はー先に動いたのはツナだ。
一瞬で間合いをつめ、右腕をあごめがけて振り上げる。
レインはそれを、難なく右に避け、左足でツナを蹴りあげた。
ツナはその攻撃を受ける前に、後ろに後退する。
「小手調べと言ったところか?」
レインは蹴りあげた足をゆっくり下ろしながら、言った。
「それはお前もだろ」
右腕をレインに向けた。
「Ⅹカノン」
死ぬ気の炎で作った球をレインめがけて放った。
だが、レインはその球を大剣で難なくかき消した。
「まだだ」
ツナはさらに連続で何発もⅩカノンを放つが、レインはそれら全て一つ残さず斬り落とす。
「無駄だ。何度やっても当たりはせん」
「だったら……」
Ⅹカノンを地面に当て、砂埃を起こす。
「ふん、煙幕のつもりか、この程度」
レインは今までとは違い、大剣を力強く振り、剣風で煙幕を吹き飛ばした。
「それを待っていた」
今までレインと十メートルは離れていた距離を、一瞬で懐に入り込み、いつでも拳を打ちこめる態勢になっていた。
そう、ツナはこの状況をあえて作ったのだ。
(速い!)
レインはツナの動きに反応しようとしたが、ワンテンポ遅かった。
レインが大剣を戻そうとすると、腹に強烈な一撃を叩きこみ、上空に吹っ飛ばした。
空中で態勢を立て直そうとするが、ツナのスピードの方が速く、背後に回り込まれ、かかと落としを繰り出すと、レインは地面に激突し砂埃で見えなくなった。
「眠るのはまだ早いぞ」
ツナは見えなくなっても、攻撃の手を休めなず、レインを落とした方にⅩカノンを連続で放った。
「さ、沢田殿少しやりすぎじゃ………」
遠くから見てるユキカゼはツナの怒濤の攻撃に苦笑いを浮かべる。
しかし、同じく二人の戦闘を見ているアイゼンは、そんな風には思っていなかった。
「いえ、あれではまだレインを倒せません」
「え、いやでもあれだけやれば、相当なダメージのはず」
「いえ、駄目です」
アイゼンは険しい表情で二人の戦闘をじっと見ている。
砂埃が少しずつ晴れていき、レインの姿が見えてきた。
「なっ!」
レインは悠然と立っていた。
「あの程度では倒せません。レインは私の知る限り最強の戦士ですから。………さぁ、どうしますか、ツナさん」
ツナは空中でホバリングしながら、じっとレイン見据えている。
あれくらいじゃ倒せていないのは分かっていたようだ。
「なるほどな、確かにお前は強い。だが、この程度では俺には届かない」
砂埃を払いながら、ツナに威圧感を与えながら言う。
「………」
「? どうした」
ツナが構えることなく見据えたままであるから、レインは不審に思った。
「……アクアはどこにいる?」
「そのことか。教えるわけがないだろ。何のために戦いを始めたと思ってる」
分かりきっている答えが帰ってくる。それでもツナは戦いの最中でもアクアの事が心配なのである。
「……アクア姫に危害は加えていない。だが、お前が負けてしまえば、アクア姫も無事では済まなくなるぞ」
その言葉にツナはレインを睨みつけ、拳を構える。
「お前のスタイルは大体わかった。次は俺の番だ」
レインは大剣を肩に乗せ、飛び上がった。
大剣で斬りかかった。それをツナは、Ⅹグローブを付けた手の甲で防御する。
だが、大剣はあまりに重く、防ぎきることはできないと、判断すると、ツナは一瞬で背後に回り込んだ。
「甘い」
「がっ…」
しかし、ツナの来る位置を正確に予測したように裏拳を顔面に放った。
そして、ツナはよろめいたす隙に大剣で斬られ地面に落ちていく。
「沢田殿!」
ツナは地面ギリギリで、両手の炎を使ったホバリングで何とか地面にぶつからずにすんだ。
「っ……これは?」
斬られた箇所を抑え気ずく。
「耐えたか、大概は今ので終わるのだがな。傷の心配は必要ない、この剣に刃はない、だから斬られたところで死にはしない」
確かに斬られてはいない、だが何度も受ければ身体の骨はばらばらに砕けてしまうだろう。
レインは静かに着地して、ツナにゆっくりと歩み寄る。
「どうした、この程度が」
「なんだとっ……」
ツナは挑発の乗り、レインに突っ込んだ。
(至近距離でなら、あの大きな大剣も使えないはずだ)
持ち主より大きな剣は確かに威力はあるが、小回りはできないと踏んだようだ。
狙い通りレインの懐に入り、レインが大剣を振るうタイミングに合わせ、何とか避け拳を叩きこもうとする。
「なっ…!」
「だから甘いといっただろう」
だがその拳は難なく避け、生まれた隙に頭突きを入れる。
ツナは頭突きの衝撃で怯むが、何とか左足でレインの顔を蹴りあげる。
しかしまた、読んでいたかのように左足を掴み、地面に叩きつけ大剣を振リかざし。
「沈め」
振り下ろした。
「くっ」
振り下ろされた剣によって、地面に大きなひびが入った。
しかし、剣の下にツナの姿はない。
「こっちだ」
ツナは炎の逆噴射により、瞬時に上空へと上がっていた。
そして、拳を振りかざし、今度こそ拳が入ると思った。
「知っている」
レインは冷静にその場から離れる。
ツナの拳は空をきる。
「またか……」
ツナは自分の攻撃が先程から当らず、顔をしかめる。
「お前の攻撃はもう俺には届かない」
「……やってみないとわからないだろ」
「分かるんだよ。俺には見えるお前の未来が」
「どういう意味だ」
その問いに答えるかのように、レインは地面に剣を刺し上半身の服を引きちぎり脱ぎ捨てた。
「「「!?」」」
そこには、水晶玉くらいの大きさの赤い球体が、胸部に埋め込まれていた。赤黒くその色は血を吸い取っているにも見えた。あまりにも不気味なそれは、今もなおレインの心臓と共に脈を打ち、ツナとユキカゼ、アイゼンさえ言葉を失った。
「こいつがその理由だ」
それを見せても、レインは平然としている。
ツナはその物体が、良いように働くとはとても思えなかった。
「お前にはこれが異様に見えるかもしれないが、お前の攻撃が当らないのは、こいつの力を借りているからだ」
赤い球体をトントンと軽くつつく。
「人間の限界以上の身体と未来予知能力。それが、こいつが俺に与えた力だ」
「………」
「だからこそ、お前に勝ち目はないここで引け勇者」
「……さっきもいったはずだ。やってみないと分からないって」
再びツナは構えた。肉体強化と未来予知能力。未来予知では自分の動きが読まれてしまう。それならなば先程まで攻撃が当らなかったのも説明がつく。
「そうか、ならやってみろ」
レインはため息交じりに言い、剣抱え駆けだし斬りかかった。
ツナは剣筋を見極めようとする。
だが、その考えも読まれていて、剣は囮で代わりに蹴りが飛んでくる。
それはギリギリでかわす事が出来たが、次は大剣を回し斬りをする。
(次にこいつは上に逃げる。そこで決める)
レインは未来を予知して、勝負の決着を既に知っていた。
しかしツナは、上に逃れる事はなかった。
腰を落とし剣はツナの頭の上を過ぎ、レインに大きな隙ができ、右腕を顔面に力いっぱい振りぬいた。
「なっ!?」
レインは対応する事ができず、後方に吹き飛ばされた。
今のは確かに手ごたえがあった。
レインは倒れそうになっていたが、何とか踏みとどまる。
「……どういうことだ。俺の予知が外れた……」
痛みよりも、自分の予知が外れた事にレインは動揺していた。
「お前の予知が外れたのは、俺が危険だと直感したからだ」
「直感だと!? そんなもので未来予知を覆したというのか……」
レインはツナを睨む。
ボンゴレファミリーボスにだけ現れる、特殊な能力ブラッドオブンボンゴレと言われている。通常の直感を大きく凌ぐ直感力があり、ツナにもその力が備わっている。
「これで条件は同じだ」
「……確かにこれでは予知能力は使えないな。だが、まだここからだ」
レインの言うとおり、予知能力が使えなくても、レインは十分過ぎるくらい強い。ツナが今まで戦って来た者達に引けを取らないくらい。だからこそ本当の勝負はここからのだ。
二人は駆けだし、拳と剣がぶつかる。激しい衝撃が二人の周りに起こる。
「うぉぉぉぉぉぉおお!!」
「はぁぁぁぁぁぁああ!!」
どちらも一歩も引かない。その場での力比べはいつまでも続くのではないかと思われた。
だが、終りは突然やってきた。
ドゴォォォォ!!
何かがコロシアムに入ってきたのである。入口からではなく、観客席を突き破りそれはやってきた。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!」
とてつもない迫力、巨大さ、そして邪悪さを兼ね備えたものであり。
その化け物はまるでファンタジーに出てくる、魔物そのもであった。
やはり、戦闘描写はうまくできていないと自分でも思ってしまいます(T_T)
後2話でティラミス城も終りです。せめてそこまで付き合っていただけると幸いです。