかもね。でもそれ以外はどうなんだい?」

「没収しておいて、反省文書かせたり課題をさせたりすればいいだろ。それが終わったら返却ってことにすれば」

 

学園長から出てくる否定の言葉に、秀隆はひとつひとつ答えていく。明久が聞く限り、秀隆の言い分は筋が通っているように聞こえる。

 

「だとしても、武器やエロ本が簡単に返却されるわけないだろ」

「だか小説なんかは自分の持ち物じゃなくて、親から借りたものもあるかもしれないだろ。それすら返却しないっていうから、横領されてるなんでデマを流されるんだ」

「…………」

 

学園長は逡巡するようにしばし目を瞑った後、西村教諭に視線を送る。

 

「西村先生はどう思う?」

「――神崎の言うことを"不良生徒の戯言"と一笑に付すことは容易でしょう」

 

西村教諭の言葉に、ここまでやってもダメなのか、と明久は落胆した。

 

「――ですが、神崎の言う風評が流布されていることも、我が校の校風が他校と比べて厳しく、生徒が息苦しさを感じていることも事実です」

 

だが西村教諭は、秀隆の言うとこにも一理あると一定の理解を示した。

 

「一考の余地はある、ってことかい」

「はい」

 

西村教諭が首を縦に振ったことを認めると、学園長は秀隆、明久、雄二を順に見やる。

 

「……まったく。まさかアンタみたいな(やから)に、学校の何たるかを諭されるとはね」

「学園長! それじゃぁ」

「ただし! あくまで議題に上げるだけ。実際に緩和するかは職員会議、保護者会、理事会の全てで承認されてから。返却の方法や程度なんかは学園(こちら)で決めさせてもらうよ」

「もちろん。それで構わない」

 

秀隆は学園長の言葉に満足そうに大きく頷いた。この提案は優勝賞品と同じ。自分で行動した結果、否決されるなら仕方がない。受け入れられるか否かは大した問題ではないのだ。行動するかしないかの差に比べたら。

 

「ありがとうございます! 学園長!」

「言っとくけど、Fクラスが優勝しないと、提議すらしないからね」

「わかってるさ」

「それと、仮にアンタの提案が可決されたとしても、エロ本や武器がそう簡単に返却されるとは思わないことだね」

「えぇ……」

 

折角没収品が返却される未来が見えたと言うのに、学園長に釘を刺されて梯子を外された気分だ。

 

「まぁ、そこは仕方ないな。エロ本なんて、不要品の極みみたいなもんだしな」

「さり気なく武器は必需品だとほざくんじゃないよ」

「武器は必要だろ。護身用とかで」

「アンタのは過剰防衛どころじゃないだろうさね……」

 

その後は、秀隆、雄二、学園長、西村教諭の4人で召喚野球大会のルールの話合いが進み、草案が決定した。

 

 

召喚野球大会規則(校則)

 

・各イニングでは必ず授業科目の中から一つを用いて勝負すること

・各試合において、同種の科目を別イニングで再び用いることは認めない。

・立ち会いは試合に参加していない教師が務めること。また、試合中に立ち会いの教師が移動してはならない。

・召喚フィールド(召喚野球仕様)の有効圏外へ打球が飛んだ場合、フェアであればホームラン。その他の場合はファールとする。

・試合は5回の攻防までとし、同点である場合は7回まで延長。それでも決着がつかない場合は引き分け(両チーム敗北扱い)とする。

・事前にメンバー表を提出すること。提出されたメンバー表に記載されていない者の試合への介入は一切認めない。尚、これはベンチ入りの人員および立ち会いの教師も含む。

・人数構成は基本ポジション各1名、指名打者1名、ベンチ入り2名の計12名とする。

・進行においては体育祭本種目を優先とする。競技時間が重なりそうな場合は事前にメンバー登録の変更を行っておくこと。

・その他ルールは公認野球規則に準ずる。

 

「それじゃ、ルールも決まったし、俺たちもそろそろ戻るか」

「そうだね」

「じゃぁな。ババァ。鉄人。精々首を洗って待ってろよ」

「西村先生と呼べ」

「ふん。そっちこそ負けて吠え面かく準備でもしとくんだね」

 

おおよそ生徒と先生の関係とは思えない不穏な雰囲気を残して、明久たちは学園長室を後にした。




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