うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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……ちゃうねん、エイプリルフールやねん。

え、日にちが違うから無効? ソンナー


というわけでただいまです。
時たまに投稿再開と相成りました。アングラビシダス編はプロット書いたしいけるっしょ(信用ゼロ)


アングラビシダス編突入

 アングラビシダス……それはなんでもありのアンリミテッドレギュレーションが採用された闇の大会。主催者が伝説のLBXプレイヤーのレックス(王者)であるとか、とある喫茶店の下で行われているとか、その喫茶店のマスターが実は世界を滅ぼす大魔王とか、いろんな噂があったりする。

 

 そんなこんなで、俺はそのアングラビシダスに参加することとなったわけだが……

 

 

「ふざけるなぁっ! オレがこんなっ!?」

「喚くな」

 

 メイスを投げつけ、使おうとしていたスタングレネードごと相手LBXの腕を抉り飛ばす。

 既に左右のアームパーツ、そしてレッグパーツのキャタピラを破壊された上に、ランスでステージ中央に存在している柱へと磔となっていた対戦相手『首狩りガトー』の『ブルド改』が足掻く中。

 俺のLBXである壊れかけの『アキレス』を『ハンター』のデータと紫苑博士の保有していた『アヌビス』をもとにミキシング改造をした『アキレス・リュカリオン』を中央へと進ませる。

 

「クソっ、クソおっ!」

「名の通り、お前は今までいくつも首を刈ってきたんだろう? それが自身の番になっただけだ」

 

 カズのハンターに近い形状の獣の様な鉤爪の脚をブルド改ヘッドパーツ、つまりは頭に添える。

 

「まぁ、オレは首なんぞ要らんが」

 

 メキョリと装甲とコアスケルトンの壊れる音と共にブルド改の頭はアキレス・リュカリオンによって踏み潰され、直後にオレが勝者であるという宣言と共に会場が湧き上がる。

 

 

 野太い歓声に耳を痛めながら、呆然と壊れたブルド改を見下ろしていた首狩りガトーにステージを回って歩み寄る。

 ガトーは俺に気づいたが、最早睨む事すらなくすぐに項垂れる

 

「ガトー」

 

 そんなのは考慮に値しないとポケットからLBXのパーツを取り出して、ガトーへと放る。

 

 呼びかけたからか投げられたパーツに気づいたガトーは間一髪でそれを受け取り顔を今度は驚愕に染めた。

 

「こ、こりゃ、HGのブルド改ベッドパーツ!? なんでこんなレアモンを!」

「またな」

 

 それだけ言いつけてオレはみんなの方へと歩き出す。そう、別にLBXバトルで相手を潰したいわけではない。だってLBXバトルはとても楽しいのだから。ようやく気づけた、いや認められた事実につい苦笑を漏らす。

 

 世間でもよく言われる『もうちょっと肩の力を抜きなさい』というアドバイスがこうも突き刺さるとは自分自身思いもよらなかった。

 

 物語の山野バンには程遠く、もはやなろうとも思わない。だって俺自身が山野バンなのだから。俺は俺のままに生きて死ぬ。誰に命令されるでも従わされるでもない。俺がここにいて、大切なものが周りにあふれている。だから大切な人たちが生きる世界を悪意によって滅ぼされてたまるかと戦うのだ。ようやく見つけた生きる理由を、心に、魂に刻み込んで観客席で手を振っている仲間たちにふりかえした。

 

 

 

◎アングラビシダス一週間前◎

 

 

 俺、こと山野バン()は家に一度顔を出したのちにキタジマ模型店への道中、混乱の極みに達していた。

 

「ミカ……」

「なに?」

「もう少し離れないか? かなり歩きにくい」

「や」

 

 

 にべもなく、一言で切り捨てられた提案。切り捨てたのは三影ミカ。家で母さんに謝り倒したのちにカズを伴って出立するといつの間にかパーティーに加わっていたのだ。抱きつかれるまで気配も感じなかった有様は自分が情けないのか、ミカが凄いのか……ミカが凄いということにしておこう。俺にも自尊心というのはあるのだ。

 

 無表情がデフォルトの彼女がニッコニコでこちらの胸に顔を埋めてくる。誰だこれ。本当にミカなのか? あのクールビューティーの彼女が恥も外聞もなくデレッデレに顔を綻ばせている。某運命のツンデレ系ツインテヒロイン(あかいあくま)の未来を彷彿とさせるデレっぷりに困惑による精神的疲労が爆発的に増えていく。

 

「?????」

 

 え、まじで誰ですかあなた。別人と言われたほうが納得できるよ?

 

「アミにジャンケンで勝ってお前の独占権を得たのが嬉しいんだろうよ。あとお前が明るいのもあるだろうな……」

「あれ? こうなる兆しなんてなかった気がするが……?」

「お前が気づいてなかっただけだ。諦めろ」

 

 そんなに俺は周りを見れてなかったのだろうか? 好かれる行為などしていなかったはずなのに。ヘルメットをかぶった猫のように受話器に『どうして?』と問いかけたくなった。

 

「カズとばっかり話してないで私を見て」

「あ、ああ……」

 

 しかし流石にこれはないだろう。俺の中にあったミカという寡黙な出来る女、つまりはクールビューティー像がぶち壊され、戦々恐々とする俺。

 いやでもこれはないだろう? 世界に蔓延る悪意へ挑戦すると決意した情熱が冷めやらぬうちにこれとか温度差で風邪をひきそうだよ。

 

 カズは暗い笑いをしながら、遠い目になる。

 

「わかったか? 俺の痛みを」

「まずい、カズの目に光がない……っ!」

 

 まさかこんなところで世界に絶望した目をされるとか思ってなかったので、頭と腹を抱えて呻きたくなる。主に笑うのをこらえる方向で。

 そんなじゃれあいを繰り広げつつ、キタジマ模型店へとたどり着く。カズ曰く三人で俺を探し回った時に店長にも聞いて回ったそうで、店長と奥さんである沙希さんは俺のことを案じていたそうだった。

 ミカを無理やり引き離し、カズには先に謝ってくると目くばせを。意を決して店内へと踏み込む。

 いらっしゃいませ と入店音に反応した接客の声。レジを兼ねたカウンター向こうの奥につながる暖簾から出てきた店長は、入り口に立つ俺を認識すると目を丸くした。

 

「店長。ご心配をおかけしました」

「バン!? 突然いなくなったって聞いて心配したぞ!」

「その節は申し訳ありません。急な用事が出来た際、誰にも連絡をつけず行ってしまったものですからこうして皆さんに迷惑をかけてしまい……」

「馬鹿野郎! 謝罪なんてどうだっていい! ケガとかはないか!?」

 

 あんまりな剣幕に少し気圧されつつも、数分かけて今は何も問題はないと伝えればどうにか落ち着いてくれた。最後にポカリと俺の軽くゲンコツをして肩の力を抜く店長。

 

「心配させやがって、何事もなくて本当に良かった……」

 

 カズの時や母さんの時と同じように心の底から、俺を心配してくれて喜びと申し訳なさで心がいっぱいになる。

 

「……ありがとう」

 

 言葉が出てこなくて、一言だけ喉から零れ出る。それに店長は驚いたような表情、それからなにやら安心したように顔をほころばせた。

 

 

 

 

◎◎◎

 

 

 店に備え付けられた作業用スペース。そこで俺の新たなLBXのお披露目とした。観客は店の外で待機していたカズとミカ、そして店長。アミと沙希さんは不在だ。

 沙希さんは単に買い物で大型デパート『トキオシア』に行ってるらしい。そしてアミはミカに俺の迎えを決めるじゃんけんに負けたのと家の用事で今街にいないらしい。さっき連絡を取ったがメールでは文字数制限まで書き込まれたのが三通。電話では5分ほど息継ぎなしで心配の言葉を投げかけられた。ここまでアミを心配させた自分を戒める。しかし母さんや店長とカズの時のように心の奥があったかくなり、ほんわかとするのは同じだった。カズにはこいつマジかと言わんばかりの顔をされたのは心外だったけど。

 

「これがアキレスの改修型のアキレス・リュカリオンだ」

「こりゃぁ、また大胆な改修、いや改造だな。フレームの種類すら変わってるじゃないか」

 

 今までのアキレスは一般的に『ナイトフレーム』という種別のLBXであり汎用性に優れたいわゆるバランス型なアーマー・フレームだった。だが俺の戦い方は武器以外のつまりは手足での格闘も多様するために運動性の高い『ワイルドフレーム』のほうがあってたりしたのだ。しかしそれは一般的な話。なにせアキレスはワンオフ機しかも某天パの天才科学者(まるで黒幕のような父)が作ったものときた。高性能すぎて市販のワイルドフレームよりも圧倒的に運動性が高く、それ以上を求めようとするとそこそこの中古車が買える程度の金が消えることになるわけで。高い汎用性もそのまんまなんだから使わざるおえないじゃん? といった状況だったわけだ。

 

「ワイルドフレーム、にしては人型によってるな。ナイトフレームとの合いの子といったところか」

「うおぉ、この造形はハンターが元だろ!」

「アマゾネス要素がない……」

 

 しかし今回、壊れかけたアキレスのアーマー・フレームを神谷コウの屋敷にあった機材で修復する際、紫苑博士はレックスと共に装甲そのものの形状を変えることでもともとの性能を保ちつつ、運動性を上げようと試みたそうだ。

 結果、俺のCCMに残っていた戦闘よりアウトプットされたハンターのデータと紫苑博士の持っていたアヌビスの運動性を掛け合わせることで半ワイルド半ナイトフレームの『アキレス・リュカリオン』として生まれ変わったのだ。装甲はアキレス時代には白かった部分が銀がかった灰に、黄色は鈍い銅色へ、青は透明度を上げてある。そこに造形も相まって全体的に狼っぽさを印象付けてくる。

 

 「性能は確かに上がった。だが慣れていない以上、このLBXの性能を十全に発揮は出来ないと断言できる。だからみんな、こいつを扱い切る為に力を貸して欲しい」

 

「おう! まかされた!」

「うん……私も頑張る」

「よし、なら俺も一肌脱ぐとしよう!」

「えー、店長って強いのかぁ?」

「何おー、減らず口を叩くのはこの口かぁ?」

「ひゃめろふぇんちょー!」

「ふふ……」

 

 店長が生意気を言ったカズのほっぺを引っ張り、それに乗じてミカも一緒に引っ張る。餅のように伸びる頬につい笑ってしまい、カズから恨めしそうな目を向けられた。なので、カズをいじめるふたりを宥め、目標への宣誓を行う。

 

「では僭越ながら……目指せアングラビシダス優勝!」

 

「「「その目標は聞いてない!?!」」」

 

「……あれ?」

 

 あれ?

 

 




その頃のアミは柔道家の孫娘と偶然出会った模様。
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