バカと凶刃と召喚獣   作:赤辻康太郎

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合宿場に移動する電車の中のひとときです。


第三十九問

第三十九問

 

「すまない。遅くなったな。強化合宿のしおりのおかげで手間取ってしまった。ホームルームを始めるから席に着いてくれ」

 

いつもより少し遅い時刻に西村教諭が登壇した。両手で抱えている大きな段ボール箱は、件のしおりだろう。西村教諭はドンと箱を教卓に置くと、中身の冊子を列ごとに仕分けだした。

 

「…………とにかく、調べておく」

「頼む。報酬に今度お前の気に入りそうな本を持ってくる」

「僕も最近手に入れた秘蔵コレクションその2を持ってくるよ」

「俺のはついででかまわん。もし何か分かれば報酬ははずむ」

「…………必ず調べておく」

 

現金なもので、報酬を聞いた康太はがぜんやる気が出たようだ。

それを皮切りに、秀隆たちは西村教諭に睨まれぬうちに自席に戻った。

その間に、列の前からしおりが渡っていく。

 

「さて、明日からの『学力強化合宿』だが、だいたいのことはそのしおりに書いてあるので確認しておくように。まあ旅行ではないから、勉強道具と着替えさえ用意しておけば問題ないはずだ」

 

説明しながらも、しおりを手にする生徒たちを見て西村教諭も苦笑いが出る。見るからに、合宿という言葉に浮かれているのだ。

強化合宿は卯月高原という少し洒落た避暑地にある学園所有の施設で行われる。目的は文字通り学力の向上だ。清涼祭も終わり、新学期にも慣れた頃に中間、期末試験に向けて学力のベースアップを計る。

しかし学力向上が目的とはいえ、学園から離れて生徒同士で寝泊まりするイベントは、普段の学園生活とは違う高揚感を生徒たちにもたらす。注意事項はしおりに記載してあるし、先生側も口を酸っぱくして説明はするが、クラスの隔たりのない一種のイベントということで大きなトラブルさえなければある程度黙認することが慣例になっている。

今回もそうなるだろうな、と西村教諭はしおりを手にする生徒たちを見てそう思った。

 

「お前ら少し静かにしろ。集合時間と場所だけは絶対に間違わないように」

 

ざわついてきたクラスをドスの効いた声で制し注意を促す。それを聞いて何人かの生徒がしおりを急いで捲りだした。高校生にもなって集合場所を間違えて不参加になるのは恥ずかしいし悲しすぎる。

秀隆も他と同様に集合場所の書かれたページを読んでいたが、違和感を覚えた。そこには集合時間は書いてあるものの、場所はおろか引率の先生(おそらく西村教諭)の名前すらないのだ。

 

「いいか、我々Fクラスは他のクラスとは違い--現地集合だからな」

『『『案内すらないのかよ!!』』』

 

Fクラスの悲痛な叫びが朝の学園に轟いた。

 

翌日。明久たちは卯月高原へ向かう電車に揺られていた。4人がけのボックス席に明久と雄二が隣り合って座り、明久の正面に瑞希、その隣に美波が腰をおろしている。

明久側の後ろの席には秀吉、秀隆、康太、リリアが座っていたが、秀隆と康太は座るやいなや眠りについた。特に秀隆はアイマスクをつける程の徹底ぶりである。

最初は車窓の風景を楽しんでいた明久も、1時間も揺られているうちに飽きてきてしまった。携帯ゲーム機の類いは西村教諭に没収される恐れがあるため持ってきてはいない。

 

「あと2時間くらいはこのままですね」

 

携帯を見ていた瑞希がしまいながらそう告げた。

 

「2時間かあ。眠くもないし、何しようかな~」

 

まだまだ移動時間のかかる電車で手持ちぶさたはつらい。

 

「雄二、何か面白いことしてよ」

「さっきトイレに鏡があったぞ。存分に見てくるといい」

「それは僕の顔が面白いということかな?」

 

褒められているのか貶されているのか分からないが、明久もナルシストではないので自分の顔を眺める趣味はない。

 

「いや、お前の顔は……割りと笑えない」

「酷くないかな!?」

 

いつものことだが、どうやら貶されていたようだ。

 

「面白いと言ったのはお前の守護霊のことだ」

「守護霊?」

 

雄二には霊感があるのか明久に守護霊が憑いているという。しかし雄二に霊感があるなんて聞いたことがない。

 

「ああ。血みどろで長い黒髪を振り乱している」

「それ守護霊じゃなくて怨霊だよね!?」

 

心霊番組で落武者の魂が守護霊となると聞いたことはあるが、雄二のいう特徴は明らかに呪いの類いだ。

 

「安心しろ。半分冗談だ」

「なあんだ。冗談か」

 

半分ということは何かしらの霊は憑いているということなのだが、明久は気づいていないようだ。

 

「本当は茶髪だ」

「そこは一番どうでもいいよね!?」

 

ほぼ事実だった。

 

「美波は何の本読んでるの?」

 

ふと明久は斜向かいに座る美波がなにやら本を熱心に読んでいることに気がついた。漢字が苦手な美波がそんなに熱心に本を読むのは珍しい。ルビが振ってあるのだろうか。

 

「これ? 心理テストの本よ。100円均一で買ってみたんだけど、意外と面白いの」

「へえ」

 

最近の100円均一も侮れないなと明久は思った。

 

「そうだ。僕に何か問題だしてよ」

 

心理テストなら暇潰しには丁度いい。明久は美波に問題をねだった。

 

「いいわよ。じゃあ……『次の色でイメージする異性を挙げてください。①緑 ②オレンジ ③青』」

 

色に関する心理テストのようだ。異性というから恋愛がらみかもしれない。

 

「それぞれ似合うと思う人を答えてくれる?」

 

そう告げる美波の顔は心理テストだというのに真剣そのもので、その剣幕に明久は少し答えにくそうにしていた。

 

「え~と……緑が美波、オレンジが秀吉、青が姫路さんかな?」

 

明久が答えた瞬間、美波が持っていた本の上がビリっと破けた。かなり力が入ったようだ。

 

「美波さん。何でそんなに力を込めていらっしゃるのですか?」

 

わなわなと震える美波の腕を見た明久が恐れ戦く。なにか癇に障るようなことでも言ったのだろうか。心理テストなのに。

 

「どうして……」

「え?」

「どうしてウチが緑で瑞希が青なのよ!?」

 

涙目になりながら明久に詰め寄る美波。胸ぐらを掴まれ頭をガクガクと揺さぶられる。明久はとことん『テスト』との相性が悪いようだ。

 

「み、美波ちゃん落ち着いてください!」

 

瑞希に宥められ、美波は肩で息をしながら席に座り直す。解放された明久も倒れ込むように席に落ちた。

 

「はぁはぁ……ゴメン瑞希」

「いえ。大丈夫ですか?」

「というかなんで僕怒られてるの?」

「……ふんだ!」

 

美波はプイッとそっぽを向いた。よほど明久の答えが気に入らなかったのだろう。

 

「ええとなになに--緑が『友達』。オレンジが』元気の源』。青が--」

「ダメ!」

 

床に落ちた本拾い上げ、を雄二が答えを読み上げるが、青のところで美波が奪い返した。雄二はニヤニヤと美波を見返す。

 

「なるほどなあ」

「……何よ?」

「いや別に。島田も大変だなあと思っただけだ」

 

厭らしい笑みを浮かべる雄二。美波はそんな雄二を恨めしそうに睨みつけた。

 

「それより! どうしてウチが緑なの?」

「え? ええと……」

 

明久の目が右往左往に泳ぐ。今度こそ美波を怒らせるようなことを想像しているのは明らかだ。

 

「美波の瞳の色が緑だから」

「そう……」

 

明久の回答に、美波は不服そうだが、その頬はほんのりと桜色に染まっていた。それを横目で瑞希が羨ましそうに見ている。

 

「本音は?」

「前に見た下着の色が緑だったから」

「坂本、窓を開けて」

 

明久はまんまと雄二の計略にはまった。

 

「僕を捨てるき!?」

「ダメだぞ島田。窓からゴミを捨てたら」

「僕をゴミだと言うのか貴様!」

「大丈夫。アキはゴミじゃなくてクズだから」

「僕が何をしたというんだ!」

 

明久は嘆くが、正面怒られても仕方がない。瑞希もフォローしきれず苦笑いを浮かべるだけだ。

 

「落ちつくのじゃ島田よ。いつものことじゃろうて」

 

明久の後ろから秀吉が声をかけた。これ以上暴れられて他の乗客に迷惑がかかるのもしのびない。

 

「ありがとう。秀吉」

「気にするでない。--ところで明久よ。オレンジでイメージする『異性』は誰と言ったかの?」

「秀吉」

「……少し嬉しいから困る……」

 

恥ずかしそうに俯く秀吉。その仕草が可愛らしさの要因なのだが、本人はまったく気づいていないようだ。明久と秀吉の雰囲気に、またしても美波は不服そうに頬を膨らませる。

 

「あの、美波ちゃん、それで青の答えは」

「……絶対に教えない」

「そんなあ」

 

どうやら完全にへそを曲げてしまったようだ。瑞希にでさえ、美波はつっけんどんな態度をとった。

 

「あの~。私も参加していいですか?」

 

秀吉の横からリリアがヒョコっと顔を出し、おずおずと尋ねた。

 

「もちろん。いいよね、美波?」

「……ええ」

 

美波はまだ不満そうだが、明久に促され首を縦にふった。

 

「よかった~。さっき読んでいた小説を読み終わってどうしようかなって思ってたんですよ」

 

ホッとして胸を撫で下ろすリリア。手持ちぶさたになったのと、明久たちのやり取りを聞いて興味を持ったようだ。

 

「じゃあ皆でやろうか」

「そうだな。俺も混ぜてもらうとするか」

「ワシもじゃ」

「私もお願いします」

「ムッツリーニと秀隆は?」

「2人ともぐっすりと寝ておるよ」

 

明久が秀吉たちの席を覗くと、秀隆と康太が隣り合って眠っていた。康太はこっくりと船をこぎ、秀隆は首を反らして熟睡している。

 

「2人とも疲れてたのかな?」

「秀隆は知らんが、ムッツリーニは何やら調べものをしていたらしいの」

 

おそらく明久たちの依頼をこなしていたのだろう。寝ている2人はそっとしておくことにして、残りのメンバーで心理テストで遊ぶことになった。

 

「じゃあ第2問いくわよ? 『1から10の数字のうち、今あなたが思い浮かべた数字を2つ順番に挙げてください』だって」

 

次は数字の心理テストだった。各々が思い浮かべた数字を述べていく。

 

「俺は5と6だな」

「ワシは2と7じゃ」

「僕は1と4」

「私は3と9です」

「8と10です!」

 

雄二、秀吉、明久、瑞希、リリアの順に数字を挙げていき、美波がそれを照らし合わせる。

 

「ええと……『最初に挙げた数字はいつも周りに見せているあなたの顔を表します』だって。それぞれ--」

 

美波が順番に指を差し答えを告げる。

 

「クールでシニカル」←雄二

「落ち着いた常識人」←秀吉

「バカ」←明久

「温厚で慎重」←瑞希

「明るくて活発」←リリア

 

という結果だった。

 

「なるほどな」

「常識人とは嬉しいのう」

「ねえ僕罵倒されなかった?」

「温厚で慎重ですかあ」

「元気なのはいいことです!」

 

みんな普段からのイメージ通りといえた。

 

「それで、『次に思い浮かべた数字は、あなたがあまり見せない本当の顔』だって。それぞれ--」

 

同じように美波がそれぞれを指差す。

 

「公正で優しい人」←雄二

「色香の強い人」←秀吉

「とてつもないバカ」←明久

「意思の強い人」←瑞希

「さみしがり屋な人」←リリア

 

意外な一面ともいえるが、時々その片鱗を見せることはあった。

 

「秀吉は色っぽいのか」

「姫路は意志が強い時があるの」

「ねえ僕の罵倒グレードアップしてない?」

「リリアちゃんさみしがり屋なんですね」

「坂本君は優しいです!」

 

心理テストでわいわいと盛り上がる会話。これも旅行の醍醐味である。

その後さらにいくつかのテストを終えた時、ふいに誰かが明久の肩を叩いた。

 

「あ、ムッツリーニ。おはよう」

「…………空腹で目が覚めた」

 

康太の言葉に明久が携帯で確認すると、時刻は午後1時15分。普段ならとうに昼食を終えている時間である。

 

「あれ? もうこんな時間か」

「なら頃合いじゃの。そろそろ昼にせんか?」

「そうだね。秀吉、秀隆を起こしてよ」

「承知した」

 

明久に言われて秀吉が秀隆の肩を揺する。秀隆は「んあ?」と気の抜けた声を出すと、ぐーっと伸びをしてアイマスクを外した。

 

「もう乗り換えか?」

「いやまだじゃ。そろそろ昼にしようと思っての」

「昼ぅ?」

 

秀隆も携帯で時刻を確認する。

 

「まだ1時過ぎじゃねえか」

「だから昼だと言うとろうに」

 

寝起きで頭が回っていないのか取り留めのない回答が続く。そのバカっぽさに、明久たちは思わず吹き出してしまった。

 

「んだよ。みんなして」

「ごめんごめん。取りあえずお昼にしよう?」

 

各々が鞄から昼食を取り出す。雄二はタッパーに入ったアメリカンクラブハウスサンド。康太はコンビニ弁当。他の面子も弁当を持参している。

 

「明久。お前まさか昼抜きじゃねえよな?」

 

冗談半分に秀隆が尋ねる。明久は万年金欠であるため今日も昼食抜きの可能性は高い。

 

「ふふん! 見くびってもらっては困るよ! 今日はちゃんと惣菜パンを用意したんだ!」

 

コンビニの袋からパンを取り出す。そのパッケージには半額シールが貼れていた。

 

「明久、そのシールおかしくないか?」

 

シールを見た雄二が怪訝そうな顔をする。

 

「え? そう? 普通の半額シールだと思うけど?」

 

明久もシールを確認するが、特段おかしなところはなさそうだった。

 

「いや、やっぱり違うな」

 

そういうと雄二はシールを剥がし、

 

「貼る場所を間違えている」

 

明久の額に貼り直した。

 

「貴様僕が賞味期限切れだと言いたいのか!」

「違うぞ明久」

「え?」

「お前は消費期限だ」

「腐ってるってことかこの野郎!」

 

性根が腐っている点ではあながち間違いではない。

 

「よかったな。姫路、島田」

「何が?」

 

明久に貼られたシールを見て、秀隆は2人によかったなと告げる。

 

「明久が半額で買えるぞ」

「僕は売り物じゃないよ!」

 

そんなことをしたら人身売買になってしまう。

 

「そんなことしませんよ」

「そうよ」

 

だが2人は喜ぶことはなく平然としていた。

 

「よかった。2人に限ってそんなこと--」

「「明久君(アキ)なら言い値で買います(買うわ)」」

 

購入は決定事項のようだった。

 

「……明久。なんかすまん」

「……いいよ。ただ夜道は気をつけようと思う」

 

珍しく秀隆も明久に同情し、明久も背中に薄ら寒いものを感じた。

 

「冗談ですよ」

「そうよ。冗談よ」

「なあんだ。冗談か。2人とも人が悪いなあ」

 

あははと笑い合う3人。だがリリアを除く他の4人は瑞希と美波の目がガチだったに気づき、心の中で明久に合唱した。

 

「アキ。良かったらウチのおかず食べる?」

「え? 良いの?」

 

美波が自分の弁当箱を明久に差し出す。中身は唐揚げやシュウマイ。アスパラベーコンとオーソドックスなおかずが並んでいた。

 

「もちろん」

「じゃあお言葉に甘えて」

 

明久はシュウマイをひとつ取るとすぐさま口に放った。

 

「実はアキに食べてもらおうと--」

 

美波は明久に食べて欲しくて頑張って作ったようだ。普段はツンツンしているが、こういう時には甲斐甲斐しい一面をみせる。

 

「シュウマイの2つに1つは辛子をいれてみたの」

「口の中が焼けるように辛い!」

 

ただのロシアンルーレットだった。

 

「お前それ、明久が食べなかったらどうするつもりだよ?」

 

そうなれば辛子入りを美波が自分で食べることになる。美波は辛いのが平気なのだろうか。

 

「大丈夫よ。その時はアキの口にねじ込むから」

「なら大丈夫か」

「僕が大丈夫じゃないよね!?」

 

水をがぶ飲みして明久が抗議する。ロシアンルーレットですらなかったようだ。

 

「あ、あの! 明久君。もし良ければ私のも……」

 

おずおずと瑞希も自分の弁当を差し出す。

 

「あ、ありがとう姫路さん」

 

しかし明久は引きつった笑みを浮かべる。

瑞希は以前料理に薬品を入れるという前科がある。その時のトラウマがよみがえって手をのばすのを躊躇させていた。

 

「だ、大丈夫です! 今日はお母さんと一緒に作りましたから!」

 

叫ぶように説明する瑞希。瑞希も前回の過ちを反省し、母親監視の下、弁当を作ったようだ。

 

「なら安心だね」

「は、はい……」

 

自ら蒔いた種とはいえ、あからさまな態度に瑞希も意気消沈する。

 

「こらアキ! そんなこと言わないの。瑞希だって頑張ったんだから」

「そ、そうだよね。ごめん。姫路さん」

 

見かねた美波が明久を窘める。明久も自分のデリカシーのなさに気づいたのかすぐに謝った。

 

「い、いえ! もう大丈夫ですから!」

「取り出すひとつ貰ってみろよ」

 

話はこれで終わりとばかりに、秀隆が明久を促した。

 

「そうだね。姫路さん、ひとつ貰うね」

「あ、はい。どうぞ!」

 

明久は卵焼きをひとつ摘まむとひょいっと頬張った。

 

「あ、美味しい」

「ほ、本当ですか!?」

 

明久に美味しいと言われて、瑞希の顔がパアッと明るくなる。

 

「うん。美味しいよ……ちょっと塩っぱいけど」

「あ、お塩入れすぎちゃいましたか……」

 

正直なところは明久の美徳ではあるが、今は少し余計だったようだ。

 

「で、でも美味しいのは本当だし! 食べられないほどじゃないよ!」

「まあ弁当に入れるなら少し塩辛い方がいいだろ」

「そうだな。味付けの問題なら何度か練習すれば良くなるだろ」

 

珍しく、秀隆と雄二がフォローした。

 

「あ、ありがとうございます」

「今度ウチと練習しましょう?」

「私もお手伝いします!」

 

女子3人で料理の話に花が咲く。Fクラスでの数少ない癒しの時である。

 

「……珍しいね。2人がフォローするなんて」

 

話を弾ませている3人に配慮して、明久が小声で呟いた。

 

「ああ? んなもん決まってんだろ」

 

同じく小声で返す秀隆に雄二も頷く。

 

「「姫路が自棄を起こしてまた薬品入れられたらたまったもんじゃねえ」」

「そ、そうだね……」

 

冷徹とも言える級友の判断に、さすがの明久も若干引いていた。

 

 




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