ドゥーチェ異世界にて戦うようです 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
貴重な装甲列車が3本全て破壊される頃には現地には強固な塹壕線が完成していた。
戦争により1年間で蓄えていた資金は大幅に減ったものの、補給面では圧倒的に優位であり、特許がアンチョビにあるダイキャスト製法、ライン製造法を勿論導入しているダキアの軍事工場では最高機密だった100馬力エンジンの生産が始まり、生産ラインはフル稼働していた。
農業再編の肝であるトラクター等の重機も戦争を理由に他国から輸入し、農業人口がダキア全人口の7%まで低下していたため行き渡らせるのは容易であり、改革から1年経過し、重機の扱いも程ほどにできるようになっていたため、農奴のような連中は国営工場か兵士として登用した。
やっていることが色々巻き戻ったりしているがとにかくこの時期は国家戦略が破綻するかの瀬戸際だったので焦っていたのだ。
「・・・なぁ、国産飛行機の墜落割合は今どれぐらいなのだ?」
秘書に聞く。
秘書は額に浮かぶ汗をハンカチで吹きながら答える。
「7割りです。特に訓練中に墜ちるのが多く、試作機に至っては日に7機の割合で墜ちてます。」
死者こそ少ない(魔導師が必ず複座に乗り墜ちそうになったら脱出)が前線で稼働できているのが全体の5%未満という泣きたくなるようなパイロット不足、機体強度不足であった。
航空企業を合衆国から優遇政策込みで誘致し、生産ラインを作らせているが機体のほとんどが実験段階であり、信用性は皆無であった。
しかし、戦争は研究を加速させ、止まった時計の様だったダキアの産業、軍事の研究は知識人が国を守るために命を削る様な努力で進む。
チスクも閣僚でありながら最近結婚した妻の科学者と一緒に何かの設計図を書いている。
要するに・・・ダキアの技術が戦争を機に多少は上昇したのだ。
「まぁ、そろそろ連邦も退くだろう。兵站が悲鳴をあげてるようだからな。」
先に悲鳴を上げたのがこちらの武器工場だとは・・・。
未来では簡単で強力で生産しやすいガリルだがダキアでは更なる簡素化が求められた。
そこで銃をティルトボルト方式に変更し、フルオートから単発もしくはセミオートまでに制限する構造に変更した。
「ガリルがSKSカービンの様なものなってしまったな・・・まぁこれなら鋼板プレスを多用しての量産もできるから今後30年は第一線で活躍できるだろうな。・・・まぁ平時にガリルを少しずつ造っておけば良いだけの話だが・・・後の大戦を考えるとな。」
銃だけでなく切り札が簡単に破壊され、戦略兵器の名に相応しくないと思い始めた装甲列車問題も考えなくてはいけない。
「陸上の戦艦みたいな物だからな。下の2ヵ国は装甲列車が1本有れば進行に戸惑う程の圧力を与えるからな・・・重戦車でも作るか?いや、エンジンが・・・予想だがこの戦争が終わる頃にはコストを無視すれば350馬力は行くだろうが・・・。」