それもいいと言う方は、ガウルvsクロノス戦をどうぞ
ガウルとクロノスの力は互角と言っていい、二人の戦いは一進一退どちらも引けを取らない。、
クロノスは素手でガウルの棒を受け流したり、避けている。
「なかなかやるなお前」
「へっ、それぁどうも」
二人は距離を取りそれぞれ口にする。
「………なんでだ」
「? 何がだよ」
クロノスの急の問いにガウルは不思議そうに聞き返した。
「なんでお前は……お前たちは沢田綱吉に手を貸すんだ」
クロノスの表情は何かに苦しんでいるようだった。
それは、先ほど現れた時に一瞬だけ見せた表情と同じものだった。
「……別に大した理由なんてねぇーよ。ただ、俺が助けてぇから助けてんだ」
「それだけなのか……」
クロノスは分からないという表情をしていた。
「人を助けるのにぐちゃぐちゃした理由なんていらねーだろ。ダルキアン卿たちだってたぶんそんなもんだろ。少なくとも俺はそうだ」
「……お前は自分の意思をちゃんと持ってんだな……でも俺は自分の気持ちが分からないんだ!」
クロノスは自らの手で胸の服を強く握りしめ悲痛な表情で叫んだ。
それはまるで、暗闇の中で出口を見失った子供のようだった。
ガウルはクロノスの咆哮に驚いていた。
「沢田綱吉が言った言葉が俺を迷わせるんだ、だから、俺はあいつに勝って、自分自身の答えを出さなきゃいけね-んだ!」
クロノスの表情が苦痛から怒りへと変わっていく
ガウルはその迫力に気押され少し後ずさった。
「俺は沢田綱吉と戦う。だから………邪魔をするなぁぁぁぁぁ!」
クロノスは辺りが振動しているのではないかと思うくらいの咆哮を発した。そして、さっきまでとは比べ物にならない速さで、ガウルに駆けだした。
ガウルはその速さに一瞬反応が遅れたが、クロノスが繰り出す拳をなんとか棒で防いだ。しかし、速さの推進力が加わりガウルは耐えきれず、吹き飛び壁に激突した。
「がっ!」
ガウルはたまらず吐血した。
「気を抜かない方がいいぞ。この辺はフロニャ力の加護が弱いから、怪我だけじゃすまねーからな」
「へっ……ご忠告どうも。でも、初めっからそんなのに頼っちゃいねーよ」
ガウルは棒は折れたものの、さほどダメージはないようで、不敵に笑った。
「そうか。だが、お前の武器は壊れた。これで終りだ」
クロノスはそれだけ言うと、先程と同じ速さでいっきにガウルに近づき、拳を振るった。その拳はガウルに直撃――――――――
「何!」
―――――――しなかった。
ガウルはその拳をギリギリのところで掴んでいた。
「残念だったな。俺も素手の方が得意でな」
「……今まで手を抜いてたのか」
「別にそういうわけじゃねーんだけどよ。まぁでも、それはお前もだろ」
「ふっ」
クロノスは掴んでいる手を振りほどき、距離を取った。
「お前、自分の気持ちが分かんねーとか言ったな。でも、それはいけねーことなのか」
「……なんだと」
「気持ちなんて、永久に変わらないわけじゃねー、その場その時それぞれ違うんじゃねーの。それでも嬉しい気持ち、悲しい気持ち、そうゆう気持ちを一瞬でも感じる事が大切なんじゃねーのか」
「………」
「お前は迷う事がない答えがほしいんだろうが、そんなものねーよ。人ってのは、どこかで自分の出した答えに不安を持っているんだ、それでも自分を信じることでその答えが自分の気持ちになっていくんだ。答えは誰かに聞いて教えてもらうものなんかじゃねーんだよ。喜んで、悲しんで、笑って、泣いて、いろんな人たちと、仲間と一緒にいることで答えを出すんもんだろ。少なくとも俺はそう思う」
ガウルは自分の言いたい事を言うとクロノスの反応を見ていた。
数秒の沈黙の後、クロノスは口を開いた。
「……黙れ」
クロノスは小さく、だがはっきりと聞こえる声で呟いた。
「黙れ黙れ黙れ黙れ! お前の戯言なんか知ったこっちゃねー! 戦え戦え戦え戦え――――俺と戦え!」
クロノスはただ叫んだ。意識はあるようだが、もうそこにはまともな意思はなかった。
「はぁ~、しょうがねーな俺がてめーの目を覚ましてやるよ」
ガウルはびしっとクロノスに指をさして、拳を構えた。
「俺はガレット獅子団領国王子ガウル・ガレット・デ・ロワお前は?」
「戦え戦え戦え!」
クロノスはすでに戦うことだけしか考えていなく、ガウルの問いが耳に入っていないようだ。
「おいこら! こっちは名前教えたんだかお前も教え―――」
「戦え!!!」
クロノスはガウルの言葉など無視して、突然飛びかかってきた。
クロノスは右腕をガウルに振りおろしたが、ガウルはそれをギリギリでかわした。しかし、振り下ろされた拳は地面を粉々に砕き、ガウルはそれを見て青ざめた。
(な、なんだよこの力。さっきとは段違いの威力だ。こんなのくらったら……)
ガウルは自分が、あれをくらった時のことを想像してゾッとした。
ガウルは一旦距離を取ろうとするが、クロノスはそれを許すことはなく追撃してくる。
スピード自体は先ほどより遅くなっているが、それでもギリギリ避けるのがやっとである。
だが、クロノスの攻撃は一発一発が大振りで単調で、ガウルは大体の攻撃パターンを理解した。
クロノスが右を大振りで振りぬくのを、しゃがんでかわし脇腹に拳を叩きこむ。
力が強くなったと言っても、身体が頑丈になったわけではなく、これを何度か繰り返すうちに、クロノスのスピードはさらに遅くなった。
このままいけるとガウルは確信した時、突然クロノスは攻撃の手を止め後ろに跳んだ。
(くそ、後少しで倒せたのに、どうするここは追い打ちをかけるか……いやさっき程の荒々しさがなくなって妙に静かになった。ここは様子を見たほがよさそうだな)
ガウルは、野生のカンに似た感覚で様子を見るようにした。
すると、数秒後にクロノスの右腕に黒いエネルギーが纏っていった。
「いいぞ……もっと俺と戦え」
クロノスは先程とは打って変わって、冷静に淡々と呟くが、瞳は虚ろで、戦う事しか見ていない。
(なんだあれぁ、黒々としてるけど、輝力を使ってんのか……まぁ、なんにしても)
「俺も輝力を使えばいいだけの話か! 輝力解放! 獅子王爪牙!」
ガウルは紋章術を発動させ、輝力のエネルギーまとい、腕や足に鋭い爪をまとわせた。
「よっしゃ、こっからは派手に行くぜ!」
今度はガウルが先に仕掛けた。
ガウルは爪による連続ラッシュをして、クロノスに反撃する隙を与えないようにした。
クロノスは右腕は使わず、左腕で受け止めたり、避ける行動をとるが、少しだが確実にダメージをくらっている。
「おらおらどうした! その右腕に付いているのは飾りか!」
ガウルが優勢に立っている状況だ。そして、クロノスは不気味に思うほど無表情であった。
「こいつで終りにいてやる!」
ガウルがフィニッシュ宣言を言い、クロノスを空中に浮かせるように叩き上げた。クロノスはなすすべなく、浮かされた。
そしてガウルは、足に力をため、力いっぱい地面を蹴って飛び上がった。
「天雷――――」
ガウルはクロノスの上野天井に両手をつけ、両足にエネルギーを収縮させた。
「―――――爆砕陣!」
そして、両腕の反動を使いクロノスに向かって、蹴りこんだ。だが、クロノスは右腕を構え、対抗しよとした。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
お互いの力がぶつかり合い激しい衝撃が生まれた。しかし、その衝撃に耐え切れずガウルは天井に衝突した。
「がっ………」
そして、そのままゆっくりと地面に落ちて行った。
「戦え……戦え…戦え……」
クロノスは、倒れたままのガウルにゆっくりと近づいて行った。
「ははっ……慌てんなって……」
ガウルは顔をしかめながら痛みに耐え立ち上がった。
「戦え……戦え……戦え……」
「………」
だが、クロノスはただ戦いを求めて近づいてくる。
しかし、そんなクロノスを見て、ガウルの何かが切れた。
「いい加減にしやがれ……」
ガウルは静かに怒りを混ぜ言葉を発した。
「戦え戦えうるせーんだよ。何で全部放り投げて、自分自身から目逸らしてんだよ……何楽な方に逃げようとしてんだよ。……お前は力を何のために手に入れたんだよ!」
「お前は何のために戦うんだよ……自分のためにか? 違うだろ! 自分のためだけの奴がこんなに悩むわけねー、こんなに苦しむわけねー、守りたいものがお前にはあるからだろ! なのに………こんなところで迷ってんじゃねーよ!」
ガウルの心からの叫びが届いたのか、クロノスは歩みを止めた。
「……違う……俺は迷ってなんかいねー……俺はただ戦って勝つだけた」
「その考えが間違ってんだよ! バカ野郎が!」
ガウルは再び獅子王爪牙を発動させた。だが、傷は思っていたよりひどく傷み、これ以上の戦闘はかなり厳しいだろう。
「この一撃で決めてやるよ」
「………」
クロノスも言葉は発しないが受けて立つようだ。
「獅子装爪牙!」
ガウルは獅子王爪牙によって発生するエネルギーを右腕に集中させた。
「行くぞぉぉぉぉぉぉお!」
二人は駆けだし、そしてお互いの全力の拳がぶつかり合った。
その衝撃は今のガウルの身体じゃとても受け止めきれないほど、だが、ガウルはそれでも倒れる事はなく、強い意志で戦っている。
「俺は勝つんだ……勝つんだぁぁぁぁぁ!」
クロノスの気迫に押され後ろに押されてしまう。
「お前の勝利ってなんだよ……力で敵を叩きのめすことなのか……違ぇだろ……最後に最高の笑顔ができる奴が勝ちだろ!!」
全ての力を、自分の思いを、拳に乗せ、ガウルは拳を振り切った。
そして、クロノスはその力を受けきることはできず、後方に吹き飛び壁に衝突し、壁は壊れた。
ガウルは全ての力を出し切りその場に倒れた。
「なんで……お前達は強い……」
ガレキの方からクロノスの声が聞こえた。意識はあるようだが、もう満足に戦う事はできそうにない声だった。
「別に強くなんかねーよ……ただ、お前には勝たねーとって思っただけだ」
「なんだそれ、それだけの理由に俺は負けたのか……」
「あぁ、負けたんだよ」
「……そうか、負けたんだな」
クロノスの表情は今まで見た中で、小さいが一番穏やかな顔だった。
どうだったでしょうか。
これから、戦闘シーンが少し続いてしまいます。こういう時、戦闘描写がうまく書ければと、自分の力不足に、泣けてきます(-.-)