『御嬢さん達!!これは頂いていくぜ!!』
「しまったッッ!!!!」
10分ほど前のこと
3つ目のドラゴンボール、二星珠をやっと見つけ出したと思ったら!
既に謎の男の手にそれが握られていた!
「そこのお兄さん!」
私は勇気を振り絞って話しかけた。
???『な、なんでしょうか!!!』
男は挙動不審で、私になんか目も合わせてくれない。
「あの…そのオレンジ色の珠って貴方の物ですか?」
すると男は
???『い、いやぁ…そうではなくぅ…!!』
『駄目ですよ!ヤムチャ様!!!』
と、後ろから何やら仲間だと思われる声が聞こえた。
なのだが……見た目が人間ではなかった。
それも青い猫?のような容姿で空中に浮いているではないか。
ヤムチャと呼ばれた男はその得体の知れない動物に話しかける。
ヤムチャ『お、おっといけないいけない…プーアル、すまなかったな!』
「(ぷーある?…可愛い名前)」
ブルマ『ちょっと、アンタ達何者なの?そのボールに用がないならさっさと渡してくれないかしら。私にとってすごーく重要なモノなんだから!(なにこのイケメン!!)』
ヤムチャ『へ、へ!?い、いやあのですね!こ
っこ、これは…』
プーアル『これはヤムチャ様がずっと探し求めていた財宝なんです!横取りなんて甚だしい!』
「プーアルちゃん?でいいかな…あのね!ちょっと貸してくれるだけでいいの!後で必ず返すから。」
すると何故かプーアルは頬を赤らめ
プーアル『ぷ、プーアルちゃん!?!?ぐぬぬ…そ、そんな色仕掛けには騙されないからな!!』
などと可笑しな反抗をしてきた。意味不明だ。
「い、色仕掛け…?」
ブルマ『はぁ、だったらアンタたちも私に』
ブルマがそこまで言い掛けた瞬間。
突然の事だった!!
大きな雄叫びをあげながら飛来するワイバーンの姿が此方へと迫ってきていた!
ギャァァァァァオッ
ヤムチャ『あ、あれは!!デザートワイバーン!?な、なんであんな狂暴なヤツがここに…!』
その巨大な翼で砂という砂を扇ぎ、強烈な砂嵐を引き起こした。
ブルマ『うわ~ん!!なんなのよぉ!!目に砂が入るじゃな~ぃっ!』
するとそのデカイワイバーンはブルマの方へと一直線!
「ぶ、ブルマさん!!危ないっ!」
ドガッ!!
間一髪のところで怪獣の脳天に蹴りを入れることに成功した。
ブルマ『ひ、ひぃぃ~…た、たすかったわ!フランちゃんありがとう…』
ヤムチャ『(占めた!あの子達には悪いが今がチャンス!!)乗れ!プーアル!!』
プーアル『はい!ヤムチャ様!!』
私がそれに気づいたときにはもう遅かった。
ヤムチャ『御嬢さん達!!これは頂いていくぜ!!』
ブルマ『あ、あぁ!!まちなさなーーい!コラァ~!』
とてつもない速さのバイクで逃げられてしまった。
私の反応速度よりも速く彼は既に逃げを行っていた。
とてもじゃないがこの足元の悪さでは追い付けそうになかった。
「くっ…ブルマさんごめんなさい。もっと早く気づいていたら…」
ブルマ『いいのよ!私のことを優先して助けてくれた貴女を責めれるもんですか。しかも、彼奴ドラゴンボール持ってるんだから追跡は可能よ♪』
「そ、そっか!!良かった…!なら急いであの人達を追いましょう!」
私とブルマさんはヤムチャを追うため飛行船に乗り込み、追跡を開始した。
ブルマ『それにしても~あのヤムチャって人、色男よね~』
「…(え?)」
ブルマさんは軽く恋をしていた。あんなモシャモシャのサバンナ男の何処が良いのか今の私には理解できなかった。
それに私だけではないのかもしれないけれど、目も合わせてくれないような無愛想な人だったし、私には悪い印象しか無い。こっちは襲われてたっていうのに最後にはあんな風に自分達だけ逃げちゃうし。
ブルマ『あぁ~彼は今頃どうしてるのかしらぁ~♪』
「あ、あはは……(なんとも言えないわよ!!)」
一方ヤムチャ一行は足取りを消すべく洞窟へと逃げ隠れしていた。もうこちらは既に砂漠地帯を抜けているようで、草木が生い茂っていた。
ヤムチャ『ふぅ…ここまで逃げれば彼奴らも追ってこれまい。』
――いや、本当はあの子にもう一回で良いから会いたいんだけど―
などと内心思っているこの色男(?)はため息をつきながら持ち逃げしたドラゴンボールを見つめていた。
プーアル『これが噂に聞く、7つ集めればどんな願いでも1つだけ叶うと言われている幻の玉ですか。なんだか凄みを感じますねヤムチャ様。』
ヤムチャ『………どんな願いでも か。オレには叶えたい夢がありすぎて1つじゃ足りないな』
プーアル『そういえば伺おうとしてたのですが、叶うとしたらどんな願いをするつもりで?』
ヤムチャは悩んだ。ここは素直に言うべきかそれともプーアルにだけは憧れの格好いいヤムチャ様であれば良いのか。必死に悩んだ。
その間30秒。
ヤムチャ『オレは…オレは!!』
プーアル『ゴクリ…』
そして勢い良く言い放った!!!
ヤムチャ『オレはぁ!!さっき出会った金髪の美女と付き合いたーーーいっ!!!!!』
静寂は訪れなかった。何故ならここは洞窟。良く響いた。その願いは洞窟の奥へ奥へと反響し次第に小さくなっていく。それとともにただ1人、完全に心が静まり返っていくプーアルだけが取り残されていった。
プーアル『…さ、さっき会った金髪の美女…?』
ヤムチャ『あぁ!!そうだ!!!一目惚れした!なんとしても付き合いたい。』
プーアル『正気ですか!?あんな女嫌いだったヤムチャ様が………っ!!どこか頭でも打ったのでしょう!すぐお医者様に見てもらった方が…!』
ヤムチャ『あ、頭などどこも打っておらんわ!オレは本気なんだ…。オレの野望を叶えるためには…ま、まずは女嫌いを克服しなければなんともならん!!』
この言葉で騙せることができる人間がいるのだろうか。
プーアル『な、なるほど!!そういうことでしたか。流石ヤムチャ様!』
しかし、プーアルは純粋で単純だった。
ヤムチャ『そ、そうと決まれば残りの6個も集めにいくぞ!明日決行する!』
プーアル『了解です!ヤムチャ様!』
二人は洞窟で野宿するために、食べ物や薪を集めに出掛けたのであった。
フラン達はヤムチャ一行を急いで追った。ドラゴンレーダーでボールの居場所はわかるものの、いざ見つけたとき果たして彼らがそう易々と渡してくれるものかと疑問を感じ、作戦を練っていた。
「ぅーん…私みたいにあの人がブルマさんについてきてくれるとは思えないしなぁ…」
ブルマ『まぁ、きっとなんとかなるわよ。男なんてね、女の子にちょーっと優しくされればイチコロなんだから♪』
内心、そんな雑な作戦で大丈夫なのか心配だ。
これは私1人でもまともな考えが無いと簡単にはいきそうにないかもしれない。
先が思いやられる…。
ピピピッ!!
ブルマ『フランちゃん!この辺にいるわ!』
飛行船の窓から覗き込むと下には小規模な洞窟が目に映った。
飛行船はその洞窟から少し離れた場所へと着陸させた。
「ブルマさん、気をつけてください。もしかすると仲間を呼んでる可能性もあると思うので、私の背後にいてください。」
ブルマさんは何を思ったのか、私の背中を見て凄く笑いたげだ。
ブルマ『フランちゃんって私よりちっちゃいのに勇ましいわよね』
「なっ!?∥ ち、ちっちゃくなんかありません!成長期がまだなだけです!!!」
私は完全否定した。
「と、とにかくぅ!! 私から離れないで下さいね!」
ブルマ『はいはい、ありがと(笑)』
―何故だろう!この笑顔、壊したい!!―
飛行船から降り、洞窟の穴前まで歩みを進め、辺りに人がいないか注意深く探す。
しかし、どうやら洞窟の中にも付近にも誰もいなかったようだ。
「……どういうことでしょう…罠ですかね?」
ブルマ『でもそれにしてはすっからかんよね。不自然ではないのよね。この静かさは』
「ですよね…では入りましょう。」
小規模な洞窟がゆえに探し物には困りそうはなかった。
懐中電灯をつけ、辺りを照らす。
「あ、ありましたよ!!しかも…こんな分かりやすい場所に…」
ブルマ『やったわ♪これで二星珠もゲットね!』
意外に呆気なかった―
そう思ったと同時に震え上がった声が背後から聞こえてきた!
プーアル『お前らぁ!!何をしている!!』
ヤムチャ一行だった!!!!
ブルマ『ぁ、やばっ!』
プーアル『よくもヤムチャ様の宝を盗もうとしたな!こんな奴らコテンパンにしてやりましょう!………ヤムチャ様?』
するとヤムチャは、怒っているのだろうか。身体を震わせ、無言で立ち尽くしている。
「(く、くるか!?)」
思わず身構える。
ヤムチャ『………み…』
―なんだ?小声で全然聞き取れない―
ヤムチャ『そ、そこのき、きみ!!』
「へ?……わたし、ですか?」
ヤムチャは何やら非常に気難しい顔をしている。
ヤムチャ『か、勘違いするんじゃないぞ!そ、その願い玉は君にやる!!そのかわり……オレと…オレと!!』
とてつもない気迫が私に迫る!!
ヤムチャ『付き合ってくれぇーッッ!!!!』
ブルマ『そ、そんな!?』
この一瞬だけ私の全神経と思考回路が機能を果たさなくなった。
この男は今なんと言ったのか、理解できなった。
「……ぁ…あぁ////」
次第に活発になっていく全神経と思考速度。
「な、なにいってるの貴方はぁ~!?∥」
そして羞恥という感情!
これが人生初の恋愛に対する感情だった。