「シュウ、僕に協力してくれないか?」
ルクスはとんでもないことを言い出した。協力?ルクスに?俺は軍人なんだぞ。
「…………何故だ」
「君の、家族を救いたい」
「俺の家族を……?」
「うん」
こいつはどこまでもお人好しだ。敵である俺を帝国から救いだそうとしている。まったく、バカなやつだ。どれだけ自分が犠牲になっても皆を助けようとする。でも俺は、家族を救いたい。助けられるなら何だってしてやるさ。例えこの国を裏切ったとしても!
「ダチの、提案だ、協力しよう。だが、どうやって助け出すんだ?」
俺はルクスが何か作戦があるように見えた。俺には全く予想できない。この混乱でも、処刑されないとは限らないんだ。
「今すぐに君の家族がいる宮廷の牢獄に行く」
「了解。下手なことするなよ?」
「分かってるよ」
ルクスなら、いや、ルクスとなら出来る気がする。俺はルクスに、親友をもう一度信じてみることにした。
「急ぐぞ!しっかり着いてこいよ!」
「もちろん!」
ルクスは俺の全速力に付いてきている。流石としか言いようがない。昔から機竜使いとして才能があったルクスだからこそだと思うが。
「ほら宮殿に着いたぞ!俺が敵を止める!その間に家族を、頼む」
「分かった!!」
俺はルクスを見届けたあと、帝国軍が来ていないか確認するが、やつらの姿はない。先程までの仲間を倒すのは少々、心苦しくなりそうだ。帝国にも、良いやつはいる。ルクスのように。
「頼んだぞ、ルクス……」
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sideルクス
急がないと。なるべく早く!僕は急いだ。シュウの、親友の家族を助け出すために。
「ここだ!」
牢獄の中に入る。通路には死体が転がっていた。帝国兵の死体が。
「一体誰が……?」
僕には想像ができなかった。一体誰が兵士達を殺したのか。今はシュウの家族を助けないと!
「!!」
シュウの母親の死体があった。僕は諦めかけて、シュウに妹がいることを思い出して走り出した。走りながら牢屋を一つ一つ確認していく。
そして見つけた。
「いた!」
僕は牢獄をこじ開け、中から1人の少女を助け出した。まだ息もあるし、怪我も見受けられない。シュウの妹、ユリシアを抱き抱え、直ぐに脱出した。
sideout
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sideシュウ
「よ、夜架……!?」
「お久しぶりですわ。シュウ様」
夜架……帝国の凶刃といわれている。相手の殺意を読み取ることが出来、殺すことに何の躊躇もない。何をしに来たんだ?夜架は微笑みながらこちらに近づいてくる。ここまでなのか………!
「何のようだ、反逆者の討伐か?」
「いいえ、違いますわ。私はあなた様と戦いに来たのではございません。むしろ協力したいと思っておりますわ」
協力?何故だ?何で帝国に忠誠を誓う夜架が俺達に協力するんだ?
「協力してくれるのはありがたいが、何故協力を?」
俺冷や汗出ている気がするんだが。夜架が協力してくれるのは助かる。だが、何故なんだ?夜架は、悪く言えば帝国の狂犬だ。
「あなたに着いて行くと言ったではありませんか、シュウ様?私は貴方に真の忠誠を誓うと」
その言葉を聞き、俺は思い出した。夜架が帝国と契約する以前に、俺は夜架と出会っていたんだ。まだ俺達が幼かった時に。
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かつて存在した国で俺は暮らしていた。けど隣国に攻められ、国は滅んだ。それで俺達家族は逃げたある国に。
それが夜架の国だった。城に迷い混んだ俺を助けてくれたのが夜架だったんだ。
「ありがとう。ここまでつれてきてくれて」
「いいですわ、お礼なんて」
俺はそれから城に忍び込んで彼女と遊ぶようになった。いつも暗くなるまで遊んで帰ったから母さんに怒られたりしたけど。
「君の名前は?」
「私の名前?」
「そう、名前」
俺は彼女と過ごして、彼女を知って、いつしか俺は彼女を守りたいと思っていたんだ。
「私は夜架といいますわ」
「夜架、いい名前だね!僕はシュウ!」
それが、俺達の出会いだった。しばらくして、俺達家族はこの国を去ることになった。国を去る前日に俺は夜架に会いに行った。
「明日、この国からでて、別の国に住むことになった」
「そう……」
「でもいつか、帰ってくるよ!君を守りたいから」
「私を守る?人の心の無い化け物の私を?」
「夜架は化け物なんかじゃない、心のある女の子だよ!だから僕は誓う。いつか夜架と再開できたら、君を守る騎士になるって」
「ふふっ。ありがとう、シュウ。なら私も誓いますわ。再開できたら私も、貴方を守りますわ。そしてあなたに真の忠誠を誓いますわ」
「約束だよ」
「はい、約束ですわ」
こうして俺達は離れ離れになった。また再び、会うことを誓って。互いを守ると約束して。
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「そうか、覚えていてくれたのか」
「忘れるはずありませんわ。あなたとの大切な約束ですもの」
夜架は少し顔を赤らめながら、言った。夜架はずっと覚えていてくれた。そして俺に忠誠を誓ってくれた。なら俺も、夜架に答えないとな。
「ありがとう、夜架。俺に付いてきてくれるか?」
「もちろんですわ」
夜架は俺に抱きついた。ありがとう夜架……。あとはルクスが帰ってくるのを待つだけだ。
「シュウ、君の妹さんは助けた。でもお母さんは……」
「っ!……………そうか、ありがとう」
ルクスは夜架に気がついていないんだろうか?
「それと、あなたは?」
「夜架と申しますわ」
「夜架は味方だ」
俺がそう伝えるとルクスは警戒を解いてくれた。ありがとうルクス、信じてくれて。夜架の噂を知っていても、ルクスは信じてくれている。
「夜架、ユリシアを頼んだ」
「分かりましたわ、シュウ様」
俺はユリシアを夜架に預け、ルクスの隣に立つ。
「そろそろ潮時だな。最後の仕上げだ」
「うん、行こう!」
俺とルクスは機竜を使い飛び立った。この国を、悲劇を終わらせるために。