Fate/Masked Rider   作:ガルドン

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生存者を救え

「ついたぞ、ここにアーチャーがいるはずだ」

 

そう言ってキャスターは自分の腕の中に抱えていた俺を解放し、舗装された道路の上にしっかりと立たせてくれる。

 

ついたのはキャスターたちの拠点から少し離れた学校だった。

学校の外観はきれいなもので、破壊の爪跡などはまったく見受けられない。

中へ足を踏み入れるとき、キャスターに何故この学校だけがこんなに綺麗なのか尋ねてみると、どうやらここはもともとマスターを失ったアナさんの拠点だったらしく、魔術的な結界を張っていたおかげで敵が誰もここに近づくことが無かったらしい。

その結果として戦場になることもなく、彼女がキャスター宅に移住したことにより本格的に何もない場所として今まで放置されていたそうだ。

 

そんな経緯を聞きながら歩き続け、一階を捜索し終えたものの、まったくアーチャーらしい人影も生存者もなにも見つかることは無かった。

これでは埒が明かないと判断したキャスターはふた手に別れ、それぞれが二階と三階を別々に捜索することになった。

 

そうして俺はキャスターと一緒に三階を捜索するべく、階段を静かに登っていく。

すると、俺は床に何やら気になるものが落ちていることに気がついた。

 

「――あ。キャスター、これって…」

 

「あん? こりゃあ…血痕か。しかもまだ新しい。これなら一時間くらいしか経ってねえだろうな」

 

血痕は点々と廊下を続いており、突き当たりの角の教室のドアの前で途切れていた。

やっと見つけた手がかりらしい手がかりに内心喜びながら突き当たりの教室へと急ぐ。

ドアを開け中へ入ってみると、そこには俺にとって見覚えのあるシルエットの人物が倒れていた。

 

「所長!」

 

癖のある白い髪に整った美しい顔、そして特徴的なオレンジと黒の衣服に身を包んだ女性、オルガマリー・アニムスフィアの姿がそこにはあった。

急いで彼女の元へ駆け寄ろうと走り出す。

 

だが、後から冷静になって考えてみればこの状況はあまりにも出来すぎていた。

今までまったく見つからなかった手がかりが突然見つかり、ご丁寧に血痕をつけて彼女の居場所がわかるようになっている。

しかも彼女はまるで助けてくださいとでも言わんばかりに教室のど真ん中で倒れていたのだ。

 

これを出来すぎていると言わずしてなんと言うのか。

そしてその予感は残念なことに的中し、所長へ近づく俺に牙をむいた。

 

「――! 坊主! 伏せろ!」

 

「へ?」

 

突然キャスターの怒鳴り声が聞こえたかと思うと、前方から()()が凄まじいスピードで近づいてくるのが分かった。

次の瞬間、鉄と鉄がぶつかり合うような耳障りな音が教室に響き渡る。

驚いて音のした方を見れば、目の前に二つの人影があった。

一人は木製の杖を両手に持ったキャスター。そしてもう一人の人物は―――

 

「…チッ、やはりそうやすやすと殺させてはくれんか」

 

白と黒の短剣を携え、黒のアーマーを着込んだ白髪の人物――キャスターから聞き及んでいたアーチャーがそこにいた。

 

「――ハッ、隠れてコソコソなにかやってると思えば、今度は闇討ちかよ。つくづく気にいらねぇなあテメェは!」

 

「ふん、貴様と私は水と油のようなもの。絶対にに相容れることはないとわかっているだろうに」

 

「ケッ! そのキザったらしい台詞回しも相変わらずだなぁオイ!」

 

魔術師(キャスター)弓兵(アーチャー)は互いに軽口を叩き合いながら、鍔迫り合いを続ける。その様子はさながら、仇敵に遭遇した戦士のようだった。

 

「オイ坊主! コイツはオレがなんとかする! だからおまえはその嬢ちゃんを連れて逃げろ!」

 

あまりにも唐突なことに硬直していた俺の意識がキャスターの怒号にも等しい声によって再起動する。

そうだ、俺たちは元々彼女を助けるためにここへ来たのだ。そして今、彼女は無事に発見出来た。

ならばもうこんな場所にいる必要はない。一刻も早くここから脱出しなければ。

そう思った俺は急いで眠ったままの所長を担ぎ上げ、一目散にその教室を後にした。

 

* * *

 

教室から飛び出し、階段を半ば飛び降りるような形で駆け下りると、二階を探索していたはずのマシュと藤丸の二人が血相を変えてこちらにやってきた。

 

「未来さん! 先ほどの金属音は一体――所長!?」

 

近づいてきた二人は同様に俺の背に担がれている所長を見て驚きの表情を見せる。

だが彼らに説明をしている余裕はない。一刻も早くここを離れなければ、上でアーチャーを押しとどめてくれているキャスターに申し訳が立たない。

 

「悪いが説明は後だ! それよりさっさとここから脱出するぞ!」

 

そう言って俺は再び階段を駆け下り始める。

マシュたちも先ほどの一言ですべてを察したようで、後方から二つの足音が着いてきた。

 

そうして校舎を出て校庭へ差し掛かった時だった。

 

「――! 止まってください、先輩」

 

先行していたマシュがなにかに気づいたようで大盾を構えて戦闘態勢に入る。

俺たちも周りを見て警戒してみるものの、まったく異変は感知できずに終わる。

 

「……来ます! お二人とも、私の後方へ!」

 

マシュから大声でそう言われ、すぐさま彼女の後方へ隠れると、遠くから何か物が落ちてくるような音が聞こえてくる。

その次の瞬間、轟音が轟いた。

 

「うわ!?」

 

「くっ…!」

 

「うお!?」

 

立っていられないほどの強烈な揺れに襲われ、体がよろけて倒れそうになるのを必死に堪えていると、前方に一つの人影があるのがわかった。

徐々に土煙が晴れ、ぼやけていた輪郭がハッキリしてくる。

やがて土煙が完全に晴れ、俺たちを襲ってきた敵の全貌が見えた。

 

そこにいたのは白いウェディングドレスを着た少女。手には巨大な戦槌(メイス)を持ち、目元は長い髪に隠れていて見えなかったが、間違いなくこちらを見ていることは理解できる。

その総身に緑の電気を纏わせ、白い少女は歯を剥き出しにしてこちらを威嚇するように立っていた。

 

「……この様子では話し合いが通じる相手ではなさそうですね」

 

マシュが体を強張らせながら呟く。俺もその発言に同感だった。

先ほどからこの少女の口からは唸り声しか聞こえてこない。

そしてこの獣のような威嚇の仕方から察するに、おそらくはこの少女がキャスターが言っていたサーヴァントの一人――バーサーカーのサーヴァントなのだろう。

 

「ウウウウ…アアアアアッ!」

 

「魔力の急激な増幅を確認! 敵性サーヴァント、来ます!」

 

耳障りな唸り声と共に少女がこちらへ飛びかかってくる。

それを向かい打つ形でマシュも盾を地面に突き立てて、衝突を待つ。

こうして少女同士の戦いの火蓋が切って落とされた。




どうも皆さま、ガルドンです。
今年に入ってからの初投稿になります。
まさか去年の十一月からこんなに間が開くとは自分でも思いもしませんでした。
なんとか去年中に一話完成させられるだろって慢心した結果がコレだよ!すいませんでした!
とりあえず次回はそう遠くないうちに投稿出来ると思うので、暫しお待ちください。
ではまた次回!
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