いざ地球へ!!素敵なおじ様との出会い
フリーザの目論見により惑星べジータは滅んだ。今まで一緒に暮らしてきたサイヤ人達が今はどうなっているかはわからない。私のように運良く逃げれた者もいれば、フリーザを最期まで信用していた者はあの爆発に巻き込まれ、恐らく死んでしまったであろう。
「これ..まずぃ...」
ポッドの中には予め用意されていた非常食が山ほどあった。しかし、味はお世辞にも美味とは言えない物ばかり。私は今まで裕福な暮らしで育ってきた身だったから余計、この粗末な味が舌を敏感に伝わらせる。しかし、ここは質より量を優先しなければ生き残れないのも事実。いつ安全な惑星に着くかもわからないので仕方ないなと妥協した。
「...お父様...バーダックさん...みんな..っ」
この広大な宇宙を見ていると皆の顔が自然に浮かびあがってしまう。初めはどう接しても良いかわからなかった私を皆は温かく向かいいれてくれた。お父様は特に、私を大切にしてくれた。どんなときでも味方でいてくれた。忙しくても夜はちゃんと帰ってきてくれた。苦い味と辛い記憶が重なり涙がでる。
「お父様の意思...ちゃんと受け継がなきゃ!」
バーダックさんも言っていた言葉。きっと同じ様に自分の子供にも言いたかったのではないかと気付く。あれほどサイヤ人の誇りを持ち、"強い"サイヤ人はお父様を除いて他には見たこともない。
彼ら達は今の私の目標だ。
ピピピッ‼
「...なんだろう」
操作パネルから音が聴こえてくる。この音は確か、目標地点に近付いたときの音だ。しかし、私はこのような設定はしていない。きっと前に乗った人が切替しなかったのだろう。
「....!綺麗~!!!」
目の前に見えたのは青く輝く星だった。それはまるでブルーサファイアの石のようだった。とても素敵!
「..決めた!!ここで暮らそぅ!!」
お姉様なら絶対『これは運命の導きね』と言いそうだ。
しかし、私もこのときばかりはそう思っていた。
新しい生活の幕開けだ。
一人旅はすぐに終わった。あのポッドの中にいるといつかの自分に戻っているようで凄く嫌だったので清々した。
「空気が幻想郷と似てるー!なんだか帰って来たみたいな気分だわ♪」
新しく暮らす環境に期待を持ってしまうが、取り敢えず!
「...お金ほしい!!」
今の私一文無しですから!お金ないと始まらないよね!
...だけどどうやってお金って貰えるのだろう。
「働くって言ってもお仕事なんてしたことないし...あ」
そして、私は重大なことに気が付く。
それは服装と外見だ。
流石に尻尾が生えた人間なんかが街中に行ったらサイヤ人が来た!って皆に恐がられちゃうし、あとこの堅苦しいプロテクターみたいなのも外してお洒落したい!見た目9割中身1割ってお姉様も言ってたし!
「...ぁ、でもお洒落にもお金がかかっちゃうじゃん...こまった!!」
途方に暮れ、困り果てていると何やら森の奥から声が聞こえてきた。叫び声のようだが気になったので行ってみることにした。
暫く森林を探索していると、道を進む度その声は明確に聴こえてくるようになってきた。『てや!』とか『りゃぁ!』とか。気が狂っている人だったらどうしようかと不安になりながらも足を止めることなく、声の主を探し続ける。
随分と開けた場所についた。大草原の中、男性が空気を殴ったり蹴ったりしている。それは正に"修行"であった。それも随分と歳を取ったおじ様だった。
「あの人人間なのにとても強そう。」
その精練された動き。瞬発力。空気を切り裂くような突きの数々。何れをとってもその方は"達人"だった。
「ぁ、あの!」
私は無意識に声をかけてしまっていた。少々緊張しながらもその人に話してみたくなったのだ。
『おやおや....お若い女性の方がこんな山奥まで来るとは珍しいこともあるものじゃ。』
優しく微笑む彼はさっきまでとはまた違った魅力のある人だった。
「ぇと..森の奥から声がしたもので...気になってこっちに来てみたんですが、お邪魔してごめんなさい。」
すると彼はにかにかと笑い続けこう言った。
『貴女。見たところ凄腕の武道家とみた。どうですかこの老人を1つ、楽しませてはくれませんか。』
「え!?」
意外なことにその人は闘おうと言うのだ。しかも私の力量を知っているかのような目を見せてくる。
「....私でよければお相手しますっ!」
当然、闘いとなったらサイヤ人は断れない。私もワクワクしてきたところだ!
『では...よろしくお願い致します。』
彼はその言葉を言い終わると同時、構えを瞬時にとる。その隙の無さには驚愕する。
「私も全力で行かせてもらいます!」
地を蹴る。飛び上がり、純粋な脚力で挑む。
『こっちですじゃ』
「っ..見えてます!」
一瞬、彼は残像だけを残し私を翻弄させてから一気に突っ込んできた。しかし、力は私の方が上。競り合いには負けたことはあまりない。
『中々やりますな!』
「ぁ、ありがとうございます...」
『私も負けていられませんな..!』
「!?」
地を蹴ったと思ったら私の背後に即移動し攻撃してきた。
「くっ..甘いです!」
が、危機一髪のところで攻撃を受け止める。
辺りはさっきまでとは変わり果て、主に私の力具合のせいで荒れ地になっていた。
『ほっほっほ!これは参った!私の敗けじゃ』
「あ、あの大丈夫ですか。」
手を差し出すと彼はありがとうと言いながら手をとってくれた。
『貴女はお優しいお人のようだ。..尻尾が生えてる者は皆そうなのかのぉ』
し、しまったぁっ!つい尻尾のことを忘れちゃってた!
ぁ、あれ?でもこの人全然驚いてない。
「ぁの、驚かないんですか?尻尾生えてること..」
『実はですね...つい最近貴女のように尻尾が生えた赤ん坊が森に捨てられていたんじゃよ。その子は今私が引き取っているんですがね。もしかして貴女に関係した人かも知れないと思うのですが』
「...会ってみたいですその子に」
『良いでしょう。ついて来てください。』
その言葉に感謝し、彼の背中を追う。
『そういえば忘れておったわい。貴女のお名前を聴かせてもらっていなかった。』
「私はフランといいます。」
『ほうほう、私は孫悟飯。闘い合った仲じゃ。肝に銘じておくよ。』
旅は道連れ世は情けだなと沁々思った。
『さぁ、着きましたぞ。少々狭いですが御上がりください。』
「とんでもないです。失礼します。」
部屋の内装は普通かな。けれどこの感じ人里の家々を思い出させる。
『この子が、森で拾った子供です』
「..こ、この子は!」
そこには絶対に忘れないであろう特徴的な髪型。蟹のハサミのようになっているこの髪型はバーダックさんの子供に違いなかった。この子はカカロット!
「知り合いの人の子供です..!間違いありません。」
『そうか...そうじゃったか。名前は何と言うんだ?』
「親御さんからはカカロット....と聴いています。けれど、この子の両親はもぅ....っ」
『....』
私の表情から察したのか孫さんは頭を撫でてくれた。
『辛かったじゃろう...よう一人でここまでたどり着いた。』
その言葉、思いが私の辛い
「...わたじは..っ..ぁのときだれひとり!まもれながったっ!!!ぁぁぁぁーー...!」
『貴女が今、皆の事を考えているのならば、同じ様に貴女を考え行動してくれた人達がいたはずだ。大丈夫、皆の意思は貴女に。貴女の意思は皆に。届いていることだろう。』
孫さんの温かい言葉。温かい手。今はそれだけを感じていたかった。