どうぞ
「はーい。では皆さん、そろそろお開きにしますよー」
一色が全員に聞こえるように言う。
一応ここに来ている奴らとは全員話したな。葉山と一色と飲み、雪ノ下と由比ヶ浜、あと平塚先生にも絡まれた。彩加は同じ家だからいいとして、あと三浦と海老名さんとも少しは話した。相変わらず海老名さんは腐ってて、三浦はオカンだったが。
……ん?そういえば、1人だけ話してない奴がいた。あれ、でもあいつどこ行った?確かにいたはずなんだが、もう帰ったのか?
「サキサキなら外だよ」
「うおっ!びっくりした」
あいつを探してキョロキョロしていたら急に後ろから海老名さんに声をかけられた。
ていうか、何で俺が川崎を探してたってわかったんだ。
「フフッ。サキサキね、今日ずっとヒキタニくんのことチラチラ見てたんだよ。なのにヒキタニくんはちっとも気づかないし、サキサキはサキサキで全然話しかけないしさ」
見られてたのか。ちっとも気づかなかった。
「あいつ、お前らといたのか?でもお前らと話したときはいなかったよな?」
「そのとき丁度、結衣と平塚先生のところに呼ばれてて、行ってたんだよ。わざわざその時に来るもんだから、サキサキを避けてるのかと思ったよ」
「それは偶然だ。だが、だとしたら悪いことしたな。外、だったよな?ちょっくら行ってくるわ」
「いってらー」
海老名さんに見送られ、俺は外に出た。
「うん。もうすぐ終わりだと思う。うん。うん。彼方はもう寝た?うん。はい、はーい。……ふぅ」
電話をしていたようなので、それが終わるまで待っていた俺に、川崎が気づいた。
「っ!ひ、比企谷!?びっくりした、どうしたの?」
「いや、お前とはまだ話してなかったなと思ってな」
俺の言葉に川崎が目を見開いて驚く。
「へ、へぇ、そう」
「ていうか、ずっと俺を見てたんだってな。気づかなくてすまんかった」
「は、ハァー!?べ、別に見てないし!」
「あ?そうなのか?海老名さんが言ってたんだが」
「な、あ、あいつぅ……」
川崎が俯いてブツブツ言い始めた。
「さっきの電話、旦那か?」
「え?あ、うん。もう終わりそうだったから電話しといたの。娘をちゃんと寝かしたかも心配だったし」
「ああ。彼方ちゃんだったっけ?確か、うちの夢葉と同じ1年生だったよな?」
「うん。クラスは別みたいだけど」
そう川崎の娘はうちの夢葉と同い年。保育園時代に夢葉を迎えに行ったとき、ちょうど彼方ちゃんを迎えに来ていた川崎と偶然会って知ったのだ。
まぁ、川崎はよく迎えに来ていためぐりを見て、知っていたようだが、めぐりが全く教えてくれなかったのでかなり驚いたのを覚えている。
「そういえば、うちの息子たちがよくけーちゃんに会うって言ってたな」
「ん?ああ。確かによく京華の家にいるね。私もたまにあの子の家に行くんだけど、大抵いるね」
「あ?家?京華って実家暮らしじゃないのか?」
ずっとそうだと思ってたんだが。
「いや、実家の近くのアパートの部屋を借りて、独り暮らししてるよ。そこに、よく八城とあかりは来てるね。たまに夢葉ちゃんや透君も」
「マジか。それは全く知らんかった。今度けーちゃんにお礼言っといてくれ。八城たちにも言わせとくわ」
たまに、道端で会ったりするんだと思ってたが、そんなしょっちゅう、家に上がり込んでいたとは。
「ああ。別にいいよ。京華もあの子達のこと気に入ってるみたいだし」
「そうか?」
「それにあの子は私と違って、愛想も人当たりもいいからね」
「」
彩加の野郎、本当に言いやがった。
「い、いや、お前も別に愛想が悪いとか思ってないぞ?本当だぞ?」
「ふふっ。別に気にしてないよ。私が京華より愛想が良いなんてあるはずないしね」
「……いや、お前大分変わったわ。具体的には昔の3倍くらい」
「は?」
「あ、いや、ごめんなさい。全然変わってませんでした」
こわっ、怖いよ。やっぱ変わってねーわ。
「それじゃあ戻るか」
「そうだね。……あ、ねぇ比企谷。2年のときの文化祭、覚えてる?」
「あ?何だよいきなり。いろんな意味で忘れるわけねーだろ」
「じ、じゃあさ、相模を探してるときに私に会ったのは?」
「覚えてるよ。だいたい、お前に屋上への入り方教えてもらったんだろ?」
材木座に頼んだのも覚えている。
「……あの時、別れ際にあんたが私になんて言ったかは?」
「………?何か言ったっけか?サンキューとかか?」
「………………………………………はぁ。ん、わかった。これで長年の悩みに終止符を打つことができたよ」
「……?」
こいつは何のことを言ってるんだ?悩み?終止符?
「さ、戻ろっか。早く行くよ」
「お、おお」
俺が首を傾げている間に川崎は店に戻ってしまった。
川崎から少し遅れて店に戻ると、もうすでに皆帰る準備をしていた。
「あ、八幡っ!た、助けて!」
「……彩加。俺はそれに関わりたくないんだが……」
「ヒッキー!そんなこと言わないで助けてよー!」
「由比ヶ浜、お前は一緒に飲んでたんだから、止めなかった責任があるだろ?最後まで面倒みなさい」
「比企谷くん。こんなでもこの人は貴方の上司なわけでしょ?何とかしなさい」
「…………………はぁ」
彩加と由比ヶ浜と雪ノ下にお願いされ(最後のは命令にも聞こえたが)、とりあえず酔っぱらって倒れている上司(仮)を起こす。
「平塚先生。アンタここに来る前に自分で言ったこと忘れたんですか?って酒クサッ」
「んーー?なんりゃ、ひきかやじゃないかぁ、おぼえてる、おぼえてるぞぉー!」
こりゃだめだ。
「……はぁ。ちょっと旦那さんに電話してくるわ」
「番号わかるのかしら?」
「ああ。前に彩加と3人で飲んだときもこんな感じになってな、旦那さんに迎えに来てもらったんだがその時にまたあるかもしれないからって、旦那さんの方から番号を教えてもらったんだ」
「……そう。10歳も年下だと、苦労してそうね」
「だよな。んじゃ電話してくる」
「ええ」
はぁ、来週平塚先生の横でずっとネチネチ言ってやろう。うん。そうしよう。
いつか大学生けーちゃんの話もやろうかなと思いました。
では、次回もお楽しみに
感想、評価、お待ちしております