ソードアート・オンライン~二人の軌跡~   作:ロシアよ永遠に

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何となく書いてみたネタです。本編とは関わりありません。…好評なら、続く、かも。


ネタ話『騎神の世界』

世間に『ザ・シード』と呼ばれるVRMMOの子種が解き放たれ、世界で数多のフルダイブゲームのサーバーが産声を上げる中。

ここに、一つのVRMMOが稼働し数ヵ月が経つ。

メタル・アーマード・オンライン、略称『MAO』。

これは、古代より発掘された『騎神』と呼ばれるロボットを元に作られた、人が乗り込む機体を操り、自身の陣営を勝利に導く、アクションシューティングゲームだ。もちろん、機体を操るパイロットも勿論だが、歩兵として、整備兵として、自身の陣営で活躍することも出来る。もともと機体を購入するには莫大なゲーム内通貨が必要とされるため、最初こそ歩兵で戦果を上げ、そして貯蓄していった通貨を使用して機体を購入するのだ。この機体…総称が機甲兵《パンツァー・ゾルダ》と呼ばれ、最初こそノーメイクのドラッケンと呼ばれる最下位の機甲兵を与えられる。ここで機甲兵の操縦に身体を慣らし、戦果を上げ、更なる上位機体を購入すべく奮戦する。

ここで、この世界において、別れる陣営は、大きく分けて3つ。

部隊となる大陸の大半を領地とする『帝国』

帝国の独裁を良しとしない反乱組織『レジスタンス』

残る大陸の領土をほぼ治める多民族国家『共和国』

正に三つどもえの戦場を駆け抜けるのだ。

そんな中で…レジスタンスの第七隊に所属する一人の少年アバターが、戦場を変えていくことになる。

 

その日

帝国の軍とゲリラ戦を行うレジスタンス。相手の力は強いが、レジスタンスの士気は高く、文字通り精神論で打ち勝とうとしている。レジスタンスの陣営には機甲兵は少なく、各地の戦場に引き出されており、この戦場にはその姿は無い。

幸いにして、帝国の方にもその姿は無く、歩兵戦力ばかりである。

そして…帝国の軍隊の中で、一陣の風が紡いだ。

その勢いは正に嵐と言わんばかりのもので、巻き込まれた兵士は、ある者は悲鳴と共にその風と共に切り裂かれ、ある者は悲鳴を出す暇も無く()()によって撃ち貫かれ、その身体をポリゴン結晶として散らしていく。

 

「こちらコード『シルフィード』。敵陣に穴を開けたよ。」

 

短い銀髪の少女は事務的に淡々と戦果を伝えると後に、再び鍛え上げられた敏捷性と、手にした2丁の銃剣(ガンブレイド)を巧みに使い、敵陣をポリゴンへと変えていく。

 

「流石に…やるではないか!先陣切るには、やはり其方(そなた)が適任だな!」

 

「あ、…重歩兵。スイッチ、ラウラ。」

 

「心得たぞ、フィー!」

 

ラウラと呼ばれた蒼くそして長いポニーテールの少女は、その可憐な容姿と体躯に似合わぬ巨大な両手剣を振るい、コードネーム・シルフィードことフィーが仕留められなかった重装甲の兵士を一人、また一人と薙ぎ払っていく。

 

「行くぞ!帝国の狗共に目にもの見せるんだ!」

 

ショットガンを携えた眼鏡の青年が、後方に待機していた部隊を率いて突撃する。

 

「阿呆。あの2人が前に出ているんだ。迂回しながら蹴散らせば良いだろう。」

 

「うるさい!そもそも帝国陣営からコンバートした奴が…」

 

「あぁもう!喧嘩なら後にしなさいよ!」

 

「まぁまぁアリサさん、喧嘩するほど仲が良い、と言いますし。」

 

「ま、僕らにとっては見慣れた光景だからね。…正直うるさいけど。」

 

「とにかく3人とも、後方支援は任せる!」

 

魔導杖を構えた少年少女、そして弓の弦を引き絞り、敵を射貫かんとする少女を後ろに控え、金髪の青年と浅黒い肌の青年は、それぞれ片手剣と長槍を手にして敵陣に飛び込む。

この第七隊は人数こそ少ないが、一人一人が粒揃いであり、かなりの戦力としてレジスタンスに期待が掛けられていた。そんな中で…一人の少年の姿が無いことに、士気が上がりきらないで居た。

 

「でもやはり、彼が居ないのは心許ないですね。」

 

「まぁ仕方ないわ。リアルでの用事で遅れるって言ってたもの。」

 

「アリサ、何の用事か知らないの?恋人でしょ?」

 

「ここここここここ恋人ぉ!?私が…アイツと!?」

 

動揺したからか、発射した矢があらぬ方向へと飛んでいき、中距離でショットガンを撃ち放っていた青年マキアスの尻に吸い込まれた。

 

「ぬあぁぁぁっ!?」

 

「あ 、マキアスが。」

 

「大丈夫です。味方からのフレンドリーファイアは、基本的にノーダメージですから。」

 

「そ、そう言う問題ではないだろう君達!?ダメージはなくても、多少なりとも痛みはあるんだぞ!?」

 

「ふっ、貴様にはお似合いの格好だな。」

 

「ぬっ!?この……元帝国軍め…!」

 

何だかんだで、いがみ合っているように見えて何だかんだで息の合う第七隊だが、いつもはリーダーシップをきる彼が居ないことに、物足りなさを感じる隊のメンバー。そして…

 

『よぉ、相変わらず化け物ぶりだな第七隊。』

 

「こ、この声…!」

 

聞きたくなかった懐かしき声に、奮戦していた第七隊のメンバーは、その手を止める。帝国の軍もその手を止め、広域に大音量で放った声の主の元へと視線を見やる。

 

「オ、オルディーネ…!?」

 

「おぉ!騎神だ!オルディーネ!」

 

恐れを成す第七隊と違い、士気が向上する帝国陣営。

騎神オルディーネ

帝国のエースであるクロウの駆る、サーバーに七体のみと言う、所謂『伝説級(レジェンダリー)クラス』の機甲兵だ。性能はその名に違わず、一般的な機甲兵では刃が立たず、彼が現れた戦場は、正に独壇場と言わんばかりに大暴れする。それだけに、レジスタンスからは畏怖の存在として、帝国軍からは勝利の象徴として、その名を知らしめている。

 

『今日は…リーダーのアイツは居ないのか?』

 

「おあいにく様ね。アンタの相手はアタシ達で十分よ!」

 

『おいおいアリサよ。お前達の実力は買うけど、流石に歩兵レベルが騎神に適うわけねぇだろ?』

 

「やってみなきゃ解らないわ。」

 

『へぇ…。』

 

「少なくとも、騎神に比べたら小回りは利くしね。」

 

「騎神に乗っているからと絶対的な有利だとは思わぬ事だ。」

 

元々クロウはレジスタンスの第七隊に所属していたが、その実はレジスタンスの内情を知るためにやって来たスパイ。情報を引き出すだけ引き出されて、あとは帝国にコンバート。騎神オルディーネなんていう切り札を隠し持って敵対したのだ。

 

『っはは!そうだな…やっぱお前らはそうでないと面白くねぇ!…後悔…すんなよぉっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方

一人の青年は、混乱の最中にあった。

ログインしたまでは良い。だが、そのスタートがわけもわからないダンジョンだった。確か昨日は…レジスタンスの基地にある自室でログアウトしたのに…。

 

「…悩んでいても仕方ない、か。とにかく、ここを出て、皆と合流しないと。」

 

見たことの無い、煉瓦のようなもので構造された、兎に角広いダンジョン。いつ、どこからモンスターが飛び出るか解らないだけに、腰にオブジェクト化して携えた刀を、いつでも抜き取れるように構えながら奥へ進んでいく。

自身の靴が、唯々床を鳴らす音だけがダンジョンに響き渡り、途方もない空しさを覚えるが、兎に角外に出ないことにはどうにもならない。ならば進むのみだ。

そうして

 

何分後か

 

いや何十分か、其程までに歩き続けただろうか?

だがそれでも未だ出口は見えず、ただ…おなじ景色が続くだけ。

本当に…出口があるのか?

そろそろそんな不安と衝動に駆られてきたが、それでも歩き続けた。

 

そして…

 

景色は変わった。

広い廊下のような通路を経て、まるで広間のような場所へと辿り着いた。

円柱状に上へと続く天井は先が見えず、思えばこの場所が底知れぬほどに深い地下にある施設なのか。はたまた天をも貫く塔のようなものなのか。どちらにせよ、縦にも横にも広大な場所には変わりない。

 

「すこし…休むか。」

 

ただひたすらに歩き続けてきたのだ。現実の肉体が疲れることはないが、精神的な疲労、と言う物がどっと感じられたので、手頃な石柱にゆっくりと腰を下ろした。

 

…改めて見渡してみれば、広い空間には大きく2つの特徴が見受けられた。

1つ、天へと続くように備えられた、円状のエレベーターシャフト。人一人が通るには充分すぎるほど巨大で、そしてその底辺には同じく円形のエレベーターだろうか?これなら脱出出来ると一瞬喜んだが、操作するためのコンソールやパネルが見当たらず、直ぐに落胆してしまった。

もう一つは…奥にある巨大な窪み。人の数倍の高さのそれは、陰っていて何も見えない。しかし、よく目を凝らしてみれば、何か…巨大で鋭利なものが見えた。

 

「なん…だ…コレ…?」

 

気になって近寄って見てみれば、見上げるほどの甲冑だった。

いや、甲冑ではない。

これは…どちらかと言えば機甲兵。

否、それよりももっと近い物が、彼の記憶にある。

これは…

 

「騎神…なのか…?」

 

機甲兵の更に上を行く最上位階級の騎神。それが今、目の前に傅くように片膝を着いて鎮座していた。それは見惚れるような白…いや、灰のフォルム。

まさに、アニメで出て来るような、そんな造型だった。

 

「すごい…な…、実物をじっくりとこんな目の前で見るのは初めてだ。」

 

触ってみれば金属のようなひんやりとした触感、だが不思議と陶器のようなスベスベとした触り心地。

こんな凄い騎神がレジスタンスに居たなら…そう思考したとき、

 

《問おう。》

 

無機質な、そして男のような声が突如として頭に響いた。

 

《お前が私の起動者(ライザー)か?》

 

これが…青年…プレイヤーネーム『リィン』と、灰の騎神『ヴァリマール』との出会いだった。

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