SAO:time   作:窓風

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EPISODE11 「宝物探検家との冒険」

 

 

2024年 6月24日 a.m.11:00

アインクラッド第48層『リンダース』

 

 

今日は休養日。もちろん俺が勝手に決めて行動してるだけ。最前線攻略も週2,3で休み入れないと疲れ溜まっちまうからな。

それで俺は1月末に中層でたまたま見つけた鍛冶屋『リズベット武具店』に来ていた。ここのスミスは結構腕が良いようで、『閃光』もここを利用してるらしい。

 

ソーマ「リズいるかー?」

リズ「はいはーい、ただいまー!」

 

そう言って店の奥から出てきたのはここの店主、リズベットだ。ついこの間、マスタースミスになったらしい。

 

リズ「あら、ソーマじゃない。メンテかしら?」

ソーマ「それもそうなんだが……そろそろ武器を新調したいなって。」

リズ「それなら、あんたに合いそうなのがあるわよ。」

ソーマ「……ほう。」

 

リズが渡して来たのは細身の片手剣。試しに振ってみると丁度いい軽さ。剣のステータスを見ても中々。

 

ソーマ「さすがだな。これスピードタイプの鉱石だろ?」

リズ「そうそう。ソーマもスピードタイプだからどうかなって。」

ソーマ「ん〜………保留かな。最前線でもドロップしなかったら買わせてもらうよ。耐久値を見るのにコレ振って折る奴がいなかったらな。」

リズ「いるわけないじゃないそんな奴。分かったわ。ほら、剣貸して。」

ソーマ「あぁ悪い。頼むわ。」

 

28層フロアボス『ワヒーラ・ザ・ブラッドウルフ』のLAでドロップした『ソード・オブ・シーツリーズ』をリズに預ける。この剣、血濡れた狼の名の通り刀身も紅いのかと思ったらそうではなく、研がれた爪のように鋭利で白い剣なのだ。また柄や鍔は樹海のように深緑で染まっている。

入手当時は剣の要求STR値が高くすぐに装備できなかった。ステ振りはどこかの黒ずくめみたいにSTR優先ではなく、STR:AGI=4:6になるように振っているためSTR値の上昇が少し遅い。結果、今年の元日にようやく装備できたということだ。

しかし、入手してから装備するまでが結構長く、その間に攻略もどんどん進んだ為、今の最前線にこの剣で進むのが難しくなってきたのだ。

 

?「やっほー!リズいる?」

ソーマ「ん?」

 

リズの仕事の様子を見てる途中、聞き覚えのある声が聞こえてきた。手が離せない店主の代わりに俺が応答することにし店内に行くと、休暇でたまにパーティを組む自称『トレジャーハンター』がいた。

 

ソーマ「フィリアじゃないか、どうした?」

フィリア「あれ、ソーマだ。リズ今いる?」

ソーマ「今俺の剣をメンテしてもらってる。お前もメンテ?」

フィリア「それもそうだけど、ちょっと気になるクエスト見つけたからね。」

ソーマ「……どんなのだ?」

フィリア「後で話すから。まずはメンテメンテ♫」

 

機嫌良さげだな。いいクエストに当たったな。内容気になる……

 

フィリアはソロでトレジャーハンターを自称するだけあって、中層プレイヤーの中では上位の実力者だ。罠解除スキル等もしっかり取ってる為パーティを組んでる側からすると結構助けられたことがある。短剣の扱いも中々だ。

 

リズ「ソーマ!終わったわよ!」

ソーマ「お、サンキュー。」

フィリア「やっほーリズ!」

リズ「フィリアじゃない!どうしたの?」

フィリア「ふっふっふ…実はいいクエスト見つけたからマスタースミスのリズも興味持つと思ってね。」

リズ「ってことは、鉱石関連?まあ、とりあえず座りましょ。お茶出してくるわ。ソーマも聞いてく?」

ソーマ「もちろん。興味ある。」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

クエスト名『白銀の大渦に生贄を捧げよ』。

 

とある村には年に一度、森の奥深くにある洞窟に年頃の女を村から1人選出し生贄として捧げ、村に災厄が訪れるのを防いでもらう儀式があるという。

 

しかし、ある年を境に村は生贄を捧げなくなった。するとその年から儀式の時期になると村を白銀の大渦が包み込み、建物を跡形もなく壊していくという。

 

その大渦は洞窟から来て洞窟に帰ることから、洞窟には大渦を操る主がいるのではと村では恐れられている。

 

また、洞窟では珍しい鉱石もあったらしいが儀式が行われなくなってからは誰も洞窟に近づいてないため、幻の鉱石とも呼ばれている。もしかしたら主が鉱石を守っているのかもしれないが、今まで幻の鉱石を探しに行って帰って来た冒険者は全員帰って来なかったという。

 

あの大渦を見るのはもう嫌だ、親友が崩れた建物の下敷きになって死んだ等々。

 

もうあの悪夢を見たくないという村人のため、この村と未来のために、主を倒して来てはくれないか。報酬なら洞窟の鉱石でも何でもやろう。

 

 

 

 

ソーマ「……なるほど、討伐クエか。」

フィリア「そうなの。それで偵察がてら洞窟に行ったら、モブがスピード寄りなのか速いのが多いんだよね。」

リズ「う〜ん、それだとあたしのメイスだとそもそもヒットすらできないかもね。残念だけどあたしはパスかな。」

フィリア「そっか…。ソーマは?」

ソーマ「……じゃあリズの代わりに行こうかな。もしいい鉱石当たったら剣作ってもらうけど。」

リズ「まぁ幻の鉱石っていうくらいだからねぇ。でもドラゴンの体内でできる鉱石のほうがあたしとしては気になるかな。」

ソーマ「それって鍛冶屋の間で噂になってるやつか?」

リズ「そうそう。一度お目にかかってみたいわ〜。」

 

そう言ってはぁ、とため息をつくリズ。それを見てくすくす笑うフィリア。

ドラゴンの体内でできる鉱石か。こっちも気になるからその内行ってみるか。

 

フィリア「それじゃ、そろそろ行くよ。」

ソーマ「おっけ。行ってくるわ。」

リズ「気をつけて行きなさいね〜」

 

そうしてリズベット武具店をあとにした俺たちはクエスト攻略をしに転移門広場へ行き、目的地を目指した。

 

 

 

◇◇◇

 

アインクラッド第46層 西部フィールド 洞窟内部

 

 

キィン‼︎

 

フィリア「スイッチ!」

ソーマ「はいよ!」

 

モンスターがポリゴンとなり、欠片となって宙へと消えていく。

 

ソーマ「だいぶ進んだな。」

フィリア「そうだね。ソーマがいないとここまで来れなかったし。」

ソーマ「敵がそこらより速いから、な。……フィリアはさ、大渦ってなんのことだか予想つくか?」

フィリア「大渦?う〜ん……最奥部のボスが洞窟から出ずに台風とかの天候のタイプの魔法で村を荒らしたのかなって感じかな。」

ソーマ「やっぱそう考えるよな…でもSAOには魔法はないから妖術とかか。」

 

思ったよりも小規模な村で話を聞き、森の蛇行した不自然な道を歩いて今、フィリアとクエストにあった例の洞窟に潜って探索中だ。

フィリアからの情報通り、この洞窟にはフィールドに出てるのよりも速い敵がいる。それに加え、潜れば潜るほど敵が速くなっている。ここまではフィリアも反応できるようだ。ただ、ここから更に潜ることになると…少し厳しいかもしれない。できたら早く最奥部に……

 

それと、何かが引っかかる。何かが……

 

と、それっぽい扉が見えた。色々と助かった。

 

フィリア「ここが、儀式の間……」

ソーマ「……行くぞ。」

 

扉を押し開け、俺たちの目に入ったものは、円形の広間。床に儀式って感じの禍々しいような模様があり、円の端は堀になっている。そして正面に見えるのは直径2m程の大穴。

 

フィリア「ソーマ!こっちに何かある!」

ソーマ「ん?」

 

フィリアに言われて端の堀を見るとギョッとした。

 

フィリア「これって……」

ソーマ「……皮?」

 

白く半透明で直径1m半はありそうな皮がいくつも堀に埋まっていた。

 

………………………………。

 

ソーマ「村を襲う大渦。森の不自然な道。洞窟の穴と内部の大きさ。堀に埋まる皮。そして、意味有りげな目の前の大穴……。」

 

 

……そういうことか。

 

 

フィリア「…ソーマ?」

ソーマ「フィリア、武器を構えろ。」

フィリア「えっ?」

ソーマ「ここのボスは、魔法とか妖術とか、そういうのは一切使わない。」

フィリア「ど、どうして?」

ソーマ「よく見てみろ。この皮、脱皮して捨てられた皮だぞ。」

フィリア「脱皮⁉︎ってことは……」

ソーマ「あぁ、ここに大渦を操るボスはいない。なぜなら……」

 

その時、洞窟全体を揺らす何かが迫ってきていた。3秒後、奴が音と共に大穴から現れた。

 

 

 

ソーマ「なぜなら、大渦がボス本体だからだ。」

 

 

 

目の前に出てきた白銀の大蛇。大きさは大穴とほぼ同じ。体長は約14m。そして、ボスの頭上に表示されたHPバー4本と名前。

 

ソーマ「『Bazilisk Maelstrom(大渦のバジリスク)』。」

 

 

やるしかねぇか。

 

 

そうして俺とトレジャーハンターは武器を構えなおした。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

次回 「神速と相棒」

 




どうも中毒野郎です。

思ったよりも早く更新できました。

でも短い。短い。クエストの内容考えるの大変だったし。結構難しい。

次話は久々なのか分からないバトルシーンです。

あと10話にて登場したアイテムの紹介。

祈願の指輪
装飾品
指輪事件の引き金となったレアドロップ品。装備するとAGI+20の加護を受けられる。ホープリングとも。
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