どうぞ
比企谷小町は元気いっぱい
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンピンポーン
「だぁーー!! うるせぇーーー!!!」
もう、ほんとうるさい! この嫌がらせとも取れるインターホンの鳴らしかたをする奴は1人しかいない。高校2年になり、ていうか生徒会に入ってよりいっそうアホになったうちの妹だ。
ホント誰の影響だよ! てか生徒会つったらアイツしかいねーな。次会うことがあったらどうしてくれようか。
俺がベッドから降りて玄関に向かうと、ガチャと玄関が開く音がした。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!」
「呼んでねーよ。ていうか鍵あったのかよ。だったら何で最初っから普通に入って来ねーんだ」
「やだなーお兄ちゃん。あれは小町なりの目覚ましなのだよ」
「ありがた迷惑この上ねぇな」
玄関から入ってきたのは予想通り、総武高の制服に身を包んだ妹の小町だった。
「んで? こんな朝っぱらから何の用だよ」
「いやー、お兄ちゃんがちゃんと食べてるか心配で心配で、様子を見に来てあげたんだよ。あ、今の小町的にポイント高い!」
「悪いがさっきの雑な起こし方のせいでマイナススタートだったからプラマイゼロだぞ」
がびーん。と小町がムンクの叫びのようなポーズを取る。こいつ何かどんどんキャラがブレていってないか?
「それで? 大学生活&独り暮らしには慣れましたかな?」
「まぁ、それなりにはな。元々専業主夫志望だった俺からしたら、独り暮らしなんてどうってことないし、大学にはめぐり先輩もいるからな」
そう。高校2年の途中までは私立文系と決めつけていた俺は、めぐり先輩という強力な助っ人のおかげで見事に国公立に合格。両親も俺は私立だと思っていたことから、俺が国公立に合格したときには非常に喜ばれ、入学祝として独り暮らしをさせられたのだ。実家からでも充分に通える距離の大学だというのに。
別に追い出されたわけじゃないよね? 親父のあの嬉しそうな顔は俺が国公立受かったからだよね? 決して俺を追い出すことができるからじゃないよね?
と、まぁ入学の2週間前には引っ越してきて、そろそろここでの暮らしも1ヶ月になろうとしている。
「はぁ、でもお兄ちゃんが大学生かー。入学して2週間くらい経ったけど、どう? 友達はできそう?」
「心配してるようにみせかけて、まだできてないって決めつけてるよねソレ」
「……できたの?」
「まぁ、できてないが」
やっぱりかー、と呆れたようにため息をつきなが首を左右に振るマイシスター。
「いいんだよ別に。大学にはめぐり先輩がいるんだし、めぐり先輩の友達何人かに彼氏ですって紹介させられたし。だからめぐり先輩の友達とはラインの交換とかはしてんだよ」
「へぇー。その中に女の人は?」
「あ? めぐり先輩の友達だぞ? 全員女に決まってんだろ」
「わお」
何当たり前のこと言ってるんだ俺の妹は。めぐり先輩から男友達紹介されたりしたら、その男を問答無用で睨んでしまうまである。
「お兄ちゃん、めぐりさんの紹介でも気を付けた方がいいよ? その人たちと会うのは出来るだけめぐり先輩と一緒の時にしなよ?」
「は? 当たり前だろ? 俺が単体で複数の女子大生にわざわざ囲まれに行くわけねーだろーが」
「あ、それもそっか」
そんな恐ろしいことできるはずがない。そんなのはギャラドスの群れにキャタピーを放り込むようなものだ。しかし、めぐり先輩というげんきのかたまりがあれば、俺は何回でも甦る。
「お兄ちゃん今日は何時に行くの?」
「今日は2限からだから、まだゆっくりできる。むしろお前こそ早く行った方がよくねーか?」
俺が時計を指差す。針はそろそろ8時を指す頃だ。
「そだね。もしちゃんと食べてないなら何か作るつもりだったけど、冷蔵庫見た感じ材料もちゃんとあるし、台所も使ってある気配があるから大丈夫だね。まぁ、お兄ちゃんが使ってるのかはわかんないけどね」
にやにやと俺の顔を覗いてくる小町。流石わかってらっしゃる。
「じゃ、小町そろそろ行くね。めぐりさんに通い妻させるのはいいけど、我が儘言って愛想尽かされないようにね」
「問題ない。俺たちの間にはちゃんと愛がある」
「おお、言い切ったね」
あったりまえよ。
「お前こそ、はしゃぎすぎて戸塚に逃げられるなよ? 俺は戸塚以外認めないからな」
「問題ない。小町たちの間にはちゃんと愛がある」
「なら安心だ」
そう言い俺たちはひとしきり笑い合うと、俺のスマホの8時に合わせてあったアラームが鳴る。
「それじゃ行ってきます」
「おお。行ってこい行ってこい。気を付けてな」
小町が玄関から出て行く。さて、俺も朝飯でも作るか。んー、インスタントの味噌汁でいいや。
「……ん?」
玄関から離れようとすると、外から微かに小町の声がする。
「おい小町、どうかしたか?」
玄関から顔だけを出し小町に呼び掛けると、そこには小町と楽しそうに話しているめぐり先輩の姿があった。
「あ、八幡くん。おはよう」
「ああ。めぐり先輩でしたか。おはようございます」
話が終わったのかめぐり先輩は小町と別れて俺の方へ歩いてくる。
「へへっ。八幡くん、今日2限からだよね? 私もだから朝御飯作りにきちゃった。朝御飯食べたらちょっとゆっくりして一緒に行こっか」
「はい喜んで」
はぁ~。今日も1日頑張れそう!!
小町は私のなかでは基本ギャグ枠ですので少々キャラが壊れていますが、たまに戸塚とのドキドキキュンキュンな話も書けたらなと思っています。
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