「ルクス、先にいってくれ」
シュウは真剣な面持ちでルクスに告げる。ルクスはコクリと頷き、帝国兵へ向かっていく。シュウはある人物が来るのを待った。その人物はすぐにシュウのもとへ現れ、槍を向ける。
「シュウ、お前裏切るのか……!何でだよ……!」
「すまないな、特務騎士団長殿」
シュウは団長を見る。団長はシュウに機攻殻剣を構えながら睨み付ける。シュウは少し俯きながら同期生の団長を見る。団長は恨みの表情をする。
「貴様とあの漆黒の機竜を倒し、反乱軍に終止符を打ってやる!!」
団長は一気に加速。神速の勢いでシュウを切りつける。シュウは落ち着いた様子でかわしていく。団長は焦りを感じさらに加速していく。シュウはそれを軽々といなしていく。それにより団長はさらに焦りを増す。
「くっ、はぁ!」
「まだやるのか?団長さん……」
「俺は腐っても帝国軍人だ。皇帝を裏切り寝返ることなど言語道断。お前が何をしようと寝返らないし、寝返るくらいならば死を選ぶ!!」
「そうか、ならば死んでもらってでも帝国には降伏してもらうぞ」
「っ!!」
シュウは一瞬、体をずらした。特にシュウにも団長にも変化は見られない。団長は冷や汗をだらだらと流し、辺りを警戒している。
ザシュ!という音と共に団長の体が切り刻まれ、団長の機竜は墜落する。
「すまない、特務団長殿」
「あとは、ジスト隊長殿だけかな」
「呼んだか?死神。いや、悪夢のシュウ」
帝都防衛隊隊長のジスト・レンダルフは憂鬱そうに言い放つ。ジストは敵意は無いように見えるが、シュウは警戒したままでいた。
「何だ、俺と戦うのか、ジスト隊長殿?」
シュウ何気なしに言う。シュウの殺気を込めた言葉にも、ジストは気にしないようにシュウを見つめる。さすがは帝国の切り込み隊長といわれる実力者である。
「俺達帝都防衛隊は壊滅状態で、もう戦闘能力など有りはしない。特務騎士団でさえ降伏してしまったのだ、もはや帝国軍に戦闘意思はない」
「はっ、そうなら良いな。だが漆黒の機竜はまだ戦っている、終わってないんだ」
「シュウ……」
ジストは悲しげな表情をする。シュウはそんなことには目もくれず飛び立った。既に帝国軍は特務騎士団、帝都防衛隊、制圧部隊が降伏。帝都は陥落したも同然で、皇族は既に逃げ出している。
「兵士は助けても、皇族は生かしておけない。あんなクズどもは死んで詫びてもらう…………!!」
シュウは逃げた皇族の捜索を開始。近衛騎士団を破り、皇族を探す。しかし一向に見つかることは無かった。
「クソッ!!」
シュウは皇族を見つけられなかったことに苛立った。そんな時だった。帝都の中心地にある城に白旗が上がったのは。帝国が完全に敗北した瞬間だった。
「戦闘は終わったか」
シュウは城を見つめることしか出来なかった。
アティスマータ伯爵が中心となって起こしたこのクーデターは、帝国の崩壊で幕を閉じた。黒き英雄は後世にもなを残す騎士となった。