インフィニット・ア・ライブ   作:雪風冬人 弐式

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 前回、前後編に分けると言ったな!あれは、嘘だ!!……ゴメンなさい。色々気合入って長くなってしまっただけです。m(_ _)m
 それと、ショゴスを知らない方は、wikiかグーグル先生を使えば分かるはずです。


第十四話「敵 ~deity~中編」

―――IS学園、管制室

 

「何だあれは!?」

「分かりません!生体反応を確認。未知のISとしか」

 

 突如現れたナニカの正体を掴めず困惑する教師陣に対して、一夏とセシリア、エレンは緊迫した面持ちでアリーナを睨む。

すでに、フラクシナスから通信が入り、ISもどきの正体がショゴスだと一夏達は知っている。

 

『テケリ・リ!!テケリ・リ!!』

 

『ウワアアアァァァアアアア!!』

『ちょ!バカアルカ!!ショゴス相手に生半可な武器じゃ、無駄ネ!!』

 

 乱入者が背筋が凍るようなおぞましく不気味に囁くと、千夏は錯乱したまま『雪片弐型』のエネルギー刃で斬り掛かる。

 呆れたように鈴が諌めるが、聞こえていないのか、そのまま千夏は突っ込む。

すると、触手が腕や足に巻き付いて拘束される。

 

「千夏!!」

「篠ノ之さん!危険です!!」

「チェルシー!!」

「御意」

 

 千夏が捕まるのを見た箒は、何を思ったのか止めようとした真耶を突き飛ばして飛び出した。

 それを見たセシリアは、自身の従者の名を呼ぶと、天井の板を外してチェルシーが降り立ち、主人の意図を理解してメイド服風の制服を翻して箒の後を追う。

 しかし、チェルシーが出るとすぐに扉が閉まり、一夏達は管制室に閉じ込められてしまう。

 

「ご安心下さい、山田先生。チェルシーは英国の元諜報員ですから、この程度のトラブルは慣れてますわ」

「そうですか。ありがとうございます」

「それよりも、生徒達を避難させませんと。アリーナのシールドレベルがMAXになり、アリーナの観客席からの非常口も全てロックされ、パスワードも書き換えられています」

「そんな!中には凰さん達や生徒達がいるのに!?」

「現在、上級生と教師陣で解除しようとしてますが、0.1秒ごとにパスワードが変更されてますので、解除は不可能でしょう」

「こうなったら、物理的に壊すしか」

「いや、それは認められない」

 

 対策を検討するエレンと真耶、一夏、セシリアに、千冬は待ったを掛ける。

 

「有事の際の指揮は、私に全権寄せられている。不幸中の幸いにも観客席は、シールドに守られている。よって、優先すべきは未確認機の確保だ。それに、これ以上設備を破壊されると学園の運営に支障をきたしかねん」

「そんな!?生徒の命がどうなってもいいんですか!?」

「そうは言ってない。生徒達は問題ないと判断したからだ。これは、IS委員会からの命令だ。未確認機の捕獲を最優先せよ、とな」

「エレンさん、どう?開きそう?」

「一夏くん、私が機械オンチなの知ってるでしょ」

「では、私が。ピッキングは淑女の嗜みの一つでしてよ」

「電子キーですから、ピッキングも何も。…って、そんなゴツい銃を取り出してどうするつもりですかぁー!?」

 

 だが、一夏とセシリア、エレンの三人はピッキング(物理)で扉を開けようとしており、真耶はそれを止めようとしているため、誰も千冬の話を聞いていなかった。

 

「貴様ら、人の話を!!」

 

 千冬が恫喝しようとするが、それは次の瞬間に聞こえてきた言葉に中断される。

 

『キヒヒヒヒ!!すごい!すごいぞ!!力が溢れてくる!!やはり、僕こそが選ばれた存在なんだ!!』

『うん。確かに選ばれた存在っぽいアルネ。踏み台とか噛ませとか、ソッチ系の。SAN値直葬させてるアルヨ』

 

 引くわー、とガチで距離を取る鈴。

 見ると、『白式』が触手に巻かれたまま完全にイった顔の千夏が、『雪片弐型』をエネルギー刃にして鈴に襲い掛かっていた。

 鈴は千夏の斬り込みを避け、衝撃砲をショゴスに命中させるが、金属らしき外見に似合わず、表面が波打って逸らされる。

 

『僕は天才なんだ!愚民ごときが逆らうな』

 

『テケリ・リ!!』

 

『あーもう!鬱陶しいネ!!』

 

 操れているのか、千夏は執拗に鈴に斬り掛かり、ショゴスも触手を伸ばして鈴に襲い掛かる。

 

「このままでは鈴さんが!!」

「落ち着け。ISには絶対防御があるから心配ない。それよりも、あのISを」

 

DON!DON!DON!DON!DON!DON!DON!

 

「ドアがダメなら、壁を壊すとは。やりますね」

「この程度の機転を利かせるのも、淑女の嗜みでしてよ」

 

 千冬が真耶を落ち着かせようとすると、銃声が響き渡る。

 銃声の発生源には、銃口から硝煙をなびかせる大口径の白銀の拳銃を握るセシリアと、人一人分が通れる穴が空いた壁があった。

 そこから出ようとする一夏達だが、千冬は懐から拳銃を取り出して一夏達に向ける。

 

「待て!勝手な行動は認められない。IS委員会の命令に従わない場合、発砲する許可は下りている」

「あら、織斑先生。撃っていいのは、撃たれる覚悟がお有りの方だけですわ」

 

 セシリアは怯む様子も見せず、逆に不敵に笑いながら銃口を千冬に向ける。

 真耶はどう対処すべきなのかアタフタしており、一夏達も止める様子を見せない。

 

「ああ、織斑教諭」

「何だ?」

 

 エレンが何か思い付いたのか、組んでいた腕を解いてポンと叩いた。

 

「後ろにご注意を」

「なんッ!?」

 

 千冬がエレンの言葉を受けて振り向こうとした瞬間、ガツン、と音が響いて千冬の体が倒れる。

 

「遅かったじゃないですか、令音」

「え、え?村雨先生がなぜここに!?って、織斑先生は大丈夫なんですか!?」

 

 千冬を殴ったらしき銀色のアタッシュケースを携えた、白衣のポケットからクマのぬいぐるみが顔を出し、眠そうな眼をした女性、村雨令音がいつの間にかいた。

 

「失礼。私は精神分析を物理的にしかできなくてね。ああ、聞こえていないか」

「あ、令音さん。どうしてここに?」

「ふむ、言っていなかったか?私はここの保険医をしている。今回は届け物があって来たんだがね」

「届け物?」

「ああ。これだ」

 

 令音が差し出したアタッシュケースを受け取った一夏は、その場で開ける。

 中には、アルファベットのEが描かれた純白のUSBメモリと、それを差し込む物と思わしきドライバーが入っていた。

 

「これは!?」

「牙狼の稼働データを元に造った君の専用機だ。その名も『エターナル』だ」

「いずれ全てのISの頂点に立つ〈王〉の実力。それを存分に発揮しなさい」

「ウェストコット君に専用機!?あわわわ!また書類が、……きゅ~」

 

 何やら限界を超えたのか、真耶は頭から煙を出しながら目を回して倒れてしまう。

 

「む?おーい、山田君?返事がない。ただの屍のようだ」

「何だって!?誰の仕業だ!?」

「私だ」

「そんな!令音さんだったなんて!?」

「「暇を持て余した、神々の遊び。ドヤッ」」

 

 倒れた千冬と真耶の傍で、思わず殴りたくなるようなドヤ顔をキメる令音と一夏。

 

『お兄ちゃん?それに令音も。あまりふざけ過ぎると、フラクナシスの転送装置を使わせないよ?』

「よし、真面目にやろうか」

「イエス、マム」

 

 転送装置という文明の利器の恩恵にどっぷり浸かっている二人は、琴里からの通告を受けてふざけるのを止めた。

どんなに遠くても一瞬で行ける安全で便利な装置。交通費も浮くから、財布にも優しい。

このぐらいでも、どれ程依存しているか想像できるだろう。

 

「さて、鈴さんの救出に行きたいのですが……」

「簡単には行かせてくれないみたいですよ」

 

 管制室からいざ出ようとすると、部屋の角から青黒い煙が噴き出して、それが一匹の犬としか形容しようのない二メートル程の体躯の生物の形となって現れた。

 

GURUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!

 

 獲物を見つけた歓喜に打ち震え、鋭く伸びた注射針のような舌を口の中から覗かせながら咆哮する。

 

「ティンダロスの猟犬ですか。ここは私にお任せくださいな」

「頼む、セシリア」

「では、私は山田君を運ぼう。ついでにこれも。エレン君、護衛を頼めるかい?」

「いいでしょう。一夏くん、無理はしないでくださいよ」

「当たり前です」

 

 壁の穴から、一夏はアリーナの入口に向かって走り、真耶と千冬を担いだ令音とエレンは安全な場所に移すため動く。

 それをさせまいと、猟犬は飛び出す。

 セシリアが銃弾を放つが、通常の銃弾など彼等にとっては歯牙に掛ける必要などない。

 だが、獣としての本能が危険を察知し、体の動きを止めた。

 

ドッゴオォン!!

 

「あら、残念。流石に、カンが鋭いようで」

 

 すでに一夏達は姿が見えなくなり、管制室に残ったのはセシリアと猟犬だけであった。

 

「ランチェスター大聖堂の旧神の印を刻んだ銀十字を、炎の精が溶かして作った銃弾ですわ。これならば、効くでしょう?」

 

 セシリアの言葉を聞き、猟犬は理解した。

 いつもは一方的な狩りであった。だが、今回は自分も狩られる側にいると。彼女は、敵であると。

 

「さてさて、証明してみせましょう」

 

 引き金が引かれると同時に、猟犬は飛び出してセシリアに近づく。

 接近戦ならば、こちらに分がある。

 そう判断して猟犬は、懐に噛み付こうとする。

 

「化け物を殺すのは、いつだって人だということを」

 

ブオン!!

 

 だが、腹部に衝撃が走り、体が飛ばされる。

 飛ばされながら体勢を立て直す中、セシリアがグリップではなく銃身を握って振りかぶっていたことから、銃で殴られたことに気付く。

 遠距離武器を鈍器に使ったことに驚くが、着地すると同時に振りかぶったままの状態のセシリアへ再度近づく。

 今度こそ、確実の喉笛を噛み切るために。

 

「その程度ですか?化け物(フリークス)

 

 猟犬は見た。

 セシリアの左手には、キッチリ自分に狙いを定めている、漆黒の輝きを放つ銃口がいつの間にか握られていたことに。

 

「BAN!」

 

 銀色の銃弾が放たれたのを認識した瞬間、猟犬の意識は二度と戻ることはなかった。

 

「純銀マケドニウム加工水銀弾頭。マーベルス科学薬筒NNA9。全長39センチ、重量16キロ、13ミリ炸裂徹甲弾。『ジャッカル』。パーフェクトですわ、チェルシー」

 

 静かに呟いたセシリアは、二丁の拳銃を量子化させると管制室から走り去った。

 

 

 

―――アリーナ内部

 

 

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇえ!!」

「うっさいアル」

「ゲバラッ!?」

 

 突進してきた千夏の横っ面に、『双天牙月』を叩き込んで地面に落とすと同時に、死角から迫ってきた触手を衝撃砲で弾く。

 先程からこれの繰り返しで、『甲龍』のエネルギーは減る一方で、『白式』のエネルギーは常に満タン状態になっていた。

 

「やっぱ、あの触手を切らないとダメアルカ。解析結果はどうだったネ?」

『予想通りよ。あの触手がバイパスになって無限にエネルギーを送り込んでいるわね』

 

 『白式』に繋がれている触手がエネルギーを与えているのでないか、と考えて何度も切ろうとするが、逆に弾かれて『双天牙月』に刃こぼれが生じてしまっている。

 

「〈メテオ〉は、まだ人目があるか使えないアルカ。だったら……」

 

 何を思ったのか、鈴はISを解除して地面に降り立つ。

 

「隙アリィィィイイイ!!」

 

 叫んでしまっている時点で、全然隙など作れていないが、\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!、な千夏は気付かない。

 

「コオオオオオオ……」

 

 『双天牙月』を元の大きさに戻し、独特な呼吸を行うと鈴のツインテールが風を受けていないのになびく。

 そして、『双天牙月』に銀色のオーラのような光で包まれる。

 

銀色の波紋疾走(メタルシルバーオーバードライブ)!!」

 

 大上段から振り下ろされた『雪片弐型』を、体を横にずらすことで避ける。

 そのまま、流れるように『双天牙月』を『白式』に巻き付く触手に叩き込む。

 

RIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!

 

 途端、ショゴスが金切り声のような悲鳴を上げる。

 今まで切るのに苦労していた触手が、豆腐のように容易く切れ、断面からは煙が出ていた。

 そして、横っ面に蹴りを叩き込んで千夏をアリーナの隅まで飛ばした鈴は、両手で合掌を作ってショゴスと向き合う。

 この時、DEM製のSAN値が減るのを防ぐ、目以外をすっぽり隠す頭巾と、グラサンのような邪神フィルターをかけるのを忘れない。

 それを見たショゴスも、外見上合掌はできないが、それに近い形で両腕を合わせる。

 

「ドーモ、ショゴス=サン。鈴です」

『ドーモ、鈴=サン。ショゴスのゴスです』

 

 鈴が一礼した後、ショゴスの方も合成されたような電子音声で返答した。

 




キイィヤァァァアアアア!!シャアァベッタァァァアアアア!!

それとそこ!チェルシーさんが裏切りそうだと?
ソ、ソンナコトナイヨー。

あと、ネタに走りすぎた気もする。反省はしている。後悔はしていない。
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