祝50話はなんとギャグ回です。
どうぞ
「はぁ……」
ため息をつくと幸せが逃げるという。
しかし、そもそもため息とは幸せじゃないときに出るものであって、ため息をするから幸せじゃなくなるというのはどこか矛盾している。
ちなみに、俺が今ため息をついているのも今幸せじゃないからなのである。
このため息は今朝の事件が原因だ。
「……あ、めぐり先輩」
「…………」
「……? めぐり先輩?」
「…………」
以上。
何か無視された。泣きそう。いったい俺が何をしたというのだ。昨日は俺の家に来て、何かいつも以上に甘えてきたではないか。たった1日で何があったというんだ。
「おや? おやおや! 比企谷くんじゃないか! ひっきがやくーん!」
何だ何者だ!? いきなり後ろから抱きつかれた!?
「やあやあ比企谷くん。昨日のサークル活動ぶりだね!」
「この声、4番目の先輩っすか?」
「あはは! なかなか面白い覚え方だ! でもその覚えられ方は少しゾクゾクするね!」
やはり変態先輩だな。
「すんません。2年生の先輩方は番号で覚えてました」
「ああぁ!! 8人しかいないサークルの後輩から名前すら覚えられていないなんて! もっといじめて!」
「いや、別に苛めてるつもりはないんですが……」
めぐり先輩、よくこの人と付き合ってるよな。
「ミカだよ。ミカ先輩でも、ミカリンでも呼び方はなんでもOK!」
「じゃあ変態先輩で」
「ありがとうございます!!」
うーん。今まで結構独特なやつらと知り合いだったと思うんだが、これは初めてのタイプだ。
「それで? どうかした?」
「へ?」
「いやー、ちょっと寂しそうな背中してたからね」
この人、意外とよく見てるのか? それで俺を励まそうと……
「あんな背中見ちゃったら、いじめたくなっちゃうじゃない!」
返して、俺の感心と一瞬でもいい先輩だと思った純粋な俺の心を返して。
つーかこの人、ドMのくせにSでもあるのかよ。
「…………ちっ、変態が」
「ありがとうございます!!」
もうやだこの人。
「で、何があったんだい少年。お姉さんに話してみなさいな」
「いや、事が悪化しそうなんでいいです」
「あぁん! ご、ごほん。そんなこと言わずにさ」
「あの、いちいち喜ぶのやめてもらえます?」
この人手強すぎるだろ。まずいな、陽乃さん並みの面倒くささだ。
「めぐりと何かあったのかな?」
「……何かあったというか、何もなかったというか」
「なるほど! さてはめぐりに話しかけたのに無視されたな!」
「な、なんで……!?」
何故今の言葉だけでわかるんだ。この人、本当に何者だ!?
「今朝君がめぐりに無視されてるのを見てたからね! ……痛い痛い! 頭グリグリいたい!! あぁ! でもちょっと気持ちいい!!」
マジでなんなんだこいつ。女をマジで殴りたいと思ったのは相模以来なんだが。でも、この人は殴っても喜ぶんだよなぁ。めんどくせー。
「じゃあ何でそのときに何とかしてくれなかったんですか」
「無視されてしょげてる君の姿を見るのが楽しかったからだね!」
「ほんっとに、SかMかはっきりしろぉ!!」
「どちらもいけるクチです! あががががが!! アイアンクローはぁぁ! 痛いぃぃ! でも気持ちいいぃ!!」
もうすっごい笑顔。
「……なにやってんの?」
「あ、栞! やっほー!」
「……? ああ、3番目の先輩ですか」
「……その覚えられ方、ムカつくんだけど」
「あ、すんません。つい」
ついこの変態と同じ感じで呼んでしまった。
「……栞でいい」
「……あの、苗字は?」
「……苗字で呼ばれるのは好きじゃない」
……? あ、もしかして親の離婚とか再婚とかで嫌な思い出でもあるのか。だとしたら悪いことを……
「何でさ! 栞の苗字かっこいいじゃん!」
んん?
「…………」
「鳳凰院 栞。あはは! かっこよすぎ!! 栞に似合ってなさすぎ! ……ぐえぇ、苦しい! 栞、絞まってる、絞まってるから! でも気持ちいいです! キュウ」
あ、変態が落ちた。
「……ッ!」
変態を落とした後、頬を染めながら俺を睨む鳳凰院先輩。
「い、いい苗字じゃないですか! 格好いいっすよ! いやー、俺もそんな格好いい苗字がよかったなー。あははー」
「…………」
お、おお。一歩ずつ迫られている。恐いよぉ。
壁まで追い詰められた俺の横にダンッと手をつく。
ふえぇ。こんな壁ドンやだよぉ。身長差のせいで俺の胸の高さに手をついてるけど。
「……たなか」
「はい?」
「……私の苗字、田中だから」
「……はい」
鳳凰院先輩改め田中先輩はゆっくりと壁から手を離していく。すると、
「あら鳳凰院さん」
「」
たまたま通りかかったのであろう女性講師が、先輩に話しかけてきた。
「この前のレポート、凄くよかったわよ。あのレポート、模範例としてうちのゼミで配布していいかしら? 名前は伏せておくから」
「」
「鳳凰院さん?」
「…………はい、大丈夫です」
「そう。よかったわ。ありがとね」
そういうとその女性講師は行ってしまった。
「流石ですね。鳳凰院先輩」
鳳凰院先輩が涙目で襲ってきた!!
めぐりんに何があったのかは次回わかります。
次回をお楽しみに
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