鎮守府に勤めてるんだが、俺はもうダメかもしれない   作:108036

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二話連続投稿です!
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8話 寝起きとぽいぬ

っべー寝過ごした。

 

って思ってダッシュしたけど俺って今仕事無いのよな。

執務室戻って書類無くてムンクになってから気づいたわ。

このセルフドッキリ心臓に悪すぎるだろ。

 

 

「やることねぇ...」

 

 

と、なれば一気にやることが無くなってしまう。

焦って飛び起きたせいで眠気も飛んでしまい、鍛錬を積もうにも今の時間に出れば廊下で誰かと出くわしてしまう。

 

 

とくれば何をすべきか。

 

目覚めからの順当な人間の生活をなぞるならば...やはり食事か。

 

はぁ...食事か...

 

 

昨日は食堂に行って食べようとしたが、実はこの部屋にも食べられるものが無いわけでもない。

 

ない...のだが....

 

 

「またこれか...」

 

 

部屋の隅のダンボールから銀色の入れ物を取り出す。

雑に巻かれたラベルには、無骨な保存食の文字。

 

 

ひらけた中身は...ああやっぱり。

 

 

「やっぱりパンか...」

 

 

代表的な保存食の1つ、乾パンである。

食費を切り詰めるために、陸軍勤の友人からほぼタダで廃棄処分行きのものを譲って貰っているのだ。

 

ここ半年、これで生きてきたと言ってもなんら過言でもない真実である。

実質0円のパンに感謝していないわけではない。

これがあるだけでマシなものだと理解もしている。

普通に食っても完食に1分かからないお手軽さは、時間のない俺が真に求めるべきものだ。

 

しかしだ。

さすがに半年もおんなじパンばっかりだと飽きも来る。

 

 

「むぐむぐ....ッ!?

ゴホッ!ゲホッ!」

 

 

さらにはこのパン、当たり前だが凄く喉が乾く。

そこが地味に食欲を削る要因でもある。

 

 

「み、水...んっ、んっ、....ハァ」

 

 

最近じゃパン食うくらいならもう飯いらないかぁなんて思ったりもしてしまう始末。

けど今は作戦を控えた大事な時期だ。

 

食わねば。

 

 

 

もそもそ....もそもそ....

 

 

 

やっぱり喉が乾くな....

保存用の水って硬水っぽい味であんま好きじゃないんだよな....

 

書類が山のようにあったり、空から砲弾が降り注いでりゃそら不満も何もないんだけど。

こんなに平和な朝ごはんだとなぁ、足りないものに文句も出るわ。

 

 

 

「おはようっぽいーー!!」

 

 

ーーーードグシャ!!

 

 

訂正、文句なくなったわ。

静かな朝飯ほど恵まれた物ってないよな。

 

 

「提督さん!遊ぶっぽい!!」

 

 

うお!あぶねぇな!

机越しに飛びつくと椅子が保ちませんって!

 

 

「ここのドアはその方向に開かなかった筈だが?」

 

「こっちにも開いたから両開きっぽい!」

 

 

 

もはや開きっぱなしなんですがそれは...

あ、金具外れてる。

 

 

 

「これでも食べていろ」

 

 

「なにこれパンっぽーーーむぐ」

 

 

喋る夕立の口に缶に入っていたもう1つを押し込む。

食べ進めるたび表情が不満気に変わっていくが、撫でると些か持ち直す。

 

かわええ。

 

 

 

「提督さん、これ不味いっぽい」

 

 

 

直球だねキミィ

 

 

「保存食だ。緊急の場合は食べることになるのでな、味に慣れておけ」

 

 

「....提督さん、盗み喰いっぽい?」

 

 

「馬鹿なことを言うな。そんな訳あるか」

 

 

ジトーっと半目になる夕立。

お、この顔意外に好きかも。

 

 

「なんか怪しいっぽい」

 

 

「何故そう思う」

 

 

夕立は何故か俺のとこ寄って来るよなぁ。

撫でまくったのは確かだけど、撫でられた人全員に懐いていく訳でもあるまいに。

 

....いや、夕立ならあり得るか。

ぽいぬだしな。

 

 

まぁ普通に考えりゃ『アレ』のせいなんだろうけど...それならおんなじ艦娘同士でやりゃいいだけだし.....

 

 

でも、なんだかんだ言っても可愛い子と喋るのは楽しいな。

そんな感じで鼻の下をのばしていた俺はしかし、夕立の次の発言でピシリと固まることになる。

 

 

「だって提督さん、鎮守府のお金も取ってるってみんなが言ってたっぽい」

 

 

「.....は?」

 

 

ふぇ!?

待て待て、今何つった?

 

 

「なんだと?誰がだ」

 

 

「だから化粧品なんかにお金が回らないんだーって熊野さんとかが言ってたっぽい?」

 

 

「待てそれは...」

 

 

なんじゃそら。

心当たりなさすぎんよ。

 

化粧品とかっつったらあれか。

この前女所帯なんだから鎮守府の経費で落とせんかどうやらって来てたやつか。

 

そんなん断られたからお前が金使ってんだろってちょっと暴論すぎやしないか....

 

 

あ、

 

 

「ふむ?」

 

 

周りをあんまり気にしない夕立でも俺に言って来るってことは結構みんなに浸透してる情報って事だろ?

 

 

これ.....おいしくないか?

 

 

 

もちょっとほっとけば、

 

艦娘「こんな提督辞めさせろー!」

大本営「じゃけん調査しましょうね〜」

俺「見たけりゃ見してやるよぉ!」

大本営「すごく...何も無いです」

艦娘「は?(威圧)」

大本営「もう無茶苦茶だよぉ!」

大本営「この辺にぃ...閑職あんだけど...やってかない?」

俺「ああ^〜いっすね〜」

 

 

ってなもんで一件落着...いいゾ〜これ

 

 

よし、ほっとこう。

可能性のない話ではない。

 

 

「ふん、そう思うのならそれで良い」

 

 

「否定しないっぽい?」

 

 

「放っておけばいいというだけだ。何を言ったところで聞きはしないだろうからな」

 

 

実際そうだろうしな。

よしよし、終わりのビジョンが見えてきたぞ

なんだ俺にも運が向いてきたってのか?

 

生まれてこのかたついてないことが多すぎたからな。

ここら辺で幸運ってやつも機能してもらわないと困るってもんだ。

 

 

「ふーん...それでいいなら私は何も言わないわね」

 

 

あ、ぽいって言わなくなった。

 

夕立の目が怪しく光る。

抱きつき、首元に回していた手で、優しく顔を撫で始める。

 

 

「その代わり...最高に素敵なパーティーしましょ?」

 

 

包み込むように動いていた手が突如顔をガッチリと掴む。

 

やっぱり『アレ』か。

 

 

「ぶっ!?」

 

 

強引に頭突きをかまし、怯んだところを襟元掴んで投げ飛ばす。

 

あっぶねぇ。

いきなり首折りにくるんだもんな。

 

 

投げられた夕立は、器用に空中でクルクルと体制を整え、此方を向いて着地する。

鼻に当たったのか、鼻血が出ている。

 

 

やりすぎた?

 

 

一瞬そう思うが、こいつはそうは思ってないらしい。

 

 

目が、口が、体が、気配が。

『喜んでいる』という感情を前面に押し出し続けているからだ。

 

もっと、もっとと。

餌を強請る犬のように、次の応酬を求めている。

 

 

隠すつもりも無いのだろう。

 

 

これまでの経験からわかる。

待ちきれなくなれば、直ぐにでも飛びかかってくるのだろうと。

 

 

まぁ、つまりあれだ。

 

夕立とその...仲良しな関係を築けてるっていうのは....

 

 

「て゛い゛と゛く゛さ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!!!!!」

 

 

こういう事も含めてってことだ。

 

 




わいの中の夕立のイメージってこんなんなんや....許せ。
史実も特徴的ですよね。夕立って。
皆さんの中の夕立ってどんなイメージなんでしょうか?

よければ感想でもメールでもお聞かせくださいな。


ついに(全然期間経ってねぇ)追いつかれたか....出来るだけ早い目に書くのでご容赦くだされ....。
実習がマジ忙しいんですが、書くのは休憩がてらなんで着実に進みはしてます。エタりは今のところしませんが、遅れる事はあるかと思うので、そん時はこいつ死んでんだなぁと思って頂ければ大体あってます(白目)

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