後書きに重大なネタバレがあります。一応大幅に改行しておきました。
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最終章を除き、第一特異点のみのサーヴァントは全員書いたので箸休めです。
次からは第二特異点のサーヴァントになります。
夕食もとうの昔に終わり、職員達も一日の疲れをとろうと部屋に戻る時間だった。
そんな中、藤丸立香の部屋にはほとんどの女性サーヴァントが集まっていた。古今東西から英霊、反英霊に関係なく、人理修復のために召喚された彼女達、集まって何をするかといえば勿論男子禁制の女子会である。エミヤには事前に伝えているため、彼の人柄を考えれば聞き耳を立てに来ることはないと分かっている。
「みんな、今日は集まってくれてありがとう」
顔の前で手を組み女子会の開催を告げるのは、人類最後のマスター──藤丸立香である。
女子会のためにか、普段は殺風景な彼女の部屋にはエミヤに投影してもらった卓袱台が置かれ、参加者は全員床に座っている。
「早速だけど、みんなには今……好きな人がいるよね。そして、その人物は多分同じ人だよね」
何の気なしにさらりと本題を切り出す立香、流石にそこまで直球だと予想していなかったのか、サーヴァント達は動揺を隠しきれない。
「一体何のつもりですか、マスター?」
「アイドルさながらに、恋愛禁止の宣言でもするのか?」
立香の発言に異論をはさむのは、アルトリアと彼女のオルタ。アタックが積極的であるため、カルデアで彼女たちの想い人を知らない者はいない。
「まあ……今は戦いの最中だから、そう言いたいのは山々なんだけどね。それに、私も人のこと言えないし……」
「では、何か理由があるのですか?」
はっきりと自分の意見を主張する立香らしくもない歯切れの悪さ、疑問に思ったジャンヌは意図を問い質す。
「Dr.ロマンが『召喚されたサーヴァントは二日以内に戦闘効率が上がっている!? 一体何が』って言っていたんだけど……ここまで言えば、もう分かるよね?」
その言葉が終わると、沈黙が場を制する。立香が何を言いたいか分かってしまったからだ。
「ねえデオン、これが噂の昼ドラ展開というものかしら?」
「……多分違います。マリー」
全く違う結論に達した者もいたが、この場にいる全員は
それ故に、立ちはだかるエネミーを鬼神のごとく蹴散らし、小規模の特異点を瞬く間に走破する彼女達の姿を見たDr.ロマンは、何が彼女達を駆り立てるのか見当がつかないらしい。尤も、その原動力が一人の同じ男によるものとは夢にも思うまい。
「……結局、どうするのですか?」
「聖女としては止めるべき……なのですが、やはり」
これは、人理修復の戦いにおいて由々しき問題である。メドゥーサが先陣を切ると、葛藤している聖女マルタが後に続く。
「何を愚図愚図しているのかしら、貴方達が遠慮しているならエミヤは私が貰うわ」
「何?」
「させません」
痺れを切らしたカーミラ──言い方の割に大人しく座っている──は高々と宣言するが、二人のセイバーによって同時に牽制される。
「ここからが本題だよ、みんな……協定を結ばない?」
これ以上騒がしくなる前に鶴の一声で場を収める立香だったが、その発言は返って参加者を騒然とさせる。
「それは、なんな……どういった内容なのですか?」
「簡単な話だよ、要は独占を禁止しようってこと。話をしに行くのは自由だけどね」
思わず素が出そうになったマルタの確認に対し、立香の提案は簡素なものだった。
そして、立香から逆に問われる。
「それにみんな、
ダヴィンチ曰く、カルデアのシステムでは、霊基を保存することで同じ英霊の再召喚が可能である。絆を結べば、戦いで力を貸してほしいと思った時だけ座から呼ぶことができる便利な機能だが、この場に集った全員はその情報を知っていたものの、そもそも座に帰ることを考えていないため、立香の問いに答える者がいるはずもなかった。
「だからさ、協定を結ぼう」
女子会最後の言葉は立香の決定の言葉で締めくくられた。
女子会も終了し卓袱台を寄せた立香、部屋にはまだ一人のサーヴァントが残っていた。
「マスター、清姫はともかくマシュはどうしたの?」
珍しいことにカーミラである。女子会の最初から最後まで不在だったマシュが気がかりらしい。
「清姫から聞いたんだけどね、マシュはエミヤのことどう思っているのか聞かれたときに、『エミヤ先輩は先輩と同じくらい尊敬しています』って答えたんだって。……その気持ちの正体がはっきりしていなかったから、呼ぶに呼べなかったんだ」
「……なるほどね。それにしても、何で協定なんか結んだの? まあ、貴方らしいとは思うわ」
「だって……不公平だもの」
質問に答え、最後に右手の甲をカーミラに向ける立香。カーミラにはそれだけで立香の意図が伝わった。
「分かっていたけど、やっぱり貴方らしいわ。今のところは、貴方に従ってあげる」
その言葉だけ言い残し、カーミラも立香の部屋から出て行く。
とうとう一人になった立香が、ふと部屋の隅を見ると──
「フォウ!」
まだ客人が残っていたことに気付く。優しく撫でながら謝罪する。
「ごめんね、気付けなくて」
フォウは気にした様子はなく、撫でられるがままだった。
立香とマシュの主従関係は美しい、そして何より彼女は誰に対しても対等であろうとする。それが不利益を被るものであっても、愛憎劇になるはずだった話を収めた上で、彼女は自分らしさを保っている。その真っ直ぐな心は、曇ることなく眩い光を放っている。
しかし、エミヤのことは嫌いな訳ではないが、彼も惚れられていることを実感するべきだと思う。まあ自己評価が低いことが彼の良い所でもあり、悪い所でもある。もう少し見守ることにしよう。
……明日はエミヤにも毛繕いを頼もうかな。