うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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………………続き……いります?

要らないですかそうですか。ならばどうぞ。続きです(天邪鬼)


人は過ちを繰り返す()

早朝の肌寒い空気の中、俺はゆっくりとその罪の証に近づいていく。

 

「……ああ、そんな……どうして……」

 

最期まで生きることを諦めず、手を伸ばし続けたであろうその手はもう二度と何かをつかむことはない。力なく地面に落ちているその手を俺は震える手で掴み取る。こうなる事は予測できた筈だ。助けを求めるメールだってきていたのに、俺は終ぞ気付くことが出来なかった。

 

「ごめん、カズ……間に合わなかった……」

 

 

きぼうのはなを咲かせていそうな状態の彼の手を握りしめて、そっと俺は黙祷をささげ「まだ死んでねぇから!」なんと。

 

「よかった。息を吹き返したか」

「川の前で六銭が無かったから追い返されたわこんちくしょう! ていうかバン! 今までどこ行ってたんだよ! お前がいなかったせいで俺は……俺はぁっ!」

「ごめん、本当にごめんなさい」

 

メールから伝わってきたカズのピンチ具合が本当に酷かったのを思い出して、俺は罪悪感で押しつぶされそうになる。

 

カズから来たメールが本当にひどい。もはや最新三件のカズメールは件名しかない。

特に最新の『たすてけ』は俺の腹筋を破壊し尽くした。

 

何があったかは知らない……とは言えない。なにせ原因は明らか過ぎて、足が生まれたての子鹿のようになる。

 

今からでも遅くないので、逃げ出した方が良いのでは?その場合カズの死は確定するのだが。

 

「まって! 見捨てないで! これ以上は冗談抜きでしぬぅ!」

「ちぃ、勘のいいヤツめ……!」

「つうかバン! なんか性格が変わってないか!?」

 

そんなことはない。コウとかの相手をしていて疲れたからこんな言い草なだけで、断じてヤケクソになんてなっちゃいない。なっちゃいないとも……!気が抜けてるとか言わせないぞっ!

 

「とりあえず、ただいま。カズ」

「お、おう。おかえりバン……そっちも大変だったりしたのか……?」

「これ以上掘り返すな。いいな?」

「わかった! わかったからその暗い目やめてくれ! ホラーだよ!」

 

失礼な。少々疲れがたまっているだけだ。断じて俺の目は深淵なんぞではない。ハイライトだってキチンと存在する。

 

「け、けど。なんかやっぱりふいんきが違うような気がする」

「まだいうか。あとふいんきではなく、雰囲気(ふんいき)だ」

 

カズの間違いに少し苦笑する。カズはその指摘に羞恥を感じたのか少し顔を赤くして、「そんなことより」と誤魔化してきた。

 

「だってよ、なんか思いつめてるみたいな顔じゃ無くなってるし。眉間の皺だって薄くなってる。それにその、なんだ……自然に笑えてる気がする」

「……」

 

呆気にとられるとはこの事か。思わずカズを凝視する。その驚いた顔がツボに入ったのか「ぶふぉっ!」とカズは吹き出した。今度はこちらが辱めを受けることになってしまう。仕返しとばかりに俺はカズを半目で睨みつけた。

 

「くくっ! わ、わりぃっ——っ。そんな気の抜けたバンの顔、本当に初めて見たからさ。ププッ!」

「笑い過ぎだ。逃げ出すぞ?」

「すみませんでしたっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土手に座り、カズにここに辿り着く前に買っておいたお茶を渡す。礼を言われながらも、俺はカズに先ほどまでの会話で気になっていた事を問いかけてみた。

 

「しかし、なんだ。そんなに俺は刃物みたいなやつだったか?」

「あー、いや。どちらかっつうと自分を責めまくってて周りに意識を向ける余裕が少ないって感じ……が一番近いのかな? でも、今のバンはそんな感じじゃない気がする」

「そうか…………そうなんだな」

 

どうやら俺はカズに……もしかすると他の奴らや母さんにも迷惑をかけてしまっていたのかもしれない。

情けない限りだ。それと同時に胸のあたりが温かくなった気がした。

 

「俺は、みんなに見守られ、支えてもらってたんだな……」

 

その事実がどうしようもないくらい嬉しくて、頬が緩む。

 

「俺たちだってバンに支えてもらってたよ。バンにはその気はなかったかもだけどな。俺たちもお前に感謝してる」

「ありがとう。その言葉で、俺は救われたよ」

 

俺は今まで山野バンを演じてきた。けれど、ここからは……これからは違う。決して俺は山野バンにはなれない。なってはいけない。その事実を今回知った。

だから、俺は俺のまま自分らしく生きていく。

 

こんな自分勝手な男が、みんなを救うとか烏滸がましいにも程があるのかもしれない。でもそれがやらないという理由にはならない。目の前のカズや、アミ、ミカ。コウやレックス。宇崎さん。俺の母さんと父さん。そして俺の周りにいる人たちみんなに笑顔であってほしい。そう、それが俺の恩返しだ。

 

「バン?」

「カズ。俺、頑張るよ。絶対にみんな笑顔のハッピーエンドを迎えてやる」

「ん、なら俺も手伝うよ。お前は俺の友達だからな」

「———ああ。ありがとう、カズ」

 

そうして俺は空を見上げた。




オリ主君、今回の件で色々と迷って、やり方を変えることに決めた矢先のカズとの会話で迷いを振り切り、主人公《山野バン》の仮面と決別。己として生きていくことを決める回。
これだけ聞くとカズがヒロインみたいやなって……

本当はこの展開を書く予定ではなかったのです。本当は最後まで背負い込んで己を保てずに破滅するという予定だったんですよ。

けど、ミカちゃんの人気っぷりに彼女を悲しませると読んでる人たちに石投げられるわと予定変更。

ここで考えを変えとかないとバッドエンド直行だったので無理やり突っ込みました。

なお、バッドエンドに行かないとは言ってない。
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