とある科学の超兵執事 【凍結】   作:陽紅

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……私は、何をやっているんでしょうか。と本気で自分に問いたくなった今回。

魔術編に入れと手に訴えても、頭がOVAのことで一杯に……。


 なにはともあれ――あの曲を流しながら、どうぞ♪



とある科学の超電磁砲   20-0

 

 

 

 

 

 

「ふあっ……」

 

 頭を右に左に振るとコキコキっていい音が鳴った。凝ってるわけじゃないけど、明日深音にマッサージでも頼もうかなぁ……ああ、いや、やっぱ止めとこう。うん。

 

 

「……うしッ!」

 

 

 あとちょっとなんだし、一気に終わらせちゃおう。

 

 ……って言っても、後はもう流して見るだけなんだけどね。上手くいってればいいけ――

 

 

 

「……うぇへ、ウェへへへ――お姉様ぁあああ……」

 

 

 ――ど。

 

 

(……頑張りなさい、夢の中の私。……なんなら超電磁砲も許可するわよ?)

 

 

 ――ちょっとびっくりしたのは内緒。今黒子に見付かると、私からのサプライズがばれる。それはちょっとつまらない。

 

 

 

 ――ここは、学園都市。世界の科学の最先端――を突っ走ってる都市。外とは二十年だか三十年だか、それくらいの技術格差があるとか無いとか。

 

 いまさら何の説明を――っていうのは分かってるわよ? いや、まあ、それを踏まえに踏まえて。

 

 

 いま。現在完了形で、監督・御坂 美琴様の初作品が出来上がったわけなのよ。

 8mmフィルム? っていう骨董品――というよりももうどこかの博物館に寄贈されててもおかしくないような代物よ。学園都市ってことを考えたら、まずあり得ない。アナログ過ぎるにもほどがある。

 

 

 リモコンで簡単操作、映像編集なんて便利なものはない。

 見たいとこに一瞬で巻き戻し早送り! ってことも出来ない。

 

 ――切って、つなげて。やっとやっと。

 

 

 

「さて、と」

 

 

 フィルムの巻き取りハンドルを――あ、やばい。手が震えてる。落ち着くのよ私。

 ゆっくり、ゆっくりハンドルを回す。なんか懐かしい、落ち着くカタカタって回転音。

 

 

 

 覗きこんだ画面に、みんなで考えた『タイトル』が移される。

 

 

 ――『とある科学の超電磁砲』――

 

 

 い、言っとくけど、多数決よ。多数決で決まった内容だからね? 私は違うのを提案したわよ?

 

 そして、そのまま出演者(キャスト)のご紹介。タイトルの書かれた看板を持ってる私が――なんかへんな気分。私こんな風に笑ってるんだ。結構恥ずかしいわね……。

 

 それで、佐天さんが横から――音声ないからなんにも聞こえないけど、カメラの前を横切る瞬間にVサインを決めて私の隣に。

 めちゃくちゃモジモジしながらこっそり(でもしっかり映ってる)フレームインした初春さんを佐天さんがお腹を抱えて笑って……この時なんて言ってたんだっけ?

 その初春さんの隣に、黒子がテレポートで登場。軽くカメラに手を振ってるわね。

 

 

 そんで、深音のアップ。あの時はアイツがカメラ持ってたし。カメラの位置を整えて、佐天さんの隣に。

 ……こうして客観的に見るとやっぱりコイツって背高いんだなぁって思う……私と頭一個違うし。

 

 

 それで、やり方? の説明をちょろっとして――みんなで、レールガン。――撃たないわよ。フリよフリ。

 

 

 

 これが一応、オープニング。でも、うん。

 

 ニヤニヤが止まらない。なにこれ、なにこれ? 顔が知らないうちににやけるの。

 ハンドルから手を離して……なんていうか、体の中のなんかの衝動を、背中を丸めて必死に抑える。……これ、私の身がもたないかも……。

 

 

 でも監督。私は監督。――よし。

 

 

「――いざ!」

 

 

 ハンドルを強く握る。絶対離さないように。

 小さな画面を覗く。決して、目を逸らさないように。

 

 

 編集で切り張りしたから一瞬画像が乱れたけど、すぐに戻って学園都市名物? の風力発電の大プロペラ。それをみんなで見上げて――初春さんがカメラ目線になって、『もう一台』の8mmフィルムを向ける。

 

 画面が変わって、カメラもって照れ笑いを浮かべるわた――

 

 

「なんでカメラが二台あるのよぉ……!」

 

 

 

 負けたわよこんちくしょう。

 

 

 

 そりゃ、切って繋げたのは私よ? でも、そのつなげる内容はみんなで考えたから。

 

 

 ……予想以上に、ダメージがでかいわ。

 でも確認して変なところがないのか調べないといけないし――。

 

 

「無心――そうよ、無心でみれば」

 

 

 ……ハンドルを回す。

 

 

 これは――初春さんと佐天さんで深音を挟んで座ってるところを撮っている黒子――を私が撮ってたのよね。確か、私たちが常盤台の用事でちょっと抜けたんだっけ。

 二人とも深音の肩に頭預けてお昼寝中。深音は動くに動けず苦笑してるだけ。

 ……気付いた佐天さんが真っ赤になってる。初春さんは揺れた反動でそのまま後ろへ。

 

 

 切り替わって、確かどこかの路地裏だったかな。撮影場所を探してるときの。

 私が奥のほうに小さく写ってて、初春さんが――そうそう、初春さんが私の方に駆けつけようとして盛大に躓いたんだった。

 

 ――で、深音が……え、まって。一つのコマに深音が二人いる!? 残像!?

 

 ……初春さんが地面にぶつかる前に深音が救助。見なかったことにしよう。うん。

 

 

 また、画像が乱れて――執事服、じゃなくて緑色の着ぐるみを着ている深音。数秒それをじっと見てて、意を決してガポって被り物を被る。カエルの口から顔をのぞせる深音が振り返った。

 

 

 ……ありね! また着せましょうそうしましょう。どこからレンタルしてきたのか後で佐天さんに聞きださなきゃ。

 

 

 それで、深音カエルをセンターに、みんなで手をつないで万歳。深音の前にいつの間にかいた理恵ちゃんもいっしょに万歳。

 ……被り物の頭の上に理恵ちゃん乗っけて、お母さんを探しに人ごみの中に消えていく深音の後姿がなんとも言えなかった。

 

 

 画像が荒れて、ファミレス? こんなの撮った……わね。黒子か……。

 

 ジュースを飲んでる私にカメラ意識させて、止めようとしたらストローさしてカップルジュース。

 そのあと佐天さんが深音に猛烈アピールして大変だった。やったらやったで佐天さんが茹蛸リンゴでまた大変だった。――撮り逃したのが悔やまれるわね。

 

 

 公園での相談風景。私と初春さんが相談してるところに佐天さんが後ろから忍び寄って――画面が、ブラックアウト。故障じゃない。

 ……この時のカメラマンが深音だったって言えば、それがもう答えよ。

 

 佐天さんの方が顔赤くしてたけど……初春さんどんなのを……。

 

 

 

 場面はまた変わって、今度は階段。微妙な位置調整をして――深音の手の上でポーズをとる私たち。――あの振り付けって即興だったけど、どっかで見たことあるのよねー。どこだろ。

 

 

 

(いける。無心ならいける! ――恥ずかしいことに代わり無いけど)

 

 

 

 ――にやけ顔を押さえ込みすぎてて頬が引きついてるわよ。とっくに。

 

 

 

 それで、今度は――この部屋に戻ってきて――。

 

 

 ……ああ、はいはい。初春さんになったのよね、みんなで。具体的に言うと初春さんの花飾りを全員で真似して――黒子に不意打ちで撮られてはにかむな私ぃ!!                       

 

 ……なんか私、さっきからはにかむの多い気が――気のせい、よね?

 

 

 

 

 

 ……気を取り直して。ハンドルを回す。

 

 

 

 

 

 女の子四人が並んでお披露目。セーラー服? っていうのかな。以外と黒子が似合ってて――お腹丸出しじゃん私。

 

 椅子に座った佐天さんが自分のスカートを捲り上げようとして、深音が止めに乱入。短パン履いてるっていったら「それでもだめです」って怒られた。解せぬ。

 

 で、初春さんの真似した私が振り返って――……以下略。

 

 

 黒子と初春さん、そしてゲスト出演の固法先輩。なんと固法先輩は執事服で『ジャッジメントですの』のポーズ。――何気にかっこいいの。やりたかった。

 

 

 

 ――画面が乱れに乱れて、佐天さんが長い黒髪のメイドさんを連れてくる。長い丈のスカートを必死に抑えて、うっすらお化粧した顔を真っ赤にしておどおどしてる。とんでもない美人さん。

 レベルが高すぎて……笑えなかった。佐天さんがやりきったっ顔してたけど。……涙目になんな。それは反則よアンタ。

 

 

 

 ――日が暮れてきて、みんなで思い思いに話してる。深音はベンチに座り込んで、がっくり肩を落としてる。私がその肩たたいてるけど、率先してやった一人なのよねぇ……。

 

 最後。……フィルムももうほとんど無い、ってことでパフェで乾杯。深音はもうどうにでもなれって苦笑で、黒子は私のパフェに食らいつこうとしてて。

 

 

 みんなの笑顔を取って、End。

 

 

 

 でも、おかしいわね。最後の最後で、最初のタイトルのときみたいにEnd(おわり)って書かれた看板もった私が出るはずなのに――その記憶が、な――

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 静かな寝息を立てて、穏やかな笑みを浮かべて。

 

「あらあらまあまあ……ジュルリ」

「御坂さんぐっすりですねー。……寝づらそうなのに、幸せそうだし」

 

 

 組んだ腕を枕に、椅子に座りながら眠る美琴さん。遅くまで起きていたようで、先ほどまで簡易証明が付けっぱなしでした。

 

 

 ――さすがに、この姿勢だと疲れてしまいますね。

 

 

「おー……あれ? もしかして初! ですよね!? 初春、カメラカメラ!」

「もう回してますよー。……うわ、御坂さん大胆……!」

 

 

 ベッドに寝かせて、風邪を引かないようにタオルケットをかけて。目にかかりそうな髪を軽く撫でて払う。 

 

 

 なにやら悲鳴を上げている佐天さんと初春さん。そして、身もだえして壁をたたこうとしている黒子さんに、口を一刺し指で閉じるサイン。

 

 

 むにゃむにゃ口ごもる美琴さんを見て、皆でおんなじサインをしあう。

 

 ――さて。美琴さん。手を離してくれませんか? つらくは無いんですけど、この体勢はいろいろとまずいといいますか要らぬ誤解を生むといいますか。

 

 

「むにゃ――」

 

 

 いや、って寝言で言わないでくださいよ。

 

 

 ……少しして、美琴さんが猫、のような悲鳴を上げて暴走。

 さらに、寝顔+αを撮られていた上にしっかりと編集されて使われていたことを知って大暴走。

 

 

 これが、まあ。私たちの日常……でしょうかね。

 

 

「ふにゃあー!? フニャーッッ!!!」

「深音さん!? モノローグってないで電撃が! 放電が!!」

 

 

 ――平和ですね。

 

 

 

《 おまけ 》

 

 

 

「あ、一つ気になることがあるんですけど」

 

「……なによ」

 

「そう睨まないでください。……いえ、あの映像に、私たち五人全員で映る機会って何度もありましたよね?」

 

「……? まあ、記念に残す、ってヤツなんだから、みんな映るようにするのは当然でしょ?」

 

 

 

「……その時って、誰がカメラ持ってたんですか? どうも記憶があいまいで……」

 

「「「「…………………」」」」

 

 

 ――まさかの。ホラーオチ。

 

 

 

《 おまけ2 》

 

 

「そういえば深音。この8フィルム? って誰からもらってきたの?」

 

「小萌先生ですよ。ほら、握りのところに名前が――本当に、おいくつなんですかね、小萌先生」

 

 

 ――まさかまさかの、ミステリーオチというのも。

 




読了ありがとうございます!  

 はっはっはっは!!! ……本当にごめんなさいすみません。


 誤字脱字。ご指摘などございましたらお願いします。
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