バカと凶刃と召喚獣   作:赤辻康太郎

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第二次Dクラス戦エピローグです。

ついに清水との決着をつけた明久と美波はしばらく空き教室に残り……。


第六十八問

第六十八問

 

明久と美波が清水を打倒したことで、空き教室での戦いは終結した。布施教諭も戦いの顛末を見届けたので、召喚フィールドを消そうとしたが、

 

「あ、布施先生。フィールドを消すのを少しだけ待ってくれませんか?」

「え? しかし、もう……」

 

勝負は決したのだからこれ以上召喚フィールドを維持する理由はない。明久も思い当たる節がないのか腑に落ちない顔をしている。

 

「お願いします」

 

美波に真剣に頭を下げられて、布施教諭も逡巡した後、

 

「分かりました。少しだけですよ」

 

折れた。布施教諭の目からしても、美波はよく頑張っていたので、これくらいは許容範囲だと思ったのだろう。他の戦場は別の先生が担当しているはずなので多少は時間もある。

 

「ありがとうございます」

「美波、いったいどうした――」

 

美波に疑問を投げかけた明久に、美波は抱きついてきた。

明久の頬に美波の頬が掠め、明久の身体に美波の体重が重くのしかかる。

 

「わっ!? 美波!?」

 

いきなりの事だったが、男の意地でなんとか踏みとどまる。少し小柄な美波が、今は更に小さく見える気がした。

 

「ごめん。アキ。少しだけ、こういさせて」

 

少しくぐもった美波の声。それが悲しみのせいなのか嬉し泣きなのかは、顔が見えないので明久には分からない。

けど、昨日みたいに嫌われたままでないことが分かって、少しだけホッとした。

 

「……うん。分かった」

「ごめんね」

「いいよ。別に」

 

明久が優しくポンポンと美波の肩を叩く。反射的に、美波はちょぅとだけ明久を抱く腕の力を強めた。

 

「そうだ。僕、美波に言いたいことがあるんだ」

「……なに?」

 

正直、聞くのは怖い。けど、聞かなければならない。

 

「昨日はごめんね」

「…………え?」

 

予想に反して、明久から出たのは謝罪の言葉だった。

 

「演技だったけど、僕は美波を傷つけちゃったから」

「そんな……ウチの方こそ、ごめんなさい。ウチ、アキに酷いこと言っちゃった」

「別にいいよ。原因を作ったのは僕なんだし」

「よくない!」

 

耳元で大声で叫ばれて、明久が顔を歪める。

 

「元はと言えば美春のせいなのに、ウチ、アキを信じきれなかった。神崎に言われるまで、心のどこかでもしかしてって思ってた」

「仕方ないよ。僕、日頃の行い悪いし」

 

そうでなければ、日頃から西村教諭に目をつけられたりはしない。

 

「それに、その……昨日の……き、キスも……元はウチの勘違いだし」

「あ、アレは……その……僕がメールを送り間違えたからで……」

 

思い出しただけで顔が熱くなる。予期せぬハプニングだったとは言え、アレがお互いにファーストキスだったのだ。ある意味、一生忘れられない経験になった。

 

「ねぇ、美波」

「なに?」

「実は、美波に聞きたいことがあったんだ」

 

思い返せば、合宿の時の夜襲や昨日のキス。それらの美波の行動は、明久の(漫画の)知識を総動員すると、ある結論に至る。

 

「その、色々と思い返すと、美波は僕のこと――」

「待って」

 

美波が明久の首を少し絞めて言葉を止める。明久は一瞬物理的に息が止まったが、直ぐに解放された。

 

「その続きは言わないで」

「美波?」

「……今のウチにその続きを聞く資格はない。ううん。本当は聞くのが怖いの」

「怖い?」

 

なぜ怖がる必要があるのかと、明久は心底疑問に思った。

 

「本当のことを言えば、ウチはその続きを待ってる。けど、それを聞くと、今の関係が壊れそうで怖いの」

「美波……」

「それにね、たぶんアキは今そんな雰囲気だから言おうとしてるだけで、本音は違うと思うの」

「そうなの……かな……?」

 

コレばっかりは経験の乏しい明久には分からない。だから大人しく美波の言葉を待つことにした。

 

「だからね、いつか本当に心からそう思えるようになったらまた聞かせて。その時は応えてあげるから」

「……うん。分かった」

 

明久の疑問は晴れなかったが、美波が待てと言うなら待つことにしよう。いつか自分で答えを探せるその日まで。

 

「でも……もしかしたら……またウチの方から……」

「美波?」

「なんでもない」

 

美波が耳元で何か囁いたような気がしたが、耳に美波の息がかかって、くすぐったくてよく聞こえなかった。

それにしても、美波はいつまでこうして抱きしめたままでいるのだろう。明久の心臓は荒れ馬のように跳ね上がり、今にも破裂しそうだ。

ここはやはり自分も()になるべきだと思い、美波を抱き返そうとした、その時――

 

「なんでもないんだけど――それはそれとしてね」

 

また美波の腕に力がこもる。明久の首が圧迫感で絞めつけられる。

 

「み、美波? 首が絞まってるんだけど?」

 

明久は美波に力を抜くよう懇願するが、美波は力を抜くどころか徐々に絞める力を上げていく。

 

「乙女の純情を弄んだ罰は必要だと思うの」

「え!? アレは許してくれるって」

「言ってなかった? ウチが許したのは昨日の『演技』だけよ」

「言ってない! 言ってないよ!?」

 

つまり、間違いメールやらうっかりキスやらは許されていなかったのだ。

 

「あのメールを受け取ってから昨日まで、ウチがどんな気持ちでいたか」

「……み、美波……ぐ、ぐる゛じい゛……」

 

いくら美波の腕力と言えど苦しすぎる。明久がギギギとなんとか首を動かすと、自分と同じように首を絞められている召喚獣の姿が。

 

「美波……まさか、このために」

 

明久にお灸をすえるために、フィールドを残したというのか。

 

「まったく。坂本ったら失礼しちゃうわ。……アキに止めを刺すのはウチの役目なのに」

 

そんな役目があってたまるか! と明久は叫びたかったが、首を絞められて声が出せない。

やはりさっき自分が思ったことは間違いだったのだ!

 

「み、美波……なん、で……?」

「友だちが言ってたの。『他人に迷惑をかけちゃいけないけど、気に入らないものは気に入らないから存分にやっちゃいなさい』って」

 

誰だ美波そんな事を吹き込んだ輩は!

明久が「ギブ、ギブ」と美波の腕をタップするが、美波の力が弱まる気配はない。

 

「丁度いい機会だから――西村先生にコッテリ絞られてきなさい!」

 

薄れゆく意識の中、召喚獣の点数がなくなっていくのが見えた。

 

Fクラス 吉井明久 化学 0点

 

召喚獣が消滅すると同時に、明久も解放された。

意識を失わずに済んだのは運が良かったのか悪かったのか。

 

「じゃぁね、アキ。しっかり反省しなさいよね」

「そ、そんなぁ」

 

ぐったりと膝から崩れ落ち、情けない声をあげる明久。ほんの5分ほど前には一緒になって清水を倒したというのに、その相方に止めを刺されることになるとは思ってもみなかった。

と、うなだれる明久の肩に誰かがポンと手を置いた。その衝撃だけでも口から漏れそうになる悲鳴を堪え、どうか嫌な予感が外れていますようにと祈る思いで後ろを振り返る。

「ウェルカム」

 

そこには、さっき清水を連行していったはずの、西村教諭の嫌な笑みがあった。

 

「うぅ……。今日も酷い目にあった……」

 

美波と仲直りしたと思ったのも束の間、折角清水との決着をつけたというのに、その美波の手によって生徒指導室に叩き落とされてしまった。

しかも運の悪いことに、その清水と隣になってしまった。西村教諭の監視があったからか、美波が釘を刺したおかげか、明久に襲いかかることはなかったが終始睨まれて気が気でなかった。

その地獄の補習も終わり、後は家に帰るだけだ。放課後の廊下に人影はなく、皆帰宅した様子だ。瑞希も用事があると言ってたし、あの様子なら美波ももう帰っているだろう。

他の面子に関しては言うまでもない。

 

「あれ? 皆まだ帰ってなかったの?」

 

明久の予想に反して、Fクラスの教室にはいつものメンバー、雄二、秀隆、康太、秀吉が残っていた。4人で雄二のちゃぶ台を囲む様にたむろしている。

 

「よう。お疲れ」

「あ、うん。それで、皆どうしてまだ帰ってないの? 」

「ちょっと気になることがあったからな」

「気になること?」

 

雄二が妙に楽しそうな笑みを浮かべている。よく見ると、他の面子もどこか顔がニヤけている。

 

「うむ。何でも、ムッツリーニが面白いものを聞かせてくれるそうじゃ」

 

秀吉も満面の笑みを浮かべている。余程楽しみなのか、あるいは……。

 

「明久も聞いていくといい」

 

そう言うと、康太は毎度お馴染みの小型レコーダーをちゃぶ台の上に置いた。

 

「面白いものねぇ……。なんだろ? 皆がそんなに楽しそうにしてるんだから、よっぽど面白いものなんだよね?」

「まだ康太も詳しく中身を聞いてないみたいだが、面白いことは間違いないらしい」

「…………保証する」

 

自信満々に頷く康太。康太がそれほどまでに勧めるなら、余程面白いもののようだ。

 

「ねぇ。中身は何かな?」

「ああ。とある男女の会話らしい」

「とある男女の会話……?」

 

ということは告白か痴話喧嘩の類か。どちらにしろ出歯亀みたいで少し良い気はしない。そもそも、秀隆以外の3人がそんな悪趣味な真似は好きではなかったはずだが。

 

「ワシらが気になっていた顛末がよく分かる会話じゃ」

「え? それって……」

 

ここに来て、明久は皆の笑みの違和感に気づいた。4人とも笑顔は笑顔なのだが、笑い方に邪悪さを感じる。秀隆に至っては隠す気もないのかあからさまに笑顔がニチャついている。

 

「…………スタート」

 

疑問符と嫌な予感が過る明久を余所に、康太がレコーダーのスイッチを押した。すると、スピーカーから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

『この話合いに何の目的があったのかは知りませんが、美春はもうアナタを恋敵として認めるようなことはありません。お姉さまの魅力に気づかず、同性として扱うだけの豚野郎に嫉妬するなんて、時間の無駄ですから。……お姉さまの魅力を理解できるのは美春だけです』

 

「あれ? この声ってもしかして……」

「ああ。Dクラスの清水だよ」

 

なるほど。どうりで聞き覚えのあるわけだ。しかし、清水で男女の会話とはどういうことだろう。男嫌いの清水が男子と最低限以上の会話するとは思えない。

 

『……てよ』

 

次に聞こえたのは清水ではない声。おそらく相手となる男子だろう。しかしなぜか、この男子の声も聞き覚えがある。

 

『……なんです? 美春になにか言いたいことでもあるんですか?』

 

それに更に続く清水の声。その聞き覚えのある台詞に、明久のおぼろげだった記憶が甦っていく。

 

「って、ちょっ、ちょっと待って! この会話ってまさか!」

「ご名答。これは、昨日のお前と清水の会話だよ」

「交渉が決裂した後、お前らが何を話していたのか、その一部始終が録音されている」

 

邪悪さを増す秀隆と雄二の笑み。

 

『うん。ひとつだけ。清水さんの誤解を解いておきたいんだ』

『誤解? 何がです? お姉さまと付き合っているのが演技だという話なら既に知っていますけど?』

 

明久の記憶がハッキリと甦る。これ以上この会話をコイツらに聞かれるのはマズイ!

 

「ちょちょちょちょっと! なんてモノを再生してくれるてるのさ!? 早く止め――」

「秀隆」

「あいよ」

 

レコーダーを止めよとした明久を、秀隆が押さえ込む。

 

『いや、そうじゃなくて……その……美波の魅力を知っているのは君だけじゃないってこと』

 

「くっ! は、はなしてよ秀隆っ! これだけは本当にダメなんだ!」

「まあまあ、すぐ終わるから暴れんなよ」

 

明久は何とか拘束を解こうともがくも、足がバタくだけで身動きは取れていない。

 

『何を言ってるんですかっ! いつもお姉さまの悪口やデリカシーのない言葉ばかり言って、女の子として大切に扱おうともしないで!』

『うん。それは清水さんの言う通りかもしれない』

『だったら、お姉さまの魅力の何を知っていると言うんです!』

『確かに僕は美波のことをお姫様みたいに扱ってるわけじゃない。男友だちに接するみたいに、雑な態度を取っているかもしれない。けどね――』

 

恥ずかしいさが頂点に差上ろうとしている。そんな明久の気も知るわけもなく、レコーダーは無機質に録音された音声を流す。

 

「わーっ! わーっ! 聞くなー!! 流すなー!!」

「五月蝿いぞ。少し黙ってろ」

「むぐっ!? んむーっ!」

 

会話を聞かれまいと叫ぶ明久の口を雄二が手で塞ぐ。これで明久に逃れる術はない。

 

『けど、なんですか?』

『――けど、僕にとって美波は、ありのままの自分で話しができて、一緒に遊んでいると楽しくて、たまに見せるちょつとした仕種が可愛い、とても良い魅力的な――女の子だ』

 

「「「「…………」」」」

 

予想外の明久の言葉に、4人とも黙り込んでしまった。

 

「……いや、意外だったな……」

「う、うむ。もう少し婉曲に言ったものじゃとばかり思っていたが……」

「…………直球勝負だった」

「口の中が甘え……。って明久、まだ暴れんのかよ」

「むーっ! むーっ!!」

 

少し驚いたように口々に感想を述べる。しかし、会話が終わったというのに明久は暴れるのを止めよとしない。

 

『――それにね』

「「「「?」」」」

 

アレで終わったと思っていたのに、レコーダーからはまだ明久の声が流れている。

 

『美波の魅力について、君に負けるとは思ってないよ』

『……何ですって?』

 

スピーカー越しからも分かるくらいに、清水の声に殺気が込められていた。

 

『どういう意味です? 返答次第では――』

『君の知っている美波の魅力って何なの?』

 

明久らしくない挑発に、雄二たちの目が点になる。

 

「むがーっ!」

「うぉっと! 秀吉、康太手伝え!」

「了解じゃ」

「…………(コクン)」

 

更に暴れる明久を4人がかりで取り押さえる。

ここから先が、明久が一番聞かれたくない会話だった。

 

『お姉さまの魅力? そんなの決まってます。凛々しいお顔。美しいお御髪。慎ましいお胸。スラッとしたお御足。どれもこれも、お姉さまの素晴らしい魅力です』

 

淀みなくスラスラと語る清水。口惜しいほどに、本当に清水はよく美波のことを見ているようだ。

 

『逆に聞きますけど、アナタはお姉さまの何をご存知なのですか?』

『何をって?』

『分かりませんの? 美春はお姉さまの全てを知っています。何時に起きて朝に何を食べたのか。姫路さんたちとどんな会話をしたのか。帰りにどこに寄って何を買ったのか。お風呂はどこから洗うのか。寝る前に何をして寝るのか。美春は全て知っています』

 

自慢げに話すが、中身はただのストーカーでしかない。秀隆が露骨な嫌悪感を表し、雄二たちも顔を歪める中、レコーダーから明久の声が続く。

 

『……なんだ。そんなものか』

『そんなもの、ですって?』

『うん。清水さんの知ってる美波って、そんな程度なんでね』

『お黙りなさい! でしたら、アナタはお姉さまのなんでね知っているんですか!』

『そうだね……僕をからかって遊んでる時に見せる憎たらし笑顔や、怖いのを我慢して涙目になってる顔。美味しそうに食べてる時の笑顔に葉月ちゃんのお世話をしてる時の優しい顔。自分の意思を突きお通す強い目――全部美波の魅力だよ』

 

明久の顔からドンドン血の気が引いていく。

 

『ほら、僕は何でも知ってるよ?』

 

ここで録音が止まったのか、レコーダーからブツッと音がして、何も聞こえなくなった。

聞かれた。聞かれてしまった。よりにもよって、一番聞かれたくないヤツらに。明久は絶望感であまり頭の中が真っ白になる。

恥ずかしさと恐ろしさを押し殺し、明久が恐る4人の様子を確認すると、

 

「明久。お前、意外と言う時は言うんだな」

「な、なぜかワシも鼓動が早くなって凄いのじゃが……」

「…………男らしい」

「男らしすぎて逆に気障ったらしいくらいだな」

 

聞いていた4人の方が気恥ずかしさで気不味そうに自然を逸らす。なんだか心なしか皆頬が赤くなってるように見える。そんなことより、明久がコイツの記憶をどう消そうかと思案していると――

 

「…………っ!!(ダッ)」

 

急に康太が険しい顔になって廊下に飛び出していく。

 

「…………油断した」

 

戻ってきた康太が苦々しく呟く。

 

「油断した? おい、まさか、さっきまで廊下に誰かが居たってのか?」

「…………今のを立ち聞きされたかもしれない」

 

 

他の誰かに聞かれたかもしれない。それを聞いた明久の顔が真っ青になる。あんな恥ずかしい台詞を聞かれるなんて!

 

「ムッツリーニ! 相手は誰っ!?」

「…………たぶん、張本人」

 

張本人と聞いて、明久が安堵した表情を見せる。

 

「なんだ、張本人か。てっきり須川君あたりかと思ったよ」

「それならまずお前を殺しに来てるな」

 

須川やFFF団でないなら一安心だ。張本人であるなら、最初から中身は知っていたはずだ。

 

「ま、まぁなんだ……。すまん明久。まさかこれ程のモノとは思わなかった」

「すまぬ明久」

「…………ごめん」

「悪ぃ明久。今回は少し悪ふざけが過ぎたな」

 

だが明久の心境とは裏腹に、雄二たちは明久に頭を下げた。

 

「まぁ、別にいいよ。張本人が相手なら。それよりも、悪いと思ってるなら美波との仲直りに教育してよ。結局アレからまともに話せてないんだから」

 

そもそも生徒指導室に連行されたため謝る機会を奪われたのだ。謝るなら美波との仲をとりなしてほしい。

 

「あー……。その必要はないと思うぞ?」

「そうじゃな。それはたぶん大丈夫じゃろうな」

「そうだな。仲直りどころか……」

「…………うん」

「へ?」

 

なぜか苦笑いを浮かべる4人を明久は不思議そうに見る。

仲直りのきっかけがないのに大丈夫とはどういうことだろうか。明久の知らないところで動いていたというのだろうか。

ともかく、自信満々に大丈夫と言われたので、明久は特に考えもせずに一騒動終わったことに安心していた。

 

「〜♪♪」

 

リビングのテーマで葉月が宿題をしていると、玄関の戸が開く音がした。

 

「あ! お姉ちゃん、お帰りなさいですっ!」

「た、ただいま……」

 

帰宅した美波を笑顔で出迎える葉月。しかし、すぐに。美波の違和感に気づく。

 

「? お姉ちゃん? どうかしたですか? お顔が真っ赤ですよ?」

 

葉月の言う通り、美波の顔はリンゴやトマトのように真っ赤に色づいていた。

 

「葉月、どうしよう……」

「??? 何がですか? 学校でなにかあったんですか?」

 

葉月が少し心配そうに尋ねる。まさか誰かに虐められたのではないか。

しかし、葉月の心配は杞憂であった。

 

「あのね、葉月……」

「はいです」

「お姉ちゃんね……もう、どうしよもないくらい人を好きになっちゃったかも」

 

昨日とは別の意味で、明久とどんな顔で会えばいいのか分からなくなった美波であった。

 




ご感想などお待ちしております。

次回は番外編を挟んでの原作第5巻になる予定です。

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