Fate/Masked Rider   作:ガルドン

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炎上の管制室

自室から飛び出してきて一分ほど経っただろうか、俺は何とか管制室にたどり着いた。

自室からここまで、体力も無い一般人が全力で走ってきたせいで息も絶え絶えになり、体はふらついているような状態だが気にせずに管制室に入る。

 

――そこは、地獄だった。

 

 青を基調とした部屋だった管制室は見る影もなく、至るところで火の手が上がり、生存者を捜すにも瓦礫だらけでどこに何があるかもわからない。

これでは生存者など――なんて思いを抱きそうになるが、それをぐっと抑えて俺は捜索に入った。

 

「マシュ! どこだ!? 返事をしてくれ! マシュ!」

 

 …まずい。いくら呼び掛けても返事がない。

それどころか生存者がいる気配すらない。あるのはどこを見渡しても炎、炎、炎。

いくら瓦礫の影や下を探しても彼女の姿はどこにもなかった。

 

 だが――

 

「! あっちか!」

 

 敏感になっていた耳に、間違いなく環境音ではない人の声が聞こえてくる。

その声の主がマシュだと思った俺は、酸欠気味の身体に鞭打って声のした方へ走り出す。

しかしその先にいたのはピンク色の髪をした彼女ではなく――

 

「――! 所長!」

 

「う――あ――」

 

 血だまりに倒れ伏し、白い髪を紅に染めた所長だった。

 

「所長! しっかりしてください! 所長!」

 

「――う、んん―」

 

所長は至るところにやけどを負っていた。それに加え、片足が潰れている。

医療に関しては全くの門外漢である俺にもわかる。彼女の状態は、間違いなく今すぐに手当てしなければまずい状態だった。

 

「――う、あなた、どうしてここに」

 

「所長に言われて部屋で待機してたらこんなことに…教えてください! いったい何があったんですか!?」

 

「たしか――レイシフトの最終調整をしてたら、いきなり爆発が起きて…それで、こんなことに――」

 

所長は虚ろな目で質問に答える。状況から察するに、どうやら爆発は所長のすぐ近くで起きたらしい。

所長を背負い、すぐに出口を目指そうと踏み出したその時。炎上する管制室の炎の音に交じってアナウンスが聞こえてきた。

 

『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。近未来百年にわたり、人類のは生存は確認できません。人類の未来は保障できません。』

 

「な――そんな…嘘でしょ?」

 

 所長の手が背中に何度も打ち付けられる。しかしその手はとても弱々しく、彼女がどれほど弱っているのかを物語っている。

振り返ってみれば、彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

「こんなはずじゃ…こんなはずじゃなかったのに…」

 

所長が大粒の涙を流しながらぶつぶつと呟く。こうしている間にも、アナウンスは中央隔壁が閉鎖されたことを告げていた。

そして、アナウンスは無機質な音声で次の勧告を伝えはじめる。

 

『レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。適応番号四八 ナガセと適応番号四九 フジマルをマスターとして再設定します。』

 

「フジマル…? もしかしてどこかに他のマスター適正者がいるのか!?」

 

先ほどのアナウンスの中に出てきた"フジマル"という人物がどこかにいるのだろうか。もしそうなら、マシュを救出してくれていることを願う。

今は一刻も早く所長を安全な場所に移さなければと思って走り出すが、ふと彼女が随分と静かになっていることに気が付いた。

 

「あの、所長? 大丈夫ですか?」

 

「………」

 

 声を掛けてみるが、全く返事は返ってこない。

妙な胸騒ぎを覚えた俺は一旦彼女を降ろして様子を見ようとするが、時すでに遅し。

 

『レイシフト開始まで――三、二、一、全行程クリア。ファーストオーダー実証を開始します。』

 

アナウンスの声が聞こえ、軽い浮遊感の後に無情にも俺の意識は途絶えてしまった。




どうも皆さまお久しぶりです。
少しリアルの都合などで間が空いてしまいましたが、今後はもう少し早いペースで投稿できると思いますので気長に待っていただければありがたいです。
さて、次回からは特異点F編になります。
色々な部分で原作から大きく変わった特異点Fを楽しんでいただければ幸いです。
それではまた次回。

2018/07/17
本文を一部改訂。
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