さてと、外に出たのはいいがどこに向かうべきか...。
自分を強化するにはレベルを上げる事も重要だけど、装備も整えなくちゃいけない。
レベリングするための敵はフィールドにいるが、装備はどうするか...。
とりあえず目につくモンスターを倒していく。
「でも、ここでレベリングするってのも余りよくない。俺みたいに動く奴ですぐにいっぱいになるだろうし」
更にモンスターを倒しながら、片手間にどうするかを考える。
先に進むってのも一つの手ではあるが、初めてプレイするゲームでそれは自殺行為にも等しい。
誰か知っているプレイヤーに付いていくなら別なんだが...。
そう考えていると一人のプレイヤーが、街から飛び出してきた。
そのまま走って行こうとするプレイヤーを追いかける。
「おい!待て!いや、待ってくれ!」
俺の声が聞こえたのか、どうやらそのプレイヤーは止まってくれたようだ。
止まってくれるかは半ば賭けのようなものだったが、なんとか賭けには勝ったようだ。
「なぁ、もしお前が次の村かそういうのに向かうのなら連れていってくれないか?迷惑は掛けない、もし邪魔だと感じたなら置いていってくれても構わん」
どうやら、俺の物言いに困惑しているようだ。
恐らく、こちらに出てくる前に何かあったのか人を連れていく事に拒否感を持っているようだ。
「何もパーティーを組んでくれ、という訳じゃない。ただ、先を進んでくれるだけでいいんだ...。頼む!」
頭を下げる。
フィールドで自分の視界を狭くするのは余りよくないが、今はこっちの方が大切だ。
「わかった...」
どうやら、了承してもらえたようだ。
「ありがとう」
ひとまず、感謝を述べる。
「じゃあ、先行を頼む。しっかりついていくから、もし気を付ける事があったらまた言ってくれ」
相手は頷き、そしてまた走り出す。
俺も置いていかれぬように、後を追いかけた。
ーーーーーーーーーーーー
夕陽が消え去る頃、俺達は目的地に辿り着いた。
名前は《ホルンカの村》。
ここにくるまで世話になったプレイヤーには先程礼を述べ、別れた後だ。
どうやら、彼の名前は《キリト》というらしい。
着いてすぐにも確認したが、視界に浮かぶカラー・カーソルには全てNPCのタグがついていた。
まぁ、あのチュートリアルの後すぐに街を出たんだから当たり前と言えば当たり前なんだがな。
「さてと、一通り村も見て回ったし武器屋にでも向かうか」
どこに何があるのかを確認するために一通り村を見て回った。
くる途中に、ここで手に入る武器のクエストについて聞くことができたので、武器はいいとしても、防具を揃えなければならない。
武器屋につくと、まず最初の街の周辺で狩ったモンスターの素材を全て売った。
生産系のスキルを上げるつもりは特にないので、別に困ることはない。
少々増えたコルを使い、防具を整える。
金属鎧を着けるのは余り好きではないため、防具はレザーコートを更新するのみにした。
盾は使う気にならないからそれも却下。
隣の道具屋で、回復ポーションと念のため解毒ポーションを買い込む。
そして念のために、武器の予備をいくつか購入した。
所持金が空になったが、まぁしょうがない。
最初に出し惜しみして死んだら笑い話にもなりゃしない。
そう思っていると、広場中央にある小さな櫓が時鐘のメロディを奏でた。
それは午後七時になった、ということでもある。
「っともう午後七時が。さて、教えてもらったクエストでもやるか」
一通りの準備を終えた俺は、キリトに教えてもらったクエストを受けるため村の奥の一軒の民家へと向かった。
その中には、台所で鍋をかき回している女性のNPCがいた。
その女性がこちらを振り向き、言った。
「こんばんは、旅の剣士さん。お疲れでしょう、食事を差し上げたいけれど、今は何もないの。出せるのはお水くらいのもの」
「それでいいよ」
正直、勝手に入り込んで水を貰うってのもなんか礼儀がなってないとは思うが、それだとクエストが進まないので気にしてはいけない。
女性がカップに水をつぎ、俺の前にあるテーブルに置いた。
せっかく頂いたお水なので、ちゃんと全部飲み干す。
それを見て女性が少し笑い、また鍋の方へと向き直る。
気にせず待ち続ける。
すると、隣の部屋から子供が咳き込む声がした。
更に数秒待てば、先程の女性の頭上に金色のクエスチョンマークが点灯した。
これがクエスト発生の証だ。
「何かお困りですか?」
俺はすかさず声をかける。
ゆっくり振り向く女性の頭上で、クエスチョンマークが点滅する。
「旅の剣士さん、実は私の娘が......」
ーーー内容を纏めると、娘が重病にかかってしまい市販の薬草を煎じて飲ませても治らない。
治療するには西の森に生息する捕食植物の胚珠から取れる薬を飲ませるしかない。
だが、その植物は危険な上、花を咲かせている個体が滅多にいないので自分には手に入れられない。
代わりに剣士さんが取ってきてくれればお礼に先祖伝来の長剣を差し上げましょう。
ということだ。
「任せて下さい」
と言い、家から出る。
ふと、思う。
現実世界では今頃どんな様子なのだろう。
まぁ、大騒ぎになっているのは間違いないだろうが、自室でナーヴギアを被り横たわる俺の隣には誰がいるのだろう。
恐らく母か妹、もしくは弟、または3人ともなのか。
その中で一番気になるのはやんちゃな弟だ。
頼むからナーヴギアをのけないでくれよ?
無理矢理のけたら俺死んじゃうからさ。
まぁ、まだ生きているということは、少なくともまだ大丈夫ということだ。
どうしようもないことを考えても仕方がない。
さてと、感傷に浸るのはここまでだ。
レベル1 プレイヤーに与えられている《 スキルスロット》は、わずか二つのみ。
俺は、この片方を最初に選んだ武器である《曲刀》にしている。
そして、もう片方には《
これは、俺が元々ソロでやるつもりだったからだ。
《
正直、最初からこれにしてよかったと今も思っている。
索敵も曲刀も、最初から使ってるから少し熟練度上がってるしな。
次で隠蔽をとるか軽業をとるか悩むが、それはその時決めればいいだろう。
そう考えながら俺は西の森へと向かった。