魔法科高校の劣等生 -another family- 作:まな板の上の処刑人
おまけにちょっとアレを少しだけいれました。
陸に戻った後、国防軍が魚雷に関して事情聴取をしてきたが、詳しく説明して納得させた。
そして、那音が懸念していた思いは非情にも現実になってしまった。
8月11日、大東亜連合が沖縄に侵攻、沖縄海戦が勃発した。それに伴い、深夜はこのまま別荘にいては危険と判断し、身内を連れて国防軍のシェルターに向かっていた。
シェルターに入ると、すでに近辺の住民達が避難していた。皆不安の表情をしていた。
護衛の兵士に案内されてそこで座って落ち着いていると、遠くから銃声が聞こえた。
達也と穂波、那音はその発砲音がした方向へ目を向け、外の状況を確認しようとしていた。
「達也さん、外の状況分かりますか?」
「・・駄目ですね。魔法を阻害する術式が展開されて、外の状況が見えません。」
「那音さんもですか?」
「同じだね。干渉も無駄でしたし・・」
ここで那音は考えた。
(待てよ・・?どうしてここにこんな術が張られているんだ?もし敵に発見されたくなかったら、また遠い所に避難すれば良い話だ。なのに何故・・)
考え込んでいると、一人の男が近づいてきた。
「君達、魔法師かね?」
「ええ、そうですが。」
穂波が問いに答えると、
「だったら、外の様子を見てきてくれないか。」
「「「は?」」」
三人とも驚愕していた。何故見ず知らずの他人に頼みをするだろうか、と。
穂波は気持ちを落ち着かせて答えた。
「私達は貴方の使用人ではありませんよ?」
真顔で話しているが、オーラが見える程怒っていた。第三者からすると、すぐさまその場から離れたいくらいの修羅場のように見えるだろう。それでも男は続けた。
「君達魔法師は社会に対して奉仕するための『もの』なんだろう?」
この言葉を全国の魔法師が聞いたら問答無用で殺しにかかってるだろう。しかし穂波はその殺したい衝動を抑えていると横から達也が口を開いた。
「確かに我々は魔法師ですが、魔法師の目的は『社会への奉仕』ではありませんし、貴方個人に従う理由もさらさら無いじゃないですか。」
見るからに青筋をたてている男。それでも苦し紛れに反論する。
「くっ・・、子供のくせに生意気おって・・」
そこに那音が畳みかける。
「子供相手にそんなに怒って、恥ずかしくないんですか?貴方の家族見て下さいよ。」
「なにを!?・・っ」
男は言われて家族のほうを見た。そして家族に軽蔑の目で見られていることに気づき、気力を失って戻っていった。
その後空気は悪くなったが、深夜がそれを破った。
「達也、外を見て来なさい。」
「しかし、それでは・・」
「こっちは任せてよ、達兄。」
「・・わかりました。それでは行って参ります。」
そう言って達也はシェルターから外へ出た。
達也が外に行っている間、那音達は待機していると、一人の兵士が入ってきた。
「失礼します!空挺第二中隊の金城一等兵であります!」
その後から三人の兵士が続いて入ってくる。
周りの人達は新しい援軍が来て、安堵している。だが、那音と穂波、深夜は警戒を強めた。
「皆さんを地下シェルターにご案内しますので、付いてきてください。」
「すみません、連れが外から戻ってきてないんですが。」
那音の言葉に金城一等兵は顔を顰めた。
「しかし、敵の一部はすぐそこまで侵入しています。」
「金城君といったかな、先に私達を案内してくれないか。」
さっきの男が言うと、四人の兵士は話し合いだした。ここで、那音はさっきの疑問の答えがでて、深夜に小さい声で話した。
「母さん、多分あの四人はスパイかもしれない。」
「あら、那音もそう思っていたの?」
「てことは、母さんも?」
「ええ。でも、直感ですけど。」
「それでも、用心に超したことはないから。あと、『アンティナイト』も持っているから僕の後ろにいてね。」
「あら、それなら安心ですわね。」
そう言いながら深夜は那音の後ろに立った。それに続いて深雪も隠れ、その二人の間に穂波が守るにように入る。
それと同時に話し合いが終わった。
「やはり皆さんをここに残すわけにはいきません。連れの方は仲間が迎えに行きますので、付いてきて下さい。」
先ほどより威圧をかけるようにはしているその時、大きく扉が開かれた。そこには怪我をした兵士がいた。
「ディック!どうして裏切ったんだ!」
しかしその兵士を見た途端、金城一等兵が銃を乱射し始めた。
その瞬間、那音は右手で
するとすぐに、四人のうちの一人が『アンティナイト』を起動させた。
『アンティナイト』。魔法師に対して無意味なサイオン波、通称「キャストジャミング」を大量に散布し、魔法式の展開を阻害する無系統魔法を発動させる物質。
相手がマシンガンを放つが、那音は干渉力で凌ごうとしていた。しかし、ここで問題が起きた。キャストジャミングの波を完全に抑えきれていなかった。
そのため、所々弾が通り抜けている。幸い、穂波さんの魔法には影響が無かったので深雪と深夜に弾は届いていなかった。
だが、那音は焦っていた。
(やばい、このままじゃ押し負ける!)
このままキャストジャミングを受け続けるといずれ魔法が消えてしまい、深夜達に怪我をさせてしまうと考えた。
そこで、ある一つの賭けにでた。
それは加速系魔法のベクトルによる弾幕の方向変換だった。那音の技量であれば、二つの魔法を同時展開することは可能だが、キャストジャミングにより効果が薄くなってる今、同時展開でさらに薄れる可能性があるため、『消失』を一旦消して加速系魔法を展開するのが最善と考えている。
(しかたねえ、やるしかない!)
那音はすぐに左手で魔法式を構築していく。そしてタイミングを見計らって『消失』を消し、加速系魔法を展開する。
しかし、展開に少し時間が必要になるため、弾幕が那音の体を貫いていく。
「ぐっ・・!」
弾幕の慣性により、体が後ろに飛ばされる。しかし、気合いで踏みとどまり、ベクトル変化を発動させた。空中でこちらに向かっていた弾幕が一斉に四人の兵士の方へ飛んでいった。それぞれの体から血が流れ出し、床に倒れた。
那音は一段落したと同時に、瞼が重く感じた。
「やべえ・・やらかしたかもな。」
そう言い残し、倒れ込んだ。
「那音さん!大丈夫ですか!?」
穂波が叫びながら那音の元へ駆け寄り、胸元に耳をつけて心臓の鼓動を確認した。
「良かった・・!まだ息はしている・・!」
安堵して顔を上げると、深雪が那音の頭を抱えて必死に呼びかけていた。
「那音!しっかりして、那音!」
まだ生きていると伝えようとした時、外へ繋がる扉が開き、達也が息を切らしながら入ってきた。
「穂波さん、大丈夫ですか!?」
「私と深雪様達は怪我はないですが、那音さんが!」
穂波の言葉で達也は那音に目を向けた。血塗れの姿を見て表情が険しくなり、すぐさま左手に持っていたCADを那音に向け魔法式を放った。
『再生』。達也が生まれながらに手にしていた魔法。体内のエイドスを最大二十四時間遡らせて、身体的損傷を受ける前のエイドスをコピーさせる魔法。これを受けると全ての傷が消え、なんの怪我もない体に戻る。但し、治している間、受けた外傷の苦痛を何倍にも圧縮して自分の体内に入れている。
やがて那音の外傷が消えていき、服に付いていた血糊も無くなっていった。するとすぐに那音は起き上がった。
「あれ、生きてる!?兄さんやってくれた!?」
「ああ、しっかり治しといたぞ。あと、よく守ったな。」
達也はそう言いながら那音の頭を撫でた。恥ずかしいのか、少し照れながら笑っていた。
撫で終わった後、後ろから風間隊大尉と真田中尉がやってきて頭を下げた。
「反逆者をだし、その被害に遭わせてしまい申し訳ない。罪滅ぼしにはならないが、望むことがあるならなんとでもいってくれ。」
そう言うと、達也は頭を上げて下さいと告げ、現在の状況を求めた。
「敵の侵攻はどこまで来ていますか?」
「名護市南西部に揚陸部隊がすでに上陸しており、那覇から名護にかけて
そうですか、と達也が理解し、那音が一つ質問した。
「僕達も戦闘に参加させて頂けますか?」
風間達は驚いていた。いくらなんでも中学生達が闘うのは無茶だと。
「何故参加したいのだ?」
これは聞かずにはいられなかった。それに二人は答えた。
「それは、自分の家族に手を出されて怒らないひとはいないでしょう?だから、それ相応の報いを果たしに行くんですよ。」
「深雪に手を掛けたのですから、その報復を受けさせるんですよ。」
目が怒りに燃えていた。達也も同様であった。風間はこれでは断れないだろうと許可を出した。
「・・いいだろう。真田、アーマースーツを二着用意しろ。武装型も頼む。」
「あ、CADだけでいいですよ。」
「・・何故だ?どうしていらないのだ。銃弾が飛び交うんだぞ?」
風間が聞くと、那音はニヤッと笑って答えた。
「だって僕たち、当たりませんから。」
話が終わったあと、達也と那音は深夜に頭を下げていた。
「申し訳ありませんでした。」
「母さん、勝手に決めてごめんなさい。」
「全く、この子達は・・」
深夜はハァ・・とため息をつき、呆れていた。だが、すぐに声を変えた。
「やると言ったからには、しっかりやってきて下さいよ。」
達也達が顔を上げると、深夜の顔は微笑んでいた。
それに答えるように意気込んだ。
「任せて!」
「お任せ下さい。」
二人は外に出て戦場へ向かおうとした時、深雪に呼び止められた。
「お兄様!那音!」
達也は振り向いたが、那音は振り向かなかった。
「二人が行かなくても、軍隊がいるじゃありませんか!それに、二人に危険なところに行って欲しくありません!」
しかし、二人は深雪の願いを否定した。
「深雪、さっき言った通り俺はお前に手を出されたから仕返しに行くんだ。じゃなきゃ、俺の気が済まないんだ。こんなわががまな兄でごめんな。」
達也は優しく微笑んで答えたが、
「那音・・?」
那音は一向に後ろを振り向かずに話さないため、深雪は不安を抱いた。
よく見ると、拳を振るわせている。やがて口を開いた。
「俺は・・自分が攻撃を許したことで、皆に怖い思いをさせたんだ。だから・・今その償いを果たしたいんだ。」
深雪は那音が怒りに怒ってるのが見て分かった。
「そう・・ですか。分かりました。気をつけて下さいね。」
そう言うと深雪は那音に近づいていった。
「どうした、深雪?」
達也は何をするのか不思議に思っていた。すると、後ろから那音を抱きしめた。
「み、深雪姉!?」
那音は突然のことに声を大にした。その様子に深雪は安心して微笑んだ
「那音、自分を消さないで。絶対によ。」
「ありがとう。助かったよ。」
そう言うと、深雪は戻っていき深夜達と一緒に新しい避難場所へと向かった。那音はさっき抱きつかれたときに背中に当たった二つの柔らかい感触を頭の中で思い巡らしていた。
「・・・・ふふ。」
「話しは終わったか?」
「うおぁ!!びっくりしたな!」
「ほら、早く行くぞ。」
「はいはい。分かりましたよー。」
少し不貞腐れるように答えた。
「柔らかかったか?」
「そうだね。あれは・・・・」
突然流れる沈黙。那音は全身から冷や汗が止まらず、兄の方に顔が向けれなくなった。
「お前終わったら一発な。」
突然の兄からの死刑宣告。那音は必死に弁論した。
「待って!?さすがにあれは不可抗力でしょ!!絶対兄さんだってあれをされたら同じ事を思うよ!!」
だが何を言っても達也はスルーした。
「こうなったら、この理不尽も全力で当ててやる。」
「それが最善だ。」
二人とも納得して、戦場に向けて足を動かした。
ーーーこれより、二人の悪魔が降臨するーーー
リクエストなどがありましたら、どんどん下さい。
疲れた・・。