ブルマさんのドラゴンボール集めを手伝い、旅をすること早2週間が経とうとしていた。
あまり期間は長いとは言えないが、旅を始めてから私を取り巻く環境は少しずつ変化していった。
まず新たな仲間(?)が増えたこと。
ヤムチャというボサボサ頭のハレンチ男。
そしてそのヤムチャを慕うプーアルちゃん。
驚くことに
―どうしてこうなった―
わたし全くといっていい程、恋愛とか知らないし!ましてやなんて返事すればいいかもわからないよ!
やっぱり傷つけないような断り方をすればいいんだろうけれど……
「(お姉様助けて…へるぷみぃぃ~ッッ!! 私に助言を………)」
…そういえば咲夜がずっと前に私に恋愛話をしてくれたことがあったっけ…
~回想~
咲夜『妹様。妹様は大変魅力的な方でございます。そんな貴女様の将来はきっと男に悩まされる事も多くなると思われます。』
「はぁ」
咲夜『ですから、全くもって興味もない男から愛の告白をされる可能性だってありえます。したくもない恋を長引かせるのは絶対に駄目です!』
「…(私そんなにモテるとは思わないんだけど…)」
咲夜『では、そんなときの対処法をお教えします!』
「一応聞くよ…」
咲夜『見下しながら は?何言っちゃってるわけ?あんたみたいなダサ男に興味なんてないわ…私の視界から消えてくれない?目障りだわ…
このような事を発言できればすぐ解決します。』
「なんか違う意味で解決しちゃってない?それ私すごい人が悪いよね?人格疑われちゃうよね?」
咲夜『妹様から言われるならご褒美ですd(^-^)』
「いやグーじゃねーよ」
~回想終了~
「…………」
―駄目だ!!あのメイド役に立たねえ!―
もうどうすればいいのよ~…!
くっ…こうなったら…一か八か…やってみるしかない。
ヤムチャ『ふ、フランちゃん!紅茶淹れてきたぜ!』
―態々淹れてきてくれたんだ…っいや駄目よフラン!ここでバシッと言わないと!―
私は思いっきり上に目をやり、下から威圧するように発した。
「お、お礼なんか言わないわ…貴方が淹れた紅茶を飲むくらいならお水を飲んだ方がましよっ…」
ヤムチャ『へ…!?』
「さっさと視界から消えてくれないかな!め、目障りだわ…っ」
い、言えた!!
ヤムチャ『お…………おふ』
バタンッ
するとヤムチャが鼻血を出しながら倒れた!!
プーアル『ヤムチャ様っ!?ヤムチャさまぁぁぁぁぁ!お気をたしかにぃぃ!!』
「(な、なんか申し訳ないけどこれであの人からの告白は帳消しになったよね…!やっぱり咲夜は天才すぎる…流石お姉様が見込んだメイド)」
ブルマ『(この子なんだか凄い勘違いをしている
気がするわ…)』
―――――――――――――――――――――――
フランがアホをやっている頃、悟空達は勉強をし、しっかりと昼食を摂った後であった。
悟空は姉であるフランの旅路を心配し、思い悩んでいた。
―オラも姉ちゃんについて行った方がやっぱ良かったかなぁ―
しかし、悟空は同時にフランの強さを知っていたのであまり気にしないようにした。姉は弟である自分のやりたいことを優先してくれたし、早く強くなって姉に追い付きたい一心であった。
悟空『あ、そういえば!亀仙人のじっちゃん、あのなんとかボールっちゅうのはなんで持ってたんだ?』
亀仙人『あぁ、あれかの。偶々見つけたもので、当時はあれが何なのか分からなかったわい。これは飽くまでも噂なのじゃがあれは元々1つの大きな玉だったと大昔から伝わっておる物での。』
クリリン『え!?どうして7つなんかに別れちゃったんですか?』
亀仙人『神が怒りを下したのじゃ…昔々、まだ人間誰もが正直者だった頃、神は人々を祝福し彼らにあのドラゴンボールを与えたのだ。』
亀仙人は一息置き、話を続けた。
亀仙人『人々は宮殿を築き、その中にドラゴンボールを奉ったそうだ。そして日々の平和を願い続けたのじゃ。』
悟空『へー』
亀仙人『だが人間の中に悪しき心が芽生え、人々は私利私欲の為にドラゴンボールを用い、あちこちで争いが起こるようになる。』
クリリン『それで神様はお怒りになられたのですね…』
亀仙人『そう。そして神はドラゴンボールを7つに分け世界中に散らした。…無闇にドラゴンボールを使えんようにしたのじゃ。』
悟空『なんだかすげー話だなー』
亀仙人『…しかし、人々はドラゴンボールを追い続けた…実際にドラゴンボールを7つ手に入れ強大な権力を持った者もおった。』
そして亀仙人は難しい顔をする。
亀仙人『…この前会ったブルマという女子の行為はあまり気乗りせん。』
悟空『けんどよーあんときじっちゃんすんなり渡してたぞ?』
―さてどうだったかの―とか言いながら咳払いをする亀仙人。
クリリン『そんな恐ろしい話が隠れていたなんて…フランさん達は大丈夫なんでしょうか…』
亀仙人『まぁ、フランちゃんが入れば大丈夫じゃよ。あの子はしっかりと善悪を見極めれる子だ。きっと正しいことに使ってくれる。……さて、長話も過ぎたな。修行を再開するぞ。』
『『はい!!』』
――――――――――――――――――――――――――
フラン達はあれから二時間の飛行をし、ドラゴンボールの反応をキャッチした場所へと来ていた。
ブルマ『なんだか凄い場所に来ちゃったわねー』
そこは険しい山々が立ち並び、峡谷という峡谷が広がる、如何にもドラゴンが出そうな雰囲気の場所。
「まるで龍の峡谷ですね。着陸出来そうですか?」
ブルマ『なんとかいけそうね。そういえばあの方は回復したの?』
「あの方って…ヤムチャさんの事ですか。まだ寝てるので叩き起こしてきますね。」
ブルマ『ちょっとー!優しくしてあげなさいよ!あの方はフランちゃんのこと好きなのにーうぅ嫉妬するわ~』
「ぶ、ブルマさん!私はヤムチャさんのことなんて好きじゃないですよ!
それに…ブルマさんの方がお似合いなのに…」
ブルマ『え?』
「な、何でもないです!起こしてきますね!」
ヤムチャ『う~ん…天使のおむかぇだぁ……ムニャムニャ』
プーアル『ヤムチャ様が壊れてしまわれた…くっあの女め!どんな術を使ってこんな…』
コンコン
「プーアルちゃん、入っても大丈夫?」
プーアル『お、お前は入ってくるな!また術をかけるつもりだろう!』
―なにこの子意味わかんないこと言ってるの?―
「え、えと、目的地に着いたからヤムチャさんのこと起こしてくれないかな」
プーアル『くっ…仕方ありませんね…ヤムチャ様、起きてください~』
ヤムチャ『…天使が…ぅん…?おぉ、プーアル…ここは何処だ』
プーアル『何処って、ブルマさんの飛行船の中ですよーしっかりしてください』
ヤムチャ『おぉそうか…』
「ヤムチャさーん、起きたなら早く行きますよー」
ヤムチャ『ふ、フランちゃん!?いっ今行きまーす!!』
プーアルは心底ヤムチャの容態を心配した。
このままで果たして彼は大丈夫なのかと…
ブルマは操縦席から降り、飛行船をホイポイカプセルに戻した。
ブルマ『皆準備は出来てるわね!此処からは少し歩きになるから滑って谷に落ちないように気をつけて進みましょう。』
プーアル『ヤムチャ様は大丈夫です!こんなの慣れっこですから!』
ブルマ『しかもあんたは飛べるしね…』
「ははっ」
ヤムチャ『しかし、ドラゴンボールとはこんなにもバラついているもんなんだな。不思議な玉だ。地球上にまさかこんなぶっとんだ物が存在するなんてな』
「何でも願いが叶うんですよね…」
フランは不意に幻想郷の事を思い出す。家族のこと、友達のことを。
私は………
幻想郷に帰らなきゃいけない。待っている人がいる。
しかし
「…悟空」
私には悟空がいる。絶対に独りにしてはいけない。
お姉様…咲夜…パチュリー…小悪魔…美鈴。
私はまだ帰れない。皆、ごめんね。
悟空が立派になるまで、私は自分の為の義務を果たす
ブルマ『フランちゃんどうかした?』
「あ」
私は深く考えすぎていたようだった。皆が心配する顔で此方を見ていた。
「すみませ~ん!ちょっとぼんやりしてましたぁ!」
プーアル『ボヤボヤしてると谷底に落ちるぞ。』
ブルマ『ふふ、もう少しで着くから頑張りましょ』
ヤムチャ『お、おい皆…』
するとヤムチャが形相を変えて遠くを見ていた。
「どうしたんですか? 」
プーアル『あれは村…?でしょうか』
ブルマ『ちょっ、ちょっとまって!彼処になんかバカデカイ奴いない!?』
遠目からだと少し分かりづらかったが、確かに家よりも遥かに上回る大きな怪物らしき姿が捉えることが出来た。
ヤムチャ『間違いなく襲われてる!!急ぐぞ!』
駆け足でその村へと進んだ。
村の付近へと来ると悲鳴や建物が壊される爆音が響き渡っていた。
ヤムチャ『くっ!アイツがやってるのか!この野郎!!』
先陣を切ってヤムチャが怪物へと突っ走る!
プーアル『ヤ、ヤムチャ様!!』
「二人は安全な場所に隠れていてください。私も行ってきます。」
ブルマ『気を付けなさいよ!危なくなったら帰ってくるのよ…!』
「余裕ですっ」
怪物『ハッハッハッ!!人間共!さっさと女をさしだせぇ』
ヤムチャ『おい、そこのデカブツ!』
怪物『なんだ…?お前は!このウーロン様に逆らおうってのか!』
どうやらこの怪物は人拐いをするろくでもない奴の様だ。
それに腕には女数人を抱え込んでいた。
ヤムチャ『…女は大っ嫌いだがな…女に乱暴を働く奴は許さないぜ!』
怪物『なんだとぉ?小生意気な…』
「ヤムチャさん!加勢しますっ」
怪物『なっ!ま、まだ仲間がいたのかっ……クゥッ…今日のところは見逃してやる…!!』
怪物は女を地へと放り投げた!
『きゃぁっ!!』
ガシッ
「お怪我はありませんか」
村人『は、はい!ありがとうございます』
怪物『変化!!』BOM!
ヤムチャ『なっ!?アイツ!コウモリに化けやがった!!』
怪物『ハッハッハッ!!次会ったら覚えておくんだな!』
コウモリは夕暮れに紛れ、姿を消した。
村人達は怪物が去ったと同時に家々から顔をだし、私たちに駆け寄ってきた。
村人『娘を助けて下すってありがとうございます!なんとお礼をしていいものか!』
ヤムチャ『い、いえ!当然の事をしたまでです!』
「あの怪物は一体何者なんですか?」
村人『…あいつはウーロン。突如としてこの村に現れたんだ。幾度となく姿を変え、人拐いをしては金や食料を集り、極悪非道な最低な奴なんです。それにウーロンの本当の姿を見た者は誰一人としていなく…この前なんか恐竜に姿を変え、逆らった我々を食べようとしてきたんです…!』
ヤムチャ『なんて奴だ…』
ブルマ『ところで!!』
村人『は、はい?』
ブルマ『こーんなオレンジ色の玉持ってない?』
ブルマは村人達に袋から取り出したドラゴンボールを見せた。
村人『あ、あぁ!それなら此処にいる婆さんが持っていたはずだ!』
お婆さん『これのことかい?』
そう言われたお婆さんの手にはオレンジ色に輝いた星が5つのドラゴンボールが握られていた!
ブルマ『それよそれよ!どう?その玉を私達にくれる代わりに、その怪物を私達が倒すってのは!』
お婆さん『え、えぇ!?それは構いませんが…ウーロンを倒してくださるんですか』
ブルマ『えぇ!この人達がね!』
そう指を指された私とヤムチャさん。
「あはは……」
村人『男の旅人さんなら分かるが…もう一人のちっこい娘さんは大丈夫なのかい?』
―私ってそんなに小さい!?―
ブルマ『大丈夫大丈夫!二人ともとーっても強いんだから!腕っぷしだけは保証するわ。』
村人『なら旅人さん達に任せようかねぇ。おらたちじゃとても相手できるもんでねぇからなぁ』
ドラゴンボールを交換条件に村をウーロンという怪物から救うことになったフラン達。
皆、恐ろしい敵というが果たして…