南斗孤鷲拳の伝承者   作:銀の鈴

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迫りくる猛威!郡将カイゼル!!

汚らわしい淫獣である修羅の殲滅を決めた私達は、現住民のレイアさんの案内でこの付近を治める郡将カイゼルを強襲する事に決めました。

 

たった一人で夜道を歩く無用心なカイゼル。なまじ腕に自信があるせいでこの様な油断をするのでしょうね。

 

「うふふ、隙ありです。では南斗拳士百人ほどで真空波を放ち八つ裂きにして上げなさい」

 

「いやちょっと待て。いくら何でもそれは無いだろう。俺達は誇りある南斗の拳士だぞ。物陰からしかも百人がかりで遠距離攻撃って卑怯すぎるぞ」

 

リュウガ兄さんからクレームがつきました。まったく面倒くさいですね。南斗五車星だけなら喜んで命令に従ってくれるというのに。

 

でも仕方ありませんね。せっかくの戦力を分割するのは愚の骨頂ですもの。一騎当千の猛者達を集団運用しての蹂躙こそ、サザンクロスのQUEENに相応しい戦いというものです。

 

多少の意見の相違は飲み込んで仲良く集団行動をすると決めているので、この程度は許容範囲です。

 

「では、元斗拳士百人での八つ裂き光輪です。奴を燃やし尽くして上げなさい」

 

「いや、ユリア殿。私もそれはあんまりだと思うのだが」

 

ファルコまでクレームですか!?

 

この私が妥協したというのに許しがたい蛮行です。この場で折檻をしてやりたい所ですが、このままでは標的に逃げられてしまいます。

 

三度目の正直です。今度はシンが拾ってきた素直なオジサンズに命じましょう。

 

「デビルリバース、遠距離攻撃です」

 

「分かった。お袋」

 

「誰がお袋よ!!」

 

「ハァアアアアーッ、風殺金剛拳!!」

 

「うおぉおおお!? 何だこの風はぁあああっ!?」

 

巨大なオジサンこと、デビルリバースが放った暴風にカイゼルは吹き飛ばされてそのまま壁に激突しました。

 

壁に激突したカイゼルは起き上がろうとしています。ですが、意識は朦朧としているのでしょう。その動きはフラフラとしていて隙だらけです。

 

おデブちゃん(ハート様)今がチャンスです。そのお肉で潰しちゃいなさい!!」

 

「お任せあれ、QUEEN!! どりゃあああ!!」

 

軽やかなるおデブちゃんこと、おデブちゃん(ハート様)が肉団子となって空を飛びます。

 

「おーほほほほ、いつもの二倍のジャンプによって百貫パワーは二百貫パワーに、そしていつもの三倍の回転によって二百貫パワーは六百貫パワーに、そして!! そこのQUEENの体重が加わればさらに倍っ!!」

 

「そんなに重くないわよっ!!!!」

 

「ヒデブッ!! ね、狙い通りです。QUEENの怒りの飛び蹴りによっていつもの二倍のスピードを得ました。これで六百貫パワーは千二百貫パワーです!! 郡将カイゼル、あなたのパワーを完全に上回ったはずですよ!!」

 

猛スピードでカイゼルに向かって飛んでいく肉団子。よくあれだけの速度で回転しながら普通に喋れますね。人体の神秘を感じます。ちなみに私の体重は平均体重よりも軽いので安心して下さいね。

 

超速度・超回転・超巨大で元気なオジサン肉団子――つまり、超元気玉がカイゼルに命中します。

 

「ぐぼぉッ!? バ、バカな……この俺が、こんな最期だ…と……」

 

ガクリと超元気玉の下敷きになったカイゼルが力尽きました。

 

「郡将カイゼル討ち取りましたぞーっ!!」

 

「よくやった、お袋も喜ぶ!!」

 

オジサンズの二人が勝利の雄叫びを上げました。

 

 

 

 

ビックリです。

 

オジサンズの活躍で郡将カイゼルを倒したと思ったら無数の修羅が群がってきました。

 

「あのな、あれだけ大暴れして轟音を立てれば当たり前だろうが」

 

「なるほど、想定外でした。やはり実戦では何が起こるか分かりませんね。今後は留意するとしましょう」

 

「お前、時々すごくバカだな」

 

「……ほっといて下さい」

 

修羅達との正面衝突は時期尚早です。私達はすぐさまその場から逃散しました。逃げ足の速さも超一流の我が軍です。

 

私?

 

もちろん、リュウガ兄さんにお姫様抱っこです。

 

実の兄なので、シンもやきもちを妬かないから安心です。

 

 

 

 

卑劣なる修羅達の魔の手を逃れた後、今後の戦略を練っている時に思い出しました。

 

「ケンシロウ、北斗神拳は暗殺拳でしたよね」

 

「ギクッ!?」

 

南斗と北斗は表裏一体の拳法です。南斗は表の拳法として栄えました。そして北斗は裏の拳法、暗殺拳としての道を歩んだのです。

 

「ケンシロウ、この国を支配する修羅は三人いるそうです。そして北斗神拳の使い手もまた三人。なんだか運命を感じますよね」

 

「あ、いや、それは……どうかな。か、考えすぎだと思う……よ」

 

私のソックリさんの背中に隠れようとしながらケンシロウは私の問いかけに答えています。

 

そのでっかい図体が、私と同じ様に華奢な彼女の背中で隠れるわけないでしょう。

 

まったくみっともない真似はやめて欲しいわ。

 

「ケンシロウ、なんだその醜態は!! それでも北斗神拳正統伝承者か!!」

 

「ケンシロウ……いくら何でも女性の背中に隠れるのはよしたほうがいいと思うぞ」

 

情けないケンシロウの姿にラオウとトキもお冠のようですね。

 

「羅将と呼ばれる三人の修羅の暗殺。北斗神拳で可能かしら?」

 

「……第一の羅将カイオウは俺が倒そう。誰の手も借りぬゆえ任せておけ」

 

「兄さん……では、私は第三の羅将ハンを倒しましょう。ケンシロウ、お前には第二の羅将ヒョウを任せる。そこでお前は自分の宿命と出会うだろう」

 

「第二の羅将ヒョウ? 何故だ、初めて聞く名だというのに俺の心が震えているのが分かる」

 

「ケン、大丈夫? 顔色が悪いわ」

 

「心配するなマミヤ、お前がいれば俺はどこまでも強くなれる」

 

「ケン……」

 

「マミヤ……」

 

私の目論見通り、北斗三兄弟が三人の羅将を倒すことになったわ。でも、ケンシロウとソックリさんの二人がすきあらばいちゃつこうとするのは勘弁して欲しいわね。

 

「ラオウ、あなたの宿命がこの国にあったのね」

 

「トウよ、お前は安全な場所にいるがいい」

 

「……わかった、私は待っているわ。もしも貴方が帰って来なかったら、たとえ冥府だろうと追いかけて行くから覚悟しなさいよ」

 

「トウ!? お前は……」

 

「うふふ、待っているわよ、ラオウ」

 

「……わかった。お前のもとに必ず戻ってくる。楽しみに待っておれ」

 

「はい、ラオウ……」

 

「トウ……」

 

えぇっ!?

 

ラオウとトウまでイチャイチャし始めたわよ!?

 

どうなってんの!?

 

風紀委員長(リュウガ兄さん)ーっ!!

 

不純異性交遊が流行っているわよー!!

 

取締りなさいー!!

 

 

〜Fin〜




強敵を倒したユリア。また一つ、悲しみを背負った彼女はそれでも前へと歩み続ける。
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