うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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脱出

刹那、アキレスが掻き消えた。と思われた瞬間にはプロトグルゼオンは吹き飛ぶ。

 

「なに……!?」

「なんだあの動き!?」

 

グルゼオンの反応速度は凄まじいものだ。だが、今のアキレスもそれに勝るとも劣らない。紫苑は考察を開始する。

 

全身が紅く輝くアキレス。先ほどのアドバンスドVモードの全リミッター解除された姿を視界に収めながらバンの方を見やる。鬼気迫る迫力でCCMを操作する姿はまさしく修羅。

 

しかし、それでもあの動きの説明は出来ないと紫苑は考えた。

 

故に考えつくもので一番確率が高いのは……

 

「アキレスのCPUが山野バンと同調しているのか……」

 

そうとしか紫苑には考えられなかった。しかしそんなことが可能なのは……

 

「成る程、山野博士。息子にそこまで入れ込んでいたのか」

 

面白いことになって来たと、紫苑はほくそ笑んだ。

 

一方、神谷コウはと言うと、何やらウットリとバンの戦いを一瞬でも見逃さぬようにじっと見つめている。

 

「あぁ……」

 

ルシファーでその戦闘を録画し続け、バンの雄姿をCCMで撮影しまくる。

 

そしてバンと、プロトグルゼオンを操る男の戦いは、激化の一途を辿っていた。

 

「オオオオオッッッッ!!!!」

「ちぃっ!」

 

驚異の速度によって塗装を剥離させ、質量を持った残像を残しながら、プロトグルゼオンを翻弄するアキレス。

 

「まだだ……っ。もっと寄越せよ。アキレス!」

「っ! まだ上がるのか……!」

 

アキレスが吼え、もう一段階速度を上げた。と同時にフレームの崩壊スピードも上がる。

 

それに応じて、プロトグルゼオンも速度を上げなくてはならなくなった。すでにグルゼオンのパーツは限界にまで達しつつある。それでも今のアキレスには届かない。

 

「どうしたアキレス!お前の力はこの程度か!」

 

そしてバンの煽りに反応してさらに速度を上げる。

 

「素晴らしい」

 

誰の言葉だったか、それは虚空に消える。

 

 

ついに、プロトグルゼオンの反応スピードを超えたアキレスはその拳でフレームを貫通しコアスケルトンにまで届かせた。

 

刹那、ブレイクオーバーするプロトグルゼオン。ここに、勝負は決した。

 

アキレスとバンの咆哮が、そのエリアに轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

「見事だ」

 

それを、現れた男が搔き消した。

 

「J……」

「ご苦労だったなN。おかげで候補者は見つけられた」

「やはり、奴が……」

「そうだ」

 

新たに現れた男は、バンを見やる。バンは壊れかけのアキレスを叱咤しながら構えさせると、Jと呼ばれた男はCCMを操作しLBXを出陣させた。

 

「とりあえず、回収させてもらうとしよう」

 

そして、そのLBXはアキレスに向かってミサイルを大量に放った。

 

 

 

その刹那、男のLBXとアキレスとの間に突如として現れたサラマンダーを改修したLBX。それが拳を振るい、衝撃波で全てのミサイルを破壊した。

 

「そこまでにしてもらうぞ、死神ども」

「……ほぅ、ここで貴様が出てくるか」

 

紫苑は新たに現れた男を見やる。

 

「君は確か……」

「檜山蓮ですよ、お久しぶりです。紫苑博士」

「そして、伝説的LBXプレイヤー……《レックス》。貴様がこの場に出てくるほどか」

「然り。で、どうする?そこのブレイクオーバーしたプロトグルゼオンを回収して逃げるか、それとも俺とやるか」

 

サラマンダーを改修した機体…Gレックスが臨戦態勢に入る。

 

それにJは首を振り、レックスを見、そしてバンを見る。

 

「ここは引かせてもらおう。このLBXで貴様と満足に戦えるなどと自惚れている訳ではない」

「ならば、さっさと去れ。この国は貴様ら死神がいていい場所ではない」

「ふ、手厳しいな。さてN、行くぞ」

「了解」

 

プロトグルゼオンを回収して、その場を後にする死神たち。

それを境に、バンの緊張はプツリと切れた。

 

自然と崩れ落ちるバンの体。

 

それを受け止めたのは、神谷コウだった。

 

「お疲れ様ですバン様。どうかその身をお休めください」

 

首筋にチクリと刺すような痛みがバンに走り、そのまま気絶した。

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