SAO:time   作:窓風

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EPISODE6 「未来のアイドルと赤髪の少女」

 

 

 

 

 

2023年、春の夕暮れを眺めながら俺は第8層のフィールドを歩いていた。このデスゲームが始まって最初の、俺にとっては約7年ぶりの春だ。

 

しばらく歩いていると、丁度良い大きさの岩が現れた。俺はそこで仮想のものとはいえ『春』を感じることにした。

 

「あ"ぁ〜よいしょっと。」

 

どっかの親父のような声を出しながら岩の上に座るとストレージから一本の剣を取り出した。4ヶ月も使い込み、先程のある特訓(といってもmob狩りだが)で遂に折れてしまったのだ。何故か刀身はポリゴン片にならずに手元に残ったのでこの後、剣の本当の主人のところへ行き、借りていた剣を返そうと思った。

 

「……………お」

 

なんとなく周囲を見回すと色鮮やかな花が咲いていた。俺はそれを摘み取り、刃折れの剣と一緒にストレージに入れた。

 

主街区『フリーベン』に戻ろうかと思った時、きゃ!という少女の短い悲鳴が聞こえた。無意識に俺は声のした方へ『疾走』スキルを全開で走っていただろう。

 

「大丈夫か!」

 

俺の言葉がびっくりしたのか、少女はびくん‼︎と体を震わせるとこっちに振り返った。

 

「あ、いえ、大丈夫なんです。ただ……」

 

と視線を逸らしたのでその後を追うと、水色の羽根をもつ子竜だった。よくさっきの声で逃げなかったな…。

 

「……モンスターが出てきたと思ったら、あたしに攻撃をして来ないんです。これって、どういうことなんでしょう?」

「あ、そういうことか。びっくりしたぞ、悲鳴が聞こえたから。」

「びっくりしたのはあたしですよ!いきなり背後から声がするんですから!」

 

少女は腰に手を当て、ぷぅっと頬を膨らませる。その姿がなんとも可愛いものだった。

 

「それで、この竜なんですけど……」

「ああ、それはな、『テイム』っていうんだ。」

「テイム……?」

「テイムっていうのはな、簡単に言うとペットみたいなモンだ。君は今、その竜を仲間にできるかもしれないんだ。しかもその竜、この辺じゃポップ率が低い『フェザーリドラ』っていうレアモンスターなんだ。」

「え!そうなんですか‼︎」

「うん。何か食べ物をあげるとテイムできるって聞いたような……。ごめんな、情報が少なくて。」

 

その言葉を無視して少女は袋入りのナッツを取り出した。その内のひとつをつまみ、竜に食べさせた。すると……

 

「きゅるる、きゅるっ♫」

「わあっ!これ、成功したんですか?」

「そうみたいだな、テイムおめでとう。」

 

竜が嬉しそうに少女の周りを飛び回っている。まさか、本当にフェザーリドラをテイムしちゃうとはな。すごいな。

 

「あ、名前も付けれるんですか?」

「聞いた話だとそうだな。当てはあるのか?」

 

少女は「はい!」と元気に返事をすると流れるようにキーを押す。

 

「あ、名前と言えば、自己紹介してなかったな。俺はソーマ。攻略組でソロだ。」

「私はシリカっていいます!この子はピナです!」

「きゅるる♫」

 

よろしく、と言ったのだろうか。子竜『ピナ』が一声鳴くとシリカや俺の周りを嬉しそうに飛び回って、シリカの肩に乗った。

 

「攻略組……すごいですね。でも、なんで攻略組の方がこんなところに?」

「あぁ、ちょっと用事があってな。」

「そうなんですか……。」

「まあなんだ。これから主街区に戻ろうと思ってるんだけど、シリカも来る?言っちゃあなんだけど、君の装備的にこの辺のモンスターとやりあえる気がしないから……。ぁ、だからって、シリカのこと信用してないってことじゃなくて……」

「ふふっ、ソーマさんって面白い人ですね。あたしも街に戻ろうかなと思ってたので、ご一緒してもいいですか?」

「構わないよ。じゃ行くか。」

「はい!」

 

シリカとフリーベンに戻るとたちまち『竜使いシリカ』の大きな話題を呼んだ。シリカと別れる寸前、「これも何かの縁なので」とフレンド登録をすると、俺は第1層に転移した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

第1層の迷宮区の入り口付近に少し盛り上がった土に剣が刺さっている簡素な墓がひとつあった。俺はその墓の前に立ち止まるとさっき摘んだ花と刃折れの剣を置くと数歩下がり、合掌した。

 

 

刃折れの剣の本当の名前はちゃんとあるのだろうけど、ポップアップメニューを開くのが面倒くさくて『ナイツ・オブ・ディアベル』って勝手に呼んでたな。

 

(ディアベル。借りてた剣、返すぞ。ありがとな。)

 

 

合掌し終えて顔を上げる。

 

「さて、帰るか。と、その前に。」

 

俺から見て右方向にある茂みに視線だけ向ける。

 

「いい加減出てきたらどうだ?」

「…………は〜あ、バレちゃったか。すごいね、君。」

 

そう言いながら茂みから出てきたのはキリトより少し背が小さいくらいの赤髪の少女だった。装備は黒を基調としたベストとスカートをはいていた。袖口から肩が出ていて、そこから白い腕が伸びていた。常日頃から発動させている索敵をかいくぐるとは、どんだけ隠蔽を上げてんだ。

 

「いつから気づいてたの?」

「8層の森で特訓してた時からかな。索敵には反応がなかったけど、なんとなく視線を感じた。」

「へぇ、すごいね。」

 

ここで、俺はふと思った疑問を目の前の少女に問いかける。

 

「それで、だ。なんで俺を尾けていた?君はオレンジとは思えないけど。」

「なんでもなにも、あんな特訓を見ちゃったら気になるよ。」

「やっぱりな。」

 

あんな特訓。まぁ確かにおそらく誰も考えつかなかったことを俺はその特訓でやっていた。内容は…………今はまだ言わない方がいいな。

 

俺はひとつため息をつくと、少女のところへ行った。

 

「……これをふざけ半分でやれば、普通の人なら死ぬだろう。だから、このことは誰にも言わないと誓ってくれないか。」

 

少女は真面目な顔をすると、絶対に誰にも言わない。と言ってくれたので耳打ちをして特訓の内容を教えた……。

 

 

◇◇◇

 

 

 

「…………へぇ、君、面白いこと考えるね。」

「いや。俺は単純にそう思っただけだ。」

「……わたしもやってみようかなぁ。」

「できれば、やめてほしい。」

 

えっ、と少女の目が開かれた。ボソッと言ったつもりなのだろうけど、俺の耳にかかればある程度の音は聞こえる。

 

「さっきも言ったけど、間違えれば死ぬかもしれないんだ。だから……。」

「ぁ、ご、ごめんね。変なこと言って。」

「……それでもやってみたいって言うなら、1層の人気のなさそうなところでやってみて。」

「…………え?」

「絶対にやるなとは言ってないだろ?そのかわり、絶対に死なないこと!」

 

そう言うと俺は右手の小指を出した。察したかのように少女も右手の小指を出して指切りをした。

 

「じゃーね!ソーマ君!会えて良かったよー!」

 

そう言いながら赤髪の少女は手を振りながら走っていった。俺はひらひらと手を振ると周りに盗聴者がいないか、索敵と勘に任せて確認すると、すっかり日も傾いてしまったので今日はトールバーナで宿を取ろうと考えた。

 

 

 

 

(…………あれ?自己紹介したっけ?なんで俺の名前を知ってたんだ?まぁいいか。また会った時に聞くか。)

 

 

 

 

 

 

 

キリトから『しばらく最前線を離れる』とメッセージが届いたのはその晩の時だった。

 

 




どうもSAO・東方中毒です。

つい先ほど、9:20から『ソードアート・オンライン オーディナル・スケール』を見てきました‼︎

まだ見てない人が多数だと思うのでネタバレは控えますが、これから見る人に一言!



『SAOマジ最高‼︎』
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