あのクーデターから5年。現在、シュウは賞金稼ぎをしていた。ルクスの借金を返済するためである。ルクスは断ったが、彼は親友であるルクスを助けたいと申し出て、半ば強引に手伝っている。
夜架はシュウとともにルクスの借金返済を手伝い、ユリシアは学園に通っている。
ここは五つの市街地からなる十字要塞都市『クロスフィード』。
その一番街区の中央通りを、三つの影が走っている。
「あの猫、中々すばしっこいな!?」
「あはは……」
シュウside
ルクスは苦笑いを浮かべていた。たかが猫一匹に手間取ってしまっているのだ。
「全く、急ぐぞ!」
「うん!」
俺達はルクスが受けた依頼の少女のポシェットを咥えている猫を追い走る。途中、町の人に声をかけられながら、猫を追った。
猫は逃げ屋根に登った。俺達も急いでそれを追う。かなり大きな建物のようだが今はそれどころじゃない。
「ようやく、追い詰めたぞ」
足場が少なくなったところで、ルクスはじりじりと猫に近づく。
そして、意を決したようで猫に飛びかかった。
ルクスが飛びかかり、猫の咥えているポシェットをなんとか取り返した。
「やった!」
「やっと終わりか」
ルクスは何とか猫から依頼人である少女のポシェットを取り返した。これで何とか帰れるな。
俺たちは屋根から降りようとした。
そんなときだった。俺たちはピシッ!という不穏な音に動きを止めた。
「「えっ……?」」
音の発生源は俺達が体重を預けている場所だった。つまり、亀裂が入ってしまったんだ。
「ちょっと待ってよ!?これって―――」
急いで離れようとしたが時すでに遅し、俺達は体重が消える感覚と共に、落下してしまった。
―――――――――――――――――――――――――
バシャァァアアッ……!!
一秒後、俺達は着水した。どうやら水があったらしく、怪我はしなくて済んだ。しかし、ある違和感に気付いた。それは水が暖かいことだ。
「ここは、もしかして―――」
ルクス、お前はとことんついてない。もちろん、この状況ならば俺もだが……。
ここは風呂場。宮殿よりは広くはないだろうが大理石の柱や壁、ランプが見える。
最悪だ……。俺は顔を伏せ、そう思った。チラッと見えたのは女性。つまりここは女湯だということだ。
「危ないっ!」
不意にルクスが叫ぶ。俺は瞬時にルクスを見る。ルクスは少女を押し倒していた。
―――は?
そこだけ見ればルクスが少女を襲っているようにしか見えない。しかし、すぐ近くに天井の破片がある。ルクスは少女を破片から守ったんだろう。
気づけばルクスは何か言っているようだ。よく聞こえない。
「……ってあれっ!?」
ルクスが青ざめて行く。あぁ……終わったな、ルクス。もしかすると俺も終りかもしれない。
「いつまで私の上に乗っている気だこの痴れ者があぁぁああっ!」
怒声と共に他の女性も「キャアアアァァァアッ!?」とや悲鳴を上げる。彼女たちはその場にあるものを次々に俺達に投げつける。
「す、すみませんでしたあぁぁぁあ!」
って俺にもかよ!?これ結構痛いぞ!?俺もルクスも急いで逃走を開始した。
「ど、どうしてこんなことに!?」
「俺が知りたいわ!!」
俺は涙目のルクスと走った。絶対に死にたくないから。
シュウsideout