バカと凶刃と召喚獣   作:赤辻康太郎

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閑話です。明久と秀隆のある日の休日後編です。今回独自設定が出てきます。予めご了承ください。あとバカテスらしくないかもしれません……


閑話 主人公sの休日2

主人公sの休日

 

 

 

No Side

 

 

レストランで食事をした後、明久達は一緒に買い物をしたりゲームセンターで遊んだりと楽しく過ごした。

 

 

――数時間後――

 

 

「ああ! 楽しかった!」

「そうですね」

「ホントね」

「私も結構楽しめたわ」

「まあ、悪くはなかったな」

 

 明久達はショッピングモールからの帰りのバスから降りて口々そう言った。乗り気でなかった秀隆も何だかんだ言って結構楽しんでいた。

 

『『『ほう。それは何よりだな』』』

「「!?」」

 

 と後ろから来た聞き覚えのある声に、明久と秀隆は振り返った。そこには――

 

「「FFF団!?」」

 

 覆面を被り各々鎌やら斧やら武器を構えた異様な集団がいた。

 

「これは僥倖。吉井に制裁を加えるつもりが、まさか神崎までもが我らの血の掟に反していようとは」

「俺はテメエ等の誓約書に判を押した覚えはねえよ」

 

 FFF団のリーダーである須川が低く嗤う。その耳に、秀隆のツッコミが届くわけは当然ない。

 

「な、何でFFF団がここに? バレないように必死に隠していたのに!」

「さk……コホン。とある筋から匿名のタレコミがあってのだ。『吉井が裏切った』とな」

「今『坂本』って言いかけたろ」

「雄二め。何の恨みがあって」

 

 明久と秀隆がFFF団の対処に悩んでいると、

 

「お姉様!」

「げえ! 美春!?」

 

 FFF団とは反対の方向からおめかしした清水美春が美波に向かった突撃してきた。

 

「お姉様! そんな薄汚い豚なんかといないで美春と一緒に楽園(エデン)に向かいましょう!」

「嫌よ! ウチは普通に男の子が好きなのよ!」

「違います! お姉様は美春の事を愛している筈です!」

「違わないわよ!」

 

 今度は美波と美春の追いかけっこが始まった。

 

「くそ! これじゃ埒があかねえ!」

「どうする?」

「吉井君! 学園に行くのはどうですか?」

 

 姫路が文月学園に行くことを提案した。

 

「学園?」

「そうか! 姫路ナイスだ!」

「早速行きましょう! 美波!」

「学園ね、分かったわ!」

「逃がすな! 追え!」

「お姉様! お待ちになって!」

 

 樹達は学園に向けて走り出し、FFF団と清水もそれを追って行った。

 

 

――文月学園――

 

 

「すみません西村先生。今日は非番でしたのに……」

「何、気にしないでください。忘れ物取りに来たついでですよ」

 

 学園の廊下を、西村先生と高橋先生が段ボール箱を抱えながら歩いていた。ただしその量は高橋先生が一個に対し西村先生は十個も持っている。どれだけ筋力が凄いんだこの生活指導教員は。

 

「先生!」

「あれは……吉井君達?」

 

 前から走って来る明久達に高橋先生が気づいた。

 

「はあ、はあ……」

「どうしたお前ら? そんなに息を切らして」

 

 西村先生が段ボール箱を脇に置いて聞いた。秀隆以外は皆息を切らしていて、瑞希に至っては今にも倒れそうなくらいだ。

 

「先生。模擬試召戦争の召喚許可を下さい。相手は……アイツ等で」

 

 秀隆が指さす方向には、清水を筆頭に土埃を巻き上げながら向かって来るFFF団の姿があった。

 

「はあ。全くお前達は……休日だと言うのにトラブルを持ち込みおって……」

「俺だってできればtoLoveるの方が――」

「ふざけないの。先生、お願いします!」

「まあ、いいだろう。時には戦って分かり合うのも青春だ」

「しかし、あの人数ですとフィールドの範囲が……」

 

 流石に教師1人であの人数を一度に収容する範囲のフィールドを張ることは不可能だ。

 

「なら同じ科目でフィールドを張ったらどうでしょう?」

「ふむ。確かにそれなら可能だな」

「では教科は何にしますか?」

 

 召喚を許可し高橋先生が強化を尋ねる。秀隆、優子、瑞希この3人がいるので選択する教科は当然、

 

「化学で」

 

 である。

 

「分かりました」

 

 高橋先生が頷いた時、FFF団+清水美春が追いついた。

 

「Fクラス神崎秀隆」

「Fクラス吉井明久」

「Fクラス姫路瑞希」

「Fクラス島田美波」

「Aクラス木下優子」

「「「「「FFF団と清水美春に化学勝負を申込む(((みます)))!」」」」」

「「承認(します)!」」

 

 2人分の化学フィールドが展開され、秀隆達5人の召喚獣が召喚された。

 

『な、コイツ等召喚しやがった!?』

「ええい、怯むな! 相手はたった5人だ!」

「お姉様! 美春と共にXanadu(理想郷 )へ!」

 

 清水達も召喚し、模擬試召戦争が始まった。

 

 

Fクラス 神崎秀隆 化学 469点

Fクラス 吉井明久 化学 57点

Fクラス 姫路瑞希 化学 372点 VS FFF団&清水美晴 化学 平均59点

Fクラス 島田美波 化学 65点

Aクラス 木下優子 化学 421点

 

 

「かかれー!」

『『『おおー!!』』』

 

須川の号令でFFF団が突撃する。

 

「面倒臭え! 『展開』!」

 

秀隆が腕輪を発動させ盾が現れる。

 

「明久、乗れ!」

「OK!」

 

 明久の召喚獣が秀隆の盾にウェイクボードの様に飛び乗る。

 

「GO!」

 

 そして秀隆は明久を乗せたまま盾を操作し、突撃してきたFFF団の上空に移動させ――

 

「しくじるなよ!」

「任せて!」

 

 そのまま突撃部隊の中心目掛けて急降下させる。

 

「飛天翔s「明久流星!」ってちょっとお!」

『『『「ぎゃあああ!」』』』

 

 秀隆は明久ごと盾をぶつけて何人かを戦死させた。

 

「戦死者は補習! と言いたいが状況が状況だ。なので、今回戦死した者は週末の補習時間を倍にする!」

 

 戦死者に更なる地獄が予告された。これで今度の土日はベッドの上で悪夢に魘される日々が続くことだろう。

 

「まったく。少しはスマートにできないの?」

「吉井君、大丈夫ですか?」

 

 戦死を逃れた輩を、優子と瑞希が次々と斬り伏せていく。因みに美波は――

 

「オネエサマー!!」

「ひい! こっちこないでよ!」

 

 清水と鬼ごっこ(バイオハザード)を繰り広げていた。

 

「仕方ねえな。明久!」

「ふえっ!?」

 

 秀隆はノビていた明久の召喚獣を盾で器用に掬い上げる。

 

「お姫様の危機だ。派手にお助けして来な!」

「え、ちょっ、うわあ!」

 

 そして、そのまま明久の召喚獣を美波と清水の召喚獣に割り込ませた。

 

「アキ!」

「豚野郎! また美春の邪魔をする気ですか?」

「いてて。こうなったらやってやるよ!」

 

 明久は清水と戦闘を開始した。その眼は溢れんばかりの涙で満ちていたが。

 

「吉井君! 美波ちゃん!」

「瑞希! 気持ちは分かるけど今はこっちに集中して!」

「けど……」

「吉井君なら大丈夫だから」

「そゆこと」

 

 明久達の元に向かおうとした瑞希を、優子と秀隆が止めた。

 

「明久が心配なのは分かるさ。けどアイツは佐藤と互角以上の勝負をしたんだ。そう簡単には戦死しないさ。いや、今のアイツなら清水ごときに遅れはとらねえよ」

「……分かりました。早く終わらせましょう!」

「その意気よ」

 

 秀隆の言葉で、瑞希は前をキッと睨み敵の殲滅に集中した。

 

「このっ! 豚野郎! 早く補習室(地獄)に堕ちなさい!」

「嫌だよ!」

「アキ、加勢するわ」

 

 明久は美波と共に2人掛かりで清水に挑む。

 

「お、お姉様!? 何故豚野郎なんかの味方に!?」

「アキを豚扱いする奴の味方なんかになるわけないでしょう!」

「お姉様はソイツに騙されているだけです!」

「ウチのこの気持ちは本物よ!」

「……あれ? これ僕空気?」

 

 助けに来たつもりが、いつの間にか繰り広げられていた女同士の闘いに、明久は空気と化していた。

 

「ったく。締まらないな」

「まあ吉井君らしいんじゃない?」

「そうだな」

『な、何でコイツ等話しながら戦えてるんだよ!?』

『化け物か!?』

「「失礼な!」」

 

 FFF団が驚くのも無理はない。秀隆と優子は話しながらどころか、たまに召喚獣すら見ずに戦っているのだ。FFF団の言う通り、もはや化け物の域である。

 

「面倒臭えな。優子!」

「OK!」

 

 秀隆の合図に、優子は投擲の構えを取る。

 

「行くぜえ! 『風牙絶咬』! 噛み砕け!」

 

 秀隆の召喚獣が高速で移動しながら敵を貫いていく。そして何人か戦死させたところで、

 

「『貫け』!」

 

 優子がランスを投げた。しかしその標的は――

 

『馬鹿め! 仲間割れしやがった!』

 

 秀隆だった。ランスが徐々に秀隆の召喚獣の背中に迫る。

 

「果たしてそうかな?」

『は?』

 

 秀隆の召喚獣が方向転換する。当然それを追ってランスも軌道を変える。

 

『え、ちょっ――』

 

 

――ザシュ――

 

 ランスの軌道上に居たFFF団の召喚獣が貫かれる。だが、本当の恐怖はここからだった。

 

『ちょっと待て! 何でまだ追いかけてるんだ!?』

 

 そう。優子の召喚獣が放ったランスは手元に戻ることはなく、そのまま秀隆を追い続けた。当然、その間にもドンドン戦死者は増えていく。

 

「ああ。一騎打ちの時のアレか。アレはイージスとグングニルの能力が相殺された結果だよ」

「どういう意味です?」

「私のグングニルの能力はね、正確には『対象を貫くまで追い続ける』能力なの」

「んで、俺のサテライト・シールド。正確にはそのイージスだな、の能力は『どんな攻撃でも10回までは完全に防ぐ』。では問題、『絶対に貫く矛』と『絶対に防ぐ盾』がぶつかったらどうなる?」

「えっと、矛が貫いて盾が防ぐから……あっ!」

「そう。結果は『矛が盾を貫くが、攻撃は通らない』それがあの結果だ」

 

 秀隆と優子の召喚獣の腕輪は正に『矛盾』している。方や最強の槍、方や最強の盾。普通なら中国の故事の如く、そんなものは同時には存在しない。必ずどちらかが破綻する。しかし、もし故事の如くなっていたら、グングニルは秀隆の召喚獣を貫いていたか、イージスがランスを弾き返していた。

だが結果はどちらでもなく、イージスが砕けランスは敵を貫くことなく優子の手元に戻った。これは、見様によればイージスの方が勝っているとも見れるが、イージスの能力は『10回までは完全に防ぐ』であり、あの時砕かれたイージスはまだ10回分の攻撃を受けていなかった。つまりグングニルの能力によって砕けたのだ。このことが、『矛盾』の答えである。

 

「つまり、私のグングニルはイージスかそれと同等以上の防具でしか防げず」

「俺のイージスはグングニルと同等以上の攻撃でしか一撃で破壊できない。だから――」

「「テメエ等(あなた達)の召喚獣を貫くことは雑作でもないんだよ(のよ)」」

 

 互いの能力を知り尽くした。2人ならではの作戦だった。

 

「そこです!」

「きゃあ!」

 

 一方その頃の明久側では、美波がピンチに晒されていた。何度かの攻防の後、美波の召喚獣から剣が弾かれる。今回も得点差から清水の方が勝っていたようだ。

 

「お姉様! これで――」

「終わるのは君だよ! 『邪霊一閃』!」

 

 清水が美波に止めを刺そうとした時、その隙を狙って明久が清水の召喚獣を飛び込み斬りから右に斬り抜けた。それまでのダメージもあって、清水の召喚獣は明久の手で戦死した。

 

 

「お、殺ったか。明久」

「字がおかしいわよ」

「こっちも終わりましたね」

 

 それと同時に、秀隆達もFFF団を殲滅し終えた。これで変則的な模擬試召戦争は終焉を迎えた。

 

「そ、そんな……私が、豚野郎なんかに……こうなったら!」

「し、清水さん!?」

 

 清水が両手一杯にナイフとフォークを握って明久に襲い掛かろうとしたが、

 

「そこまでだ」

「くひぃ!」

 

 フィールドを閉じた西村先生が清水の首筋にチョップを喰らわせて気絶させた。

 

「おお。首筋当て身。見事に決まったな」

「そこって感心するとこなの?」

 

 秀隆は、西村先生の格闘の技量の高さに改めて感心していた。

 

「まったく。俺は清水を保健室に連れていくから。お前達はもう帰りなさい」

「では私もご一緒します」

 

 西村先生は清水を抱え(ただし荷物の様に肩に)保健室へ行き、高橋先生もそれについて行った。

 

「じゃあ、帰るか」

「そうだね」

「はい。そうしましょう」

「ウチ、何かドッと疲れたわ」

「ご愁傷様」

 

 秀隆達は西村先生の言いつけ通り学園を後にし、帰路に着いた。

 

 

 

Side Akihisa

 

 

「あ、2人ともちょっと待って」

 

 秀隆、優子と別れてから暫くして、明久が瑞希と美波を呼び止めた。

 

「何?」

「何ですか?」

 

 明久の呼び掛けに2人が振り向く。

 

「うん。2人に渡したいものがあるんだ」

 

 そう言って、明久は2人に其々1つずつ小袋を手渡した。

 

「これは?」

「開けてみてよ」

 

 明久に促され、2人は小袋を開けた。

 

「わあ!」

「きれい……」

 

 そこに入っていたのは、瑞希のはアクアマリンの、美波は翡翠の天然石で出来たストラップだった。

 それは秀隆達と出会う数分前――

 

『あ、2人ともちょっと待ってて』

『どこへ行くんですか?』

『ついて行く?』

『いいよ。直ぐ済むからそこで待ってて!』

 

 と明久が2人で内緒に買ったものだ。

 

「2人の誕生石を選んでみたんだ。あ、一応僕のも買ったよ」

 

 と明久は自分の携帯を見せた。そこには、ローズクォーツのストラップが付いていた。

 

「「吉井君(アキ)……」」

「本当はブレスレットとかが良かったんだけど、鉄人に見つかったら厄介だからねって2人ともどうしたの?」

 

 瑞希と美波は、顔を俯けながら貰ったストラップをギュッと握りしめていた。

 

「も、もしかして気に入らなかった?」

 

 不評だったかと不安になった明久は恐る恐る聞いた。

 

 

――ギュギュ――

 

 

「ひ、姫路さん!? 美波!?」

 

 瑞希と美波はいきなり無言で明久を抱きしめた。

 

「「吉井君(アキ)。ありがとう! 一生大事にします(するね)!」」

「ど、どういたしまして……」

 

 夕焼けの中、いきなり訪れた天国に、明久は呆けたようにそう言った。

 

 

 

Side Hidetaka

 

 

 明久達と別れた後、秀隆と優子は夕時の道を歩いていた。

 

「優子」

「何よ?」

 

 前を歩いていた秀隆が、唐突に優子の名前を呼んだ」

 

「……やるよ」

「え? ちょっとと……」

 

そして、徐に後ろの優子に向かって前を向いたまま肩越しに包みを投げた。優子は辛うじてその包みをキャッチ。落とさなかったことにホッと胸を撫でおろす。

 

「もう! いきなり何よ?」

「悪い悪い。いいから開けてみろよ」

 

 秀隆に言われて、優子はまだブツブツ言いながら包みを開けた。

 

「コレ……髪飾り?」

 

 そこには、燕やら鴎やらペンギンやら、数種類の鳥の飾りが付いた髪飾りが入っていた。

 

「何時買ったのよ?」

「お前がトイレにいった時。トイレの前のアクセサリーショップにあったのをな」

「ああ。あの時ね」

 

 優子は何時秀隆が髪飾りを購入したのか直ぐに理解した。

 

「何で髪飾り?」

「お前よく秀吉と間違われるだろ?」

「ええ。もの凄く不本意ながらね」

 

 その容姿のせいで、優子は今までかなりの頻度で秀吉に間違われていた。そして、その勘違いにより何度も『男子』から告白を受けていた。間違いと知りガッカリする男子の姿も何度も見てきた。その度に、優子は何とも言いようのない、やるせない気持ちになっていた。

 

「それ着けとけば間違われる回数も減るだろうよ。髪飾りにしたのは……まあ、何となくだ」

「そう。じゃあ鳥の理由は?」

「Aクラスだと何かと気を張るだろ? 『模範的生徒』とか言って」

「まあ、そうね」

 

 Aクラスは学年の頂点。なので、学年の規律となる振る舞いをしなければならない。このような取り決めはないが、暗黙の了解としてその様な風習があった。当然優子もこの例に漏れず普段は優等生として行動していた。

 

「だからよ。たまには羽目を外して自由になってもいいんじゃないか? 空を飛ぶ鳥みたいに、さ」

 

 振り返った秀隆は、悪戯っ子の様に無邪気な笑顔を見せた。

 

「……ぷ。何よ、『鳥みたいに、さ』って。気障っぽい。それにペンギンは飛べないでしょ?」

「悪かったな。それと、ペンギンは海を飛ぶように泳ぐからいいんだよ」

 

 不貞腐れてソッポを向く秀隆。その仕草が更に子供っぽくて、優子はまた笑う。

 

「ま、折角だし貰っといてあげるわ。感謝しなさい」

「そりゃどうも」

「「……」」

「……くくく」

「……ふふふ」

 

 黄昏の空に、2人の笑い声が響いた。

 

 

――翌日――

 

 

「よう、雄二」

「秀隆か。うっす」

 

 次の日、学園の玄関で秀隆は雄二に会った。

 

「ところで雄二。昨日須川達に会ったか ?」

「須川? いや。会わないが?」

「そうか。いやな。昨日『明久』達と偶然出くわしてな」

「へ、へえ」

 

 明久の名前を聞いた途端、雄二の額から冷や汗が一筋流れた。

 

「ああ。でな、その後FFF団と清水に襲われたんだ」

「そ、そりゃあ災難だったな」

 

 雄二の流れる汗の量が増える。

 

「その時須川が言ってたんだ。『タレコミがあった』ってな」

「おっと秀隆! そろそろ教室に行かないと遅刻するぞ!」

 

 明らかな話題転換。既に犯人は雄二だと確信していたが、これで決定的になった。

 

「まあ焦るな。まだお前に言いたいことを言ってないんだ」

「……何だ?」

 

 青ざめる雄二に、秀隆は『いい笑顔』で告げた。

 

「Go to Hell」

「サラバだ!」

「……待って雄二」

「あだだだだだだ!」

 

 その場を離脱しようとした雄二を、霧島の全力アイアンクローが襲った。

 

「し、翔子! いきなり何しやがる!」

「……さっき神崎に聞いた。これから雄二が船越先生にプロポーズするって」

「はあ!? 俺はそんなのする気は――」

「……浮気は許さない。みっちりじっくりねっとりその罪を身体に教えてあげる」

「ま、待て! 話せばわか――」

 

 雄二は最後まで台詞を言うことなく霧島に連行された。断末魔の悲鳴を学園中に轟かせながら。

 

 




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