「で、あんたは何者だ」
「ん?簡単に言えば山野博士のスペアかな」
廊下を走りながら、後ろに続く紫苑に問いかけると、原作にはなかったはずの答えが返ってきた。
マジか。そんなのがいたらバンの父が危険になるじゃないか。
まずいぞ。ここで殺しておくべきか?
「ああ、多分だけど。山野博士はもうここにはいないね。もうイノベイターに連れられて脱出したかな。そんな形跡があったからね」
「つまり、お前はそこまで重要ではないと?」
「うん。大した事をしてないからね。何かやらかさないように閉じ込めておくのが良かったんでしょ」
うーむ、なんと言えばいいのか。こいつ連れ出して良かったのか?こっちにメリットはあったのだろうか?
「メリットはこれから作ろう。例えば君のLBX……アキレスを強化するとかね」
「なに?できるのか?」
「もちろんさ。改造する場所を貸してくれればだけど。どこか素材と道具がある店知らない?」
そんな都合のいい場所って……あ、キタジマはどうだろうか?頼めば加工場を貸してもらえるかもしれない。
「っと、そこを右だよ。地下から出よう。上は警備が強化されてるみたいだ」
「わかった」
確か地下にはイジテウスがいたはずだが、こいつを囮にでもして倒そう。
どんどんと下へと向かう。その最中、LBXの攻撃が何度かあったが、余裕で突破した。
「おお、鎧袖一触の強さだねぇ」
「やめろ、それ死亡フラグ」
こいつ、余計な事を言いやがって。イジテウスは攻略法があるからなんとかなるってのに、それがなくなるかそれ以上の強敵が現れそうなのだけど?
「……」
「……なんかごめん」
地下に辿り着き、そして目にしたのは……破壊されたイジテウスと、気絶した操縦者。
そして、それを見下す形でイジテウスの上に腰掛けている男だった。
「見つけた。お前が山野バンか」
「貴様……何者だ?」
いつでもアキレスを出撃できるように準備する。けど、こいつはまずい。逃げろと生存本能が警鐘を鳴らし続けている。
「恐れるな。死ぬ時間が来ただけだ」
「ちっ、アキレス!」
いきなり頭上に降って来たLBXを避けて、アキレスを起動させる。
その真っ黒な機体は、まさか……!
「あ」
「グルゼオン……だと……!?」
「違うな、プロトグルゼオンだ」
確かに細部は違う。だが、確かにウォーズに出てくるグルゼオンだった。って待て、さっき「あ」って言ったのまさか……
「……おい紫苑」
「……てへ?」
「後で殺す」
「ちょ、弁明させてよ!?」
どうしてグルゼオンがプロトタイプとはいえ、製造されているのか、それは俺のようなイレギュラーが存在していたからか。
……俺という存在のせいで。
「……イノベイターか?」
「否」
「それを聴けただけで僥倖だ」
アキレスを疾駆させる。メイスを振りかぶって、叩きつけるが、相手のサイスによって防がれる。
「悪いが通してもらうぞ」
「できるとでも?」
文字通り死闘が開幕した。こちらが負ければ死ぬ。それだけだ。その事実にとてもゾクゾクした。