ここは惑星べジータ。私がいた幻想郷とは別次元の世界だ。何故そう言い切れるか、いくつか理由はあるが1つは奴等の体の仕組みにある。
今、二人の人間が組手をしている。それぞれ良きエリート戦士になるために。彼らは"サイヤ人"という人種で戦う度にその力を上げていく、戦闘に適した体を持っている。
しかし、そんな人間は見たことも聞いたこともなかった。
まるでこれから戦争でもするかのような武装集団に見守られながら大きいドームの中で二人のサイヤ人は殴り蹴りを繰り返す。
「フラン、今日も来ていたのか」
私に話しかけるこの人は私の父にあたる。エンダイブだ。黒髪の短髪でとげとげしいヘアスタイルだ。周りには優しく、勇ましい勇敢なサイヤ人として知られている。内心、この体になる前の私にも親はいたので何とも言えない気持ちなのだが、こうなってしまった以上本当の娘として育ててくれている彼に余計な感情は酷だろう。
「うん。他人の戦い方を観てると如何に自分が力不足かもわかるしね。」
「何を言っているんだお前は。そこら辺の奴より戦闘力は何倍も上だろ。」
「そんなことないよ。私はまだ実戦経験なんてモノはないし。勉強になるよ。」
戦闘力。力を示す数値だが、私は600ある。五歳になった私だが、その年でこの数値はあのべジータ王子同等、凄い事なのだという。
「実戦か....お前ももうすぐフリーザ様の為、尽くさなくてはな。」
「フリーザ様ってそんなに強いの?」
「当たり前だ。この宇宙を支配するお方だぞ。」
正直、そんな強いとは思えないんだよね。そりゃ宇宙を支配する程の力を持っているくらいだから大きい力を持っていることは確かだけど、その内サイヤ人の成長スピードに追い付かれるんじゃないかと思う。
「フリーザ様にもし会ったら絶対に粗相の無いようにな。」
「はい。お父様」
父の言葉を留めておくようにし、途中にしていた観戦を再び続けた。
午後、任務が終わったサイヤ人が複数人帰ってくる頃と同時に大きな宇宙船が空から降りてきた。部屋にいた私は窓からそのあまりに大きい船に驚愕しつつ思わず外へと駆け出していた。
程無くして宇宙船から、マントを羽織った背が高いパンツ一丁の男や、とげとげしい体をした怪物。そして宙に浮く足がない丸いイスのような物に座り、長い尻尾や角を持った男が順に出てくる。その中、一人ただ者ならぬ人物がいるのを私でも理解できた。
「フリーザ様がいらっしゃったぞ!!!」
後者の男、基フリーザは彼ら(サイヤ人)を見るなりこう言った。
「べジータ王に話が有って来ました...通しなさい」
その命令に誰一人として逆らうことはできず、ただ押し寄せる気迫と恐怖に怯えるものばかりである。私も正直恐くなっていた。最近エネルギーのコントロールを意識していたせいか、相手の力量も少しなら感じ取れるようになっていた。が、今の場合フリーザの底知れぬ力を敏感に感じ取りすぎて自身に逆効果を与えていた。ここまで相手の力が正確にわかったのは初めてだった。
すると甘いマスクの男が私を見るなり口を開いた。
「おい、そこのガキ...お前でもいい。案内しろ」
え!?もしかして私!?
「...聞こえなかったのか?」
「は、はい!畏まりました!」
突然のことに硬直してしまい反応が遅れたが、なんとか言葉を発することができた。私を見る皆の視線は「しくじるなよ」と、言いたげだがそんなに睨みつけられると逆に怯んでしまうのでやめてほしい。
しかしこうしてフリーザの近くにいると本当にいつ殺されるかわかったものではない。一緒にいるだけで寿命が縮まりそうだ。
「フリーザ様こちらです....」
べジータ王自室までたどり着き中まで案内すると玉座に座っていたべジータ王が一瞬驚いたような顔つきになり即座に地面へと伏せる。
「フリーザ様!ようこそ、この遠い惑星まで御越しくださいました。」
「べジータ王、貴方の子供と話があります...出しなさい」
━子供ってことはべジータ王子のことね。私は今すぐ出ていった方がいいかも━
入り口まで戻りながら、フリーザとべジータ王子の会話の様子を見ていたがお互いの表情はまるで敵同士であるかのような顔である。
気にくわないやつにはとことんこういう態度しかできないのがサイヤ人だ。フリーザもそれには腹が立っているだろう。いつキレるかわからない。もしかすると話し合いが終わった後何かしでかすつもりかもしれない。
フリーザのことを多少甘く見ていた私だったが実際に見るとでは全く違う。
この人には絶対に誰も勝てない。私の能力があれば別だが、生憎その能力は惑星べジータへと来たとき同時に失われていたらしい。全く運がついていない。
そんな今の私がフリーザの横顔を見て思うのだ。
コイツは"脅威"だと