やはり俺の将来設計は完璧過ぎる。   作:U.G.N

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 どうぞ



スキだからキスをする

 

 現在時刻は22時50分

 

 どれだけページをめくれど、出てくるのは数式、グラフ、図形。

 

 本当に朝までやるの?ハチマン死んじゃうよ?

 めぐり先輩も少し前からどこか行っちゃったし。

 

 もうやだ。八幡おうち帰る。あ、ここ俺の部屋だった。

 

「泣ぐ子はいねがぁ~?」

 

「泣きそうな子ならここにいます」

 

「ふふっ、どれどれ。ん?何だ結構できてるね」

 

 めぐり先輩が、後ろから覗き込むように俺の机の上を見る。

 

「それで?どこ行ってたんですか?」

 

「ふっふっふっ。頑張ってる子にはご褒美だぁ!」

 

 めぐり先輩は机の上にコーヒーとハート型のチョコレートの乗ったお皿を置く。

 

「チョコ?とMAXコーヒー!!」

 

「あ、あれー?チョコよりMAXコーヒーの方がリアクション良くない!?」

 

 めぐり先輩が何かに驚いてる。

 

「八幡くん。チョコだよチョコ!バレンタインだよっ!」

 

「ああ。ズズッ、そういえばバレンタインでしたね。ふぅ~。何かもう忘れてました。ぷはー」

 

「コーヒー飲みながら言わないで!」

 

 怒ってるめぐり先輩可愛い。

 

「もう。いらないならもういい!」

 

「ああ!ごめんなさい!欲しいです、ください!」

 

 めぐり先輩にお皿を取り上げられてしまった!

 

「……せっかく手作りしたのに」

 

「え、これ手作りなんですか?」

 

 形が綺麗だからてっきり売り物かと思った。てか、だとしたら結構すごくね?

 

「意外っすね。料理得意なんですか?」

 

「あー、えっとね、料理とお菓子作りは別物でねっ……」

 

 料理は苦手なんだな。

 

「まぁ、じゃあいただきます」

 

「うん。おあがりよっ」

 

「気に入ったんですかそれ……」

 

 とりあえずひと口。

 

「お、うまっ」

 

「ほ、本当?」

 

「はい。普通にうまいです」

 

「普通、か……」

 

「あ、いえ、とても美味しいですよ。正直ビビってます」

 

「そ、そっかぁ。……えへへ」

 

 うん。可愛いな。抱き締めたい、5時間ほど。

 

 ていうか、チョコあったんだな。……??このときに出すつもりだったということは、やはり初めから泊まるつもりだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 只今午前2時30分

 

 明日は普通に学校です。

 

「あの、めぐり先輩」

 

「……すぅ、すぅ」

 

 寝てるし。はぁ。

 

「めぐり先輩。めぐり先輩っ。寝るなら小町の部屋に行ってください」

 

 ったく。小町には夕飯のときに頼んでおいたのに。まぁ朝までって言ってた本人が真っ先に寝るとは思わなかったが。

 

 とりあえず、小町まだ起きてるか?

 

 ガチャ、ガチャガチャ

 

 ん?ドアの前に何か置いてある?

 

 強引にドアを開けてみる。

 

「あ?何だこれ、布団?」

 

 ドアの前には畳まれた布団が置いてあり、その上には1枚の紙が。

 

『めぐりさんはベッドで寝かせてあげて、お兄ちゃんがこれを敷いて寝なさい。リビングとかには行かず、ちゃんと自分の部屋で寝るように!

 P.S.今日だけは小町耳を塞いで寝てあげるね。あ、この気遣い、小町的にポイント高い!』

 

 高くねーよ!いや、布団を用意してくれただけでも良しとするべきなのか?

 同じ布団なんて、絶対理性が持たないしな。

 

 とりあえず、床で寝ているこの人をベッドに運ぼう。

 

 ……ベッドに?どうやって?

 

 ここは起こすのがベストだろう。しかし……

 

「……すぅ……すぅ」

 

 名前を呼んだくらいじゃ起きなかった。

 かといって俺にはこんな気持ち良さそうに寝ているめぐり先輩を叩き起こすなんてできない。

 

 ……仕方がない。これは仕方がないことなんだ。

 

 めぐり先輩の横にしゃがみ、右手を肩の下、左手を膝の裏にもっていく。

 

 ……柔らかい。女の人は皆こんなに柔らかいものなのか?

 

 はっ!いかんいかん!よしっ、いくか。

 

「よっこらせっ」

 

 おお。想像以上に軽い。確かに人1人分だから、綿菓子のようなんてアホみたいな解答はないが、それでも思ってたより全然軽いな。

 

 俺はそのまま移動し、ベッドに先輩を降ろす。毛布を被せて……。

 

「……?っ!!??ちょっ、と、わぁっ!!」

 

 被せようとした瞬間、手首を掴まれて思いっきり引っ張られた。

 

 このままではめぐり先輩の上にのしかかってしまうと思い、咄嗟に手をつき、何とか衝突を回避する。

 

 衝突は回避したのだが……

 

「……起きてたんですか」

 

「……うん。ビックリした?」

 

「ええ。ビックリしました。とりあえず、身体を起こしたいんで手を離してもらえます?」

 

 今のままでは、俺がめぐり先輩を押し倒したようにしか見えない。

 

「……だめ」

 

「何でですか?ていうか、そもそも何でいきなり引っ張るんですか。もう少しで激突でしたよ」

 

 至近距離でめぐり先輩に説教を始める。

 

「……うん。ごめんね」

 

「……はぁ。何でこんなことしたんですか?めぐり先輩がケガしてたかもしれないのに」

 

「…………った」

 

「え?」

 

「………ス…たかった」

 

「もう少し大きな声でお願いします」

 

「……キス、したかった」

 

 めぐり先輩の顔が真っ赤になる。

 

「ごめんなさい。もう1度お願いします」

 

「今のは絶対聞こえてたよね!?」

 

 聞こえていたからこそ、もう1度お願いするんだが。

 

「……はぁ。どうせ小町の入れ知恵でしょ?そんなの聞かなくていいんですよ。まだキスもしてないんですか、とか言われたんですか?別にそれで無理する必要は……」

 

「言われた。まだしてなかったんですかって。寝たフリも小町ちゃんの作戦」

 

「小町には俺から厳しく言っておくんで、気にしないでください」

 

「でも、そんなの関係なしに、ずっとしたかった。してみたいと思ってた。そういう気持ちはずっとあった。そして、今日の戸塚くんと小町ちゃんの会話聞いちゃって、その気持ちがより一層強くなった」

 

「せ、先輩?」

 

「さっき、八幡くんが願いを聞いてって言ったとき、わたしも嬉しいことだからって聞いて、キスだと思った。でも違った。確かに耳掃除は夢だったし、それもとても嬉しかった。でも今のわたしはもっと大きな幸せが欲しい」

 

 めぐり先輩は顔を真っ赤にしながらも、俺から一切目を逸らさない。

 

「さっき、次の夢を決めたって言ったでしょ?」

 

「……はい」

 

「八幡くんとキスをする。これがわたしの次の夢。″彼氏と″じゃない。″八幡くんと″キスをする。八幡くんじゃないと嫌だ」

 

「めぐり、先輩」

 

 

 

 

「八幡くん。キス、しよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 初めてのキスはチョコの味がしたと、後に少女は語った。

 

 

 

 

 





 次回、最終回です。
 今夜投稿するつもりです。
 最後までよろしくお願いします。

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