魔法科高校の劣等生 -another family-   作:まな板の上の処刑人

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ようやくだせました・・・・。

リアルが忙しすぎて平日は殆どPCに触れず、土日しか作成出来ませんでした。

遅くなって申し訳ありません。

前回宣した通り、那音視点で書きます。

一人称はあまり慣れてませんが、暖かい目で見て頂ければ嬉しいです。


入学編
入学編1


四月三日

 

こんにちは、那音です。僕は達也兄さんと深雪姉さんと共に魔法科大学付属第一高校に入学することが出来、無事に入学式を迎えました。今はその会場となる講堂の前で・・・・何故か兄さんと姉さんが言い争っています。

 

「納得いきません!」

「まだ言っているのか・・?」

「ここまでくると意地張っちゃうのかな。」

 

その原因は兄さんの入試結果が余り振るわず、二科生になったことだ。ここ、第一高校は定員二百名のうち上位百名は一科生としてA~D組に入学し、下位百名は二科生として入学することになっている。その違いは制服の花弁の有無と、魔法実技指導の有無である。

ちょっと説明が長かったね。ともかく姉さんはこの結果に不満があったわけだよ。ちなみに姉さんは主席だったよ。僕?まだ分からないよ。

 

「何故お兄様が補欠なのですか?入試の成績はトップだったじゃありませんか!本来であれば、総代はお兄様か那音が務めるべきですのに!」

 

何故姉さんが入試の結果を知っているのかは聞き流そう。あとなんかこっちにも被害がきそうなんだけど。

 

「魔法科学校だから、ペーパーテストより魔法実技が優先されるのは当然じゃないか。自分じゃあ二科生として入れたことが驚きだけどな。」

「さらっと嘘を言うのがうまいね、兄さんは。」

 

昔、兄さんに埋め込まれた人工魔法演算領域は消したはずだし、大抵の魔法発動速度は人並みにできるだろう。なのに、入れたことが驚きというのはどういう謙虚だろうか。

 

「それに!那音も手をぬいて受けていたでしょう!」

 

そして僕にも白羽の矢がたった。

 

「あなたとは十点差でした。実技はほぼ満点でしたのに、入学試験では相次いで無回答がありました!」

 

おお、ホントにあれで点数調整が出来たんだ。上手い具合に勘があたってよかったよ。

 

「まぁ・・・・抜いてたよ?」

「やはり、人前に立つのは嫌いですか?」

 

姉さんは覗き込むように僕の顔を見る。他人がこんなことされたらすぐににげるだろうね。

 

「そうだよ、一学年全員の前に立つなんて地獄より酷い仕打ちじゃないか。」

 

冷静に僕は返した。そう、僕は人前に立つことが大の苦手なのだ。今回もそれが関係していた。主席で入学すると、新入生総代としてステージに立ち、答辞を述べることになっている。それを回避するために、点数調整をして主席から逃れるようにした。

 

「ところで姉さん、時間大丈夫かな?」

 

ふと、答辞のリハーサルの時間が気になり、すぐ近くにある時計に指をさして確認させた。

 

「あ、もうすぐだわ!お兄様、那音、行って参ります。・・・・見ていて下さいね。」

「ああ、行っておいで。しっかりと見届けるよ。」

「頑張ってね、姉さん。」

 

どうやら間もなくだったそうで、急いで打ち合わせに行くことを告げ、小走りで講堂に向かっていった。僕らは見送った後、この後どうするか話した。

 

「さて、この後はどうする?式まで一時間以上あるけど。」

「ここの敷地の構内図を把握しながら休める所を探すぞ。」

「了解。」

 

 

 

 

 

 

実技棟、射撃場、カフェテリアなど様々な施設を回ってきたが、一向に休める所が見つからない。もしかして無いのかな?

 

「お、あったぞ。」

 

そんなことを思っている内に、兄さんがベンチを見つけた。良かった、このまま歩き続けてたら足が棒になるところだった。

ベンチに腰をかけ、一息ついたところで音楽プレーヤーを起動させて音楽を聴こう。兄さんは携帯端末を開いて書籍サイトアクセスしている。ふと周りを見ると、上級生達がバタバタと忙しく走っていた。多分生徒会とかの人達かな。その様子を見てると少し申し訳ない気持ちになっちゃうな。

けど、そんな気持ちもすぐに消えていった。

 

―――あの子、ウィードじゃない?

―――こんな朝早くから・・・・補欠なのに張り切っちゃって。

―――所詮、スペアなのにね。

 

先程とは違う上級生達が兄さんの方を見て、嘲笑うように言っているのが口の動きで読めた。しかも、学校内では建前で禁止されている言葉で実の兄を貶されるとなんだか怒りが湧いてきた。

『ウィード』。制服に花弁の刺繍が施されいない二科生を、花が咲かない雑草として揶揄した言葉。二科生は元々一科生が不祥事の事故などで退学した場合、その穴埋め要因として一科生に転入する。だが前回説明した通り、二科生は一科生と違い魔法実技の個別指導を受けられる権利が無い。つまり二科生は教えられないのを前提として入学を許されているのだが、正直この人(兄さん)にはいらない気がするよ。しかも、学年が上がるごとに試験を受けるためチャンスはある。簡単に一科生になれるはずなんだよ、本気を出せば、だけどね・・・・

そんな自分としては下らないことを考えていると、式の三十分前になっていたのに気づいた。

 

「兄さん、そろそろ行かない?」

「そうだな、いい時間だし行くとするか。」

 

兄さんも同じことを考えていたようで、携帯端末をしまっていた。僕も立って音楽プレーヤーを仕舞おうとすると、前方から声を掛けられた。

 

「新入生ですね?開場の時間ですよ。」

 

顔を声の主の方向へ向けると、携帯型のCADを手にした女子生徒が立っていた。そういえば敷地内でCADを所持していいのは生徒会か風紀委員会に属している人だったかな。てことは先輩か。さっき失礼な言い方しちゃったな。

 

「そうですか。すぐに行きます。那音、行くか。」

 

兄さんはその言葉に素っ気なく返して僕を促した。もうちょい真面目に返しても良いのに・・・・

すると先輩は目を見張って僕たちを見始めた。

 

「えっと・・きみが司波那音くん?てことはあなたがお兄さんの司波達也くん?」

「え、えぇ・・・・そうですが。」

 

あれ、なんで僕たちの名前しっているんだろう。

 

「貴方たちが『あの』司波兄弟なのね。」

「あの、とはどういうことですか。」

 

兄さんが強調された部分を聞いた。一体何をやったのか見当がつかない。

 

「貴方たちの噂は職員室で持ちきりよ。達也くんは入学試験が七教科平均、百点満点中九十六点。特に魔法理論と魔法工学は圧巻で、合格者の平均が七十点にも満たないのに、両教科とも小論文も含めて満点。

妹の深雪さんと弟の那音は総合得点で三位以下を離して主席と次席になり、那音くんに至っては魔法発動速度が歴代最速の記録をたたき出したのよ。こんな兄弟初めてみたわよ。」

 

なるほど、確かに兄弟全員がさまざま記録を出したなら噂にならない方がおかしいね。てか、いまさらだけど

 

「また兄さんに試験で勝てなかった・・・・」

「俺に勝とうなんざ一生無理だな。」

 

少しバカにしながら兄さんは僕にほくそ笑んだ。ちくしょう・・・・いつか絶対抜かしてやる。

と、そこに先輩は何かを思い出したのか、あっ、と声を出した。

 

「申し遅れましたが、私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美(さえぐさまゆみ)です。『七草』と書いて『さえぐさ』と読みます。よろしくね。」

 

生徒会長という所に驚きはしたけど、また違う驚きがそれを超えて顔を顰めた。

 

(数字付き(ナンバーズ)・・・・さらには『七草』か・・)

 

この現代社会の中で魔法師社会の頂点に君臨する『十師族』。その中でも発言力があるのは実家である四葉家と、会長の家系である七草家。けど、この両家の仲は大漢事件によって悪くなった。けど。自分としては次代である僕たちの代では直していきたい。

 

閑話休題(それはそうとして)

 

「あ、やばい兄さん!もうそろそろだよ!」

 

時間を忘れてもう十分前になってた。もし出席出来なかったら学校の立場よりも姉さんの最高の笑顔(死刑宣告)を受ける方が生きていけない。

 

「すいません会長、これで失礼します。」

「いえ、こちらも待たせてごめんなさいね。」

 

会長に一礼して僕たちは講堂に向けて足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

講堂に着いて中に入ると、少し異様な光景が目に入った。

 

「うわぁ・・・・これは・・・・」

「無意識でこうなるとはな。」

 

上段には二科生、下段には一科生とくっきりわかれて座っていた。別に何も決まりも無いのに自分達からこうしているのを見ると逆に感心するよ。

 

「最も、差別意識を持つ人は差別を受けている人だけどな。」

「まあそうだけどさ、あまり口に出さない方がいいよ。」

 

反感を買って兄さんの居場所を無くなったら母さんが暴走しかねないし。

 

「とりあえず、一旦離れるか。」

「OK、また後で。」

 

初日から注目されるのは性に合わないから、周りに合わせるように下段へと進んだ。

空いている席を探していると、周りの女子が僕を見て黄色い悲鳴を上げていて、男子からはめちゃくちゃ睨まれた。できるなら君達と変わりたいくらいだよ。

そんな事を心の中で愚痴っていると、三席空いている場所を見つけた。その隣の人に断りを入れてから座った。にしても、姉さんはどんな文を作ったのかな。普通に感動させる文・・・・いや、逆に驚かすような文かも。

 

「あの、隣空いていますか?」

 

と、考えていると女子二人組から声を掛けられた。

 

「ええ、空いてますよ。」

「ほ、ほんとですか!?ありがとうございます!」

 

何故か答えただけなのに謝られた。少し身を乗り出して周りを見てみると殆ど席が埋まっていた。なるほど、他はどこも空いてなかったからか。

 

「あ、あの。私は光井ほのかといいます。」

「私は北山雫。よろしく。」

 

二人は笑顔で自己紹介をしてくれた。僕もそれに返すように自己紹介をした。

 

「僕は司波那音。よろしくね、ほのかさん。雫さん。」

「よろしくお願いします。那音さん。」

「よろしく、那音。それと私のことは雫で良いから。」

「あ、じゃあ私もほのかと呼んで下さい。」

「わかったよ、雫、ほのか。」

『間もなく入学式が始まります。』

 

司会の声が聞こえ、僕たちは静かにして入学式に臨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ、さすが姉さん。完璧な答辞だったね。内容は結構危ない所を触れてたけど。

『皆等しく』とか『魔法以外でも』とか、ここの人達は選民思想が強いから凄い不安になって周りを見たけど、姉さんの美貌に見とれててそれどころじゃ無かったよ。

入学式が終わった後、雫達と一緒に窓口でIDカードを受け取りにいった。

 

「那音は何組?」

 

雫から僕のクラス先を聞かれて受け取ったカードを見て答えた。

 

「僕はA組だね。」

「ホントですか!?」

「うん、そうだよ。」

 

ほのかの問いに頷いて応じた。ほのかは喜びの声を上げていて、雫は胸をなで下ろし、笑みを浮かべていた。

てことは・・・・

 

「二人もA組だった?」

「はい!よろしくお願いします!」

「これからよろしく。」

「こちらこそ、よろしく。」

 

よかった、知ってる人が同じクラスにいれば最初は安心するからね。

・・・・ん?知ってる人・・・・?

 

「あ・・・・」

「どうしたの?」

 

突発的に変な声を出してしまい、雫に不思議がられた。

完全に兄さん達の事忘れてた。待ち合わせの場所まで間に合うかな・・・・

 

「えぇっと、兄さんと姉さんがいるんだけど・・・・」

「お姉さんって・・・・もしかして総代の司波深雪さんですか?」

「そうだよ、自慢の姉さんだよ。」

 

ほのかの問いかけに肯定の返答をすると、二人とも納得した表情をしていた。

 

「なるほど、納得。」

「お二人とも美形ですから似てますよね。あれ、でもお兄さんがいるって言いましたけど・・・・三つ子ですか?」

「いや、兄さんは四月生まれで僕と姉さんは三月生まれなんだよ。」

 

この質問はもう慣れたのでスラスラと答えた。

と、ここでまた待ち合わせの件を思い出した。時計を見ると残り五分となっていた。

 

「これから兄さん達の所に行くけど、一緒に行く?」

 

二人を誘ってみると後ろを向いて何やら話し始めた。・・・・今思ったけど、すぐに仲良くなったとはいえ初めて会った人にこんなことするって怪しく思われてもおかしくないよね。何やってるんだろ僕。と、二人は話し終わりこちらを向いていた。

 

「えっと・・・・すみません、この後用事が入っていて。」

「いや、大丈夫だよ。勝手に誘ったりしてごめん。迷惑だったでしょ?」

「全然迷惑じゃ無いよ。むしろ誘ってくれてありがと。」

 

謝ったつもりが、逆に感謝された。雫は優しいんだなぁ。

 

「そう言ってくれるとありがたいよ。それじゃ、またね。」

 

二人と別れてから急いで待ち合わせの場所へ向かった。

途中時間を確認したら過ぎている事に気づいて言い訳を考えながら行くことにした。

 

 

 

 

 

 

待ち合わせの場所が見えてくると兄さんの姿も見えてきたが、見たことが無い女子生徒二人も側にいた。

 

「ごめん、遅れた。」

「いや、大丈夫だ。それよりも深雪を見なかったか?」

 

謝ったらまさかの許してくれた。兄さんが優しいとは今日は雪が降るのか!?

 

「何か失礼なことを考えていないか?」

「いいえ、全く。」

 

危ない、バレたら殺される。にしても姉さんはホントに何処にいるんだろ。

 

「式が終わった後は一度も見てないよ。」

「そうか・・・・わかった。」

「ところでさ、君達の名前は?」

 

見ていないことを伝え、二人の女子生徒の名前を尋ねた。

 

「私は千葉エリカ、よろしくね。」

「柴田美月といいます。」

 

赤髪の娘はフランクに、眼鏡を掛けている娘は丁寧に自己紹介をしてくれた。僕もそれに応えるように話す。

 

「僕は達也兄さんの弟の司波那音、那音でいいよ。」

「じゃあそう呼ばせてもらうわね、那音。」

「えぇっと・・・・」

 

僕の頼みにエリカさんは聞き入れたが、美月さんは戸惑っているように見える。

 

「あ、別に呼びやすい言い方でもいいですよ。」

「では、那音さんと呼ばせて貰います。」

 

一応なんとでも呼ばれて良いし、自由にしとこうか。その方が気楽で良いと思うし。

 

「お、来たぞ。」

 

と、姉さんが来たようだ。兄さんが見ている所に目を向けると、言葉を失った。

いや、姉さんはいるんだよ?ただ、後ろにもの凄い数の取り巻きがいた。やっぱあれかな。皆姉さんに惹かれてついてきたのかな?

 

「お待たせしました。お兄様、那音。」

「あ、うん。」

 

姉さんの言葉で我に返って、なんとか相づちを打てた。姉さんには不思議に思われてるけどこれは仕方ない。

そして姉さんは兄さんとその後ろのエリカさん達に目を向けた。

 

「あれ・・・・なんだか寒気が。」

「お兄様・・・・早速クラスメートと『デート』ですか?」

 

笑顔で兄さんに聞いてるけど、他の人からしたら尋問に近いよ。あと魔法も少し暴発して冷気が出ているし、もしかしてストレス溜まってた?

兄さんはその質問に理解が追いつかず、頭の上で?を浮かべていたが、ひとまず訂正を含めて答えていた。

 

「深雪、それは二人に対して失礼だぞ。二人は同じクラスの千葉さんと柴田さんだ。」

「千葉エリカでーす。よろしくね。」

「柴田美月です。よろしくお願いします。」

「失礼しました、司波深雪です。こちらこそよろしくお願いしますね。」

 

そこからは女子トークが始まり、僕と兄さんは黙り込んでいると、後ろから声を掛けられた。

 

「那音くん。」

「なんですか・・っと会長ですか。」

「さっきぶりね。」

 

会長は先程とは違い、男子生徒を一人引き連れていた。その人もCADを携帯している。てことは会長絡みで生徒会の人だろう。

 

「紹介するわ、二年生のはんぞー君よ。」

「会長!その呼び方は!・・・・生徒会副会長の服部刑部だ。よろしく。」

「司波那音です。よろしくお願いします。」

 

服部先輩は顔を赤くしながら手を出して握手を求めてきた。ちょっと面白いかもこの先輩。そんな気持ちを出さずに握手に応じた。少し学校のことを教えて貰っていると、兄さんからそろそろ帰ると合図してきたので先輩に断りを入れた。

 

「すいません先輩、今日は用事があるので・・・・」

「そうか、なにかあったらまた聞いてくれ。」

「それじゃあまたね、那音くん。」

「はい。会長、副会長、それでは失礼します。」

 

二人に一礼をして、兄さんの所へ向かう。どうやらこの後みんなでカフェに行くらしいから、僕も行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

カフェでは様々な話をして盛り上がった。

と言っても、ほぼ女性三人が話していたけどね。僕と兄さんは邪魔にならない程度の声量で新規CADの設計について話してたよ。その後は日も落ちてきていたため解散となり、今は兄姉ととも家路に着いている。

 

「あ、そうだ。姉さんは何組だった?」

「私はA組だったわ。あなたは?」

「同じだよ。あと、クラスメイトと友達になれたから明日紹介するよ。」

「那音、めんどくさい男子は嫌よ?」

「大丈夫だよ、女子二人だから。」

「ナンパでもしたのか?」

 

兄さんだけには言われたくない。あと、ナンパってもう死語だと思うんだけど。

 

「あのねえ、隣から話しかけられた上に自己紹介されて、そこから仲良くなったんだよ?」

「なんだ、俺と同じか。」

 

ここでさっき言われたことを言い返そうと思ったけど、氷の女王(姉さん)がお怒りになるのでやめておこう。

家に着き、いつも通りに玄関を開けると違和感を感じた。

 

「なんか靴多くない・・・・?」

「誰か来てるんだろ。それくらい分かるだろ。」

「いや、それは分かるんだけど。」

 

兄さんが少し冷たいのは置いといて、靴はいつもより四足多い。大きめの靴と小さめの男女の靴が各二足ずつ。普通ならこれをみてどこかの一家が挨拶にでも来たかのように見えるけど、大きめの靴は両方女性用に見える。

どうしよう、頭が追いつかない。とりあえず先に行こう、行けば分かるはずだし。靴を脱いでリビングの扉を開けた。

 

「なんでみんなここにいるの・・・・」

 

そこには見知った親戚、もとい分家の人達+αがいた。

 

「あ、帰ってきました!」

「お帰りなさい、達也お兄様、那音お兄様、深雪お姉様。」

 

こちらに気づいて来る少女と、それに反応して軽く会釈をする少年。

 

「お久しぶり。亜弥子ちゃん、文也君。」

 

四葉の分家の一つ、黒羽家の双子の姉弟、黒羽亜弥子ちゃんと黒羽文也君。僕たちより一つ年下で中学三年生。四葉本家の近く、旧静岡県浜松市に住んでいる。

 

「そういえば、よくこっちに来るのを貢さんは許したね。」

 

兄さんが亜弥子ちゃんに聞く。貢さんはあまり[[rb:ウチ>司波家]]を好意的に見ていない。主に兄さん絡み。なのに子供達を送り出すとは、何か変わったのかな。

 

「少しお話(・・)したら許してくれましたの!」

 

明らかにアクセントがおかしい。なんで娘さんに負けてんだあの人。

 

「文也君、どういう状況だった?」

「えっと・・・最初は反対してたんですけど、姉さんの鬼気迫った表情に押されて許したんです。」

 

これ以上は聞くまい。僕の中での亜弥子ちゃんのイメージが崩れかねない。

 

「三人とも久し振りね。」

 

と、横から話しかけられ、そちらに体を向けて一礼する。

 

「お久しぶりです、夕歌さん。」

 

同じく分家の一つ、津久葉家の一人娘である津久葉夕歌さん。僕達より五つ年上で、現在魔法大学に通っている。昔、第一高校に行っていたので、先輩後輩の関係にもなった。

 

「それにしても、あんなに可愛かった那音君が高校生なんて。」

「そんな時期、僕にあったんですかね。」

「ええ、でも今はかっこよくなったわね。」

「冗談としてとっときますね。」

「あら、本気よ?」

 

うーん、僕よりも兄さんの方がかっこいいと思うんだけどな。

 

「余り自分を卑下してると呪われるよ?」

 

そして当たり前のように見透かされる。もうなんでよ。

まあそれはおいといて、なんであの人も来ているんだ。

 

「どうしているんですか、真夜さん。」

「可愛い甥っ子達の晴れ姿を見たくて、つい。」

 

四葉家現当主、四葉真夜さん。母、深夜母さんの妹で。暇があればわざわざ四葉本家から司波家(こっち)に来ようとするバカ親でもある。

 

「はぁ・・・ところで仕事はどうしたんですか?」

 

4月から人事や予算でなかなか家から離れられないはずなんだけど。

 

「それなら葉山に任せたわ。」

 

何してくれているんだこの人。あの量押しつけるとか鬼畜過ぎるよ。今度葉山さんの休日増やしておこう。

 

「皆様、お食事の準備が出来ました。」

 

穂波さんが料理を作り終えてみんなに声を掛け、それを聞いてそれぞれ席に着く。

真夜さんがコップを上げ、乾杯の挨拶をする。

 

「それでは、司波達也さん、司波深雪さん、司波那音さんの入学を祝い」

「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

それからは沢山盛り上がった。酔っ払った真夜さんがお酒にめっぽう弱い夕歌さんに強引に飲ませて潰したり、達也兄さんを賭けて深雪姉さんと亜弥子ちゃんが料理対決をしたり、穂波さんと深夜母さんが手を組んで文也君をとことんいじりまくったりなど、ある意味カオスな状態になりつつあった。僕は少し離れて水波ちゃんと話してて被害を受けることはなかった。幸い明日が休日であったため、皆家に泊まることにした。そして今、一日の疲れを癒やすため風呂に入っている。

 

「ふぅ・・・・」

湯船につかり一息ついて今日のことを振り返る。けど、一人の女子以外それほど興味が湧かなかった。その女子は

 

(雫・・ねぇ・・・・)

 

北山雫。あの娘をみると、なにかと気持ちが弾んだようになってしまう。そして話していると自然に笑顔になりかける。今まで話してきた人達の中で、家族の他にこんなことになるのは彼女以外思い当たらない。一切持ったことのない衝動に様々な仮説をたててみたが、結局は一つに集まる。

 

(これって、恋なのかな・・・・)

 

中学、小学共に持っていなかった恋心。中学校の友達が一人の女子に恋をしていると聞いたとき、応援していたが、いざ我が身になるとテンパってしまい、当時のあの友達の気持ちがよく分かる。

同じクラスになれたことは神に誓ってもいいほど心の底から喜んだ。まだ今日会ったばかりだけど、学校生活がとても楽しみになってきた。明日休日ということに少々恨みを持って風呂から上がって着替えて布団に入り、ゆっくりと瞼を閉じた。




次の投稿は五月末になるかも、です・・・・
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