ドラゴンボール紅   作:赤白隆磨

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月が産んだ化物!弟を救え!

あれからどれほどの月日が経ったのだろうか。カレンダーという物や時計が無いこの部屋では明確に確認できない。外から見える輝く太陽と真っ暗な空が教えてくれるから不便ではないけど。

 

地球に降り立った日、あの頃から孫お祖父ちゃんの家に住まわせてもらっている。カカロット改め"孫 悟空"との縁もあるだろうし、その年ではまだ世へ出るには早いだろうと言ってくれた。優しい彼の言葉に救われたと感じる毎日だ。

 

それと名前のことだけど私と孫お祖父ちゃんで決めた。カカロットという名前でも良かったのだけれど、折角お祖父ちゃんがお世話までしてくれるから、その恩返しとは言ってはナンだけど"此処での名前"をつけて少しでも喜ばせたかったのだ。

 

「おじいちゃん厳しいなー...大丈夫かな悟空」

 

 

『おりゃーーっ!』

 

『まだまだ速さが足りないぞい!』

 

 

今、悟空は修行の真っ最中だ。内容は畑仕事。一見武術とはなんにも接点がないように思われるが実はそんなことはないのだそう。お祖父ちゃんの師匠が昔彼に教えたことをそのまま悟空に伝授している。

 

「二人のためにももっと作らなきゃね!♪」

 

私はというと、♪れっつくっきんぐタイム♪を行っている。多分、テーブルにずらーっと並んでる皿に乗っかっている料理の数々を見たら大半の人は『貴女のクッキング量多すぎ!?』と驚くだろう。目だって飛び出るかもしれない。

しかし悟空にとってこれで腹八分目くらい。サイヤ人は皆大食いなのだ。私もこの身体を手にしてから胃の消化が早く感じる。

常人の倍以上の食欲を持つ為、作る方としては一苦労だ。

 

「咲夜の料理には敵わないけど...量は一流ね!」

 

質より量とは正にこの事。作る度に思う。もう少し"味"を勉強した方が良いと。肝心の料理を食べている二人はいつも"美味しい"と言ってくれるので本当に嬉しい。まぁそんなに不味くはないからね!寧ろ美味しいと思う!

 

 

『ねーちゃんオラ腹へったぞぉ』

 

おっといつの間にか修行は終わっていたみたいだ。

 

「はいはい。そこに座っててねー」

 

『いつも悪いの。こんなに沢山大変じゃったろう。』

 

「いえいえ♪お祖父ちゃんのおかげで私達は暮らせていけるのでこれくらいは当然ですー」

 

『ほっほっほっありがとうなぁ。なんだかこっちが助かってばっかりだわい。』

 

『ねーちゃんの料理はうまいかんなぁ!』

 

「そんなに褒めても食べ物の量が増えるだけだよ~♪」

 

 

幸せそうに食べている彼らの顔が私の心も幸せにしてくれる。

本当にここに来て良か『ねーちゃんおかわりっ!!』

....食べるの早い。

 

「悟空ちゃんと噛んで食べてよね」

 

『むーー?ほらちゃんほはぁんへるぉー?』

 

「さいですか(諦」

 

この日々がずっと続きますように。

 

 

 

 

 

 

その夜。悟空は寝る前に軽く運動をすると言って家を出ていった。夜一人で大丈夫かなと心配したが悟空の強さはこの辺りでは十分に通用するものであったため、あまり過保護にしないようにした。

 

 

「さてと、私は寝ようかな」

 

1日の疲れを癒すため即座に自室へと向かった。

 

ゥガァァァァッ!!!!

 

突然何かの叫び声が聞こえた。それもかなり大きい。

まるで地震がきたかのようにグラグラと揺れる。

 

『なんじゃ!?何があった!』

 

近くの部屋にいたおじいちゃんが慌てて此方へ来てくれた。

 

「わからない...っぁ!!悟空が外にいるんです!!」

 

『なんじゃと!?』

 

現状を理解できずともすぐに悟空が外へ出ていったのを思いだし、瞬時に家から飛び出す。

 

「ごくぅーー!!何処なのー!返事してー!」

 

『悟空やーーっ!』

 

家の付近を見渡すが何処にもいない。きっと森へ入っていったのだろうと思い足を急ぐ。

 

「悟空!?いるの~?」

 

呼び掛けながら辺りを走り回る。しかし、一向にあの小さい背中は見えてこない。

 

「何処に行ったの...悟...空...!?」

 

私は見てしまった。いや、見なければ分からないことであった。

 

「う、うそ...!」

 

真ん丸な月を大きな猿が見上げていた。数十メートルに達するその怪物には見覚えがあった。

サイヤ人は1700万ゼノという数値のブルーツ波を浴びると大猿に変身するとお父様から聞いている。

つまりあの怪物は悟空ということ...。私以外サイヤ人は地球にはいない。満月になると大猿に変身するなんて..

 

「ぁ、あれ!?これって私もやばいんじゃ...?」

 

私もサイヤ人だ。1700万ゼノに達っしている月を見たら私も悟空と同じ大猿になってしまう。なんとか見ないように悟空の尻尾を切らなければ。

 

「くっ...無意識にみちゃいそうになるっ~~」

 

グガァァァァッ‼

 

大猿が急に暴れだし、周りの木々がドミノ倒しのように折れていく。地は地割れし、辺り一帯荒れ地と化す。動物達は逃げ場所を探し大移動している。

 

「っしょうがない!ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね!」

 

掌にエネルギーを溜め圧縮する。

 

「レーヴァテインッッ!」

 

シュッッ!!

 

大猿の尻尾をスパンっと切ることに成功した。するとみるみる身長は縮んでいき低身長な私でもその姿は見えなくなった。

 

「悟空ー!大丈夫ーー!?」

 

返事はないが息はちゃんとしていた。気絶している。

 

「よかった...」

 

無事に元の姿に戻すことが出来た(尻尾は半分切れているが)ので一緒に探してくれたおじいちゃんの元へと急いだ。

 

 

 

 

 

『おぉ!無事じゃったか!!!良かった!!!』

 

強気なお祖父ちゃんでさえも今回の件は心配でならなかったらしく涙ぐんでいた。尻尾が切断されていたことに気づいていたが化物に襲われたときにやられてしまったと嘘をついた。私達が大猿に変身してしまうと知ったらお祖父ちゃんは恐がるだろうと思い決して言わないことにした。

これは私だけが知っておくべき事だと思いながら、満月の夜は外出禁止とした。

 

 

 

 

 

 

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