この姫君に純愛を!   作:メンダコとスミス

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処女作なので誤字脱字など至らない点が多くあると思いますが、やさしくご指摘いただけると幸いです。

なおストーリーへの批判などはご遠慮ください。


一通の手紙

 

 

 魔王討伐から数か月後、俺たちは世に言う「英雄」になっていた…………

 

 

 まあ、だからと言って特に何か変わったことなんてあまり無い。

 

 確かに王都でのパーティーとかは行われて称賛やら賞金を受っとたけど、もともと金には困っていないのでどうということはない。

 

 あとは、魔王軍はいなくなったし、金はたんまりあるのでわざわざクエストに行くこともなく自堕落な生活を送っていた。

 

 相変わらずアクアは俺に次ぐニートな生活を過ごしているし。

めぐみんの一日一爆裂やクリスとの神器集めなど、平和な日常が続いていた。

 

 最後の一つについては平和って言っていいのか……?

 

 

 だがそんな俺の平和も、たった一通の手紙で簡単に吹き飛んでった…………。

 

 

 

 

 「カズマ、カズマ!大変だ!」

 

 「おう、そんなに慌ててどうしたダクネス? トイレが近いのか?」

 

 「んんっ……!? くっ……!って今はふざけている場合ではないんだ!」

 

 「……それで何かあったのか?」

 

 「ああ、つい先ほど王都からダクティネス家を通して私たちに送られてきた手紙を受け取ったのだが……どうやらアイリス様が前回とはまた別の国の王子との婚約を交わしたので、近日その国での結婚式を挙げるそうだ。そこで、その道中警護として私たちに国から勅命が下った」

 

 ……こいつ、今ナンテイッタ?

 

 「はあ!? お前、今なんて言った!? ア、アイリスが結婚だって!? で、でも前は魔王軍侵攻への支援金の要請として仕方なくだろ!? もう魔王もいないのになんで今更俺のかわいい妹がどこぞの馬の骨に嫁入りしなくちゃなんないんだよ!」

 

 「バカ者! 毎回言ってるが、いつアイリス様がお前の妹などになったんだ!……まあいい、それで、なぜかと言うとだな、ここらの国は魔王軍という共通の敵がいたからこそ皆が協力をして一丸となっていた。内側で揉め事などしていたら共倒れだからな」

 

 「つまり、魔王がいなくなったから今はその心配がないと?」

 

 「ああそうだ、今頃各国は軍事力の増強を最優先にしているらしい。唯一、エルロードだけは友好的なままだが。……そもそもの大きな原因は魔王軍が占領していた土地をどう分配するか……ということらしい。確かに魔王を討伐したのは私たち、もといベルゼルグだが、それも周辺国からの支援金無しには成しえなかったからな。……こうして所有権の奪い合いになっているわけだ」

 

 だいたいゲームならラスボスを倒したらハッピーエンドのなるのに、それどころか今度は泥沼なのか。

 

 ここしばらくは浮かれていたが、この世界はそんな甘っちょろいものではなく、本当に世知辛いものなのだ……ということを思い出した。

 

 「理由は分かった……だけど、それと結婚に関係なんてあるのか?」

 

 「大ありだ!! 貴様は本当に何も分かってないのだな。 事態の改善には国と国の同盟が一番だ。そして同盟にはその証として両者の王族を結婚させ血縁者になるという手段がよくとられるのだ」

 

 確かに……三◯無双とかでは敵と戦争したくなかったら同盟を結ぶのが手っ取り早かったしな。

 

 ……だけど……それってつまり、政略結婚……っていう事だよな。

 

 「ふざけんな! 一体アイリスをなんだと思ってやがるんだ!」

 

何かいい手は無いか……!

 

「……よし、わかった。今すぐ俺が【潜伏】で城に忍び込んであっちの王子の寝首を……」

 

 クリスとの神器集めでそういうスキルも一通り身につけているから不可能ではないと思う……たぶん。

 

 「バカ! お前は今すぐに戦争を起こすつもりか!?……私だってアイリス様の事を考えると、反対したいカズマの気持ちもよく理解しているつもりだ。……しかし、これはもう……しかたが……ないんだ」

 

「……でもこの国はあの魔王軍と戦った国だろ? 怪物達と比べたらたかが人間に攻められたってどうってことはないだろ」

 

俺がそう言うと、ダクネスは首を無言で振り……。

 

 「我が国は魔王軍の領土に唯一面していた。つまり、その他の国々に囲まれているということだ。さらに屈強な冒険者達はその多くがそれぞれ祖国へと帰っていった。……よって、現在のベルゼルグは以前ほどの力を持っていないのだ。もし今、他国同士で同盟を結び、この国に攻め込まれたら……この国に、もはや抗う力は……無い」

 

 「だからそうなら無い前に、この国も今すぐ強力な国と同盟を結んで身を守ろうってことか?」

 

 「……そうだ」

 

確かに理にはかなっている。

 

王女は同盟にうってつけだと言うことも……。

 

……王女と……結婚??

 

……何かを忘れてる気がする……!!

「……おいまてよ! 確か魔王を倒した勇者には、王女と結婚できる権利があったんじゃないのか? い、いや、別にアイリスと結婚したいわけじゃないからな! やめろよ! 俺に人間のクズを見るような目を向けないでくれ! 違うから! 俺はただ兄として妹の心配をしているだけだから!」

 

 そう、俺はアイリスを性的に見るようなことは決してしない!

 

だってアイリスは正統派の妹枠だからな。

 

YES妹! NOタッチ!……だ。

 

 「確かに、お前にはその権利があったんだが…………魔王討伐記念パーティーのときに、クレア殿にその必要は無いと私から言っておいた」

 

お前と白スーツの仕業かよ!

 

あいつなら笑顔でその提案を即座に受け入れそうだ。

 

 「お!ま!え!なにしてくれてんだ!! このドMクルセイダー!! ふっっっざけんなよ! なに勝手に人が苦労して手に入れた特権を捨ててくれてんだ!」

 

 「わっ、私はお前のことを思ってだな! そっ、それに、相手がアイリス様だと私も立場上カズマを取り合うわけには……////(ぼそぼそ)」 

 

 ぼそぼそ言ってるけど【読唇術スキル】で全部筒抜けなんだよ。

 

 「まったく、俺を独占したいんだったらそういえよな!……ララティーナ」

 

 「ラッ、ララティーナって呼ぶな////! っっ! もっ、もういいだろう! それで、本題に入るがこの依頼を受けるのか?」  

 

 「……はぁ、分かった。今回ばっかりは俺がなにをしても、どうにもならねえしな。とりあえずさっきの計画はまだ腹のうちに留めておく…………ん? そういえば、今回は反対しないのか? お前のことだからてっきりまた俺を拘束してきたりするもんかと思っていたけど」

 

 「前回は……その……すまなかった。でも今回はしっかりカズマを信頼しているからな!」

 

 「お、おう。なんだか正面きって言われると照れるな////」

 

 「わ、私は思っていることを言っただけだ////」

 

 

 

 

 

 

「…………なにイチャイチャしてるんですか?」

 

 「め、めぐみん!? い、いつからそこのいたんだ?」

 

 「はい、だいたいダクネスが手紙を持ってきたという所からですかね」

 

 「それ最初からじゃねえかっ! ってそうだった、アイリスの護衛の件だけど、めぐみんも聞いたから分かってるだろうけどいくよな?」

 

 「そうですね。ライバルも一人減ることですし、下っ端が寿退社するのを祝ってあげるのも長の役目です。そういうわけで私は賛成です」

 

 というかまだこいつらは変な集まりをやってるのか…………

 

 「お前たちのごっこ遊びはいつから会社になったんだよ!」

 

 「失敬な!れっきとした盗賊団ですよ!もう少しすればたちまちベルゼルグ随一の盗賊団にしてみせます!」

 

 「言ってるそばから人数減ったけどなその人数じゃ部活動にすらならないな」

 

 「ブカツドウとはどのようなものか知りませんがとても馬鹿にされたのはわかります。わかりました!では今夜の獲物はカズマのベットの下に隠されているエ「分かった、俺が悪かった!だから許してくださいめぐみん様!」

 

 「分かればいいんですよ。私も少し大人気なかったですし」

 

 「……ロリ枠が……」

 

 「おい!今私のどこを見てそう言ったのか聞かせてもらおうじゃないか!!」

 

 「……いい加減にしないかお前たち!これではいっこうに話が進まん!」

 

 「わ、悪かったよ。めぐみんもごめんな、悪乗りが過ぎた」

 

 「……まったく、次からは気をつけてくださいね」

 

 

 

 

 「それでは話もまとまったことだ、王都に出向く準備をするぞ」

 

 「分かりました。私はアクアを呼んできますね」

 

 「ああ、頼むぞ。?……そういえば、カズマ。アクアには了承を得なくていいのか?」

 

 「別にいいだろ。王都に行けばうまいもんがあるとでも言えば勝手に付いてくるだろ」

 

 「……私も言えた義理ではないが……カズマは随分とアクアの扱いが雑だな……」

 

 「そうよ! カズマさんも皆も私をぞんざいに扱いすぎなんじゃないの?私そんなに悪いことしてないのに!」

 

……また空気の読めないタイミングで来やがって。

 

 「アクア! 王都に行くぞ! あっちに着いたらなんかうまいもん奢ってやる」

 

 「えっ、美味しいもの!? わかったわ。今すぐ準備してくるわね!」

 

 「……なっ、ダクネス。こういうやつなんだよ」

 

「……なんというか……それでいいのか……アクア」

 

 「まあそういうことだ、それじゃあすぐに行くぞ。っと、その前に……ダクネス、俺は装備を整えにウィズの店に行ってくる」

 

 「分かった、ではテレポート屋で合流しよう」

 

 「……了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近は冒険に行くことも滅多にないし、思いつく限りの発明品の案も全部売っちまったからなぁ、あの店に行くのも久々だな。

 

 ……?…………そういえば、ダクネスは国からの勅命って言ってたな、前はアイリスからの依頼だったのになんで国から直接なんだ?

 

 それに、思えば俺ってアイリスにはどんな感情を向けているんだ? 兄弟愛か?

 

 でも、ここのところますます魅力的になったというか、小悪魔的というか……………って、おおい! これじゃあ俺がアイリスを女として見てるみたいだろ!

 

 落ち着け! 俺はロリコンじゃありませんよ。……でも、なんかムズムズするな…………ああ! クソッ!

 

 いろいろ悩んでたらいつの間にか目的地に到着していた。

 

……考えても仕方がないし、取りあえず買い物をするか……

 

 

 カランッ! カランッ!

 

 「ウィズー? 久しぶりに来たぞー」

 

 「へいらっしゃい! 最近女たちに囲まれ調子に乗りあわや王女にまで色目を使い始めた男よ! 丁度良いところに来たな!」

 

 

 ……コ、コイツもいるんだったぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はまだアイリスが登場していませんが、次回あたりから登場させたいなぁと思ってます。

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