第五十七問
「そう言えば、ムッツリーニがおらんの?」
秀吉の言葉で、そう言えばと明久がキョロキョロと周りを見渡すと、たしかに康太の姿は見えない。明久と入れ替わりでトイレにでも行ったのだろうか。
「ああ。さっき妙な情報を掴んだみたいで、確認しに出て行ったが――」
「…………ただいま」
「ちょうど帰ってきたみたいだね」
噂をすれば、ちょうど康太が教室に帰ってきた。康太が妙な情報が気になるところだが、康太の少し沈んだ表情から、あまり良い報告はなさそうだった。
「どうしたの、ムッツリーニ? またなにかトラブル?」
「…………(コクン)」
「例の妙な情報とやらかの?」
「…………今朝よりも更に良くない状況になった」
「あん?」
そう言って康太はポケットから小型の録音機を取り出すと、ちゃぶ台に置き再生ボタンを押した。スピーカーからはノイズ混じりの会話が聞こえてくる。
『あ、あの土屋君っ! 明久君のお宝写真を持っているって言う噂は本当ですかっ?』
『…………1枚100円。二次配布は禁止』
『二次配布は禁止、ですか……。残念です……。でも、私個人で楽しむだけでも十分』
そこで康太はブツッと再生を止めた。雑音が酷いから相手が誰かまでは分からないが、少なくとも明久の写真が裏取引されている現場だということは分かった。
「…………再生するファイルを間違えた」
「ねえなに!? 今の会話はなに!? 僕にとっては今の会話こそが十二分に良くない情報なんだけど!?」
「うるさいぞ明久。つまらんことでガタガタ喚くな」
「全然つまらないことじゃないよ! なんで僕の写真が秀吉の写真みたいに裏で取引きされてるの!?」
「ちょっと待つのじゃ明久! 今のお主の台詞の方がワシにとっては余程良くない情報なのじゃが!?」
「今更だろ」
「秀隆! お主も知っておったのか!? なぜワシに教えんのじゃ!?」
「それでムッツリーニ、本命は?」
「…………こっちが本命」
大声で騒ぎ立てる明久と秀吉を置いておいて、雄二は康太に先を促す。
康太はポケットをゴソゴソと漁ると、別の録音機を取り出した。仕掛けていたのはひとつだけではないようだ。
『Fクラスの様子はどうだ?』
『何かまたバカな事をしているようで午前中は点数の補充もやってないみたいだ。あの様子だと、こっちの意図に気づくことはないだろうな』
『そうか。それならいい。当面は俺たちも点数の補充をして、向こうにこちらの動きが気取られたら即座に宣戦布告を行おう』
『了解』
先程の裏取引の会話と同様に雑音が酷かくて誰の会話なのかは特定はできない。辛うじて男子生徒だということは分かった。
「これってDクラス? 誤解は解けたはずじゃ……」
「…………(フルフル)」
康太が明久の意見に首を横に振る。
「Dクラスが開戦の準備を取り止めたのは悟からの連絡でも確認済みだ」
秀隆も康太を後押しする情報を出した。
だとすれば、他のクラスでの会話ということになる。
「おそらく別のクラス――指示を出しているのが男子生徒だということを加味してもこれは」
「…………Bクラス」
「しかねえよなあ」
康太が雄二の結論を引き続き、秀隆も肯定するようにため息を吐いた。
「Bクラス!? Bクラスがなんで!?」
予想外のクラスに明久が驚きの声を上げる。Dクラス(正確には清水)に狙われた次は、Bクラスの標的にされてしまったようだ。
「Bクラスってことは根本の野郎だな。あのゲス野郎め。随分と姑息なことを考えたもんだ」
「タイミングもバッチリときたもんだ。あのクソ野郎、前々から計画してやがったな」
雄二と秀隆が忌々しそうに吐き捨てた。Bクラスの代表、根本恭二はその噂通りの卑怯な手段を取ったようだ。
「まったくだね。いくら僕らに仕返しがしたいからって、BクラスがFクラスに試召戦争を仕掛けるなんてあんまりだよ」
元々点差が大きいのに、更には上から抑えにきている。弱いもの虐めも甚だしい。
「いや、根本の狙いは恐らく仕返しだけじゃない」
「え? 違う?」
「違うとは言わない。実際にアイツは俺たちを恨むには十分すぎるほどの理由がある。ただ、目的はそれだけじゃないってことだ」
仕返しに加えてFクラスに試召戦争を仕掛ける理由があると雄二は答えた。
「雄二、他の目的とはなんじゃ?」
「自分への非難を抑えることだ」
雄二の言葉を明久は良く理解していないようで、ポカンとしている。
「さっき話とあまり繋がってこないんだけど?」
「根本は元々人望が皆無だったが、4月の試召戦争で卑怯な手を使っても俺たちに勝てなかったことで更にクラスでの地位は厳しいものになった。更には合宿での覗き騒ぎの件もある。今や根本は一部の取り巻きを除いて、Bクラスに居場所なんてないだろう」
「うん。それは分かってる」
根本は元々黒い噂が絶えずクラスメイトからの不信があった所に立て続けに不祥事をやらかした。根本は今やクラスメイトから白い目で見られる立場にある。
「大物ぶってる小悪党によくある末路だ」
「…………パワハラワンマン社長」
秀隆と康太が哀れむように根本の現状を例えた。もちろん、心の底から哀れんでいたわけではないが。
「ここで問題だが、国情の不安が顕著になった時、為政者はどういった対応をすれば手っ取り早く大衆の不満を抑えられると思う?」
「? え、えっと……」
いきなり社会問題を出題されて、明久の思考がこんがらがった。
「明久、分かるか?」
「ごめん。もう1回言ってもらえる?」
「やれやれ……。ちゃんと聞いてろよ?」
雄二が本当にやれやれといった感じで再び問題を出す。
「だから、『大衆の不満を抑えるためにはどういった高度が適切か』ということだ」
明久は雄二の問いにふむふむと頷くと、
「香水をつける」
誰も想像だにしなかった答えを出した。
「斜め上、いや、斜め下すぎんだろ」
「恐ろしいほど奇抜な解答だな」
「…………度肝を抜かれた」
「え!? だってテレビで『体臭を抑えるために香水をつける』ってヨーロッパの人たちが言ってたよ!?」
どうやら明久は大衆と体臭を勘違いしたらしいが、雄二の問題から体臭に繋げる思考回路に全員が驚いた。
「いや、そういう意味ではないのじゃ明久。不満一杯の国民をなだめるにはどうしたら手っ取り早いかという話なのじゃが」
「なんだ。そうならそうと分かりやすく言ってよ」
「アレで理解できないお前の思考の方がどうかしてるんだ」
「秀吉は分かるか?」
「……そうじゃな。恐怖で抑えつける、なんてどうじゃ?」
「それも一つの手段ではあるが手っ取り早くはないな。恐怖政治にはまずそれを行うだけの圧倒的な力が必要だからな」
「ついでに言えば恐怖政治は民衆の不満を抑圧しているだけで解消はできていない。かえって不満を燻らせて反乱を起こしやすくなる。Fクラスなんかが良い例えだ」
Fクラスも西村教諭からの恐怖政治に不満を募らせている生徒は多い(ほとんど男子生徒だが)。
雄二の言う圧倒的な力にしても、Bクラスに当てはめて考えると、今の根本にそこまでの発言力があるとも思えない。
「だとすると、なにが良い方法なの?」
「答えは『外部に共通の敵を作ること』だ。俺たちの日常生活でもそうだが、同じ敵を持つ人間というものは多少の不和があったところで結束しやすい。歴史上でもそういった手法を取ってたヤツは大瀬いるしな」
そう言って雄二は歴史上の人物を何人か挙げた。
「共通の敵でなくとも、大きな目的があった場合も意外と団結できる。合宿の時の集団覗きなんかがそうだ」
「発言力のない根本でも『集団覗きの主犯であるFクラスを粛清する』って大義名分があれば、クラスを動かすことができる。今の状況はヤツにとってはまたとないチャンスだ」
「クラスの不満をワシらに肩代わりさせ、自らの怨みも晴らす。あわよくばクラスでの発言力を取り戻したい。そういうことじゃな」
「…………狡猾」
集団覗きの時は男子生徒側には共通の目的があり、女子生徒側には共通の敵がいたのでクラスの垣根を越えて団結できていた。今回の根本も、その手法に則っているというわけだ。
実際、Dクラスの女子生徒の大半も、Fクラスに不満を持っていたから清水の無茶な開戦気炎に触発されたのだ。Bクラスの女子生徒とて例外ではないだろう。
「しかし、そうなるとちょっとやそっとの理由では戦争は回避できんじゃろうな。常日頃ならともかく、今のワシらは点数の補充ができておらん。こんな絶好の機を逃す手はあるまいて」
「だろうな。俺が根本でもこのチャンスはモノにしたい」
「その通りだ。ただでさえ普通に戦っても勝ち目のない相手から、まともな戦力がたったの3人しかいない現状で勝ちをもぎ取るとは不可能だ」
「4月の試召戦争で勝てたのも、康太の奇襲が成功したからだしな。今の状況じゃ万に一つも勝ち目はねえか」
康太の予期した通り、現状は今朝よりも悪化している。今Bクラスに試召戦争を申し込まれたら、また茣蓙とミカン箱に逆戻りしてしまう。
「して、どうするのじゃ雄二? 今から補充テストの申請をして、午後は点数の補充をした方が良いのではないか?」
「そうだね。それしかないよね」
Bクラスは半数が女子な上に、もう半数の男子生徒も根本の会話からして補充テストを受けているはずだ。ならばFクラスも少しでも抵抗するために点数の補充を行った方が得策に思える。
「いや、ダメだ」
「そうだな。余計なことはしない方がいい」
「え?」
秀吉と明久の提案を、秀隆と雄二は即座に却下した。
「どういうことじゃ? 点数の補充なしにBクラスに対抗する策があるとでも?」
「いや、Bクラス相手にこの状況で勝てると思うほど俺は楽観的じゃない」
「そもそも、そんな策があるなら4月の時にやってる」
「けど、それなら点数補充もしないでどうするの?」
策がないと言うなら、やはり点数を補充しておいた方が後々の役に立ちそうな気がするが。
「まずは時間を稼ぐ。Bクラスに宣戦布告されるまでの時間を」
「時間稼ぎ? そんなことをして何の意味があるの?」
どのみちBクラスに宣戦布告されるなら、時間を稼いだところで意味がないようにみえる。
「いいか? Bクラスに宣戦布告されたら俺たちはBクラスと戦わざるをえない。そうなると俺たちは確実に負ける。だが、今はまだ宣戦布告を受けていない。つまり、まだ試召戦争を回避できる可能性がある」
「けど、根本君には僕らと戦う理由があるから、そんな簡単に取り止めてくれないと思うよ?」
「ああ。だからBクラスが宣戦布告できない状況を作る。幸いにも、試召戦争のルールではクラス毎の一対一しか認めれていない。つまり」
「Bクラスと他のクラスを戦わせる?」
Bクラスが他クラスから宣戦布告を受ければ、Fクラスに試召戦争を仕掛けることはできない。その間なら、明久たちも十分に点数の補充ができる。
「む。またワシが前回と同様に、姉上になりすますのかの?」
「いや、違う。その手は前に使ってるからな。今後は通用しない」
「じゃあ秀隆の友だちに頼んで、DクラスにBクラスと試召戦争するようにお願いする?」
「んな生贄みたいなマネできるかよ」
「なら雄二の人生を生贄にして霧島さんにお願いするしかないか」
「さらっと俺の人生を生贄にするんじゃねえ! それに、いくら翔子でも、クラスの同意なしに簡単に試召戦争を仕掛けられるわけないだろう」
試召戦争はクラスの設備を左右する大事なシステムだから、いくら学年首席とは言え個人の判断で行えるようなとのではない。
残るはCクラスとEクラスだが、CクラスはFクラスと同様にペナルティで試召戦争を仕掛けることができなし、Eクラスは部活動に熱心でそもそも試召戦争に興味がない。Bクラスと他のクラスを戦わせるのは難しいようだ。
「そうじゃなくて、俺たちが他のクラスと戦うんだ」
「そうすりゃ、試召戦争中はBクラスに宣戦布告をされずに済むし、戦争が終われば点数の補充ができる」
「なるほどの」
試召戦争の細かなルールの一つとして、一つの戦争が終わった後の点数補充というものがある。試召戦争後に点数補充の期間が設けられるというものだ。
これがあることにより、仮に連戦になったとしても消耗した状態からスタートすることなく、公平な条件下で試召戦争を行うことができる。
これがないと、例えAクラスであったとしても、消耗したままなので簡単に負けてしまう。一つのクラスが実力を発揮できぬままに連敗し続けるのを防ぐための救済措置でもある。
「先の戦いでは疎ましいと思ったルールじゃが、今回はそのおかげで助かりそうじゃな」
「そうだね」
4月の時はこのルールのせいでAクラス戦を有利に進めることはできなかったが、今の現状ではこのルールを利用しない手はない。
「しっかり点数補充をして俺たちにBクラスと戦うに足る戦力が確保できれば、向こうもそうやすやすと試召戦争を挑んできたりはしないだろうしな」
「そりゃあ、僕らが万全の状態ならBクラスは攻めてこないだろうけど……」
テストの成績では圧倒的に勝るものの、『駒』を得た雄二と秀隆の怖さを根本は身をもって知っている。この2人の謀略が実る可能性がある以上、根本も慎重にならざるを得ない。問題は、どうやってその時間を稼ぐかだ。
「じゃが相手はどうするのじゃ? ワシらからは例のペナルティで試召戦争を仕掛けることができん。どこかのクラスに攻め込まれるしかないはずじゃ」
「当然相手はDクラスだ。ヤツらに宣戦布告させて、その戦争をやり過ごして点数補充を済ませる。Bクラス相手なら危険だが、Dクラス相手なら勝つとまではいかなくても負けない程度の勝負は不可能じゃない」
「Dクラスも、開戦派と非開戦派の論争で点数補充を終えていないからな。やり過ごす相手としてはちょうどいい」
となると、Dクラスの主戦力は半数の女子と、打倒明久のために補充テストを終わらせたであろう清水くらい。厳しいことには変わりないが、Bクラスを相手取るよりかは数段やりやすい。
「じゃが雄二。勝算があるなら、なにゆえDクラスとの勝負をしなかったかのじゃ?」
雄二の言葉に引っかかったのか秀吉が疑問を呈した。たしかに、勝つ見込みがあったなら、そのままDクラスと開戦しても問題はなかったはずだ。
「違うぞ秀吉。勝算はない。ただ負けない勝負ができるというだけだ。勝つことができないから、ひたすら引き分けのために戦う。そんな面倒なことをしたくはないだろう?」
将棋の千日手のように、無理矢理引き分けに持ち込むことはできるが、それにもかなりの労力を使う。面倒くさがりな雄二や秀隆でなくとも、そんな面倒なことは避けたいと思うだろう。
「あれ? でも結局は戦争をするんだよね? ならなんで点数の補充をしないの?」
「お前の耳は飾りか? さっきの録音の会話を思い出してみろ」
雄二に言われて、明久もさっきの録音の中身を思い出してみる。
「ムッツリーニ! 1枚100円は安すぎるよ! 秀吉は500円なのに!」
「ほほぅ。500円か……。2人とも、ワシの写真について少々話を聞かせてはもらえんかの?」
「…………全て秘書(秀隆)がやったこと」
「そんな政治家みたいな!」
「黙秘権を行使する」
「やはりお主も一枚噛んどったんじゃな!」
「お前ら全然危機感を抱いてないだろ」
雄二が頭に手を当てて呆れたようにぼやく。
「さっきの録音で『こちらの動きを気取らたら即座に宣戦布告を行う』って言ってただろ」
「ああ、そっちね。うん。たしかに言ってた」
「今補充テストを申請したら、俺たちが向こうの意図に気がついたことがバレちまう。そうなったら即戦争だ」
「つまり、根本は俺たちが向こうの意図に気づくまで補充テストを続けるつもりだ。逆に言えば、俺たちが向こうの意図に気づいたのが発覚されるか補充テストを終えるまでは宣戦布告はしないはずだ」
根本は前回の戦争で痛い目を見たから、今回こそは確実に勝つために確実な方法を取ってくるはずだ。ただでさえクセ者揃いのFクラス相手にマトモにやり合う気は毛頭ないだろう。
根本自身も点数がないので万が一を考えて万全を期すために不安要素は一つでも取り除いておきたいのだろう。
「つまり、その間にBクラスにワシらが向こうの意図に気がついていると悟られずに、Dクラスから宣戦布告するように仕向ける必要があるわけじゃな」
「そういうことだ」
「おそらく明日朝一で宣戦布告してくるはずだから、今日中になんとかしないとな」
「そうなの? 今日中に攻め込んでくる可能性はないの?」
「今朝鉄人が言っておったじゃろう。試験召喚システムはメンテナンス中で明日まで試召戦争ができん、と」
「なんだ。そうだったのか」
今朝はそれどころではなかったので、明久は西村教諭の話を聞いていなかった。
「えーと。話が長くなったけど、結局僕らはこれからどうするの?」
「もちろん、Dクラスから宣戦布告を受けるための工作を行う。期限は今日一杯。失敗すれば俺たちはBクラスになす術なく敗北し、茣蓙とミカン箱の教室に逆戻りだ」
ただでさえ劣悪な環境なのに、またさらに下の環境になるのはなんとしても避けたい。そんな事になろうものなら、体調不良を起こす生徒が続出し、今度こそ瑞希も転校してしまう。
「具体的な案はどうするのじゃ?」
「今朝の一件を利用する。明久と島田をくっつけて清水を焚きつけるんだ」
「え? でもあの件は誤解だって」
「誤解かどうかは今は重要じゃない。清水の嫉妬心を煽るのが肝心なんだ」
「清水に関わるのは面倒だがこの際しょうがない。お前と島田には仲睦まじい恋人を演じてもらう。それこそ、清水が嫉妬に狂うくらいに、な」
秀隆も正直乗り気ではないが、DクラスをFクラスにぶつけるのは、清水を利用するのが一番手っ取り早い。
「ええっ!? そんなの無理だよ! あの話で美波は思いっきりヘソを曲げちゃってるんだよ!?」
「それでもやるしかないんだ」
「無理だってば! そうだ! 秀隆の友だちの九条君にお願いすれば」
「それこそ無理だ。今朝も言ったが、Dクラスでの男子生徒の発言力は集団覗きのせいでほとんどないんだ。悟はもちろん、平賀にだって今はクラスを動かすことは難しい。今朝の開戦騒ぎだって、結局のところ開戦派の中心にいたのは清水で、平賀はその勢いに押された形だしな」
つまり、なにがなんでも清水を焚きつけるほかないのだ。
「演技に関しては秀吉に任せる。台本なんかも用意できるならしておいてほしい」
「心得た」
「ムッツリーニは情報収集及び操作。秀隆はもしもの時のために九条や平賀を介してDクラスにそれとなく探りを入れてくれ。俺は作戦が成功した時のために対Dクラス戦の用意を始める」
「分かった」
「…………了解」
雄二が秀吉たちにテキパキと支持を出す。清涼祭の時もそうだが、一度目的が決まった後の雄二の統率力には目を見張るものがある。
「さて、そうと決まれば暢気に昼飯なんて食っている場合じゃないぞ。島田たちが教室に戻ってき次第行動開始だ。ムッツリーニ、この教室の盗聴器は無力化されているんだよな?」
「…………大丈夫」
「明久。覚悟を決めろよ?」
「う、うん……」
今回の作戦は外交戦と情報戦の盤外戦術が鍵を握ることになりそうだ。果たしてうまくいくのだろうかと、明久は一抹の不安を覚えた。
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