ソードアート・オンライン~二人の軌跡~   作:ロシアよ永遠に

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題名…思い浮かばなかった…orz


第10話『イルファング・ザ・コボルトロード』

数多の金属がぶつかり合う音、そして男共の雄叫びが、第一層ボス部屋を支配している。

第一層ボス、イルファング・ザ・コボルトロードとの戦いが始まって早十分が過ぎた。ここまで特に何の問題も無く、大物であるコボルトロードの体力のゲージも、3本目の半分を過ぎた所まで来ている。

順調その物であり、ディアベルやエギル、アガット率いるボス攻撃本隊も、取り巻きに妨害されることもなく、ボスその物に集中できている。

今回組んだレイドの強さ、それはβ時とは別格と言っても過言ではない。命を賭け、預けた者達からこそ生まれた絆と言うものだろうか、ここの連携が一層洗練され、流れるように各隊の仕事を果たしている。

中でも一層目を惹いたのは…

 

「スイッチ!」

 

アニールブレードによる剣戟が、取り巻きのルインコボルト・センチネルのボールアックスを跳ね上げ、攻撃をキャンセルさせる。これによって、兜と鎧に護られているものの、センチネルの懐がガラ空きとなった。

そしてキリトと入れ違いに、棍による打突が顎を穿ち、キャンセルに続いてクリティカルによるスタン。そしてその隙を縫うように、ウインドレイピアとアニールブレードの刺突と斬撃が見舞われ、一気にセンチネルをポリゴン結晶へと霧散させた。

 

「撃破確認!!」

 

「やったぁ!」

 

「ユウキ!喜んでる暇は無いわ!!次、リポップするわよ!」

 

「キリトは一旦下がってPOTで回復して!今度はあたしが跳ね上げるわ!」

 

「了解、頼んだ!」

 

「す、すげぇ…。」

 

思わず誰かがそう呟いた。

それほどまでに完成された連携練度だった。

取り巻きの為の遊撃隊。

聞こえは良いが、言わば雑魚処理専用。

レイドメンバーの殆どが、少年と、少女3人で構成された4人のパーティであることに、そこまでの期待は寄せていなかった。

だが、実際に戦ってみればどうだ。

人数不足を苦にもせず、技量と連携で、本隊顔負けの活躍ぶり。

あれだけの強さなら本隊であっても問題ないだろうという考えも浮かぶほどに。

 

「ちっ…!あんま調子こくなや…?」

 

近場で同じく取り巻き担当隊のリーダーを務めるキバオウが、忌々しげに舌打ちし自身の担当がリポップするまで、POTで回復しているキリトに近寄る。

 

「聞いたことあるで…β時代にことある毎にボスのLA(ラストアタック)ボーナスを掻っ攫っていった、楯無しソードマンの噂。どうせ今回もええとこで横取りしようって魂胆やろうが、このワイの目の黒いうちは…」

 

「エステル、ポールアックスの打ち上げは、下からよりも、若干水平を意識する程度の方がやりやすいぞ。…アスナ、ユウキ、俺のHPゲージがグリーンに入ったから、そっちもPOTに入ってくれ。」

 

「………。」

 

最早キバオウは彼の眼中にはないのか、釘を刺してきても右から左へと流して、自身の隊の指揮へと戻る。行き場のない憤りを積もらせつつも、再びキバオウは舌打ちし、ポップしたセンチネルへと向かう。

効率としては、キバオウのF隊よりもキリトのG隊の方が、センチネル撃破の効率が良く、それが余計に彼のイライラに拍車を掛けていた。

 

「B隊!骨斧の跳ね上げ!C隊!スイッチして攻撃準備!その間にA隊はPOTで回復するんだ!D、EのHPグリーンのプレイヤーはソードスキルを撃ち込んで後退!」

 

忙しなく指揮を執るディアベルの命令に沿い、B隊のエギルが、コボルトロードの骨斧を打ち上げる。

 

「アガット、スイッチだ!」

 

「おぉっ!行くぜC隊!」

 

巨大な両手剣『ブロードエッジ』の刀身が、ソードスキルのライトエフェクトに包まれ、アバランシュがコボルトロードの腹を水平に切り裂く。やはりこのレイドメンバーで随一の攻撃力だけあり、ボスのHPの減り幅は大きい。続いてC隊隊員がソードスキルを穿ち、追い打ちとばかりに更にゲージを減らしにかかる。

更にD、E隊の余裕があるメンバーがソードスキルを打ち込み、ボスのHPゲージは残り1本まで減衰した。

 

「モーションパターンが変更されるかも知れない。各隊後退して一旦様子見。HPゲージはグリーンを維持してくれ。F、G隊!センチネルが湧くぞ!さっきよりもレベルは高い!気を付けてくれ!」

 

ディアベルは慎重…そして冷静だった。

早ければ良いものでもない。

誰も死なず、そして勝つ。

ただそれだけを見据えている。

全ては順調、

イケる。

勝てる。

ディアベルを含め、誰もがそう信じる。

 

 

 

 

 

信じていた。

 

 

 

 

 

 

「よし!あと少しだ!!」

 

コボルトロードのHPゲージ、その最後の1本の残りが、危険域である赤へと変色する。あと少しで倒せる!皆が歓喜する中、だがそれはある意味ここからが正念場であることを意味していた。

コボルトロードが雄叫びをあげると、骨斧を明後日の方向に投げ捨てる。

ここまでは予定通りだ。

そして…奴は腰に携えた白い布に包まれた長いソレを手に取る。

ハラリ、ハラリと布が解け落ち、副武装である湾刀(タルワール)に……

 

「なぁ…?」

 

「なにかしら?」

 

「湾刀って…どんな武器だっけ?」

 

「えっと…確かイスラム圏の…」

 

だがコボルトロードの手に持つソレを見て、キリトは目を見開いた。

すらりと細長く、そして刀身が若干反ったそれは、湾刀のものとは違う。

日本に住んでいたのなら…それはドラマで一番よく知る刀剣…

 

「あれは…野太刀…!?」

 

「攻略本とは違う…!?作戦変更!各隊!散開して…」

 

「あのモーションは…!ダメだディアベル!下がれぇぇぇ!!!」

 

キリトが言い終わるか否かで、コボルトロードはそのしなやかな脚部から生み出される跳躍力で一気に跳び上がる。そのまま柱の1本を蹴り、更に横方向へ跳躍。壁や柱を蹴り周り、天井を駆け、今まで見せたことのないような奴の敏捷性に、各隊が翻弄されてしまう。

 

「(ダメだ…!あのままじゃ…!)ディアベェェェェル!!!」

 

あのままでは…あの技を食らえば……やられるまで畳み掛けられる!

あの刀ソードスキルの特性を知るキリトだからこそ、その危険性を理解している。それだけに、正に今、奴からの暴虐の牙に飲み込まれんとするディアベル達を救わんと、センチネルを3人に任せて走る。

間に合え…

 

間に合え…

 

間に合え…!!

 

しかし、いくら敏捷性を活かして駆けども、物理的に不可能な距離であり…走っても間に合わないのは理解できていた。

走っても気休めにしかならない。

だが…少しでも…一縷の望みがあるのなら…!

 

「か、各隊!防御体せ……」

 

ディアベルが指示を飛ばす…だが、それは言い終える前に途切れ、コボルトロードが穿った刀による範囲ソードスキルによって、密集していた部隊は吹き飛ばされる。

吹き飛ばされる中でディアベルを含め、皆が自身の体力ゲージを確認する。

一時的行動不能(スタン)

まだやられては居ない。

ゲージもグリーンを維持していたので、ダメージによってイエローに陥っただけ。

しかし、ボスの目の前でのスタン、と言う物は致命的だ。

このままでは…やられる…!

はやく…早く解けろよスタン!!

その場に居た皆がそう願う。

だがシステム上、軽減スキルやバフを駆けない限り、その効果時間は変わらない。レバガチャしたくても、コントローラもない。そして…今まだ一層で、そんな物は出現しない。

目の前に表示されるスタンの状態異常アイコンを忌々しげに睨む彼等に、コボルトロードはトドメを刺すべく、振り上げた野太刀にソードスキルのライトエフェクトを纏わせる。

まずは手始め、と言わんばかりに、ディアベルによく似た容姿と装備のプレイヤー…リンドに狙いを定めた。

 

「あぁぁぁぁ…!!アカン…アカン!!追撃が…追撃が来るでぇぇ……」

 

震える声ながらも、キバオウは今正に目の前で散らされようとする命を見ていることしか出ずにいた。

足も震える。

手も震える。

そしてそれは…リンドも同様で、目の前に振り上げられた死の宣告を、ただただ涙を浮かべながら見つめることしか出来ない。

これで…終わりなのか…?

振り下ろされる野太刀に、何もかも諦めて目を瞑るリンド。

 

 

 

 

 

 

しかし、

甲高い金属がぶつかる音だけで、何の衝撃もない。

目の前を見れば…青髪の青年が左手に携えた楯で、コボルトロードの斬撃を受け止めていた。

 

「デ…ディアベルはん……!」

 

恐らく…辛うじて楯で範囲ソードスキルを防いだために、ダメージこそ受けたが、スタンを免れたのだろう。正に間一髪だ。

 

「だ、大丈夫か?」

 

「は、はい…!」

 

「よし、ここは…俺が引き付ける!君は下がってPOTを使え!」

 

(タンク)隊!ピヨッた隊を頼む!」

 

「お、おぅ!!」

 

キリトの指示で、エギル率いるタンク隊は我を取り戻し、コボルトロードの周囲にいる隊のフォローへと回る。

だがディアベルにもそこまで余裕はない。

HPゲージもイエローに陥っているのには変わりなく、次に相手の攻撃が直撃すれば、死は免れないだろう。

…だが、誰も死なせないと誓った。自分の誇りに賭けて、皆を護ると誓った。皆の前に出て、皆の楯となり剣となる。それが…

 

「俺の…騎士道だっ!!」

 

振り下ろされた刀を、シールドによるバッシュで弾く。

返す刀の切り上げを剣で弾く。

横薙ぎに来る斬撃を、身体を反らして躱す。…少々鼻先を掠ったが、問題ない。

一撃一撃を確実に弾き、捌き、躱し、受け流す。

一発一発が致命傷たり得るそれを、ディアベルは不思議と恐怖を感じることなく対処する。

そして…なぜか高揚する自身の気持ち。

生きるか死ぬか、デッドオアアライブのやりとり。

スリルと興奮がそこにあった。

そして…自然と吊り上がる自身の口許も。

 

「G隊!これからディアベルのフォローに移るぞ!アスナ!俺が跳ね上げるから、君は撃ち込め!基本はセンチネルと一緒だ!」

 

「わかった!」

 

「エステル、ユウキは、背後に回らないようにサイドから攻めてくれ!後ろまで行けば、さっきの範囲攻撃が来るぞ!」

 

「らじゃっ!」

 

「任せなさい!」

 

ディアベルと、そしてその隊をフォローすべく駆けだした四人。

あと少しだ。

誰も死なずにここまで来たのだ。

ここに来て…躓いて堪るか!

 

しかしそんな彼等の意を阻むかのように、リポップした一匹のセンチネルが立ちふさがった。

しかし…今の四人を阻む物は、正しく存在し得ない。

 

「「「「邪魔だぁぁぁぁぁっ!!」」」」

 

一瞬

正に一瞬だった。

突進型のソードスキルであるソニックリーブとリニアー、棍による打突が、瞬く間にセンチネルを霧散させる。

 

「は…早ぇ!!」

 

あと十数メートル。

あと少し…!

未だ捌き続けるディアベルの体力も、攻撃を弾いたからと言ってノーダメージというわけではない。

弾けば、『無効化される』のではなく、『軽減される』だけ。現にディアベルのHPゲージは、立ち会いを始めたときはイエローに陥っただけの残量であったが、今はレッド表示されそうなほどに減少していた。

時間が無い。

そして…その均衡は、突如として破られる。

 

ぱりん…

 

実に…間の抜けた音だった。

小さなコップが割れる、そんな聞き慣れている音。

それは、コボルトロードの斬り下ろしを、真正面から盾で防いだところまではよかった。

しかしディアベルのHPと同じくして、盾にもHP染みたもの…つまり耐久力が存在した。ここまでMOBとの戦いに加えて、骨斧を装備していた時のローテーションでの防御では、防御頻度こそ少なかったので、耐久力もそこまで減少することはなかった。

しかし、リンドを助けたときに、攻撃を受け流すのではなく、文字通り受け止めてしまったことで、盾の耐久力が大きく減少。そして…度重なる応酬で、とうとうその盾も限界を迎えたのだ。

そして…目の前で霧散する自身を守ってくれた盾。最後の最後っ屁と言わんばかりに、コボルトロードの攻撃を防いで、ディアベルのHP全損だけは免れた。

しかし目の前の怨敵は、防御手段である盾を失った彼に容赦なくソードスキルの構えを見せる。

これで終わりだ、と言わんばかりに。

 

(くそっ…これまで、か…!)

 

誰も死なせないと宣ったにも関わらず、自身が最初の脱落者となるなど、笑えないにも程がある。

自嘲染みた笑みを浮かべて、だが最後に抗わんと、まだ残っているアニールブレードを握り直し、例え少しでもボスを倒す礎になろうと、ソードスキルのチャージを……

 

「ディアベル!頭を下げろ!!」

 

背後からの叫びに、思わず条件反射で片膝を着く。

瞬間

青白いライトエフェクトと共に火花を散らして、鋭い金属音が鳴り響いた。

 

「アスナ!スイッチ!」

 

さすがに巨体からのソードスキルを弾いたともなれば、その衝撃もかなりの物だろう。ディアベルのように、地に足を付けて踏ん張っていたならともかく、駆け抜けるように発動したソードスキルともなれば、踏ん張りが利かずに吹き飛ばされる。

だがそれも彼…キリトにとっては好都合だった。結果として目標である、奴のソードスキル、そのキャンセルが出来たのだから。そして…吹き飛ばされることで、後から来る『流星』の射線が通る。

 

「ハァァァッ!!」

 

続いて抜き出たのは、ウインドフルーレから穿たれた高速のリニアー。野太刀がはじかれて、ガラ空きになったコボルトロードの弱点たる喉に深々と突き刺さり、レッドに陥った奴のHPゲージを数センチ減少させる。

 

「スイッチ!」

 

まだ終わらない。

更にユウキとエステルの斬撃と打突だ。ホリゾンタル、そして…棍から放たれるソードスキル…『捻糸棍』が丸々としたコボルトロードの腹とそして弱点の喉に向けて撃ち込まれ、HPゲージが更に減少する。

 

「しまった…!クリティカルし損ねた…!」

 

喉元を狙ったつもりが、いつもと違う重さであるアニールロッドであるために、打ち込みがブレた。いや、どこか焦りがあったのだろうか。なんにせよ、弱点である喉元を外したことで、コボルトロードのよろけがキャンセルされ、再び野太刀を構える。

そしてそのタゲは……

 

「エステル!防御!!」

 

「えっ…!?」

 

キリトの声に反応したときに見たもの、それは平たく、そして研ぎ澄まされた野太刀の刃。棍で防ごうにも、既に目の前に迫る太刀をどうこうできるようなものではない。

横薙ぎに、コボルトロードの野太刀が振るわれた。

確かな衝撃、そして不快なまでの斬られた感触と共に、エステルは吹き飛ばされる。

 

「がっ…!?」

 

斬られたのみならず、その斬撃の衝撃は軽々とエステルを錐揉みに吹き飛ばして行くには充分すぎる物だった。

 

「くっ…ぅ……!」

 

体全体を振り回されたことで軽く目が回ってしまい、混乱した頭を冷静に保とうとする。

朧気ながら…まず自身のHPゲージを見れば、グリーンだったものが、レッドまで減少してしまっている。まともに食らってしまったのが仇となったか。一気に半分ほど吹き飛んだ。

 

「くっ…早く…POTを…!!」

 

腰のポーチに入れてあるPOTに手を伸ばそうとする。しかし、ダメージからくる衝撃で思うように手を伸ばせず、不必要なまでに手間取ってしまう。

そして…目の前にコボルトロード。

最悪だった。

ディアベルを助けようとして、間に合った。そう思ったらこれだ。

一難去ってまた一難…しかも、スタンを取れなかったこと、そしてキリト、アスナ、ユウキの3人は突撃タイプのソードスキルを放ったことにより、コボルトロードの遥か後方まで突き抜けてしまった。

この一撃、受けたら、良くてギリギリ、最悪全損させられてしまうだろう。

 

「くっ…ここで…負けてなんか…!わっ!?」

 

振り下ろされた野太刀を、地面を転がって回避する。後一瞬でも遅れていたら、ダメージは免れなかっただろう。現に目の前には、振り下ろされて地に斬り込んだ刃があるのだから。

 

「や…やば…!」

 

引き抜いた野太刀を、再び振り上げる。だが、ただでやられてやるほど甘くはない。咄嗟にアニールロッドを横に構えて防御、金属同士がぶつかり合う、甲高い音が響いた。

 

「ぐ…こんのぉ…!!」

 

ギチギチと、得物同士がこすれ合う音が耳障りだ。だが少しでも力を抜けば、その刃は間違いなくエステルのHPゲージの残量全てを削りきるのは容易に予想が付く。

そして…STRのパラメータの差からか、徐々にその刃はエステルの顔面に近付いてきている。刻一刻、まるでその刃の高さが命の残量と言わんばかりに、ゆっくりと、そして確実に迫ってくる。

 

「エステル!!くそっ!」

 

ソードスキルの硬直が解け、急ぎUターンするキリト。同じくしてアスナとユウキも駆け出す。しかし、コボルトロードとの距離と、野太刀が降りてくるスピードは、後者の方が先になるのは明白だ。

 

「チクショウ…!間に合わねぇ!」

 

エギルが口惜しげに呟いた。

彼と共にタンク隊も急ぎ向かうが、壁役とだけ有って、その防具の重さはかなりの物だ。そしてパラメータの振りも、VITに多く振っておりAGIにあまり回していないため、その移動速度はどうしても遅かった。

しかし…

彼等を追い抜く一陣の黒い風が…いや、牙があった。

まるで突風が吹き抜けたかのようにタンク隊を追い抜いたそれは、一瞬にしてコボルトロードに肉迫し、逆手に持ったアニールブレードを顎目掛けて振り上げた。

 

「なっん…!?」

 

その場に居た誰しもが、何が起こったのか、そしてあれは誰なのかも解らないで居た。

弱点である顎を穿たれ、よろめくと共に、エステルに迫っていた野太刀も、コボルトロードとともに離れることとなる。

同時に、タンク隊の群れの中心で、数多の金属が落下する音が響いた。

走りながら振り返れば、鎧やレガース、ガントレットといった重装備の防具が、まるで中身がなくなったかのようにバラバラに脱ぎ捨てられているかのような光景。鎧のフレームとして中にいた人物がいなくなったのか形を成すことが出来ずに、騒々しいまでの金属音と共にガラガラと地面に崩れ去っていく。さっきの音はそれだったのだ。

…だとすれば…その中身はどこに行った?そして…崩れゆく鎧の中に、特徴的な顔全体を覆うことが出来るフルフェイスが目に付く。

 

まさか…

 

あの中身は…

 

 

そして…エステルも、地面に背を預けながら、その黒い牙を見つめていた。

短く、そして艶やかな黒髪。

中性的な顔つき。

そして…琥珀色の瞳。

ずっと探して、無事を祈っていた少年…夜斗の風貌を持った少年が、目の前でコボルトロードに対峙していた。




満を持して彼登場です。
次あたりでコボルトロードを二枚に下ろせたらいいなぁと思います。
大抵一層ボス攻略会議と、キリトのビーター発言の時が、二次創作の大きなターニングポイントになると思いますので。
あと、とある方からコメントで、『クロス多すぎ』と頂いたのですが、…SAOと空の軌跡しかクロスしてないですよ、ね?二つの作品のクロスで多いなら、クロス作品皆が多いって事になりますけど、ちゃんと読んでるのかな?と首を傾げました。
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