魔法科高校の劣等生 -another family- 作:まな板の上の処刑人
行事やテストなどで時間がつくれず、このようなことになりました。
今後も今回と同じスピードの製作期間になると思います。どうかお許しください。
劇場版魔法科高校の劣等生、皆さんは見ましたか?私は公開日の次の日に見に行きました。やはり映画の締めは『さすおに』でしたね。達也の新魔法、エリカの秘剣、レオの「ジークフリート」、どれも驚かされました。もしかしたらこのシリーズにも入れるかもしれません。
それでは、どうぞ。
週明けを告げる朝を、いつもより早く起きた。外はまだ日は昇ってないけど、逆にその方がいい。
少し眠気があるけどそれは無視。クローゼットから動きやすいスポーツ用ズボンとウェアに着替えて下に降りると、すでに兄さんと姉さんは出掛けようとしていた。
「おはよう、那音。」
「おはよう姉さん、兄さん。」
「おはよう。俺たちは先に行くから、後から水波と一緒に来てくれ。」
「わかった、んじゃ、いってらっしゃい。」
バタン、とドアを閉めて九重寺に向かっていった。さて、こちらも準備するか。洗面所で顔を洗い、少し水を飲んでからすでに準備を終えている水波ちゃんに声を掛ける。
「ごめん水波ちゃん、時間とらせちゃって。」
「いえ、大丈夫です。」
「んじゃ、行こうか。」
「はい、那音様。」
玄関を開けてゆっくりと体を動かしてから兄さん達の後を追いかけた。
★
朝方は通りに人は殆どおらず、魔法は限りなく使える。もちろん、街路にある魔法感知センサーに引っかかったら意味はないけど。
僕たち二人は魔法を使って九重寺に向かっている。僕は自身に加速魔法、加重系魔法をかけ、通常より1.5倍の重力の中で水波ちゃんの速度に合わせて局所的に大気固定を使いながら低空で蹴りながら進み、水波ちゃんは『共有』で僕がかけた加速魔法で通常以上のスピードで進んでいる。初めは、重力に耐えれず途中で落下したり、バランスを崩して壁にぶつかったりなどずいぶん苦労したけど、今となってはそつなくこなせるほどまでになった。
約十分ほどして九重寺に着き、休みがてらにゆっくりと階段を上っていく。
「今までのスピードはもう慣れた?」
「はい、もう少し速度を上げてもよろしいかと。」
「オッケー、じゃあ今度から上げとくね。」
話している内に上りきり、寺の門とその奥でこの寺の僧侶でもあり僕たちの師匠である九重八雲さんと兄さんが組み手をしているのが見えた。門をくぐり抜けてその様子を見ていた姉さんに声をかけ―――――ずに手荒い出迎えをしてきた門下生を迎え撃った。
先頭の一人を軽く払い、その後ろから木刀をもった二人組の攻撃を避けるため一度距離を離す。片方に木刀の持ち手部分に掌底を放ち、がら空きになっている腹部に蹴りをいれ、もう一人の攻撃をギリギリで避けながらその勢いを利用して一本背負いをかける。後ろから襲ってくる一人に極限までリラックスした状態から足払いをかけて倒す。
気がついて周りを見れば殆ど倒しきり、水波ちゃんの方も今倒し終えたところだった。兄さんは地べたに寝そべっている。いや、あれ倒されたな絶対。
その倒した本人を探す前に体が反射的に体がしゃがみ込んだ。それと同時に頭の上で空を切る音が聞こえた。
「やるねぇ、那音くん。」
「不意打ちとは卑怯ですね、師匠っと!」
速度をつけて足払いをかけるが後ろに下がられ当たらず、軸足に力を入れて距離を詰めながら追撃をかけても全て受け止められる。少し落ち着こう、そう思って距離を開けようとした瞬間に向こうから一瞬に目の前まで詰め寄られた。自分の顔に掌底を打ち込む動作が見え、反射的に腕で防御しようと顔の前で腕を交差した。すぐに衝撃は来たが、余りに軽いことに違和感を感じたときにはもう遅かった。足払い、しかも勢いをつけて掛けてきて体が宙に浮いた。今度は胸を守るように防御するが、魔法が使えず、体を自由に動かす事が出来ないこの状況では無意味だったようで、空いた腹に回し蹴りを打ち込められて、起き上がることは出来ずに、ただ呼吸を整えた。
★
「はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫ですか?那音様。」
「い・・・一応、なんとか。」
倒されて日が見え始めた空を呼吸を整えながら眺めていたら、水波ちゃんが顔を覗き込んできてタオルと水を差し出してきたからそれを受け取って立ち上がった。
まったく、師匠は強いなぁ。しかも見た目三十代ぐらいなのに実年齢は五十代とか、見た目詐欺過ぎるでしょ。
「那音くん、少し酷くないかい?」
「なんのことでしょうか。」
危ない、バレるところだった。いや、アレ絶対バレてる。じゃなきゃ聞いてこない。
「先生達、こちらで朝ご飯を食べませんか?」
寺の縁側に座っている姉さん達がこちらに声をかけてきてその声にいち早く反応した師匠をみて、水波ちゃんと顔を合わせて笑って、その後ろをついて行った。
★
「それじゃ、また昼に。」
「ああ、またな。」
あの後制服に着替えて学校に向かい、昇降口で兄さんと僕・姉さんとで別れる。互いの教室に行くにはそれぞれ違う階段を上がらなければいけない。そのせいで、
「どうして一科と二科で違う階段を使わなければいけないのかしら・・・・」
「今は仕方がないよ。」
姉さんが不機嫌モードに入った。戻すには兄さんによる頭撫でが必要だけど、戻してくれる当の本人が向こうに行っちゃったし、僕は宥めることしか出来ない。恥を捨てる覚悟があれば一発で直せるけど、アレをしたら男として生きていけなくなりそう。
気づけば1ーAの教室の前まできていた。教室のドアを開けて中に入ると、外から聞こえていた話し声がピタリと止み、一気にこちらを向いてきた。男子は姉さんを、女子は僕を。それをスルーして自分の席を探す。えっと、僕の席は・・・お、雫達が居るあたりかな。
「おはよう、雫、ほのか。」
「あ、おはようございます、那音さん。」
「おはよう、私の後ろが那音の席だよ。」
「あ、そうなんだ。教えてくれてありがとう。」
心の中でガッツポーズした、てことは後ろは姉さんか。
「那音、この人達がこの前話していた?」
「うん、そうだよ。」
そう言うと姉さんは顔を二人に向けて自己紹介をした。
「初めまして、那音の姉の司波深雪です。これから宜しくお願いします。」
「北山雫です。こちらこそよろしく。」
「み、みちゅいほのかです!よろしくお願いします!」
盛大にほのかが噛んだ。そして顔がリンゴのように真っ赤になった。
だが緊張しやすい僕でもここまでになる事はない。もしや僕よりも緊張しやすいのか?そんな疑問を抱いてるのに気づいたのか小声で話してきた。
(ほのかは深雪に憧れてるんだよ。)
(あぁ、なるほどね・・・)
確かに憧れてる人が目の前に居るならば緊張するのは尤もだ。僕の場合はそういう人達はほぼ身内にいるからあまり構えないで話せる。
あ、履修登録まだだな。ちゃっちゃと終わらせるか。端末を起動させてインフォメーションに載っている受講登録項目を打ち込む。一通り打ち終えた後、ちょうど先生が入ってきたので皆はそれぞれの席に着いてオリエンテーションが始まった。
★
オリエンテーションが終わった後は各自自由に行動して良いと言われたが、専門授業の見学があると聞いたのでそっちに行くことにした。クラスの男子は姉さんに声をかけようとしてるけど誰一人動こうとしない。臆病にもほどがあるぞ。
「行きましょうか、那音。」
「そうだね。」
立ち上がって集合場所へ向かおうとしたその時、雫に呼び止められた。
「あ、那音。」
「ん、どうしたの?」
「えっと・・・一緒に着いてってもいい?」
なんだ、そんなことか。一度姉さんをアイコンタクトで確認する。返答はイエス。
「いいよ、断る必要なんてないし。」
「ん、ありがと。」
ほのかも加えて四人で行くことになった。向かっている途中、後ろからA組の人達が着いてきていて男子からはめちゃくちゃ睨まれた。
★
授業の内容は放出系魔法の基礎についてで、突然案内をしていた先生から『放出系統魔法の性質について説明せよ』と問われて、たしか森崎君だったかな?その人が自信満々に手を上げて答えたら間違えたので、僕が答えたら正解して女子からは『早くお近づきになった方が良いんじゃない?』という会話が聞こえ、男子から、いや、森崎君から恨みが伝わるほどの嫉みの視線が僕に刺さる。
授業が終わって昼食時になり、すでに兄さんから席を取っているとの連絡があり、雫達も誘って食堂に向かった。食堂に入るとほぼ満席で、空いている席は見当たらない。少し歩き探すと黒髪と赤髪が同じ席に座っているのが見えた。多分赤髪はエリカだから黒髪は兄さんだな、そう決めつけてその場所に近づくと案の定そうだった。美月さんも一緒だったけど、一人見たことがない男子生徒が座っていた。席は八人掛けを取っていて、運良く全員座れる数だった。
「遅れて申し訳ありません、お兄様。」
「いや、大丈夫だ。」
姉さんが謝りを入れたけどいつも通りの返しをしていく兄さん。そして座ろうとした瞬間、
「君達、席を譲ってくれないか?」
森崎君が馬鹿げた事を言い始めた。あからさまにエリカ達は不機嫌になった。
「おい、それはどういうことだ?」
「なに、ブルームの僕達がウィードの君達といっしょになったら枯れてしまう。一科生同士でいた方が有意義になるし、一科生が使いたいといえば譲るのが常識だろう。」
君はどこの世界の常識を話しているんですか。少なくともこの世界にはそんな常識はありません。
「みんなもそう思うだろ?」
後ろのクラスメイトにも聞いたらまさかの全員同じ考えだった。え、なにこれ?僕が思ってる考えって少数なの?てかみんな天狗過ぎるでしょ。心の中で愚痴ってたら兄さんが席を立とうとしていたので意識を共有して留めさせた。
(動かないで兄さん!)
(だが那音、このままじゃ喧嘩になりかねない。)
(大丈夫、それを回避できるから。)
一度共有を切ってから『神々の眼』で他に空いてるところが無いか探してみたら、入る前より少し人が減っていて相席が出来る程になってた。ちょうど近くに二人座っていて四人ほど相席できる所を見つけた。さらに一科生、これは使える。姉さんに考えたことを伝えて森崎君の方に向く。
「それじゃあ、僕達は向こうの二人と一緒に食べるから。」
向こうの二人の体がビクッてなった。少しの間我慢して下さい。
「おい、何勝手なこと言ってるんだ司波!」
「森崎君、きみ確か『一科生で食べた方が有意義になる』って言ったよね。あの二人も同じ一科生だし、何の問題もないよね。」
「そ、それはそうだが・・・」
「もしかして・・・ただ僕の姉さんに近づきたいだけ?」
「ウッ」
やはりか。下心まる見えだよ。
「ほのか、雫、行きましょうか。」
「あ、うん。」
姉さんに促されて二人がその後を追い、最後に僕がついて行く形になった。チラッと後ろを見たら森崎君まだ固まってた。ざまぁみろ。小さく兄さんの方に手で謝って追いかけた。
「すみません、巻き込んでしまって。」
急に巻き込んだことについて黒髪の男子とエリカとは違う赤髪の女子に頭を下げて謝る。楽しく食事をしているのに水を差してしまったのは確かだし、やっぱ違うやり方が良かったな。
「いや、僕達は大丈夫だよ。」
「それに見ててすっきりしたよ!」
「ありがとう。」
だが二人は気にしていないと言い、さらには誉められた。
みんな席について食事をしながら自己紹介が始まった。
「僕は1ーBの十三塚鋼、よろしく。」
「同じ1ーBの明智エイミィ。よろしくね!」
「よろしく鋼、エイミィ。」
二人とは考えが同じだったのですぐに仲良くなれた。あとエイミィが活発な子だったので会話が途切れることなく楽しい時間を満喫できた。
・・・・あれ?よく考えたらこれで初めて男子の友達が出来たの?
★
昼食の後、午後の見学では3年A組が実習している遠隔魔法実習室、通称『射撃場』を訪れた。A組には七草会長も在籍していて、なかなか上級生の授業を、または会長の姿を見られることは出来ないため、多くの一年生が見学しようと射撃場に集まっていたけど、全員入れることは出来ず、さらに二科生の兄さん達を一科生の僕達が譲っていた事に不満と怒りが一層と溜まっているのが見て分かった。その時に兄さんと座っていた男子生徒の西城レオンハルトさんと友達になった。
そして帰り際、またもやいざこざが発生した。
「いい加減にして下さい!深雪さんはお兄さんと一緒に帰りたいと言っているんです。他人が口を挟むことじゃないでしょう?」
姉さんと話しながら帰りたいらしく、クラスメイトが言いがかりをつけたことで美月さんが啖呵を切り始めた、という状況。
けど、おとなしそうな美月さんが遠慮なく相手を正論を突きつけてる姿って、二度と目にすることはないだろうなぁ。
「一体、あなた方に何の権利があって二人の仲を裂こうとするんですか!」
「み、美月?一体何を勘違いして勘違いしているのでしょうか?」
「深雪・・・・何故に焦っているんだ?」
「ちょっとそこ何話してるの。」
こんな重大な時になんで頭の中ピンク色にしてるの姉さん。
「僕達は彼女に相談したいことがあるんだ!」
「そうよ!司波さんには悪いけど少し時間を貸して貰うだけなんだから!」
「ハン!そういうのは自活中にやれよ!」
ごめん、レオ。多分僕が原因だよ。
「うるさい!ウィードが指図するんじゃない。」
「同じ新入生じゃないですか!今の時点でどれだけ優れているというんですか!」
あ、美月さんそれは言っちゃいけない。
「・・・・だったら教えてやる。これが実力の差だ!」
森崎君が手慣れた動きでズボンから特化型CADを取り出しレオに標準を向ける。それに反応してレオが阻止すべく急接近するが、それよりも先にCADのトリガーに指が動いた。兄さんも右手を突き出したけど、それは杞憂に終わった。
キィン!と、甲高い音と共に森崎君のCADが宙に舞った。周りからは悲鳴とも聞こえる声も上がっている。
「この間合いなら身体を動かした方が速いのよね。」
「それは同感だがテメェ今、俺の手ごとぶっ叩く気だったろ。」
「あら、何のことかしら。」
エリカがいつの間にか近づいて伸縮方のようなCADで吹っ飛ばしていた。てか、お二人さん?敵さん目の前に居るのになんで喧嘩してるの?
「この、ウィードのくせに!」
「なめないでよね。」
我に返った他の一科生が魔法を展開し始めた。横目にほのかも閃光魔法を展開しているのが視えた。ついでに目くらまし程度の強度の情報も。
さて、どうやって魔法を止めようかな?と考えてると兄さんから声をかけられた。
「那音。」
「ん?どしたの?」
「自分の左手見てみろ。」
「左手?・・・・あっ」
言われるがままに左手を見たら汎用型CADに指が素早く動いていて、しかも入力した番号を見て驚愕した。
すぐさま顔を上げると、展開されていた魔法式は消えていて、生徒会長と見たことがない女子生徒が小走りでこちらに向かってきていた。
「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である前に犯罪行為ですよ!」
会長の一声でこの場にいる人達の顔が一気に青くなった。というよりそろそろ魔法止めていいかな。
「風紀委員長の渡辺摩利だ。すでにこちらは魔法を・・・・て、あれ?」
「どうしたの、摩利?」
「魔法式が消えている・・・・」
「・・・・私もだ。」
二人とも僕が(勝手に)設定した範囲内に入っているから展開済みの魔法式を消されている。
それに気づいた委員長がこちらに目を向けてきた。そしてすぐさま魔法を消した。
「これをやったのは君か?」
「え、えぇ。そうです。」
「なるほど、ふむ・・・・」
・・・・なにか値踏みされるように見られてるんだけど。
「まぁ、ともかく魔法を用いた理由を聞かせて貰おう。ついてきたまえ。」
そう言って後ろを振り返ったのでそれについて行こうと思ったけど、兄さんが何か言おうとしてたので手で遮った。
「那音!お前!」
「これでいいの、兄さん。多分あの魔法も聞かれちゃうと思うけど。」
「・・・・分かった。」
兄さんを納得させれたことに満足したし、委員長と会長の後をついていった。
★
ついて行った部屋は『生徒会室』と書かれていて、入室方法が音声入力という厳重なセキュリティが施されていた。
入って中央に長机が設置していて、自分は左に、先輩達は右に分かれ、それぞれ対面するように座った。
「それじゃ始めようか、まず君の名前は?」
渡辺先輩が何かの端末を起動させて質問を始めてきた。
「1年A組、司波那音です。」
「那音くんね。次に、どうしてあの揉め事が起きたんだ?」
「同じ組の男女が自分の姉と話したいが為に『ウィードが邪魔するな』というニュアンスで二科生の兄達から離そうとしていて、」
「ふむふむ。」
「二科の女子生徒が『いまの時点でどれほどの実力差があるんですか!』と叫んだとき、一科の一人が特化型CADを展開し、他のクラスメイトも便乗し展開し始めました。」
「大凡分かったわ。まだ何かある?」
「はい。その中で茶色の髪の持ち主、光井さんが目くらまし程度の閃光魔法を展開させて皆の行動を止めようとしていましたが、さすがにあの距離で多数の魔法式があることは好ましくないと思いまして、自分が全て消しました。以上が今回の事件の全容です・・・・て、どうかしましたか?」
長々と全て離して前方を見たら、先輩達が唖然としていた。
「あ、も、申し訳ない。」
「えぇっと、那音くん、二つほど聞いてもいいかな?」
「はい、いいですよ。」
会長が今の話に疑問があったらしい。あれ、どっか間違えたっけ?
「じゃあ一つ目、那音君は魔法式を読み取れることが出来るの?」
「えぇ、できます。」
肯定で返したら呆れたような声を出された。何故だ。
「ちなみに兄の司波達也も読み取ることが可能です。」
補足で兄のことも話したらさらに深いため息をつかれた。
「今年の1年は一体何なんだ・・・・」
「色々とイレギュラーね・・・・」
・・・・今考えたら僕達の魔法って一般の魔法師達と比べたら異能過ぎるね。納得できたわ。
「それと二つ目、『魔法式を全て消した』とは一体どういうなの?」
自分としては一番危険な質問が飛んできた。うーん・・・・普通に話しちゃっていいかな、これ。まあ、口外されなければいいか。
「念のためですが、今から話す魔法は口外しないで貰ってもいいですか?」
「?ああ、構わんが。」
「私もしないわ。」
「ありがとうございます。・・・・先輩達は『
「ええ、知っているわ。全ての魔法に対抗できる最強の魔法ね。」
「・・・・もしかしてだが、使えるのか。」
「はい。といっても、従来の
「その効果は従来のと一緒なのか?」
「えぇ、魔法使用者が指定した範囲で大量のサイオンが発生します。自分の周りだけでなく、遠くに指定することも可能です。」
「そう・・・・」
いやぁ、結構しゃべったなぁ。てかこの魔法を誰かに説明したの初めてな気がする。
「あ、そうだ。」
何か渡辺先輩が思い出したようだ。
「一番最初に魔法を展開したのは誰か分かるか?」
「1年A組の森崎駿です。ついでにウィードと先走って言ったのも彼です。」
「ありがとう、後日きつく言っておこう。」
どうみても怪しい笑みを浮かべている渡辺先輩を見て一つ思った。
―――森崎君、ザマァみろ。
「これで大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。」
「ありがとうね、那音君。」
「いえ、これほどのことは大丈夫です。それでは、失礼します。」
先輩達に一礼してから生徒会室を退出した。時間を見ると30分ほど経っていて、兄さんからは『駅に続く大通りにあるアイス屋で待っている。』と連絡があった。
「急いで行くとしますか。」
見つかっても怒られない程度の速さで走り、皆が待っているところへ向かった。
★
那音が部屋を出てゆくのを見て、真由美と摩利はそれぞれリラックス出来るような体勢をとり、一息ついた。
「なんなのよあの子・・・・」
「まったくだな・・・・」
口から愚痴をこぼし、二人の視線は先程後輩が出て行った扉に向かっていた。
「真由美は使えないのか?」
「私でも使えないわよ。」
『グラム・デモリッション』
圧縮されたサイオンを直接対象物にぶつけて爆発させて、起動式や魔法式と言ったサイオン情報体などを吹き飛ばすことが出来る無系統魔法の超高等対抗魔法。だが、その魔法を使うのに膨大なサイオンが必要となるため、この使い手は世界でも片手でしか数えらるほどでしかない。それを十師族、ましてや数字付きでない一人の後輩がそれよりさらに高度な魔法を使えることに表面上はすまし顔だったが、内面は驚きでしかなかった。
「もしかして・・・・達也くんも使えるのかな・・・・」
「?誰だ、その『達也くん』ってのは。」
「那音くんのお兄さんよ。」
「・・・・あり得るかもしれんな。とういうよりも、」
「なに?」
「お前にも気になる男子がいるとはな。」ニヤニヤ
「べ、別にいいでしょ!!」
話の話題が段々とずれていくことに二人は気づかず、さらにそれを指摘する者は現れなかった。
★
校門から出た後ダッシュで向かってたらアイス食べてる集団が見えてきた。てか髪見たらすぐ分かっちゃう。
「お疲れさん、案外長かったんだな。」
「まぁね、『アレ』を丁寧に説明してたからさ。」
「・・・・アレを詳しく話したのか?」
待って、そんな冷たい目で見ないで。マジでその目怖えから。
「えっと・・・・やっぱり話しちゃまずかったかな?」
「いや、言ったなら仕方ない。俺も皆に話してあるから。」
「なんでそっちも勝手に言ってんの?」
さっきの冷酷な目つきのこと謝ってもらいたいな。
「那音、さっきはありがとな。」
「あんなのたいしたことじゃないよ、レオ。」
「体が勝手に動くってさすがだと思うけど?」
「そういうエリカも間合い一つではじきにいったでしょう。」
多分ここに居る二科生は全員一科に勝てる何かを持ってそう。うん、そうに違いない。
「那音さんごめんなさい。怒らせるようなことを言ってしまって。」
「美月さんは悪くないですよ、悪いのはあの
「さすが那音ね。」
姉さん、それは誉めてるとして受け止めていいのかな。
「那音、止めてくれたお礼として此処のアイス奢る。」
「いや、気を遣わなくてもいいよ。」
女の子に払わせるのは何か悪いからなぁ。
「むぅ・・・・」
あ、膨れ顔の雫可愛いな。
「那音、ここは素直に受け取った方が良いわよ。」
「(ありがとう姉さん)それじゃあ雫、お言葉に甘えて。」
「ん、わかった。」
味何にしようかなーっと、やっぱホッ○ングシャワーでいいかな。普通に美味しいし。
自分が食い終わった後、何故か話してない刻印型のCADのことにエリカから質問攻めに遭い、兄さんが話した事に確信を持って全力で追いかけた。あっちも全力で逃げたけど一向に捕まえられなかった。めっちゃ足速かったんだけど。
結局そのまま解散となった。兄さんのこと?すぐに許したよ。
次は夏休み入ってからだなぁ・・・・