百合ぐだ子 作:百合と百合と百合と
ギルの容姿はエイプリルフールのあれです。
あと話の内容が今までと似たり寄ったりです。
数千年も昔、人々が眠り、渡る鳥さえ羽根を休める時刻のこと。
月が上り、星空が見守る大地に立つ樹木に少女の形をした人形が眠りについていた。太い枝の上、緑葉のような髪を垂らし白い衣を一枚を纏って存在する儚げな精巧さに、人が見れば思わず息を吞まずにはいられないだろう。
そしてその少女を目指して空から金色の流れ星が振り堕ちた。
……少女が眠る大樹のすぐ横に、轟音を立てて。
「な、何!?」
少女が飛び起きると、そこにはヴィマーナと呼ばれる飛行物体と長い金髪の美女がいた。
「フハハハハ!!!!
起きろ友よ!!!!
起ーきーるーのーだ!!!!」
「ギルか。
……もう起きてるよ!!」
それは轟音を立てて着陸するヴィマーナに負けない大声だった。
「夜中に訪ねてくるなんて珍しいじゃないか」
エルキドゥと呼ばれた少女は穏やかに、しかし不機嫌さを含めた口調で女を迎えた。
女の名はギルガメッシュ。
ウルクを支配するメソポタミアの女帝である。
「ジックラトへ来い。
今宵はそこで眠るのだ」
「その必要はないよ。
いつも言ってるじゃないか。私はここで停止するのが一番落ち着くって」
「これは
逆らうならば今すぐの決闘も辞さぬぞ」
指先で長い金髪を遊ばせながら、ギルガメッシュは不遜に笑いかける。
唯一対等と認める友を相手にしても、根っからの傲岸さと身勝手さは変わらぬらしい。
このままでは拉致が開かないと判断したエルキドゥは渋々了承した。
「分かったよ。
でも今日だけだからね」
エルキドゥが軽く跳び乗り、それとほぼ同時にヴィマーナが空高くへと上昇する。
黄金の帆船は超音速で星空を駆け抜け、瞬きの間に女王の住まうジックラトに到着した。
二人はヴィマーナから飛び降り、ジックラトの中へ入りギルガメッシュの寝室へ向かった。
「ギル、先から女官の人にすれ違うんだけど」
事実エルキドゥ達は十人近くの女官を見かけていた。
「当然だな。
王より先に眠るなど刎頚に値する」
「あんまり王様が臣下を困らせちゃ駄目だよ」
「戯け。王だからこそだ。
……まあ、少しは考えてやらんこともないが」
他愛ない話をしているうちに二人は寝室にたどり着いた。
「相変わらず豪勢だね」
事実その部屋は赤と黄金で彩られ、天蓋付きのベッドの周りや壁には王が気に入った宝物が置かれていた。
「ところでギル。
今日はどうして私を」
エルキドゥが言い終わる前にギルガメッシュは彼女を抱き抱え、ベッドの上に放り込んだ。
「え?」
咄嗟のことに呆けているエルキドゥをよそに、ギルガメッシュは上機嫌で叫んだ。
「A・U・Oキャストオフ!!!!」
金色の光に一瞬包まれた後、均整のとれた柔肌が露わになる。
ギルガメッシュは己の裸体を惜しげ無く晒し、髪を掻き上げながらエルキドゥに見せつけた。
「な、ななな何をしてるんだ!?」
エルキドゥが目を回しながら悲鳴を上げる。
「君に恥じらいはないの!?」
「愚問よね。
どんな宝石よりも輝きを放つこの
「私が恥ずかしいよ!!」
ギルガメッシュは鼻で笑い、ベッドに腰掛ける。
「今宵はお前を抱いて寝ようと思ってな」
「抱くってそれはどういう……」
「そのままの意味だ」
思い出してみれば、先程すれ違った女官達は全員冠婚葬祭を取り仕切る仕事をしていた。
その事が指し示す事実を裏付けるかの如く、ギルガメッシュは逃げられないよう手を置き、妖しく笑いかけて言った。
「見ろ、
神々がデザインした完璧な美、お前が千切れんばかりに引き縛ってくれたこの身体をな」
「君だって私に色んな物を突き刺したじゃないか!?」
「知らんな」
ギルガメッシュは貫頭衣に手をやり、一気に引き裂く。すると豊かな肉体をしたギルガメッシュとは対照的な、細く未成熟で無垢そのものの痩身が剥き出された。
「随分と愛らしい体付きだな」
「……ッ」
羞恥で赤くしながらエルキドゥは体を変容させて貫頭衣を作り直す。
「見せてくれないのか」
「見せないよ!!」
「では仕方ない。
このままでお前を抱くとしよう」
「着たままで!?」
既に近すぎるギルガメッシュの生身がゆっくりと沈んで行く。
(ああ、さようなら、私の純潔……。
さようなら、私の初めて……)
エルキドゥは固く目を瞑った。
しかし処女を散らす痛みはいつまで経っても来なかった。
恐る恐るギルガメッシュに目をやると、彼女は愉しげにエルキドゥの腕に抱き着いているだけだった。
「ギル……?」
「何だ?」
「何って……。
私を抱くんじゃなかったの?」
「抱いているが?」
先程とは違う羞恥心でエルキドゥが赤くなる。
その様子をギルガメッシュは愉快げに笑った。
「ほーう、抱いて欲しかったのか?」
「いや、ちがっ……」
「何が違うのだ?」
「うう……」
言葉に詰まるエルキドゥの肩を寄せて、彼女は言った。
「安心しろ。
今日はそっちの意味で抱くつもりはない。
まぁ、お前の態度次第ではあるが」
そうしてギルガメッシュは困惑するエルキドゥに呼んだ理由を話した。
「
今夜は最も価値ある財を抱こうと思ったまでのことよ」
「その価値ある財宝が私なの?」
「そうだ、我が友よ。
貴様が
性酷薄な彼女にしては珍しく柔らかめに微笑み、しっかりと頷いた。
「私はいつも、君の兵器として使い潰してくれればいいと言っているのに……」
「お前の言う兵器として扱っているからこそこうしているのだ。
それにお気に入りはとっておきと相場が決まっているだろう?」
そんなの詭弁だ、と複雑な表情を浮かべるエルキドゥを、ギルガメッシュは明るく笑い飛ばした。
基本的には竜巻のように苛烈な彼女だが、偶にはこうして太陽のように心を照らすのである。
……そしてエルキドゥは纏っていた衣を消失させた。
「勘違いしないでね。
君の兵器の生まれたままの姿を見せているだけさ」
森に住まう野獣のような土塊ではなく、友と競い、語り合い、喜びを分かち合った、人共に歩む者としての姿を露わす。
「もう寝よう。
あまり遅いと夜が明けてしまうよ」
そうは言いつつ、照れ臭さで目を反らしているエルキドゥの耳元でそっと囁いて。
「おやすみ、
ギルガメッシュは頬に口付けし、親愛の中で眠りについた。
エルキドゥ(こんなことされたら眠れる訳ないじゃないか───!!)
ギル「zzz」
二人ともキャラを掴み辛いですよね……