うちの父はLBX開発者です   作:東雲兎

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タイトルで遊びましたが、これからこんなノリでも大丈夫ですかね?

キャラを頑張って思い出しながら書いてますが、あんまり自信がないのじゃ……(灰原ユウヤの変遷を見ながら)


アタッカーが3人……くるぞ○馬!

 7回目のバトルが始まってからすでに5分が経過していた。ミカの操るLBX『アマゾネス』が加速しながらこちらに背後を取ろうとしてくる。俺は『アマゾネス』に対応しようとするも動きはじめをカズの『ハンター』から狙い撃たれ出鼻をくじかれた。

 弾丸を何とかはじくも狙撃者は俺が一撃目は防ぐことを予測していたのかすでに飛来していた二発目が『アキレス・リュカリオン』の肩に直撃する。

 体勢の崩れかけたそこへ間髪いれずに店長の『ムシャ』が斬馬刀を振りかざしてきた。なんとか対応が間に合い、刃に対し斜めに構えたランスで斬馬刀を滑らすことで『ムシャ』の斬撃を地面へと受け流す。

 だが、息を吐く暇を与えぬとばかりに回り込んできた『アマゾネス』がパルチザンを薙ぐような叩きつけがもろに直撃する。ストライダーフレーム(かなり軽いアマゾネス)半ワイルド半ナイトフレーム(そこそこ重いアキレス・リュカリオン)の重量差で吹き飛ばされることはなかったが、バランスの崩れたところへの攻撃は『アキレス・リュカリオン』を空中に浮かせた。そこへ『ムシャ』が打ち上げるように斬馬刀を振るう。かろうじてランスを斬撃の間に挟めたものの、衝撃は消せずダメージを負いながら空高く飛ばされる『アキレス・リュカリオン』

 世界が回転する中で『ハンター』の姿を捉えた。

 

「必殺ファンクション!」

『AttackFunction:スティンガーミサイル!!』

 

 

 カズの叫びと併せた電子音声がトリガーとなる。『ハンター』は瞳を鋭く光らせ、背部ユニットより放たれるは追尾式ミサイルたち。上昇か落下すらもあやふやな状態の『アキレス・リュカリオン』に躱せる道理はなく。

 

 苦し紛れに投げたランスとミサイルが交錯し、お互いの目標へと着弾。『アキレス・リュカリオン』と『ハンター』は仲良く【ブレイク・オーバー(戦闘不能)】となったのである。

 

 

「やはり三人には勝てんか……」

「ちくしょー! 最後の最後でやられたー!」

 

 カズが頭を掻きむしっている。勝ち確定の状況から唯一やられたことを悔しがっている。足掻きで『ハンター』の必殺ファンクション直後の硬直を狙ったわけだが意外と当たってくれた。まあ負けたのには変わらないのだが。

 

「というか何で毎回俺だけは必ず倒すんだよ! 今のところ全部でブレイクオーバーしてるんだが!?」

「はは、そんな事……ないぞ?」

 

 いや単に厄介だから先に倒さんといけないから結果的にお前が死んでるだけで深い意味はないのだ。別にいやなタイミングに撃たれ続けてイラっと来たわけではない。ただお前を殺すという決意はあったが。

 

「……」

 

 ミカが俺とカズのじゃれあいに揃って微笑ましいといわんばかりの優しい目を向けてくる。今日はいったいどうしたというのか、さっきも思ったがいつもの無表情のクールビューティーどこ行った。

 滅多にみられないミカの姿に恥ずかしくなってつい店長に助けを求める。その意味を汲んでか汲まずかはわからぬが、店長による俺の戦力評価をし始めてくれた。

 

「しかし、1vs1では堅実な勝利、1vs2だと辛勝なら拾え、1vs3ではひとりは必ず持っていく……現状でもアングラビシダスでは通用するだろうが、更に大規模な……例えば世界大会のアルテミスとかならぎりぎりといったとこだろうな」

 

 これからの戦い、現状のままでは世界大会で優勝どころか決勝にすら進めないだろう。

 それだけ強い奴らばかりだ。具体的にはアジアチャンプ的な人とか。

 

 現状、アキレスを極めて行った物語の山野バンとは違い、リュカリオンに乗り換え、新しい機体のクセを馴染ませるところから始めるのでスタートが少々遅れているのもあるが。そもそもLBXの操作を教えてくれた人物が戦闘スタイル的に攻撃に寄りまくっていたのもあるだろう。

 まぁそれについては致し方あるまいと諦めて。先程の戦いを脳内で振り返る。

 

「やはり無理にでもカズを先に倒しておくべきだったな。常に動き始めを狙われる」

 

 近接戦はミカと店長を同時に相手しても勝ちを拾える程度にはなれた。が狙撃銃の弾を目視できない以上予測で防ぐしかない。そこをカズに突かれまくってるのだ。

 レックスに頼んでたメガネはまだ来ないのだろうか。

 視覚をもっと使えるようになれば、ある程度マシになると思うし、何よりカズを一方的にボコれるだろうし。

 父親からの遺伝がこのような形で足を引っ張るとは思っていなかった。全ての元凶がよぉ……

 

 と思考を巡らせていると、店の入り口から視線を感じたもので咄嗟にあの堕天使かと身構えた。が確認できたのはガタイのいい学ランの番長のみ……。

 番長?

 

「って郷田か?」

「応! 久しいなてめぇら! クノイチ使いの女はいねえ様だが、全員いい面になってるじゃねえか!」

 

 俺が気づいたことでズカズカと大股で店に入店してくる郷田。まるで親しい奴と再会したかのような雰囲気に少し呆気に取られ、まぁこいつはそういう人柄なのだろうと納得することにした。

 そんな俺と郷田の間に立ちはだかるように2人が躍り出た。カズとミカだ。

 

「ご、郷田! 何しにきやがった!?」

「……」

 

 俺を庇うような二人に一瞥し、その後同じく警戒する店長へと顔を向け、頭を下げた。さげた?

 

「この前は奥方を騙してアキレスを盗み出すような真似をし、申し訳ありませんでした!」

「あ?」

「い?」

「う」

「え?」

 

 カズ、ミカ、俺、店長の順で声を上げ、郷田の突然の謝罪にあっけにとられる俺以外の三人。いち早く衝撃から立ち直った店長は郷田にその真意を問いただした。郷田は神妙な面持ちでわずかに頭を上げた。

 

「理由は言えません。ですがお察しの通りアキレスは他のLBXとは違う特別製です。そのアキレスを誰ともわからぬ馬の骨に渡すわけにはいかなかった。その為に俺は子分どもに命令して、俺があなたの奥方を騙し、アキレスを盗みました。その罪はこうして頭を下げた程度じゃぁけっして拭えぬモンです。でも俺にできることはこれくらいで……端から許してもらえるとは思っとりません。それでもケジメとしてここに来た次第です」

 

 まあ彼ならそうするだろうな。とどこか他人事のように思いつつも、郷田を庇うために声を上げようとしたその時。

 

「ちょぉぉっとまぁったあ!」

 

 新手がアクロバティックに店内へと滑り込み段ボールを蹴飛ばしながらヒーロー着地をしてきた。よく見覚えのある女性、というか店長の奥さんである北島沙希さんに今度こそその場の全員が唖然とした。

「ちょ、商売道具を蹴飛ばすな!」と店長が怒るも……

 

「あ~ごみんごみん。でも強化ダンボールだし大丈夫でしょ。そんなことよりも……」

 

 悪びれもせず、あっけらかんと言い切りよった。確かに強化ダンボールなのであの程度じゃあ中身どころか外側にすら傷を与えられないだろう。

 

 しかしてあれたしか店長の私物の道具たちだよな。しかも結構高めのやつ。哀れ店長、尻に敷かれた夫に発言権はない……というのは言い過ぎか。ふたりはおしどり!Max夫婦(力の黒と技の白並感)だし。いやでもおしどり自体は普通に浮気するんだっけ。しないのはペンギンだったか? 覚えてないや。いやそんなことどうでもいいんだって。腑抜けすぎだぞホント。

 

「郷田君だったよね」

「はい、その節は大変ご迷惑をおかけしやした。俺だけであれば煮るなり焼くなり好きにしてもらってかまいやせん。が共に居た子分どもは俺が命令して仕方なくしただけです。何卒ご容赦をいだだきたい!」

 

 頑張って使い慣れない敬語を使っているのだろう。ところどころいつもの喋り方と敬語が混ざって任侠じみた言葉遣いになっているが、彼の誠意がきちんと伝わってくる。こういうのが郷田三人衆とかミカとか人を惹きつける魅力なのだろうか。

 

「そんな事どうだっていいのよ」

 

 しかして沙希さんはにべもなく郷田の謝罪を斬り捨てた。郷田と、ついでに店長が絶句してる。そうだね、先達としてかっこよく若人に説教しようとしてたのに台無しだよね。

 それは置いといて、沙希さんは直接騙された人物だ。確かに同じ店を経営する店長よりも忸怩たる思いがあったろうに、それを"そんな事"で片づけられるのは豪胆としか言いようがない。

 さすがというべきかな。とか考えて。続きを待った。

 

「君はアタシを騙してでもやらなきゃいけない事があったんでしょ? 君は曲がったことが嫌いな真っ直ぐな子だって話しててわかるし何よりここに謝りに来たことが証拠だね。そんな子が悪いことって分かった上で、友達を巻き込んででも成し遂げなきゃいけなかった。その理由は深くは聞かない。でも誰かのためだったってことくらいは察しが付くさ。うちの人もそんな男だったからね」

 

 つい店長を見やり、思いっきり目をそらされる。マジか店長。本質的なとこが似たもの同士なのかこの夫婦。

 

 沙希さん郷田の頭をわしゃしゃーっと帽子の上から撫でて、眩しい笑顔を見せる。

 

「だから今回の事については荷物運びとかで手打ちにしたげる。もう二度とするんじゃないぞぉー!?」

 

「——はい! 姐さん!」

 

 

 怒涛の展開に置いてけぼりなミカとカズはすっかり毒気みたいに敵愾心が抜かれて緊張を解いた。

 

「なんつうか、あれだ。沙希さんスゲー」

「だな。店長もだが人が良すぎる」

「それをバンが言うのか? まぁ、自慢の嫁さんだよ」

「……ふふ、ラブラブ、だね」

 

 ————ミカの無表情からの笑顔、破壊力凄いな。いまクラっと来た。と同時に背筋か凍り付くような気配を感じ、今度こそ堕天使だと確信した。安心しろ俺への脈はない。ミカにとって俺は心配ばかりかけさせられる友達枠で、実は面倒見の良い彼女はそんな俺を見捨てないでいてくれるのだろう。って誰に言い訳してるのだ俺は。

 む……?

 

「——今日は千客万来だな」

 

 店の外に明らかに悪意を持った奴らがいる。イノベーターの刺客……にしては幼すぎるので別枠と推測した。

 俺の呟きに反応してその場の全員が外へ目を向け、見るからにやんちゃな奴らが3人我が物顔で店に侵入してくる。その際に沙希さんが吹っ飛ばさなかった荷物を足蹴にしながらだ。その様子にカズが少しひるみながら相手の正体を共有してくれる。

 

「こいつら、一中の不良だ。なんでここに……」

「おうおうおう! テメエら、ここが誰の縄張りか知っての狼藉か?」

「ああ、一年に負けた郷田君だろ? 一中じゃあ有名だぜぇ?」

 

 ケケケケと下卑た笑いで郷田を嘲る不良共。どう見てもやる気満々だ。相手に引く気はないと理解した郷田は申し訳なさそうに、隣まで進み出た俺を見る。

 

「すまねえ、俺が不甲斐ないばっかりに」

「気にしなくていい。話を聞くに、俺にも責任の一端があるようだしな」

「そーね、気にしないの。ウチの商品を蹴飛ばした罪は重いわよぉ?」

「「「沙希(お前)さんが言うな」」」

 

 カズミカ店長の総スカンにテヘペロとしながら俺と郷田に並ぶ沙希さん。相手の3人と店のDキューブを挟んで対峙する。

 

「吼えろハカイオー!」

「行けクノイチ弐式! ぶっ壊せ!」

「果てなく征け、アキレス・リュカリオン」

 

 相手のLBXも出揃い、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 




尚、この後オリ主バン、郷田、沙希さんによる攻撃力過多パーティの蹂躙が始まる模様。


以下オマケ

『アミは意気投合したランという少女と共にアキハバラを散策していると、不良に絡まれていた女の子を発見、LBXバトルに勝利し、少女……リコを助け出した。が相手も諦めが悪く、ここにアキハバラ鬼ごっこが開幕した』

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