鎮守府に勤めてるんだが、俺はもうダメかもしれない   作:108036

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いろんなご指摘をいただきまして、やっぱり設定甘いよなぁと赤っ恥なお腹へっぽこです(名前IDになってるけど)
また黒歴史を増量したかと思いはしますが、一様考えてる分は書き切ります!

んでもって失敗は次に活かしますよ!
なので、次何か書き始める時は設定を感想で募集しようかと思います。
自分だけじゃやはり想像力というか、そう考えるとそうだよなぁという客観的な部分が足りないと今回痛感致しましたので。

意見....くれますよね?(震え声)

では今回も2話投稿していきます!
早めに書いて勘違い(じゃないって言われちゃったけど、確かにそうかもしれない)を解消しましょう!
そっからの話は、皆さん胃を痛めなくても読めるかと思いますので!


7話 月見酒

ここはどこだ?

お れ の へ や だ !

 

 

という事で、自室...もとい仕事場である第二執務室に帰ってきた。

ちなみに先輩方が使ってるのが第一ね。

戻ってくるついでに、作戦に必要な企画書等々先輩方から頂いておいたが....なんだか顔色が悪いようだった。

 

大丈夫なのかな?

まぁ今の俺に先輩方を案じていろいろやるほど余力は無いんだが....あまりにも体調悪そうだったら仕事....いや、それに関しては厳しいや....

 

 

ま、経過を見るとしますか。

実際に悪いのかもわからんしな。

 

 

さて、もう直ぐ日も沈み始めるこの時間帯は艦娘達が鎮守府に帰還する時間帯でもある。

 

体を動かすのをやめて戻って来たのはそれが理由だ。

そんな時間に俺が廊下をうろついてちゃあな...ま、良い事にはならんでしょってこと。

 

 

自室に引っ込むに限るって事よ。

 

 

ってなわけでヒッキーになっているわけだが...正直暇だ。

いきなりやる事がなくなったせいか、なんかそわそわするしなぁ

 

んー...今日は丸一日休んどくつもりだったけど、作戦ねっとくか。

ちょうど貰って来たとこだしな。

 

暇だとなんか不安で仕方ねぇわ。

仕事のしすぎかな...

 

 

重要書類専用の引き出しを鍵で開け、資料を並べる。

 

一通り眺めつつ、はぁ...と、ため息をつくと、提督はブツブツと呟き始めた。

 

 

えーっと、大規模作戦区域へと向けて移動中の敵艦隊を妨害せよ...だっけか

いや...妨害も何も進路的にうちにも襲撃来るでしょ。

 

でも偵察が?いやこんだけのわけ...

うわぁ...これにちょっかい...それより守りを...だな....

 

 

ふぅむ。

 

 

これあれか。

今回の作戦にうち参加してないのがあるのか..んー、参加しとくんだったなぁ

 

沖合から近海にかけてっと...海図と地図どこやったかな...お、あったあった。

えっとぉ?...こりゃあれだ。撃破は無理だな...でも大規模作戦はいつも通りこっちが押してるから...奴さん加勢に急ぐかな?

 

でも俺らの鎮守府も邪魔だし妨害されてるのが目に見えてるとなると、まぁ分けるよね

 

だからこそ、全力でやれば五分ってとこなんだけど...

 

あ、そうだ!

こっち出張ってきた別働隊つついて『妨害しました』って言い張ろう!

うん、それが良い。

 

うちの戦力だけじゃそれくらいが限度だし、評価は下がってみんなも安全。

まさに一石二鳥じゃないか。

 

即行引いて守りに徹すれば...まぁ、鎮守府壊滅とはなるまい。

粘れば別働隊も引くでしょ...あくまであっちの援軍として来てんだから

 

 

「....なんとかなるか」

 

うん、なりそうではある。

正直現地で指揮する意味も感じられないけど...なんかややこしい事情でもあるのかな?

 

でもこれ鎮守府防衛戦になりそうだし、どっちにしろできることはやらなきゃいけない状況にはなってたんだな。

 

 

指揮権があるって事は、あいつらの命預かってんだもん。

下手は打てんわ。

 

でもこれだと鎮守府総出になりそうだな....

大人数となるとバラバラに指示出すの苦手なんだけどな。

損害出さないためって言うと、まぁしゃあないか。

贅沢は言ってられないな。

 

 

じゃあ、作戦仕込むか。

お、ここの岩礁って確か....ああ、やっぱり姫がいた跡地か。

 

姫級がいた泊地...過去にもう攻略し終わった所だ。

 

ちょうどいいところにある。

そこを起点に出撃して航空爆撃、釣れたら砲撃で適当に遅滞戦闘をしながら引かせて....潜水艦で雷撃。

本当に援軍がこれだけで、この進路ならこれでいけるはずだ。

敵にも空母がいた場合は対空値高いやつに頑張って貰おう。

 

 

『突出せずに』それだけ厳命しておいたら後は守るだけだ。

釣れないなら航空機で好き放題ボコボコにすればいいし、それだけでおしまい。

 

そっちの方が妨害しましたって言い分通りやすいかもな。

後は確認できた分だけでも、作戦海域に進んだ深海棲艦を報告して....報告作業俺なのかなぁ。

 

何回もおんなじ事書いてめんどくさいんだよなぁあれ。

通信ログとか、記録とか....はぁ。

 

 

いやいや、後のことは今は止そう。

それよりもこれ...偵察情報だよなぁ.....。

 

海図と偵察情報を照らし合わせて見てみる。

よく索敵されているとは思う。

どこの艦隊かはわからないが、よくやったもんだ。

 

しかし....

 

「気になるな....」

 

 

多分俺だからこそ、そう思うのだろう。

深海棲艦との戦いで、最初は自分の命のために。

途中からは、味方を逃すために。

敵の眼前で逃げ回る事は日常茶飯事だった。

 

 

「俺だったらこう避けるだろうな」

 

 

呟き、海上のルートをつつーっと指でなぞる。

予測の範疇をでない所だが....。

 

 

 

取り敢えず考えたとこ文章にしとくか。

んで明日か明後日にでも先輩方ん所に持ってこう。

 

 

まずは、このルートなぞって追加索敵お願いから.....

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「ふぅ...」

 

 

やぁーっと終わったぁ...。

頭使うのしんどいんよなぁ。

 

 

時刻を見れば、既に10時ごろに差し掛かっている。

まだ早いな、と思ってしまうのはいつもの書類処理のせいか。

いや、実際10時だとまだ夜もふけてはいないか。

 

散らかった資料をガッサリと大雑把にまとめ、別の引き出しにまとめてしまおうと開ける。

 

 

すると、引き出しの奥に光る瓶。

 

 

「おお?」

 

 

もしや。

そう思って引きずり出してみると、やはり。

 

 

「そういえば忘れてたなぁ...」

 

 

ここに来る時、こっそりと持ち込んだ、ウィスキーやブランデー、日本酒や芋焼酎などの酒の類がボロボロと。

 

大人な艦娘達と仲良くなったらあわよくば、じゃなくてもストレス発散にと買い込んで持ってきたが、まぁ...知る通りそんな暇は無かったわけで。

 

 

どれも市販品の安物だが、俺自身が酔うために度数は高めの代物だ。

身体強化の影響か、代謝も上がってるみたいで低いやつだと全然酔えないんだよなぁ。

 

 

ふと窓を見れば、今宵は満月。

 

 

さらにはこれまでの生活リズムの所為で眠くない、とくれば...やる事は一つ。

 

 

「飲むか」

 

 

港の海沿いで波の音を聞きながら...いいねぇいいねぇ!

 

どうせもう艦娘とは飲めやしねぇんだし、ストレス発散に使っちゃおう。

 

 

この時間だと大抵の奴は寝てる筈だし...

 

 

「ほんとにいねぇよな?」

 

 

廊下をチラッと覗く。

こんな時にぽいぽいに来られても困るし...え?いる筈がない?

 

いや、それが偶にいるんだよなぁ...

ぽいぽい以外にも遅くにフラフラと出歩いてる奴らが何人か。

 

 

居酒屋鳳翔にいる奴らやら、夜戦バカやら...その中で特に注意すべき奴は...

 

 

「あら〜、どうしたのかしら〜?」

 

 

...龍田、こいつだ。

 

 

「どうしたとはなんだ?龍田」

 

 

「珍しいじゃないですか〜

この時間に出歩くなんて、何か御用事でもあるのかしら〜?」

 

 

待てよ落ち着け。

扉から出てるのは半身だけ。

酒は通路側からは見えない片手に持ってるし、なんの問題もない。

 

 

「出歩く、と何故言い切れる?

私は様子を見ていただけだ」

 

 

「様子を見るのはやましい事があるからじゃないのぉ?

見られちゃいけない物があるって言ってるようなものですよ〜?」

 

 

 

その通りですはい。

まぁバレるよな....

 

 

 

「気配を感じただけだ

そしてそれは気のせいでは無かった

貴様がここをうろついていたのだからな」

 

 

「私は今通りかかった所ですよ〜?

他の娘じゃないかしら」

 

 

「ふん、どうだかな」

 

 

「酷いわぁ提督...信じてくれないの?」

 

 

困り顔の龍田さんあざとかわい...じゃねぇ

このままどうにかお帰り願うんだよ。

 

 

「行動を鑑みろ

暗い中をわざわざ遠回りする必要が何処にある?

お前の自室も鳳翔の居酒屋も、第1執務室もここからは離れていたはずだが?」

 

 

「ただ気分が向いただけですよ?」

 

 

「ほざけ

私が憲兵に通報する前に消えることだな」

 

 

 

「もぅ...今日はご機嫌斜めなの?」

 

 

「いい加減にその口を閉じろ

そんなに懲罰房がお望みか?」

 

 

 

「あらあら怖いんだから、仕方ないですねぇ」

 

 

またね〜と手をフリフリさせて去る龍田さん。

かわいい。

 

俺にも態度を変えずに接してくれる艦娘の一人ではある...が、どうにもきな臭い。

理由があって俺に近づいてるっぽいんだよな。

 

 

あんまり上司二人とも仲良くしてなさそうなんだがなぁ。

それなのに、やけに俺にはグイグイくるわけよ。

 

会う事自体は稀なんだが、やれなにしてるの?今日の予定は?手伝う事ある?と結構な食い気味具合だ。

周りからの俺への感情も相まって異質なことこの上ない。

正直なところ、殺されるんじゃないかとうっすら思うくらいには俺も不気味に思ってる。

 

でもお話しするのは嫌いじゃないんだなこれが。

前世じゃ好きな艦娘だったしな。

 

 

それにしても今日は何だったんだろう?

なんかの証拠集めとかか?

鉢合わせなきゃ気付かないフリしてやれたんだがな...

今なんか重要書類預かってるか?

...いや、業務おやすみしてんだしあるわけないわな。

作戦書は見られても敵さんにチクるわけでもあるまいし。

 

 

「うーん、まぁいっか」

 

 

この部屋に今あるもんで艦娘に見られて困るもんは何にもない。

さっきも言った通り、深海さん側にチクられるほどの事がない限りは別に漁られても構わんわな。

 

あ、お酒は別ね。

 

 

「よし...」

 

 

さぁさ準備が整いましたよ。

夜も更けていい感じだ。

月見酒と洒落込もうじゃないか。

 

 

あ、もうちょっともってこ....

 

 

◇◇◇

 

 

「あ゛ー、うめぇ」

 

 

カラン...と、また瓶を空にする。

既に足元には空瓶が散乱しているが、気にせず次の瓶を開ける。

 

 

とても静かで良い夜だ。

あまり雲もなく、星も月もよく見える。

 

 

「んっんっ...ふぅ...」

 

 

ラッパ飲みで胃に流し込み、一息つく。

もとより安物だ。

美味いとは言っても、味を楽しむ気はさらさら無かった。

 

 

「クソッタレな状況に安い酒、景色だけは綺麗とくれば...5年前の大侵攻思い出すな...」

 

 

艦娘がいない時代にあった最初の深海棲艦の大攻勢。今では皮肉を込めてイベントと揶揄されるそれ。

その頃までは、点々と姿を現しては暴れて消えるだけの存在であった深海棲艦。

未知の生命体である深海棲艦を、まだ追う側だった人類が追われる側に押し込められる原因となった戦い。

 

退けば民家

行けば砲撃

そのままいたら航空爆撃と酷い目にあった日々を思い出す。

 

思えば随分と時間が経ったものだ。

ふいに酒瓶を掲げてみる。

 

あの時は確かこうやってーーーー

 

 

「ん、ああ...そうか」

 

 

何かが足りない。

そう感じた自分に、俺は即座に答えを返す事が出来た。

 

 

「あいつら、いねぇんだもんな」

 

 

共に酒瓶を掲げた面々は誰だったか。

どんな顔をしていたか。

朧げだった記憶だが、掘りかえすのはそう難しくない。

やろうと思えば、今だって一人一人を水面に浮かべる事ができる。

 

 

趣味が合わなかった。

話題が合わなかった。

性格が合わなかった。

戦場に立たなければ会話したのかさえ怪しい奴もいた。

 

だが、命を預けあった仲間だった。

愚痴り、皮肉り、罵声を浴びせあってしかし、危機を乗り越えた仲間たち。

 

 

今、一体いくらが生き残っているのだろうか。

 

 

大侵攻だけではない。

数えきれない程の戦場を、数えきれない程の仲間と駆けた。

 

だが生きてる者はといえば、指折るばかりだ。

 

 

「ったくいけねぇよなぁ

暗くなっちまってまぁ、こりゃいけねぇよ」

 

 

感傷に涙を流す時期はもう過ぎたとはいえ、ただ懐かしむには早すぎる。

 

 

だから男は、いつもの言葉を口にする。

 

 

「眠れよ兄弟。

俺もすぐに行くからよ」

 

 

酒を一気に呷る。

 

そうして、水面に映る戦友達に笑いかけた。

 

 

「土産話は期待しろよな。

俺よぅ、提督になったんだぜ」

 

 

水面の友と、酒と月。

結局朝になり、日の光で目覚めるまで彼はそうして座っていた。

 

無防備に眠る彼を艦娘の誰かが見ていたならば、もしくは彼に訪れる厄災に、道連れとなっても良いという艦娘が増えていたのかもしれない。

 

 

鳳翔の時のように、無理に作り出したものではない。

軍人としての鉄仮面では無く、そう一個人として。

彼は屈託なく、朗らかに...そして、温かく、笑ったのであろうから。

 

 




正直酒飲む所いるかぁ?と投稿時点で思う私です。
過去の自分の考えがわからない時って、たまにありますよね。

さぁもう一個!
皆さん大好きな夕立が出てきますよ!

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