SAO:time   作:窓風

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EPISODE4 「獣の王」

 

 

 

俺はキリト。ここ数週間一緒にいるソーマと昨日パーティを組んだばかりの細剣使いのアスナと第1層のボス攻略に向かっているところだ。移動中での話で一つ驚いたんだが、ソーマはともかくアスナはパーティを組むのが初めてだったようでスイッチやPOTローテなどを知らなかった。行きがけにゆっくり説明して、今回担当する取り巻きの『ルイン・コボルト・センチネル』やボスの『イルファング・ザ・コボルト・ロード』の武器、攻撃パターンなどを確認した。……パーティメンバーには、死んでほしくないからな。

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

キリトがそうこう説明してくれている内にボス部屋の前に着いた。一呼吸すると今回の攻略の指揮官、ディアベルから話があった。

 

「みんな、聞いてくれ。」

 

俺とキリト、アスナを含め攻略に参加するプレイヤー、約30人が注目する。

 

「俺から言うことはたった一つだ。勝とうぜ‼︎」

 

そう言うとボス部屋の大扉をゆっくりと開ける。中は暗かったが、数歩進むと赤く光る目が見えた。と思ったら部屋の中が一気に明るくなり目の前に王なる者が雄叫びを上げていた。フォーカスを合わせると頭上に赤いアイコンと『イルファング・ザ・コボルト・ロード』と名前が表示された。周りには3体の『ルイン・コボルト・センチネル』もいる。そしてーー

 

「攻撃開始ぃーー‼︎」

「うおぉぉぉーー‼︎」

 

遂に、第1層フロアボスとの闘いが幕を開けた。

 

ただ、俺は何か嫌な予感がしていた。何かが、起ころうとしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

「A隊C隊、スイッチ!」

 

「来るぞ!B隊ブロック!」

 

ディアベルの指揮のもと、ボスの体力を少しずつ減らしていた。それにしても、ディアベルはすごいな。ボスの行動を見てそれぞれの部隊に正確な指示を出している。

 

「C隊はガードしつつスイッチの準備!今だ!交代しつつ側面を突く用意!」

 

こんな風に指揮を執れて頼りになる人は初めて見た。

 

「D、E、F隊、センチネルを近づけるな!」

「了解‼︎」

 

そう言うとキリトが迫って来るセンチネルの攻撃を弾く。と同時に俺とアスナが飛び出してソードスキルで斬り、センチネルは水色のポリゴン片となって消える。はずだったが、アスナの細剣初期ソードスキル《リニアー》の方が若干速かったようで俺の片手剣初期ソードスキル《スラント》は空振りとなった。

 

(おぉ、速すぎて剣先が見えねぇ。)

 

「グッジョブ。」

 

キリトが小さく言うと次のセンチネルへとターゲットを変える。とそこに、

 

「グアアァァォォ‼︎」

 

ボスの咆哮。もしやと思ってフォーカスをボスに合わせるとボスの体力ゲージが4段目で赤くなっていた。情報通りならボスはここでバックラーと斧を投げ捨て、曲刀のタルワールに持ち替えるはず。

 

「下がれ、俺が出る!」

 

声の主はディアベルだった。ここはパーティ全員で包囲するのがセオリーのはずだけど…………ん?今ディアベルがキリトの方を見ていた気が……。

 

ディアベルが部隊の前に出てソードスキルを発動させる。ボスは武器をタルワールに持ち替えーーーた?

 

 

 

◇◇◇

 

 

キリトside

 

 

(ディアベル……?)

 

今ディアベルが俺の方を見ていた……?いや、それよりパーティ全員で包囲するのがセオリーのはずなのになぜ1人で?

そう考えている内にボスが武器をタルワールに持ち替え…………な⁈

ボスが持ち替えた武器。それは、

 

(タルワールじゃなくて、野太刀‼︎βテストと違う‼︎)

 

「ダメだ‼︎全力で後ろに飛べ‼︎」

 

そう言い終わる直前、俺の横を何かが通った。それは……

 

「ソ、ソーマ⁈やめろ!戻って来い‼︎」

 

 

 

ソーマside

 

気がつくと走り出していた。目の前でもしかしたら人が死ぬかもしれないのに黙って見ているわけにはいかなかったからだ。キリトが俺を呼び止めようとしていたが、もう止まることなんて出来ない。

 

「間に合えぇぇー‼︎」

 

俺は叫びながら剣を体の左側で構えて《ホリゾンタル》を発動させる。そして、ボスの野太刀がディアベルを捉えようとしたその瞬間に剣を振り、ソードスキルで相殺しようとした。……しかし。

 

「な⁈」

 

ボスとのバトルが始まってすぐにセンチネルを攻撃した際、俺の剣の刃が少し欠けてしまった。もしコレが壊れてしまった時の準装備を用意しておけば良かったと後悔していた。

 

剣同士がぶつかった瞬間、ボスの野太刀がその欠けた刃の部分に当たり、『アニールブレード』の耐久値がグンッと下がり、破壊されてしまったのだ。しかも、負の連鎖は続くようで、ボスの野太刀の勢いは弱まることなくディアベルを斬った。

 

「うわぁぁぁ‼︎」

「ディアベル!っく!」

 

ボスの巨体と俺の体がぶつかり、ディアベルと同じ方向に飛ばされた俺。ボスは追い打ちをかけるように俺とディアベルを再度攻撃して、吹き飛ばされた俺たちはほぼ同じところに不時着した。幸い、俺は体力を3分の1程しか削られなかったが、ディアベルは違った。

 

「ディアベル‼︎ソーマ‼︎」

「俺は大丈夫だ!それよりディアベルを‼︎」

 

キリトが駆け寄って来て体力が無くなっていくディアベルにポーションを飲ませようとするが、ディアベルはそれを拒否した。

 

「お前も……βテスターだったら、分かるだろ…?」

「‼︎」

「LAボーナスによる、レアアイテム狙い。お前も、β上がりだったのか。」

「……頼む。ボスを……ボスを、倒してくれ…。」

 

ディアベルの体が徐々に青白くなっていく。そして、

 

「みんなの、為に……!」

 

そう言い残した瞬間、ディアベルはポリゴン片となり、消えていった。斬られる寸前までその手に握っていた、剣を残して。

 

◇◇◇

 

 

このデスゲームが始まった時、俺は、自分が生き残ることしか考えていなかった。

 

(じゃあ、またな。クライン。)

 

始まりの街で見捨ててしまった兄貴分の顔が浮かぶ。

 

だがディアベル。あんたは、βテスターなのに他のプレイヤー達を見捨てなかった。みんなを率いて、見事に戦った。俺が出来なかったことを、あんたはやろうとしたんだ!

 

 

ゆっくりと立ち上がり、剣を強く握る。すると、

 

「あたしも。」

「俺も行くぞ。」

 

アスナとソーマがいた。俺と一緒に戦ってくれるのだろう。

 

「頼む。」

 

 

そう言うと、俺たちはボスを『みんなの為に』倒すべく、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから、俺たちの快進撃が始まる。

 




どうもSAO・東方中毒です。

最難関を越えて(クリアしたとは言わない)あとは結果を待つのみ。

あぁ、この開放感すげぇ。


あ、あと久々に小説読んで泣かされました。
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