先輩さんと後輩ちゃん   作:サリチル酸

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祝!CCCコラボ決定!
呪!ポプテピピックアニメ化決定!

え?そんなことより投稿が遅い?
本当に申し訳ない。

それではタイトル通りの短編集、どうぞ。


第八話 自分のことを本編だと思っている短編集

*赤飯に至る物語

 

――朝の光で目を覚ます。

妙な寒さを覚えながらも、頭の機能を起動させる。

えーと、今日は確か日曜日だから、塾はお昼から……でも、朝の間に宿題だけは終わらせて、ああ、いやならもうちょっとだけ寝ても大丈夫、あれ、なんで僕服を着てない――

 

「……んっ」

 

……ん?なんか布団の中にぬくもりが?

自分の感じた違和感を確認するため、特に何も考えず布団を開けると――

 

「……むにゃあ」

 

――そこには、何も身にまとわず寝息をたてる後輩ちゃんがいた。

 

「………………ゑ?」

 

あれ?後輩ちゃん?なんでこんなところに?というかなんでなにも着てないん――

 

――そこで思い出す。昨夜のこと。

 

「……ああそうか」

 

確か昨晩は今までの反動かやたらと積極的だった後輩ちゃん相手にひたすらギッコンバッコン大騒ぎして――

 

「……ッ」

 

妙に恥ずかしくなり回想をやめる。

 

「ふにゃあ、しぇんぱいさん……」

 

「……かわいいな、ほんとに」

 

もぞもぞと体を動かす後輩ちゃん。そのしぐさがあまりにかわいく、つい声に出してしまう。

……こんな幸せそうな顔を見たら、自分のしたことが正しかったのだと実感できる。

 

「……さて、と」

 

いつまでも眺めていたい気はするが、さすがにこの格好のままなのはマズイ。とりあえず脱ぎ散らされた服を回収して、後輩ちゃんを起こして服を着せて――

 

「ふわ、せんぱいさん……?」

 

「あ、起こしちゃった?」

 

布団から出ようとした弾みに後輩ちゃんを起こしてしまう。当の後輩ちゃんは目をこすりながらこちらを見つめている。

 

「ちょっと待っててね。今後輩ちゃんの分の服も――」

 

そう言って布団から抜けようとした僕を――

 

「ふにゃー」

 

「うわ⁉」

 

後輩ちゃんが抱き着いて布団の中に押し戻す。

 

「ちょっと後輩ちゃん⁉」

 

「ふへへ……先輩さんだ~」

 

まだ頭が覚醒していないのか、後輩ちゃんは普段はめったに出さない甘え声を出して僕の胸元に顔をうずめる。どうやら自分が裸であることも寝ぼけて気付いていない。

 

「ちょ、その体勢はまず……!」

 

いくら昨日の夜に比べて穏やかであるとはいっても、後輩ちゃんの体が男にとって非常に魅力的なのは変わらない。しかも後輩ちゃんは何も着ずに抱き着いているため、いろんなところがしっかり密着して――

つまり下半身が大変なことになってます、ハイ。

 

「ふへへへ……」

 

「早く起きて後輩ちゃん!いろいろとマズいから!」

 

「ふえ~わたひおきてまふよ~?」

 

絶対起きてない!そんな声出すことないもん後輩ちゃん!

そしてガリガリと削られていく自制心。普段からは考えられないほど無邪気に甘える後輩ちゃんを見ていると、だんだんと自分も好きにしていいんじゃないかと思えてきて――

 

「んっ!」

 

「!」

 

不意打ちで放たれたキスで理性が蒸発していく。

幸せを噛みしめるようにお互いを感じた後、ゆっくりと唇が離される。

 

「ふへへへ……先輩さんの唇、おいしかったですっ」

 

んもう!

ここまでされたらもうヤルしかないだろ!

自制心の吹っ切れた僕は未だに寝ぼけ眼の後輩ちゃんを押し倒す。そしてそのまま――

 

 

「お兄ちゃーーーん!朝ごはんできたよーーー!」

 

 

――時間が止まった。

我が愛おしの妹によるダイナミック入室。

 

「」

 

「……」

 

その視線の先にあるものは当然――

 

「お母さーん!お兄ちゃんと後輩さんが裸で抱き合ってるーー!」

 

「うわああああああ!ちょっと待ってええええええ!」

 

そんな静止の声を聞かずに、我が妹は母さんのもとへ向かう。

どうにかして母さんのもとに行かせるのは止めたいが、全裸であるためそれもできない。

 

「すう……すう……」

 

そして一連の流れをぶった切って眠りにつく後輩ちゃん。

 

「……もうどうにでもなーれ」

 

そして僕は、考えるのをやめた……

 

――その十分後、完全に覚醒した後輩ちゃんが恥ずかしさのあまり大暴れするのはまた別のお話。

――そしてすべてを察した母さんに赤飯を出され、後輩ちゃんが真っ赤になるのもまた別のお話。

 

 

 

 

 

*濃縮還元

 

後輩ちゃんのお泊りから数週間。季節は冬。十二月に突入した。

 

「今からテストを開始する!文句がある奴は目と耳をふさいで孤独に暮らせ!」

 

え?冬がなんだって?

今の僕には勉強しかない。

まあセンターまであと一か月だから是非もないよネ!

ちなみに後輩ちゃんとはお泊り以来一度も会っていない。さすがにこの時期は大変だとわかってくれたのか、後輩ちゃんの方から勉強に専念してくださいと言われたのだ。

……それはそれでちょっと寂しかったりする。

だが後輩ちゃんの期待を裏切らないためにも、今は頑張らないと。

 

 

 

 

「……ふう」

 

今日のテストも無事終わり、いつのまにか夕方になっていた。塾の休憩室で一休みする。

しばらくしてからコーヒーを飲み干し、さあ自習を頑張るぞと自習室に向かおうとすると――

 

「おや、奇遇だね。こんなところで会うなんて」

 

そこには僕のフレンズの一人、図書委員長が立っていた。

……なんだかすごく久しぶりな気がするな。

 

「……お久しぶり、委員長」

 

「ふむ、確かに久しく会ってなかったな」

 

図書委員長は文系、僕は理系。クラスも違うので文化祭以来会うことがほぼ無かった。

 

「というか珍しいね?委員長がここに来るなんて」

 

確かに彼女もこの塾で授業をとっていたのだが、ここ数週間まったく姿を見なかった。それも当然。なぜなら彼女は――

 

「なに、推薦合格確定の報告さ。もうここには来ないよ」

 

そう、すでに推薦で合格が決まっている。

文化祭あたりでもうほぼ確定だったらしく、文化祭準備で忙しい僕を何度も煽って来たのは記憶に新しい。

しかも推薦を決めた理由が

『早く彼氏といちゃつきたいから』

なのだからもはや手に負えない。

……ちなみにそのことをおちょくりつつ

『あなたは不純な動機で大学を決めるフレンズなんだね!すごーい!』

と言ったらガチ喧嘩に発展しかけた。

閑話休題。

 

「だったらさっさと帰って彼氏といちゃついて、どうぞ」

 

「それができたら速攻で帰るんだけどねぇ……」

 

ため息をつきながら不満顔な委員長。彼氏と何かあったのだろうか?

 

「なんでも研修で北海道に行っているらしい。まったく、私が何のために推薦を勝ち取ったと思っているのだ……」

 

なるほど。彼氏さんがいないのか。

口では強がっているものの、その雰囲気から本気で落ち込んでいるっぽい。

ふむ、ならばここは友人として励ましてあげるとしよう。

 

「はは!ざまあないぜ!」

 

「よし、表に出ろ。一夫多妻制去勢拳を見せてやる」

 

おっと本当の感情が表に出ていたようだ。

 

「まったく……受験疲れを心配して来てやったというのに」

 

「そんな雰囲気は一切合切無いけど?」

 

どうせ煽り目的で来たんだろコイツ。

 

「まあいい……それで?例の後輩ちゃんとはどうなのだ?」

 

……このタイミングでその話題か。

なんて言おうか。馬鹿正直に体を重ねましたなんてことは死んでも言えないし。

……よし、適当にはぐらかそう。というか最初からその選択肢しかない。

 

「HAHAHA!受験中にそんな何かあるわけないだろ?」

 

「ふむ?」

 

何故だろう。すごい怪しまれている。

 

「本当に何もなかったよ?」

 

「それは本当かい?」

 

「もち」

 

「ふむ……」

 

よし。何とかごまかせた。このままほかの話題にシフトしてピンチ脱出だ。

――と、そこで油断してしまったからだろうか?

そんな僕の思考は――

 

 

()()()()()()()()()()()()‼」

 

 

やたらと濃ゆい顔をした委員長の一言であっさりと瓦解した。

そして同時に平常心も宇宙の彼方へ吹っ飛んでいった。

 

「ふふ、その様子だとあたりらしいな!」

 

――てか往来でなんてこと言うんだコイツ!

そんな怒りで平常心が舞い戻る。

……コイツの反応からするとどうやら確信を得たらしい。今更そんなことを聞いてもどうしようもないことはわかっていたが、聞かずにはいられなかった。

 

「……なんでわかったの?」

 

「なに、女の勘を舐めないほうがいいというだけの話だ」

 

女の勘ならしょうがないな!

 

「しっかしこの重要な時期にそんなことするとか……どんだけ溜まっていたんだキミは」

 

「そ、そんな理由では襲わんわ!」

 

ジト目で言う図書委員長。

あ、あれは後輩ちゃんの思いに答えたくなったから……!(震え声)

 

「……ふふ、だがつまり、キミも少しは()()()()()ということかな?」

 

こちらの目をのぞき込みながら友は言う。

コイツだから分かり合える感情。一生残り続ける()()との記憶。未だに僕が乗り越えられていないこと。

少し前だったらその問に答えることはできなかっただろう。

だが今なら。

 

「……ああ、何とかなると思う」

 

後輩ちゃんと一緒なら。

 

「――そうか。その顔ならきっと大丈夫なんだろう」

 

そう言って微笑む委員長。

……本当に、いつもこうなら文句なしなんだがなぁ。

 

――その数分後。

 

「ふふふ、なかなかにいいことも聞けたし私はこれで失礼するとしよう」

 

「ん、そうか」

 

ひとしきり喋って満足したのだろう。委員長は出口へ足を向ける。

僕もそろそろ時間だ。久しぶりの会話はここで終わりだ。

 

「それじゃ、せいぜい勉強頑張りなよ?」

 

「あたりまえだ」

 

軽口をたたいてから委員長と別れる。

――こういう時期に気兼ねなく喋れる友人がいる。

そのことに感謝しつつ、今日も精一杯頑張ろう――

 

 

 

「あ、そうそう!受験終わったら絞りとられるから覚悟しときな!女の性欲甘く見たら痛い目に合うからね!」

 

「カエレ!」

 

……もうちょいましな友人が欲しいと思う今日この頃であった。

 

 

 

 

*せっかくだから、俺はこの緑の店を選ぶぜ!

 

月日の流れは速いもので、今年もクリスマスがやって来た。

ただ、知っての通り我らは受験生。そんなものに浸っている時間など微塵もない。

――と、思っていたのだが

 

「先輩さんは何にします?」

 

「ソウダナー」

 

現在僕は後輩ちゃんとサイゼリ〇にいます。

 

こうなった原因は十数分前のこと。

いつも通り授業を終え、家に帰ろうと塾の自動ドアを出ると――

 

「だーれだ」

 

待っていたのは後ろからの目隠し。

当然こんなことする人なんて一人しかおらず、

 

「……久しぶりだね、後輩ちゃん」

 

「お久しぶりです、先輩さん♪」

 

そこにいたのはやっぱり後輩ちゃんだった。一か月ぶりの再会だ。

 

「元気にしてた?」

 

「先輩さんこそ勉強は大丈夫ですか?」

 

「はは、大丈夫大丈夫」

 

「……ほんとに大丈夫ですか?」

 

ホントに大丈夫ならこんな乾いた顔はしないさ。

 

「それで、なんで後輩ちゃんはここに?」

 

「……私がここにいちゃいけないんですか?」

 

すこしすねた感じで後輩ちゃんは言う。

そういう意味で言ったわけじゃないんだけど……

 

「いや、後輩ちゃんの方から『一段落するまで会いません!』て言ってきたから……」

 

「うぐっ」

 

途端に顔をそらす後輩ちゃん。

もしかして、

 

「……我慢できなくなったとか?」

 

なんてね!さすがにこれは自意識過剰だろう。

 

「……」(お顔真っ赤)

 

マジですか後輩ちゃん。

 

「しょ、しょうがないじゃないですか!先輩さんメールの一つも送ってくれないし!」

 

顔を真っ赤にしたまま叫ぶ後輩ちゃん。

 

「あ、あんなことまでしたのに、あれから何もないし……」

 

……どうやらだいぶ寂しい思いをさせていたようだ。

確かに受験中とは言ってももう少し連絡を取ってあげてもよかったかもしれない。これは完全にこっちの不注意だ。

――なら、そんな寂しがり屋の後輩ちゃんには

 

「……後輩ちゃん、今から暇?」

 

「ふぇ?」

 

今日くらいはサービスしてあげようか。

 

「夜ご飯一緒に食べない?」

 

……別に僕が勉強したくないとかそういうのじゃないよ?ホントだよ?

 

 

そして冒頭に至る。

本当はもっと雰囲気のある所にしたかったというのが本音ではあるが、お財布事情でそれは断念した。

 

「どう?美味しい?」

 

「はい!」

 

満面の笑みでステーキとハンバーグを頬張る後輩ちゃん。冬になろうとこの食べっぷりは健在だ。

 

「あ、でも先輩さんの食べる量が……」

 

「ああ、別にいいよ」

 

後輩ちゃんはステーキを、僕はハンバーグを頼んだ。

だが運ばれてきたハンバーグを後輩ちゃんがあまりにもガン見するので、半分くらいを分けてあげたのだ。

 

「いえ!そうなると私が申し訳ないです!」

 

「そう?」

 

本当に気にしなくていいのだが……

 

「じゃあステーキちょこっとくれる?」

 

「はい!」

 

そう言って嬉々としてステーキを分ける後輩ちゃん。

だが、そこそこの大きさに切り分けた後輩ちゃんは、

 

「……」

 

「後輩ちゃん?」

 

何かに気が付いたように動きを止めた後、顔を赤くしながらステーキの刺さったフォークをこちらに向け――

 

「せ、先輩さん。あーん」

 

……そうきたか。

いや、別にそれ自体はいいんだ。後輩ちゃんの気持ちが伝わってくるし、周りの目線が少し恥ずかしいくらいだ。

――だけど

 

さすがにそれは一口じゃ入らない大きさだよね?

 

後輩ちゃんが切り分けたサイズは元の三分の一ぐらいの大きさ。どう考えてもあーんで差し出していい量ではない。

 

「……」(ぷるぷる)

 

だがそのことに気が付かないままフォークをこちらに向け続ける後輩ちゃん。こちらが食べないのを気にしているのか目には涙が貯まり始めている。

……しょうがない!

 

「はぐ!」

 

「!」

 

口をギリギリまで開けて、何とか一口で肉を詰め込む。

口の中がとんでもないことになっているが……うん、おいしい!

無茶苦茶苦しみながらなんとか飲み込む。

 

「ふう……お、美味しかったよ、後輩ちゃん」

 

「……先輩さん」

 

うん?

 

「そんな口に詰め込んで食べなくても……」

 

それをおまえが言うか。

 

 

 

そんな時間はあっという間に過ぎ、もうお別れの時間。

 

「すいません、ごちそうになっちゃって……」

 

「いいよいいよ、せっかく後輩ちゃんのほうから来てくれたんだから」

 

ここから数か月は後輩ちゃんと会えない。

……自分勝手だとは思うけど、そのことにかなり名残惜しさを感じている自分がいる。

 

「それじゃ、数か月後に」

 

「あ、は、はい……」

 

でも、数か月後にちゃんと後輩ちゃんと会うためにも今は我慢して――

そんな考えと共に後輩ちゃんに背を向け歩き出す。

 

「せ、先輩さん!」

 

そんな僕にかかる言葉。

『どうしたの?』と聞こうと後輩ちゃんへ振り向くと――

 

「んっ」

 

――その瞬間、狙いすまされたかのように後輩ちゃんにキスをされた。

不器用な後輩ちゃんの気持ちの伝わってくる。

時間にして数十秒のキスは、どちらからともなく唇を離すことで終了した。

 

「……頑張ってくださいね?先輩さん」

 

「……うん。頑張るよ」

 

……このキスが、後輩ちゃん自身のためのものなのか、それとも僕のためにしてくれたものなのかは分からない。

だけど、

 

「ありがとうね、後輩ちゃん」

 

「はい!」

 

このキスが、その愛情表現が、気持ちの落ちていた僕の動力源になる。

 

「それじゃ!頑張ってくるね!」

 

「はい!ファイトです先輩さん!」

 

後輩ちゃんのためにも――

 

明日も一日頑張るぞい!




こないだ沖田さんがうちのカルデアに来ました。

……無課金で二か月の間に星5が二体とか、来月あたりに死ぬかもしれん。
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