だんがんっ、紅鮭劇団! 【NG特典】   作:時雨オオカミ

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 タイトルはNG出した人の台詞を抜粋。
 え、この台詞は本編に出てこないって? 一番有名なのはこれ…… ですよね?


なんで図書室なんかに行ったんすかね?

 

【 Take1 】

 

 

「じゃあ、僕はもう少しここでやることがあるから……」

「うん、分かったよ。じゃあまた後でね」

 

 その日の朝、地下の図書室ではモノクマのスペアのことや首謀者についてを赤松と最原が話していた。

 仕掛け扉の奥にあるスペア製造装置の存在。そして、それを利用する身内に潜んだ首謀者の影…… それらを推理で繋いでいった二人は、ひとまずその場で解散することにしたようだ。

 

( なんだか…… 結果から逆算して推理するのって難しいんだな。僕らの中に首謀者が混じっているのは知っているけど、それに繋げるための材料はこれしかない…… この状態じゃ、信じる演技をしてくれるのは半数程度しかいないだろうし……)

 

 百田、獄原、天海、星、東条…… それに王馬。

 己の言葉に一定の信用を置いてきそうな、冷静な面々を最原は思い浮かべる。

 逆に入間のような精神的に弱い者は信用されるのが難しく、夢野や茶柱は現実では仲が良いので信用してくれそうだが、初対面という設定であるために現状では信用を取れなくなっているのだ。

 

( 赤松さんがいてくれてよかった。心強いし、それに…… ちょっとは頼りになるところも見てほしいからね……)

 

 最原が脚立を移動させながら嬉しそうにしているのとは裏腹に、そのとき赤松は去り際に考え事をしていた。

 

(最原くん大丈夫かな? なんか、どんどん死亡フラグってやつが立っていってる気がする…… よーし、最原くんは私が守るよ!)

 

 頼りに思っている様子は微塵も感じられなかった。

 

 

 

 

 

○●○●

 

 

 

 

 

「なんで俺だけこんなもんがあるんですかね……」

 

 天海は最初の自由時間となったとき、地下の図書室を訪れていた。

 

「はあ…… うっかり最原君ともすれ違いましたし…… 俺、ツイてないんすかね?」

 

 地下へ訪れる際に道は一本だけなので、一人でこの場所に来るのはなかなか骨が折れるのだった。

 赤松と別れた最原とすれ違ってしまったことは運が悪かったとしか言えないだろう。

 

「この図書室の先になんか部屋があるんすよね……」

 

 彼は〝 生存者特典 〟であるモノパッドを手に、暫く図書室内を散策することにしたようだ。

 

「俺自身が望んだ状況って…… まあそうなんすけど、そうじゃないですよね?」

 

 ぶつぶつと独り言を呟きながら図書室内を歩き回り、天海は首を傾げる。

 

「あれ、確かここっすよね。本が積まれてない本棚……」

 

 近くの脚立に目を移してからさっと本棚の隙間に手を入れ、仕掛け扉を起動させる…… が。

 

「あいたっ!? うわっ、ぷぐっ!」

 

 バサバサバサ……

 

 前日の夜までには確かになかった大量の本が天海の脳天目掛けて降ってきたのだった。

 

「ちょっ、待っ、ぶっ!?」

 

 積み上げられた本の量は並ではない。全てが落ちた頃には天海はその場で倒れ込み、大量の本に埋まってしまった。

 

「天海くーん」

 

 と、そこに自由行動で赤松がやってきたのだが…… どうやら彼には気づいていない様子である。

 

「あれ、いないのかな…… まあいいや。メダルあるかな?」

 

 全員発信器を所持しているので現在地はモノパッドに反映されている。そのため天海と過ごそうと思っていた赤松が図書室に来たのだが、彼女はどうやら、ギリギリですれ違ったのだと思っているようだ。

 おもむろに腕を回すとその辺に積んであった本を崩して行く。そして本の中に栞よろしく挟まれたメダルを回収している。手馴れている様子から察するに一人のときはずっとこうしているのかもしれない。

 

( ちょっ、こっち来ないでほしいっす…… さすがにこんな間抜けな場面見られたくないですよ)

 

 そして、沈黙を貫いている天海の願いは虚しく無視され、赤松が彼の上に積み上がった本を崩し始めた。

 バラバラと本が滑り落ちていき、次第に彼の姿があらわになってくると 「ええっ!?」 という赤松の大きな悲鳴が響いた。

 

「はははっ、そっとしといてくれないっすか?」

「あ、天海くん!?」

 

 彼女がより一層大きく声をあげると、すぐに廊下からドタドタと足音が聞こえてきた。

 

「どうしたの赤松さん!」

「どうしました!なにかありましたか!?」

 

 彼女の悲鳴を聞きつけて来たのか、隣に位置するゲーム室方面から最原とキーボがやって来る。そして赤松と同じように本に埋まった天海を発見するとポカン…… とした表情で凍りついた。

 

 その場に〝 ピンポンパンポーン♪ 〟と呑気な音が響き渡る。

 赤松、最原、キーボで発見したのは三人だが……

 

『 マヌケが発見されました! 至急図書室へお集まりくださーい! うぷぷぷぷ、笑い者第一被害者決定だねー! ぶひゃひゃひゃひゃ!』

 

 沈黙が支配する図書室で、放送を終えてから第一声を発したのは…… 最原だった。

 

「それは違うよ! 仕掛け本棚の上に本を置いたのは僕だから、アナウンスが鳴るはずない! これは殺人じゃないはずだ! …… そ、そのはずだよね?」

「マヌケ発見アナウンスでしたね…… あんなのもやるんですか、これは気をつけなければ」

「キ、キーボくん空気読んで!」

「…… なんで俺、図書室なんかに来ちゃったんすかね?」

 

 このあと滅茶苦茶爆笑された。

 

 

 

 

 

 





「さっすが天海ちゃん! オレたちにできないことを平然とやってのける、そこに痺れる憧れるぅ↗︎ ぅ↘︎ ぅ !」
「当然カットしてもらえるんですよね?」
「はい、キチンとカットしておきますからご安心ください。私様に任せていれば万事成功するのよ!」

(世に出さないとは言っていない)

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