DOG DAYS 大空の勇者   作:ポーカー

12 / 23
投稿するのに一カ月かかりすみません(>_<)
なかなか進まなく、こんなにかかってしまいました。
そんなわけで、どうぞ。


頼みとあいつ

「……ふっ、どうやら私の方が、ユキカゼさんを甘く見ていたようですね」

 

アイゼンは、自身が負けたのに、清々しい表情をして目をつぶり上を向いていた。

 

「それでは、約束通り広場の人形たちやゴーレムを止めていただくでござる」

「その必要はないですよ」

「どういうことでござるか?」

「なぜなら、私の人形たちはすでに消えていますから」

「…………へ?」

 

ユキカゼは間の抜けた声を漏らす。

 

「私の体力はもうほとんど使い切っていて、とても人形たちへの輝力供給はできないんですよ」

「そ、それじゃあの武者は……」

 

ユキカゼは先ほど戦っていた武者の事を尋ねた。なぜ武者は消えずにいたのかを。

 

「ですから、武者に私の残りの輝力全てを使ったんです。後、人形達は貴方と戦い始めた時には、もう消えていました」

「なっ、それじゃ拙者を騙したでござるか!」

「騙してなどいませんよ。ただ、教えなかっただけですよ」

 

なんのわびた様子はなく、ニッコリとしている。なんだか今はその笑顔が非常に腹立たしい。

ユキカゼはため息をついた。

 

「食えない男でござる」

「それほどでもないですよ」

「褒めてないでござるよ」

 

ユキカゼはアイゼンをジト目で見た。

そうしてると、後ろの方から声が聞こえてきた。

 

「…………ぜ!…………カゼ!………ユキカゼ!」

 

ユキカゼは振り返ると、遠くにこちらに向かって走ってくるツナが見えた。

 

「沢田殿!」

 

ツナはユキカゼの元まで走ってくると、息を切らしながら、安心した顔をしていた。

 

「はぁ、はぁ、よかった。無事みたいだ……って、なんで昨日の敵が一緒にいるの!」

「ふふ、昨日ぶりですね。沢田綱吉さん。……それにしても、私すっかり貴方の事を忘れていました」

「……右に同じでござる」

 

ツナは驚いた様子だが、ユキカゼは面目ないという顔だった。

 

「え、何が、どういうことなの!」

 

ツナは何がなんだか分からず、ただおろおろとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうことだったんだ」

 

ツナはある程度の事の詳細をユキカゼから聞いた。

 

「でも、アイゼンさんは―――」

「アイゼンでいいですよ」

「あ、うん。アイゼンはなんで俺をおびき出すような真似をしたの?」

 

ツナがそう言うと、アイゼンは通路がある方向を向き、歩き出した。

 

「え、どこに……」

「私についてきてください、理由は歩きながら話します」

 

アイゼンは一度止まり、顔だけこちらを向かせ、ツナとユキカゼを連いてくるよう促した。

ツナとユキカゼは、言われるがまま、アイゼンの後ろにつき歩き出した。

終始無言で歩いていたが、アイゼンが口を開く。

 

「私は試したかったのです。沢田綱吉さん、貴方を」

「試したいって、何をですか?」

「貴方が、あいつを救う事ができるのかをですよ」

「……あの、さっきから出てるそのあいつって、どんな人なんですか」

 

ツナは先ほどから疑問に思っていたことを口にする。アイゼンがここまで信頼してる人はどんなひとなのか、そして、何故この国を襲ったのか。

 

「そうですね……あいつの名前はレイン。私とクロノスにとっての大切な仲間です」

「仲間……」

「はい。だから私はレインの為、貴方を試したかったんです」

「?」

「……どうやらお主は、沢田殿に何かをさせようとしてるのでござるな」

 

ツナがまた分からないという顔をしてると、ユキカゼは今の話の流れで、何かに感づいたらしい。

 

「……やれやれ、ユキカゼさんには本当に敵いませんね」

 

アイゼンは肩をすかすと、その場で立ち止まり、振り返った。

 

「先程も話した通り、私にはレインの目的が何かは分かりません。ですが、彼がこれから起こすことは、彼自身が傷ついてしまうものだと思うんです」

「さっきも聞いてて思ったんだけど、そのレインって人の目的は、アクアじゃないの?」

 

今回の件で狙われたのはアクアであって、目的としては十分なものである。

 

「それはないでござろう。もしアクア姫が目的なら、わざわざこの城に長居する理由はないでござろう」

 

ユキカゼの答えにアイゼンも頷く。

 

「その通りです。レインは何故かここから動こうとしないのです。まるで何かを待っているみたいです。目的も分からないままですが、私の頼みとは、貴方にレインの手助けをしてほしいのです」

「「!」」

 

アイゼンの頼みに二人とも驚いていた。それもそのはず、アイゼンの頼みとは仲間になれ、と言っているようなものだった。

 

「それは無理だよ。俺は貴方達の仲間にはならない。 それに、手助けなんかしなくても、クロノスや貴方が居るじゃないか」

 

ツナの言葉にアイゼンは悔しげな、そして悲しげな表情をして、ツナ達から顔を背け俯く。

 

「だめなんですよ」

 

アイゼンはぽつりと言葉を漏らした。

 

「彼は自らが傷ついても何かを成し遂げようとしている、私だってできるなら、そんな彼のために何でもいいから力になりたいんです。ですが…………私ではだめなんです」

 

常に紳士的な口調であるアイゼンが、その言葉だけは、弱弱しかった。

 

「アイゼンはどうしたいの?」

 

ツナは目を会わせてはいないが、しっかりとアイゼンを見て、先程までおろおろしていた態度とは違い、落ち着いた雰囲気だった。

しかし、アイゼンは答えるどころか、顔を俯けたままだ。

 

「俺がここに来たのは、アクアを助けるため。一緒にいた時間はほんの少しで、かわした言葉だって少ない。助けてほしいから俺をここに呼んだのに、それなのに俺たちを守ってくれた。だから今度は俺がアクアを守るんだ」

「それは拙者も同じでござるよ」

「私は………」

 

二人の迷いのない言葉に、アイゼンは自分の本当の気持ちを探している。自分がしたいと思う本当の気持ち。

少しの間が空きアイゼンは何かを決心して顔を上げ、ツナを見据える

 

「私はレインを助けたい。本当の意味で彼を助けたい。仲間として、いえ友として!」

 

アイゼンの目には先程までなかった光があった。アイゼンは自分の中の希望の光を見つけたんのだ。

その目を見てツナは、安心したかのような表情になった。

 

「それじゃ、行こう。アクアを助けて、レインさんも助ける」

「え、沢田綱吉さん……」

 

アイゼンは口をポカンと広げている。

 

「どうしたの?」

「レインも助けてくれるんですか……」

「当たり前だよ。さっきはアイゼンが、心の弱さを俺の力に頼って埋めようとしたから断ったんだ。助けてって言われた時から、俺は助ける気だったよ」

「何故……」

 

助けてくれるのは嬉しいが、何故そんなに簡単に手伝ってくれるのか、分からなかった。

 

「友達を助けたいって、アイゼンが言ったからだよ」

 

その言葉でアイゼンは少しだけ、沢田綱吉という人間の事を知った、心の優しい少年と言う事を。

アイゼンはそんなツナを見てると、いつの間にか笑みの表情になっていた。

 

「ありがとうございます。沢田綱吉さん」

「今更だけど、フルネームじゃなくて、ツナって呼んでくれないかな。そっちの方が呼ばれ慣れているから楽なんだ」

 

ツナは少し照れながら言った。フルネームで呼ばれるのもいいが、やはりツナと呼ばれる方が落ち着くらしい。

 

「分かりました。それではツナさんと呼びます」

「うん。じゃそれで。ユキカゼもこれからはツナでいいよ」

「いや、拙者は沢田殿でいいでござる」

 

ユキカゼは身体のの前で、両手を交差してバツを作った。

 

「え、何で?」

「何んとなくでござる」

「何それ!」

「ふふふっ」

 

アイゼンはその和む光景を見て、細く笑う。

 

「それでは、行きましょう」

「うん」

 

ツナ達は再び、廊下を歩き始めた。アクアの元へと続く道を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この先です」

 

ツナ達はあの後、数十分歩いて、大きくきれいに白に統一された、扉の前にいる。

 

「この先にアクアが……」

「はい。そしておそらくレインも」

 

ツナは、気を引き締めるため、深呼吸をして

 

「よし、行こう!」

 

扉を開けた。

そして、そこに広がっていたのは、

多くの者が己の力だけを信じ戦い、時には勝利という甘美な味を手に入れ、時には敗北という屈辱の泥を味わう場所――――――闘技場が広がっていた。

ツナ達は闘技場の選手入場口のドアを開けたようだ。

 

「ここは……!!」

 

ツナが闘技場に入ろうとした時、突然一つの紋章術がツナめがけて放たれた。

ツナはそれをなんとかかわした。

 

「ほう、今のをかわしたか。さすがは勇者だな」

 

闘技場の真ん中に誰かが立っていた。

ツナ達は、その人物が見える位置まで歩み寄って行った。

 

「貴方がレインさんですか」

「そうだ」

 

レインの見た目は、ツナとあまり変わらない年齢に見えた。特徴的なのは髪の長さだ、後ろ髪は膝の所まで伸びている黒髪だ。服装も黒いコートに身を包んで背中に大きな剣をしょっている

 

「! この者耳や尻尾が付いていないでござる! まさか……」

 

ユキカゼもその人物が、見える位置まで歩いて行くと、信じられないという顔をしていた

 

「そうだ、かつては俺も勇者だった。だが、今はその称号が一番嫌いだ」

 

レインは吐き捨てるように言った

 

「レイン……」

「アイゼン、お前はそちら側に付くのか」

「違います。ただ私は貴方を救いたいんです。友として」

 

アイゼンは自分の覚悟をレインに伝えた。

 

「……そうか。では始めるとするか、勇者」

 

レインは背中に携えていた、大剣を抜きとり構えた。

ツナはそれを見ると、二人に下がるように促した。

 

「頼みましたよ、ツナさん」

「頑張るでござるよ沢田殿」

 

二人は一言ずつツナに言い闘技場の端っこに下がっていった。

ツナは二人が離れたのを確認して死ぬ気丸を飲み、額に炎を灯した。

 

「行くぞ」

「来い、貴様の力を見せてみろ」

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか。
あと少しで、このティラミス城での戦いも終りますので、次回も楽しみにしていてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。