いよいよ、敵の正体の一端が明かされます。
―――IS学園上空、フラクシナス艦内
アリーナで鈴と千夏がクラス代表戦を行う数分前。フラクシナスの艦内ではアラートが鳴り響き、乗組員達はその対応に追われていた。
「IS学園より南西に百キロの海中に未知のIS反応を複数確認!過去のパターンからゴーレムと予想されます」
「ったく、性懲りもなく仕掛けてくるとは。よっぽど奴等は暇なのかしらね」
IS学園周辺の地図が投影された艦橋で、地図に表示されたIS学園に近付く捕捉したゴーレムを示す赤い点を睨みながら、琴里は苦々しく呟く。
「四糸乃、聞いてた?」
『…えと、はい。場所を確認。…えと、迎撃に向かいます』
『華麗に激しくヤっちゃうよ~』
「IS学園の連中に見つからないようにね」
四糸乃が返答すると、地図に青い点が表示されて、ゴーレムの行く手を遮る。
そして、新たに四糸乃がいる正反対の場所にも赤い点が現れる。
「司令!IS学園の北に七十キロの上空にもゴーレムらしき反応が複数出現!!」
「チッ!フラクシナスは迂闊に動かせないから、誰か行ける人員は!?それと、解析班は大至急ゴーレムがどこから現れたか突き止めて!そこに篠ノ之束がいる筈よ!!」
「ヤー!!司令、八舞姉妹が出れます!!」
「聞こえた?夕弦に耶倶矢、頼んだわよ!」
『見敵必殺。必ずや、暁の水平線上に勝利を刻みましょう』
『ビビッとオペレーションを受諾した!!』
今度は北に表示された赤い点、ゴーレムの進路を防ぐように二つの黄色の点が表示される。
それを確認した琴里は、安堵したように深く椅子に腰掛ける。
「司令、新しいチッパイチャップスです」
「ん、ありがと。…って、誰がちっぱいじゃゴラァア!!」
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY !!」
神無月の悪意なき噛んでしまったとある単語に過剰に反応した琴里は、アメがなくなった棒を落としてしまう。
それを拾おうとした神無月は、その意図に気付いた琴里に右手を踏まれてどこぞの吸血鬼のような奇妙なポーズを彷彿させる動きでのたうち回りながら、雄叫びを上げてしまった。
すると、艦内にアラートが鳴り響く。
「何事!?」
椅子から立ち上がる琴里に報告するために、オペレーター達はアラートの原因を探る。
「これは!?」
「大変です!ゴーレムとは違うパターンが観測されました!!」
「場所はアリーナ上空。この真下です!!」
「やられた!ゴーレムは囮。奴等にとってこの位相では、距離はあってないようなもの。行きたい場所に空間転移なんて、児戯に等しいことじゃない!!」
ギリッ、と血が滲む程唇を噛み、琴里は両手で机を悔しげに叩く。
「司令、悔やむのは後です。現地には鈴君に折紙君、エレン君がいます。それに何より」
「何より、お兄ちゃんが、一夏がいる」
「ええ。既に〈メテオ〉の準備は完了し、〈バース〉と〈カブト〉の使用許可も出しました。簪君もいますから、〈フォーゼ〉もありますから、百人力です」
「やるじゃない、神無月」
「恐悦至極」
のたうち回っていたのは演技かと錯覚してしまうほど、いつの間にか仕事を終わらせていた神無月は琴里の言葉に恭しく腰を折る。
「令音、お兄ちゃんに完成した例の物は渡した?」
『いや、まだだ。いいタイミングで邪魔者が来てしまったようだ』
「披露する絶好の機会よ。奴等に見せつけてやりましょ。私達の〈王〉、全ての精霊を統べ、いずれ全てのISを支配する〈エターナル〉を」
ニヤリ、と不敵に笑いながら、琴里は椅子に腰掛け直す。
「映像、出ます!!」
「パターンも特定完了!カテゴリー〈
「とうとう、奴等が表舞台に出る日が来てしまうとは」
映し出された地図が、ナニカが落下した際に巻き上がった砂埃が薄れ、ナニカの全容が見えてきたアリーナ内の映像に切り替わる。
「アーカイブに該当あり!コードネームは―――」
煙が晴れて判明した、ゴーレムのような無骨なボディに吐き気を催す程の醜悪に蠢く触手が複数生え、頭部に当たる部分には紅く輝くモノクルアイが何かを探すようにギョロギョロ動き回る姿が映る。
そして、ナニカから発せられた囁きと、オペレーターの緊迫した報告が重なる。
『テケリ・リ!!テケリ・リ!!』
「―――ショゴス!!」
バトルは次回。なるべく早く書けるといいな。
いあいあ!